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生息状況の変遷 |
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カワウの生息状況の変化は3つの段階に分けることができる。20世紀前半までのカワウが全国的に生息していた時期、1970年代を底とした急激な減少期、1980年代以降の回復期である。
1970年以前の分布や生息状況の記録は断片的なものしかないが、アンケートと文献調査により、青森から鹿児島までの1都12県において生息が確認されている。
その後、カワウの生息数は減少し、各地にあったコロニーやねぐらは消失して生息域が分断化し、レッドデータブックの絶滅危惧に相当すると推定される段階にまで落ち込んだ。1971年には、関東で最大だった千葉県大巌寺のコロニーが消失し、残ったコロニーは愛知県鵜の山と大分県沖黒島、それに上野動物園の飼育個体に由来するコロニーのみとなり、全国で総数3,000羽以下に減少したと考えられている。1978年においてもコロニーは全国で青森県、東京都、愛知県、三重県、大分県に各1箇所ずつ、わずか5箇所となっていた。
1980年代にはいると、関東地方や愛知・三重を中心にコロニーの分布は拡大していく。分布拡大や個体数の回復の要因についてはまだよくわかっていないが、コロニーの保護、水質改善、また撹乱による分散などの複合的な要因によって、もとの状態に戻りつつあると見ることができる。
生息状況の変遷に関する野鳥誌記事は、こちら。
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