自然保護

野鳥は生態系の上位を占める種が多く、自然環境の良好さを示すバロメーターです。多くの野鳥が生息し、多様な生き物が暮らしていくには、多様な環境と、その環境が守られていることが重要です。当会では、野鳥と人が共にくらせる生物多様性に富んだ自然環境の保全を第一に 考え、生息地の保全や法制度を改善するための働きかけなど、自然を守る活動を行なっています。

絶滅のおそれのある種の保護

タンチョウシマフクロウカンムリウミスズメオオジシギシマアオジクロツラヘラサギチュウヒアカコッコナベヅルマナヅルサシバヘラシギオオワシオオタカ

日本野鳥の会の主要な活動である自然保護事業では、絶滅のおそれのある野鳥の保護と、その生息地の保全に取り組んでいます。調査・保護活動により、個体数の減少要因を把握し、影響の軽減や生息環境の改善等の対策を行なっています。

絶滅危惧種の保護

野鳥保護区

私たちの社会と野鳥との共生

私たち人間が求めている便利な暮らしと経済活動が、生物多様性を消失させ、自然環境に大きな影響を与えています。自然エネルギーの推進と生物多様性の保全の両立は大きな課題となっています。海洋プラスチックごみは、海鳥をはじめ、多くの海洋生物に影響を与えています。また、カラスやカワウなどの野鳥と人との軋轢(あつれき)も発生しています。人間の生活と野鳥や自然環境が共存していくにはどうしたらよいか、考えていきます。

自然エネルギーとの共生

海洋プラスチックごみの問題への対応

原発事故による鳥類への放射性物質の影響モニタリング

野鳥と人とのあつれきの解消

鳥インフルエンザの情報収集

高病原性鳥インフルエンザの発生に関する情報収集を行なっています。また、ウトナイ湖や風蓮湖では巡回監視を行ない、関係機関と情報共有を図っています。

人と動物、生態系の健康はひとつ~ワンヘルス共同宣言

野鳥の生息環境の保全

当会は、野鳥の減少要因の一つとなっている生息環境の消失や悪化を防ぐため、重要野鳥生息地(Important Bird and Biodiversity Areas)を選定し、その法的な保護指定の強化やモニタリングを行ない、保全に取り組んでいます。

重要野鳥生息地(IBA, Important Bird and Biodiversity Areas)の保全

ラムサール条約による湿地保護とワイズユース(賢明な利用)

全国的な調査と情報の収集、モニタリング

全国の会員・連携団体(支部)・支援者の協力により、野鳥の生息状況や生息環境について全国規模の調査を行なっています。

eBird Japan

eBirdは誰でも無料で利用できるオンラインの野鳥観察データベースを核とする、科学研究プロジェクトです。自分の野鳥観察記録の保存や共有ができるほか、世界各地のバードウォッチングスポットや、見たい鳥がどこで見られるかなどを調べることができます。また、世界中のバードウォッチャーの記録を共有し、鳥類の研究や保護に役立てることを目的としています。当会は、地域パートナーとして日本語版ポータル「eBird Japan」を運営しています。

消えゆくツバメをまもろう

春になると渡ってくる私たちに身近な野鳥ツバメは、人と自然の共存を考えるうえで指標となる生き物の一つです。2012 年の調査では約4割の方が減少を感じていることがわかりました。このサイトでは、ツバメの渡来や子育ての状況、ツバメをとりまく環境の変化について、みなさまから情報をお寄せいただき、その分析結果を公開しています。また、学校教育の場で活用できるツバメ観察教材も紹介しています。

陸生鳥類(森林・草原)のモニタリングサイト1000

環境省では、日本のさまざまなタイプの生態系について、全国で合計 1000 か所程度のモニタリングサイトを設置し、長期間観測しています。その結果から生態系の変化を把握し、生物多様性保全のための施策に活かすことをめざしています。当会では、陸生鳥類(森林・草原)を担当しています。

全国繁殖分布調査

1970年代と1990年代に行なわれた環境省の「全国鳥類繁殖分布調査」。この2回の調査から繁殖状況にどのような変化が起きたかを把握するために、国内約2,300 か所で大規模な調査を他のNGO、環境省、研究者と共同して行なっています。

ひばりは どこに?

空高く飛びながらさえずるひばりの様子は、かつては田園の春の風物詩でしたが、近年、都市化の進行とともに、その姿が見られなくなっています。当会では、ヒバリの現状を知ってもらうために、ヒバリの姿や鳴き声、食べ物や生息環境などの生態のほか、減少の理由や保護するために必要なことをまとめた小冊子を作成しました。

野鳥による生物多様性に富んだ森づくり

リーフレット「アジアの鳥を調べよう 記録しよう」(PDF:7MB)

『State of the World’s Birds 2022』(PDF:12.9MB)

野鳥を守るための法制度

風力発電対策、生物多様性の保全、密猟対策等、野鳥を守るための法制度の改善、法整備に関する活動を紹介しています。

野鳥保護に関する法制度の改善

種の保存法の解説

野鳥密猟対策の取り組み

鳥獣保護管理法のQ&A

その他意見書・要望書

当会の意見と主張

意見書・要望書

自然保護のためのオリジナル出版・発行物

会員の方による調査研究の結果や自然保護に関する総説等を掲載する論文集『Strix』、当会が収集した自然保護資料や自然保護に関する実践、考え方をまとめた野鳥保護資料集を発行しています。

Strix

野鳥保護資料集

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