JP067 奥只見・奥日光・奥利根(おくただみ・おくにっこう・おくとね)
福島県:南会津町、只見町、檜枝岐村
新潟県:三条市、長岡市、魚沼市、南魚沼市、湯沢町、阿賀町
栃木県:日光市
群馬県:沼田市、片品村、川場村、みなかみ町
位置 | N 37°00′ E 139°14′ |
面積 | 313,000ha |
環境構成【森林/湖沼/高層湿原】
写真:岡田成弘
■奥只見: 山岳、ブナ林、ダム湖、河川、落葉広葉樹林、スキー場。
奥只見を含む新潟県魚沼地方一帯は国内有数の豪雪地帯であり、厳冬期は5mを超える積雪に覆われる。越後三山只見国定公園の中核を成す駒ケ岳を源流とする凄烈な北ノ又川が奥只見湖に注ぐ一帯は銀山平と呼ばれ、四方を囲む急峻な山々にはイヌワシやクマタカが飛ぶ。奥只見湖には、イワナ、ヤマメなどのサケ科魚類や希少種であるウケクチウグイなどの淡水魚が多数生息し、周囲の山々はブナに代表される落葉広葉樹林が広がる。奥只見を含む魚沼地方一帯は、ノジコの生息密度が国内で最も高い地域である。
■奥日光:栃木県の北西部に位置する、いろは坂を登った先の標高1,269mの中禅寺湖畔から、標高約1,400mの戦場ヶ原周辺、約1,500mの湯元地区にかけての一帯を中心として標高2,578mの白根山や標高2,486mの男体山など周辺山岳地域を含む地域。
この地域は山地から高山まで標高が幅広いため、ミズナラ中心の落葉広葉樹林、ウラジロモミ、シラビソ、コメツガなどの針葉樹林など森林の変化に富む。中禅寺湖、湯ノ湖などの湖沼、湯川やその他数多くの沢、湿原(戦場ヶ原)、湿原が乾燥してできた草原的な環境(小田代ヶ原)など多様な環境を含む。
■奥利根:群馬県最北部地域で、利根川源流域である。新潟県との境で、日本海側気候の影響が大きく、多雪地帯で一年のうち半年以上雪のある山岳地域である。植物相は日本海側の要素であり、動物相は原生自然が残っている地域で大型哺乳類(ツキノワグマ、ニホンカモシカ等)、北方系鳥類(クロジ、エゾビタキ等)、蝶類(ベニヒカゲ等)、また水温の低い河川には水生昆虫(トワダカワゲラ等)、魚類(イワナ、カジカ等)が生息する。
選定理由
A3 | – |
保護指定
サイトの全域(90%以上)に法的な担保がある
<保護指定の内容>
都道府県指定鳥獣保護区(日光)、国立公園(日光)、国定公園(越後三山只見国定公園)、自然環境保全地域、保護林
<その他>
ラムサール条約登録湿地
保全への脅威
■奥只見
- ダム改修、増堤などによる湖水面上昇に伴う生息地の減少
- 工事がもたらす希少猛禽類(イヌワシ、クマタカ等)の繁殖への影響
■奥日光
- 人為的影響による湿原の乾燥化
- ニホンジカの高密度化による森林生態系への影響
- 湯ノ湖・中禅寺湖の水質悪化
- 外来植物の持ち込み、繁茂
- オーバーユース
- マガモ、ニホンザル等の野生生物に対する餌付
- マナーの悪いハイキング団体やカメラマン
- 観光業者等へのマナー周知の不足
- 行楽シーズンの自家用車の渋滞
- ロードキル
保全活動
- 環境教育活動:
内容:探鳥会(奥只見)(日本野鳥の会新潟県、小出野鳥の会)、探鳥会(奥日光)(日本野鳥の会栃木)、自然観察会など(日光自然博物館、日光湯元ビジターセンター) - 環境管理
日光市道1002号線の交通規制(一般車両乗り入れ禁止)、代替交通手段としての低公害バスの運行(栃木県)、シカ侵入防止柵の設置・管理(小田代原:栃木県、戦場ヶ原)(環境省)、パトロール、清掃活動等(環境省、日光パークボランティア) - モニタリング調査
群馬県奥利根地域学術調査(群馬県)、河川水辺の国勢調査(国土交通省)
※サイト情報の詳細版はこちら(PDF 1,026KB)