No.173 2018年8月号


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目次 ◆支部の動き
支部報 保護・調査記事関連トピックス
◆ブロックからのお知らせ
2018年度日本野鳥の会近畿ブロック会議報告
◆事務局からのお知らせなど
Strix 34号発行のお知らせ
モニタリングサイト1000研修・交流会のご案内
平成30年7月豪雨への対応状況
会員数

支部の動き

■支部報 保護・調査記事関連トピックス

 本記事は日本野鳥の会へ送付されてきている各地の支部報/会報から抽出して作成し、調査・保護に関心がある野鳥の会の会員へ配信しております。本記事の一部又は全部を不特定多数が見る可能性があるところへ公開される場合は、各支部/各会の了承を事前に得て下さい。記事は筆者の意向に反しないように、取り扱いをお願いします。

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.899

●2018/7 札幌
・オオジシギ個体数調査
・キビタキに足環
●2018/6 山形県
・クマタカの繁殖成功率
●2018/7 千葉県
・ツバメの雛は何羽?(幹事会)
・北極海の氷にプラスチック微粒子集積(5/21日本経済新聞)
・カラスの威嚇にバンザイが効く(5/26朝日新聞)
●2018/7 神奈川
・鳥の名前dipper
●2018/7 愛知県
・「遠江の鳥バードウォッチングガイドU」刊行
●2018/7-8 愛媛
・雌の囀り
●2018/7 筑豊
・ツリスガラ
・夜行性の鳥クイナ

●2018/7 札幌
・オオジシギ個体数調査
 オオジシギは日本を中心にその周辺で繁殖し、その大部分は北海道である。北海道の推定繁殖個体数は1986年に36,000羽とあり、現状は不明。2016年、本部でオオジシギ保護調査プロジェクトが発足し、勇払原野では2017/5の調査で17年前の3割減であった。今回、道内300箇所で調査することになり、5月、支部内の22箇所調査で55羽を確認した。
(札幌「カッコウ」NO.405,P4〜7)

・キビタキに足環
 6/13、玄関のガラス戸にキビタキ(オス)がぶつかり死亡、足環がついていた。山階鳥類研究所保全研究室に照会した結果、2017/9に札幌市内で放鳥された、その年生まれの幼鳥であった。1年を経て、戻ってきていた。
(札幌「カッコウ」NO.405,P15)

●2018/6 山形県
・クマタカの繁殖成功率
 最上地方の20年余りの調査で、ブナの実豊作の翌年はクマタカの繁殖率が上がることが分かっていた。昨年はブナの実不作であるが、クマタカの繁殖成功率は低下しなかった。何故かドングリが関係している?昨年はミズナラ結実豊作であった。2003年よりミズナラの結実状況も調べている。
(山形県「やませみ」NO.91,P12)

●2018/7 千葉県
・ツバメの雛は何羽?(幹事会)
 ツバメの雛は通常4〜5羽であるが、雛2羽だけの巣を見る。育雛期、片親がいなくなると、他の個体が来て雛を殺すことがあるとの報告がある。この巣では両親は健在であった。山階鳥類研究所と国立環境研究所は2011年、繁殖したツバメの巣を21都道府県より197個集め、内182巣から放射性セシウムを検出している。また、淡水性の鳥は夏鳥同様、数が減っている。ネオニコチノイド系農薬散布が鳥類に影響していると容易に想像できる。
(千葉県「ほおじろ」NO.447,P2)

・北極海の氷にプラスチック微粒子集積(5/21日本経済新聞)
 プラスチックの微粒子「マイクロプラスチック」が北海の海氷に大量に蓄積されていることがドイツの研究チームが突き止めた。直径5o以下の粒子の総称で、確認されたものの2/3は0.05o以下と極めて小さい。海氷1ℓあたり最大12,000個で、今までの最悪レベルに匹敵する。生物の体内に取り込まれやすい。
(千葉県「ほおじろ」NO.447,P13)

・カラスの威嚇にバンザイが効く(5/26朝日新聞)
 NPO法人「札幌カラス研究会」はカラスの威嚇にバンザイポーズで頭への攻撃が避けられると勧めている。上げた両腕を動かさず、ゆっくり通り過ぎることとある。樋口広芳氏は「カラスには両腕が邪魔になり、効果がある」と評価する。
(千葉県「ほおじろ」NO.447,P13)

●2018/7 神奈川
・鳥の名前dipper
 カワガラスの英文総称はdipperで、dipperとはdipするものの意で、液体に浸す意味で、潜るとは異なる。英文説明ではカワガラスはdive、swimするとあり、dipは無い。水に潜る水鳥には当然diverがつく。カワガラスは何故dipperと呼ばれるのか。オーデュボン協会の説明に、dipはbobの意で使われており、上げ下げするという意味である。カワガラスは尾を上下させ、捕食者から姿を隠すため、水面下の獲物に狙いをつけるため、他個体とコミュニケーションを取るためとある。
(神奈川「はばたき」NO.554,P4)

●2018/7 愛知県
・「遠江の鳥バードウォッチングガイドU」刊行
 支部45周年を記念して「遠江の鳥バードウォッチングガイドU静岡県西部の野鳥」を発行した。既刊のTは探鳥地ガイドで、Uは野鳥295種を記載し、探鳥地ごとに見られた種一覧を示している。アマゾンでも購入できる。定価1,000円、ポケットサイズ。
(愛知県「愛知の野鳥」NO.377,P6)

●2018/7-8 愛媛
・雌の囀り
 国内ではメスも囀る種はマミジロ、サンコウチョウ、オオルリ、コルリ、イカル、ヤイロチョウ、イワヒバリ、カヤクグリ、コマドリ、カワガラス等である。メスが囀る理由は様々であるが、オオルリのメスが囀るのは敵が近づいた時である。参考;「歌う鳥のキモチ」(石塚徹)山と渓谷社。
(愛媛「コマドリ」NO.245,P2)

●2018/7 筑豊
・ツリスガラ
 ツリスガラは1970年代終わり頃は九州でもあまり見なかった。1980年代中頃、九州一円、中国地方西部まで進出し、1990年代には関東でも記録された。冬季に東日本に向かって拡大している。全長10p程度で国内最少の部類の野鳥である。樹木の先にぶら下がるようなトックリ状の巣を掛けるが、日本では営巣は見ていない。山階鳥類研究所保全研究室(鳥類標識センター)資料に「日本で越冬するツリスガラの繁殖地判明」の記事あり。
http://www.yamashina.or.jp/hp/ashiwa/news/201411tsurisugara.html
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.485,P43〜44)

・夜行性の鳥クイナ
 クイナ類は大洋の孤島に分布するものも多く、例えば、1981年に沖縄本島で発見されたヤンバルクイナは有名である。島のクイナは島外からの捕食動物導入で、脆弱性を示す。名前の由来は「クヒクヒ」の鳴き声に「な」が付いた説や古くはヒクイナとの区別がされておらず、その鳴き声クヒと鳴くからクヒナになった説がある。オスはメスの胸部に嘴で触れ、翼や尾を上げ下尾筒を収縮させ、メスはオスの周囲を徘徊し互に嘴を擦り付け羽繕いして求愛する。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.485,P58〜59)


○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.900

●2018/7-8 群馬
・ハトの尾羽
・エナガの巣
・野鳥のさえずり聞こえチェック
●2018/7-8 遠江
・サントリー世界愛鳥基金
●2018/7 奈良
・旅するヘラシギ
●2018/7-8 島根県
・飯梨川周辺のシギ・チドリ
・クロハゲワシ騒動
●2018/3 山口県
・巣箱によるブッポウソウ繁殖回復の試み(保護部)
・テグス、釣り針被害を受けた野鳥(調査研究部)
・山口県のサンショウクイ2亜種の現状(調査研究部)
・山口県内ツル類飛来地〔江戸時代と現在比較〕(調査研究部)

●2018/7-8 群馬
・ハトの尾羽
 キジバト、カワラバト、アオバト、共に尾羽は12枚、キジバトの尾羽は飛ぶと先端が白い。尾羽の先端が1〜2cm白い。但し、中央の2枚は白くない。カワラバトの尾羽はキジバトより幅が広く、先端は丸っぽい。アオバトの尾羽は良く見ると濃い緑色をしている。
(群馬「野の鳥」NO.348,P5〜6)

・エナガの巣
 2/15、エナガが巣を作り始めるのを見る。3/7、外巣はほぼ完成。3/10、中に鳥の羽根を運び込む。3/22、ほぼ完成と思いきや、要因不明であるが、巣はそのまま落下していた。大きさは縦15cm、横11cm、厚さ約1cm、巣の重さ約20g、中の羽毛は約10gであった。羽毛はキジバト354枚、カルガモ?182、メジロ50、カラス45、シジュウカラ44、ヒヨドリ24、エナガ6、ツミ肩羽1、ヤマシギ1、不明111、合計818枚であった。落ちた羽毛も含め、1000枚以下であろう。シジュウカラ、メジロ、エナガの羽毛は羽軸を巣の内壁から刺し込んでおり、巣の強度を増すためかもしれない。
(群馬「野の鳥」NO.348,P14〜15)

・野鳥のさえずり聞こえチェック
 パナソニック補聴器が野鳥のさえずりで、耳の聞こえをチェックするサービス(スマートフォン対応)を始めた。このサービスはNPO法人バードリサーチの協力のもとに制作されている。
https://kikitoritest.jpn.panasonic.com/
(群馬「野の鳥」NO.348,P18)

●2018/7-8 遠江
・サントリー世界愛鳥基金
 支部は静岡県自然保護課の推薦を受け、サントリー世界愛鳥基金より、鳥類保護活動の裾野を広げるための地域愛鳥活動への計画が認められ、2018年度の助成金を受けた。
(遠江「遠江の鳥」Vol.296,P8)

●2018/7 奈良
・旅するヘラシギ
 子どもたちが作った、ヘラシギ保護を訴えるアニメーション「旅するヘラシギ」が完成した。本部も協力し、モノクロ原画に渡りルート上の8ヵ国500人の子供が色を塗っている。
https://www.wbsj.org/inform/journey_of_spoon-billed_sandpiper/
(奈良「いかる」NO.161,P17)

●2018/7-8 島根県
・飯梨川周辺のシギ・チドリ
 春期調査で最大個体数確認、同時に確認した個体数から2017年(2018年):ハマシギ100(76)、チュウシャクシギ47(59)、タシギ26(8)、トウネン21(8)、ムナグロ15(15)、キアシシギ13(11)、イソシギ10(10)、ダイゼン8(2)、オオソリハシシギ5(3)、アオアシシギ5(3)等。
(島根県「スペキュラム」NO.184,P2)

・クロハゲワシ騒動
 4〜5月、島根県内でクロハゲワシ(幼)が何度も見られ、衰弱して人から餌を貰い、放鳥後、複数回、人に餌をねだる様子が報告されている。5/20には、松江市の山中に写真撮影に30名程集まる騒動があった。5/26まで滞在。クロハゲワシは韓国には数多く越冬するが、日本では稀で、前年の冬より西日本各地で同じ?若が目撃されている。
(島根県「スペキュラム」NO.184,P4)

●2018/3 山口県
・巣箱によるブッポウソウ繁殖回復の試み(保護部)
 中国電力(電柱使用)の協力を得て2005年より活動し、2016年には営巣利用された巣箱が12個まで増えたが、翌年からカメラマンが押しかけ、営巣放棄が増えている。中国新聞社でその被害状況、カメラマンへの自制を記事にしてもらった。2011年以降の巣箱利用状況は、2011:3(内繁殖成功1)、2012:6(2)、2013:6(5)、2014:11(8)、2015:13(12)、2016:12(8)、2017:23(11)。血縁関係にある個体が営巣期、ヘルパーとして現れる種がいるのは知られているが、最近、ブッポウソウでは巣の周りに、番以外の個体がいるのを排除しないことが増えている。
(山口県「山口野鳥」NO.49,P30〜32)

・テグス、釣り針被害を受けた野鳥(調査研究部)
 山口県支部野鳥観察データーベースを解析した。テグス被害は53件あり、内、ウミネコ15件、セグロカモメ5、ウミアイサ、コサギ、ユリカモメ、フクロウ各3等であった。水辺の野鳥が79%、山野の野鳥は21%と水鳥が多いのは当然。被害を受けた部位は足26%、口及び嘴24%、胴体12%、不明35%等であった。
(山口県「山口野鳥」NO.49,P43〜52)

・山口県のサンショウクイ2亜種の現状(調査研究部)
 三上・植田(2011)にはリュウキュウサンショウクイは1970年前後に既に九州南部で繁殖しており、1990年代後半にかけて九州北部へ、2000年代には高知、広島、奈良に達した。三上(2014)によると関東地方で冬期確認されている。三上・植田(2016)では尻上がりの音声はサンショウクイで、フラットで尻下がりはリュウキュウサンショウクイとしている。筆者の感じはサンショウクイの声は明るく軽やかで、リュウキュウサンショウクイはやや濁って抑揚が無い。山口県内では両種は繁殖期に局所的に混在するが、サンショウクイが減少する中で、リュウキュウサンショウクイが分布拡大している。
(山口県「山口野鳥」NO.49,P53〜68)

・山口県内ツル類飛来地〔江戸時代と現在比較〕(調査研究部)
 ナベヅルは冬鳥として、鹿児島県出水地方、山口県周南市に渡来する。江戸時代の記録ではツルは山口県全域で見られ、種はナベヅル、マナヅル、タンチョウが記録されている。現在、内陸部へ飛来は無くなった中で、周南市は特異でナベヅルが毎冬訪れている。明治維新以降、ツルの捕獲が自由になったが、同地に移動してきたナベヅルを捕獲に来た狩猟者を地元民が追い返し、現在の天然記念物指定につながっている。
(山口県「山口野鳥」NO.49,P69〜76)


○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.901

●2018/7-8 鳥取県
・ビデオカメラで見たブッポウソウの子育て
・バリアフリー探鳥会
●2018/7 岡山県
・岡山県支部の社会的役割
・岡山市でアカエリヒレアシシギの群れ
●2018/7-8 広島県
・尾道市にヤイロチョウ
・広島県初記録タカサゴモズ
●2018/7-8 北九州
・福岡県から褒賞
・助成金交付を受ける
・標識のついたオオソリハシシギ(研究部)
●2017/7-8 筑後
・シロチドリ(研究部)
●2018/7 熊本県
・熊本県のミヤマガラスの渡り
●2018/7 宮崎県
・チョコボールのキョロちゃん
・全国学力テストにツバメの問題

●2018/7-8 鳥取県
・ビデオカメラで見たブッポウソウの子育て
 日南町では2015年から32個の巣箱をビデオで見ている。2017年は、5/8、ブッポウソウが初めて巣を覗いた。5/11、入巣。別の巣で、5/21、シジュウカラが産卵直後、ブッポウソウが来て卵を丸飲みした。5/27まで計9個の卵が捕食され、シジュウカラは別の番と入れ替わった。5/24、ブッポウソウは巣内のシジュウカラの威嚇を気にせず、入巣し居座った。求愛給餌が意外と少ないのはシジュウカラの卵捕食かもしれない。6/4から隔日で4個を産卵し、6/29、孵化開始。7/23〜24に4羽とも巣立った。雛への給餌最大回数は7/10の169回であった。
(鳥取県「銀杏羽」NO.158,P11〜12)

・バリアフリー探鳥会
 6/10、大山の下山キャンプ場で視覚障碍者を対象にバードリスニングを行った。植物については大山自然歴史館に協力頂いた。参加者はスタッフ15名を含み30名。視覚障碍者福祉協会の主催で支部は共催である。今回は下見を十分行った。
(鳥取県「銀杏羽」NO.158,P13〜18)

●2018/7 岡山県
・岡山県支部の社会的役割
 1990年前後より国内では河川改修で多自然工法の導入、生物多様性の保全、環境教育、 ESD(Education for Sustainable Development)「持続可能な開発のための教育」等、環境行政が変化し、当然、対立もあるが、自然保護団体との協調も珍しくない。岡山県では野鳥の会岡山県支部がこの重要な役を担い、倉敷市立自然史博物館とも協調している。
(岡山県「野鳥おかやま」NO.227,P2)

・岡山市でアカエリヒレアシシギの群れ
 5/13、岡山市南区で、蓮田にアカエリヒレアシシギの群(100〜120羽)が舞い降りた。海上が荒れているので、一晩、難を避けた?同日、この北の新見市で何羽かアカエリヒレアシシギの落鳥が報告されている。
(岡山県「野鳥おかやま」NO.227,P10)

●2018/7-8 広島県
・尾道市にヤイロチョウ
 5/19、尾道市の放棄水田が続く、例年サシバが子育てする里山で、林内からヤイロチョウの囀りがあった。林床でミミズ、オオムシ(蛾の幼虫)を摂っていた。2007〜2008年、福山市北部でヤイロチョウの囀りを確認し、古巣も発見しているが、未だ繁殖は確認できていない。
(広島県「森の新聞」NO.217,P2〜3)

・広島県初記録タカサゴモズ
 3/22、松永湾後背地の芦原が広がる耕地で、タカサゴモズが確認された。翌日まで滞在。地付きのモズと多少争いがあった。中国地方では山口県には記録があるが、広島県では初記録と思われる。
(広島県「森の新聞」NO.217,P10)

●2018/7-8 北九州
・福岡県から褒賞
 5/13、支部の企画部長のMさんが、鳥類の生態学・生息環境保護を目的にした学習会を毎年開催し、一般市民に向けた啓蒙活動をしたとして、愛鳥週間にあたり、福岡県(日本鳥類保護連盟)より褒状を受賞した。
(北九州「北九州野鳥」No.385,P7)

・助成金交付を受ける
 5/8、「タカミヤ・マリバー環境保護財団」より、「水辺環境事業助成金制度」で支部に助成金交付通知があった。水辺関連探鳥会、ガンカモ調査等に賄っていく。
(北九州「北九州野鳥」No.385,P8)

・標識のついたオオソリハシシギ(研究部)
 5/17、曽根干潟で足脚にフラッグがついたオオソリハシシギが確認された。山階鳥類研究所鳥類標識センターに照会の結果、2012/2、豪州ヴィクトリア州で2歳の時、放鳥され、その後豪州で1回、日本で8回(内、ここ曽根干潟で4回)記録されている。
(北九州「北九州野鳥」No.385,P10)

●2017/7-8 筑後
・シロチドリ(研究部)
 シロチドリは本州以南では留鳥とされる。全長17pに対し、翼長は43cmもあり、同じ体長のヒバリの32p、クロジの25.5pに対し、翼長が長い。天敵に見つかりやすい環境で生息するため、飛翔力が必要なためか。
(筑後「まめわり」NO.206,P10)

●2018/7 熊本県
・熊本県のミヤマガラスの渡り
 ミヤマガラスは日本では九州に渡来していたものが、徐々に全国に広がっている。熊本県へは10月中旬、長崎県から天草を向かうものと、佐賀県や福岡県の南西部を経て入る群れ、その後、阿蘇へ向かうものが確認されている。群れは数羽〜数十羽である。2008/3、氷川町でモウソウ竹林に600羽程が塒入りする様子が見られた。
(熊本県「野鳥くまもと」NO.365,P10〜12)

●2018/7 宮崎県
・チョコボールのキョロちゃん
 M製菓のチョコボールのキョロちゃんの図案は、アカショウビンのデフォルメと思いしや、ネットでは架空の鳥となっている。
(宮崎県「野鳥だよりみやざき」NO.258,P4)

・全国学力テストにツバメの問題 
 4/17の小学6年生対象の全国学力テストの理科の問題で、ツバメの問題があった。ツバメの親鳥の子育てを邪魔せず、安全に雛を観察できる方法を4択から選ぶものと、鳥の翼と人の手を比較する問題が出ている。学校の先生も環境問題について力を入れて欲しいものである。
(宮崎県「野鳥だよりみやざき」NO.258,P9)


○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.902

●2018/7 道南桧山
・はちゃむはアイヌ語
●2018/6-7 宮古
・マガモと豆腐
●2018/6 郡山
・福島市小鳥の森の歩み
●2018/7 奥多摩
・ラジオ放送朝の小鳥65周年
・ノハラツグミ新記録 
・セッカ
●2018/7-8 長野
・カッコウ類初鳴き調査
●2018/7 静岡
・「鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ」
●2018/7 徳島県
・ちょっと気になる野鳥の和名 トビ
●2018/7 高知
・ブッポウソウの雌雄の見分け方
・小冊子「こんにちはスズメ」

●2018/7 道南桧山
・はちゃむはアイヌ語
 道南桧山支部報の表題「はちゃむ」は桜鳥、ムクドリの意のアイヌ語である。
(道南桧山「はちゃむ」NO.123,P11)

●2018/6-7 宮古
・マガモと豆腐
 国内のマガモ繁殖地は清棲鳥類大図鑑には阿寒湖、本州の山地とあり、日本鳥類目録第7版では東北では岩手県のみとなっている。1990年代、宮古市の山田川は汚染度県下一と言われ、冬季に豆腐屋が川に豆腐をまき、マガモに給餌していた。カルガモは食べない。マガモは春に移動せず、居ついて繁殖し、当時40〜50羽の成鳥がいた。10月下旬にはいなくなり、別の個体が北から来ていた。2000年代豆腐屋は廃業し、今年は3番のマガモしか見ていない。
(宮古「ミサゴの海」NO.260,P2)

●2018/6 郡山
・福島市小鳥の森の歩み
 同森は1983年にオープンしている。この構想には福島支部のメンバーが深く関わっている。1978年、福島市長選立候補者と同席した時、選挙公約に福島市にサンクチュアリを作るのはどうかと、無謀に提案があり、当時開園していたウトナイ湖の野鳥の聖域を説明したことがある。1979年、市長に当選した市長はウトナイ湖を見に行っている。1983年、野鳥の会本部と福島市とで同森に関する管理委託契約を締結し、東京からレンジャーが着任した。
(郡山「かっこう」NO.102,P2〜3)

●2018/7 奥多摩
・ラジオ放送朝の小鳥65周年
 文化放送の「朝の小鳥」は放送開始から65周年を迎えた。1952年、故蒲谷鶴彦は明治神宮探鳥会で文化放送に勤務していた人から野鳥の声録音が放送に使えるのでは言われた。1953年、ラジオ放送で野鳥の声が流れ出した。番組タイトルも色々変わったが、現在も毎週日曜日、5:20〜25放送され、収録、構成は松田道生氏に代わっている。
(奥多摩「多摩の鳥」NO.243,P24〜26)

・ノハラツグミ新記録 
 3/22〜24、立川市の昭和記念公園でノハラツグミが支部フィールド内新記録として、観察された。
(奥多摩「多摩の鳥」NO.243,P29)

・セッカ
 セッカは10月中旬頃まで囀り、10箇月ばかり囀っているのは異常に長い。その年生まれがその年の繁殖に参加するといわれ、そのためかも知れない。セッカは夏に行動が目立つが、冬季にも記録される。芦原より丈の低い草地を好むようで、セッカはチガヤの白い穂を巣材にするため、それをくわえて飛ぶ姿から「雪加」になったとある。
(奥多摩「多摩の鳥」NO.243,P31)

●2018/7-8 長野
・カッコウ類初鳴き調査
 4/1〜6/8、会員からのアンケート調査によると、カッコウ22(48%)、ツツドリ15(33%)、ホトトギス7(15%)、ジュウイチ2であった。初鳴きは4月中旬にツツドリ、4月末にカッコウ、5月初旬にジュウイチ、ホトトギスの順であった。
(長野「野鳥ながの」NO.567,P3)

●2018/7 静岡
・「鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ」
川上和人著(新潮社)の本である。出だしからズッコケを全編に散りばめた、このノリが好きで、クスクス笑いながら、鳥のことを知りたい人向けである。同様な著書に同氏著「鳥類学者、無謀にも恐竜を語る」(技術評論社)がある。
(静岡「野鳥だより」NO.457,P3)

●2018/7 徳島県
・ちょっと気になる野鳥の和名トビ
 トビは奈良時代からその名が使われている。飛翔能力が優れており「飛び」を語源とするのが定説である。飛翔能力に優れているのは他の猛禽類も同様である。私はトビの古語「とみかうみ(と見かう見)」に語源があると考える。あっち見たりこっち見たりの意で、古人はトビのこの様子見て「とみかうみ鳥」と名付け、とみ鳥、現在のトビになった。
(徳島県「野鳥徳島」NO.478,P8)

●2018/7 高知
・ブッポウソウの雌雄の見分け方
 岡山大学は岡山県吉備中央町で2010年よりブッポウソウの標識調査をしている。当方もそれに参加し、雌雄で鳴き声に差があるのかよくわからなかった。色、形等の姿でも雌雄識別は困難である。マウントした時、雌が上の場合もある。確実に雌雄見分けられる行動は、「雄からの求愛給餌」、「雌のクラッタリング(餌を要求して雌が嘴をカタカタ鳴らす)」である。オスの嘴をカタカタと鳴らすクラッタリングがある。オスは餌取のため、よく飛び立ち、メスは止まって待っている
ことが多い。
(高知「しろぺん」NO.378,P1〜2)

・小冊子「こんにちはスズメ」
 本部は身近なスズメの暮らしを紹介する小冊子「こんにちはスズメ」を制作した。
https://www.wbsj.org/activity/spread-and-education/suzume-book/
(高知「しろぺん」NO.378,P3)


○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.903

●2018/7-8 栃木県
・栃木県支部に名称変更
・那須野ヶ原に大規模メガソーラー建設計画
・埼玉県のコサギの減少
●2018/8 東京
・月例探鳥会20年間の記録(研究部)
・猛禽類は大都会で餌はそんなにあるのか?(都市鳥研究会)
●2018/8 南富士
・メガソーラー
●2018/7-8 広島県
・ササゴイ
・広島県初記録タカサゴモズ
・東広島市でイソヒヨドリ繁殖
●2018/8 筑豊
・ウズラ
・ドラミングからキツツキ類の識別可能か
・平和のシンボル ハト(編集部)

●2018/7-8 栃木県
・栃木県支部に名称変更
 日本野鳥の会栃木は名称を同栃木県支部に名称変更する。以前の名称に戻したと言える。本部が公益財団法人になるとき、国から(下部組織は)〇〇支部の名称は使ってはならないとあり、その後の国の方針変更で〇〇支部の名称は使えるようになった。2010年5月より「支部」を外していたが、本部と支部の立場を明確にするため、今回より日本野鳥の会栃木県支部の名称に戻した。
(栃木県「おおるり」Vol.253,P3)

・那須野ヶ原に大規模メガソーラー建設計画
 那須野ヶ原で大規模なメガソーラー開発が問題になっている。合計350ha以上の開発で、現在の再生可能エネルギーの推進体制では止めるのは極めて困難である。栃木県の「自然環境の保全及び緑化に関する条例」で一定面積以上の開発行為で1年間の自然環境調査と、それに基づく県との保全協定締結義務化、これで事業者に十分な保全対策をとらせること、または事業者が事業を断念すること以外に対策が無い。那須塩原、同市動植物調査研究会と連携していく。
(栃木県「おおるり」Vol.253,P7)

・埼玉県のコサギの減少
 コサギは東松山市周辺では1960年代より越冬する個体が見られ、1970年代には繁殖期にも見られた。1992年には同市を中心に半径15qで13の集団塒、コサギ785、ダイサギ28を確認した。2000年以降は越冬するコサギは激減し、関東近県でも同様であった。サギ類の大量死は無く、生息環境、餌環境の悪化も確認されていない。埼玉県では1980年代からオオタカの生息密度が高くなり、オオタカの捕食圧がコサギに出ていると考える(2017年日本鳥学会誌66:111-122)。チュウサギは渡りをするので、オオタカの捕食圧は少ないと考えられる。
(栃木県「おおるり」Vol.253,P9)
 
●2018/8 東京
・月例探鳥会20年間の記録(研究部)
 日野自動車グリーンファンドの助成を受け、支部内10箇所の月例探鳥会の記録を、2016年発行の後編として9月刊行予定である。明治神宮を見ると、コゲラは1985年後半から一気に確認されだし、エナガは2010年より確認が増えている。
(東京「ユリカモメ」NO.754,P10〜11)

・猛禽類は大都会で餌はそんなにあるのか?(都市鳥研究会)
 鳥類を主食にする森林性のタカは、都内で繁殖するようになって30年以上、何故、市街地に進出しているのか、明確に説明できない。欧州では都市部の餌増加で同じような現象が見られる。山間部のオオタカは繁殖数は現状維持か、じり貧でそれが関係しているかも。ハヤブサは西日本では例があるが、今のところ、都内のビルでの営巣は無い。
(東京「ユリカモメ」NO.754,P13)

●2018/8 南富士
・メガソーラー
 1,000kWの太陽光発電所は最低でも2haの土地が必要である。1kW当たりの建設費25万円として、1MWで2億5千万、1kWhの買取21円(2017年)として、1kWのパネルは年間1,100kWh発電するとし、建設費を差し引いて、20年間発電するとして、年間1,000万の収入になる。遊休地や山林は安く借りられるので、十分市場原理に乗る。破壊する森林そのものは太陽エネルギーを吸収しているバイオマスである。メガソーラーの環境影響評価条例があるのは、長野県、神戸市、福岡市のみで、富士宮市では世界遺産の富士山との景観に合わぬ場所では禁止されている。
(南富士「さえずり」NO.429,P7)

●2018/7-8 広島県
・ササゴイ
 以前から広島市の平和大通りでササゴイが集団繁殖していたが、2015年には初めて広島城内で繁殖し、その後、そこから広がっている。
(広島県「森の新聞」NO.217,P9)

・広島県初記録タカサゴモズ
 3/22、松永湾後背地の水田、芦原でタカサゴモズが確認された。3/23まで滞在。山口県には記録があるが、広島県初記録と思われる。
(広島県「森の新聞」NO.217,P10)

・東広島市でイソヒヨドリ繁殖
 4/13、東広島市で工場建屋に苔のようなものを運び込むイソヒヨドリのオスを見つけた。広島県では内陸部での繁殖行動は初確認のようである。
(広島県「森の新聞」NO.217,P11)

●2018/8 筑豊
・ウズラ
 ウズラは図鑑には夏鳥として本州中部以北で繁殖し、本州中部以南で越冬するとある。日本人には古くから最も身近な野鳥でありながら、野生の姿を殆ど見なくなった。鳴き声は図鑑により表現がかなりあり、環境省のウズラ調査マニュアルでは「ゴキッチョー」「アジャパー」、Collins BIRD GUIDEには「wet-my-lips」とある。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.486,P40〜41)

・ドラミングからキツツキ類の識別可能か
 ネットの動画サイトで検索、音を聴き比べてみた。音をフリーソフト*で音声波形を表示させた。アオゲラはドラミングは一本調子で急に終わる感じで20回/秒である。オオアカゲラは音の波の間隔が空いており、最後約1秒で徐々に音が小さくなり終了する。九州には離島のアオゲラ以外、コゲラとこの2種のキツツキしか生息しない。コゲラのドラミングは音は弱く、1回分は短い。* https://www.audacityteam.org/
z (筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.486,P48〜50)

・平和のシンボル ハト(編集部)
 新井白石はハトの語源は「はやとり(速鳥)」の略としている。大言海には「羽音のはたはた」の略とある。カワラバトがいつ持ち込まれたのか定かではないが、平安時代には「いえばと」、「やまばと」と区別されており、安土桃山時代には「だうばと(堂鳩)」とあり、江戸時代にはドバトの名が定着した。長距離の帰巣能力は太陽コンパス、体内時計により、最終場所は地磁気で分かるとの説が有力である。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.486,P57)

(自然保護室・野鳥の会・神奈川/森 要)


ブロックからのお知らせなど

■2018年度日本野鳥の会近畿ブロック会議報告

【日時】:2018年6月23日(土)
【場所】:コープイン京都(京都府京都市)
【担当支部】:日本野鳥の会京都支部
【参加者】:6支部(ひょうご3名、奈良支部3名、滋賀4名、大阪支部4名、和歌山県支部3名、京都支部9名)、財団(上原常務理事、箱田普及室室長代理、嶋村普及室員)合計29名

【スケジュール】
・開会あいさつ
・財団からの連絡
・各支部からの報告
・閉会のあいさつ

【議事】
(1)財団からの連絡
・「会員を増やすための探鳥会」について、今年度の変更点と、参加の呼びかけがあった。
主な変更点:
*名称を「初心者向け探鳥会」に変更。
*受付をカード式名簿にする。
*お試し入会制度の実施は支部ごとの判断に任せる。
*開催期間を秋冬だけでなく、春にも拡大する。
・探鳥会リーダーズフォーラム2017の報告と2018年度の案内があった。昨年度は2018年1月に名古屋で行われ、2日間で6つの分科会が実施された。今年度は、2019年2月16日〜17日に宮城県仙台市で開催予定。現在、体の不自由な人のための探鳥会について、もりおか・鳥取県支部に分科会を実施してもらう方向で検討しているとのことだった。そのほかの分科会についても企画を募集中である。

・財団主催「探鳥会リーダー研修会」を、2018年10月に大阪支部の事務局(NEXT21)で実施することが伝えられた。内容は現在のところ、「ビギナー探鳥会の対応術」「個人情報の取り扱い」「探鳥会のリスクマネジメント」「フィールドマナー」を予定している。今後、研修内容をテキスト化し、全支部で受講できるような体制にしていきたいとのことだった。
・探鳥会で支部卸を活用したグッズ販売についての提案があった。特にツバメ・スズメグッズは通常よりもお得な条件なので、ツバメのねぐら入り観察会での利用がすすめられた。

・2018年4月〜2019年1月に新規入会した方に、「しあわせことりカレンダー2019」をプレゼントする企画について、説明があった。カレンダープレゼントのチラシを、入会案内に活用してほしいとのことだった。

(2)各支部からの報告
<和歌山>
・「和歌山県鳥類目録2018年版」を発刊したことが報告された。会員には支部報と一緒に一部ずつ発送された。10年に1度を目途に改訂・発刊していきたいとのことだが、会員が和歌山市周辺に集中しており、県全域のデータを集めることが大変とのことだった。

・現在、レッドリストの改訂作業をすすめていることが述べられた。
また、繁殖分布の変動についても報告された。兵庫でジョウビタキの繁殖が確認され、今後京都や滋賀でも確認されるかもしれないので、動向に注意していきたいとのことだった。

<奈良>
・平城宮跡歴史公園の開園イベントにあわせて、「園内で見られる野鳥」の展示をしたことが報告された。また、野鳥のフォトブックも、8月頃から公園で販売される予定。

・バードウォッチングのフィールドマナーについて、各支部の対応が確認された。探鳥会へのカメラマンの参加を禁止しているという話も聞くが、近畿ブロック内では現状そのような対応はないとのことだった。大きなトラブルは起こっておらず、大型のカメラを持った参加者も少ないとのこと。しかし、三脚を立てて撮影する参加者が通行を妨げる、リーダーより前に進んでしまう等の問題はあるとのことだった。ひょうごは「リーダーより前に行かない」というルールを設けている。今後大きなトラブルが増えて禁止にする場合は、「カメラ禁止ではなく、“三脚禁止”にしてはどうか」という意見が出た。また、カメラマンのフィールドマナーだけではなく、探鳥会を実施する側が一般の方からクレームを受ける例もあることが報告され、探鳥会のフィールドマナーについても改めて確認する必要があることが伝えられた。

<大阪>
・2018年の大阪府ガンカモ類生息調査結果について報告された。

・多様な方に、情報や大阪の野鳥の魅力を発信するため、HPの充実を図っていることが報告された。野鳥図鑑、羽根図鑑、野鳥講座、支部報のバックナンバーなど、コンテンツを充実させている。また、会員であることのメリットを感じてもらえるよう、会員限定のコンテンツも用意している。文字だけではなく写真や動画をたくさん使って、魅せるページづくりを心がけているとのことだった。

・9月に大阪城公園で「シルバーバードウォッチング」を初めて開催することが連絡された。若い人や初心者の参加や会員も増やしたいが、高齢化にも対応したいとのことで、平坦な道のコースにするなどの配慮をする。今後、4月や12月にも開催を検討している。

<ひょうご>
・「ひょうご・バードウィーク・フェスティバル」を、神戸市立森林植物園で5月10日〜13日に開催したことが報告された。探鳥会、工作、鳥類学講座のほか、双眼鏡で野鳥の写真や名前を見たり、カウンターで数えてもらうなどのゲームも実施した。展示館内部では野鳥写真も展示し、豊岡のコウノトリの郷と協力し、子育ての様子をライブ映像で流した。ミニ探鳥会には、3日間で78名の参加があったとのことだった。

<滋賀>
・水鳥一斉調査の結果から見られた近年の傾向について報告された。オオバンの増加が話題になっていたが、2016年をピークに大きく減少しているとのことだった。特に南湖でのオオバンやカモの減少が著しく、水草の除去が影響している可能性があるそうだ。そのほか、ミコアイサ、ヒドリガモ、ヨシガモ、オカヨシガモなども減少し、反対に、元々南湖にはいないコガモなどは増加している。

<京都>
・体の不自由な人への探鳥会(バリアフリー探鳥会)について、実施の報告と今後の計画が話された。探鳥会に車いすで参加された方がいたことをきっかけに、2017年3月に車いすの方を対象にした探鳥会を実施。専門機関に相談しながら企画し、会場場所の選定などを行ったとのことだった。会場の条件としては、下記のようなことがあげられる。
*車いすでのアクセスが簡単。
*アップダウンがない。(ささいな傾斜でも車いすには大変)
*舗装されている等、路面状況がいい。
*身障者用トイレがある。
*車やバイクの進入禁止のポールがない。
2018年3月には、車いすの方だけでなく、視覚障がい、聴覚障がい、ベビーカーの方など、幅広く受け入れる探鳥会を実施予定だった。理学療法士のボランティアサポーター、手話や筆談のスタッフも確保(費用は京都支部負担で準備)していたが、雨天により中止となったとのことだった。来年も実施予定であることが述べられた。

<次年度のブロック会議>
・開催日:2019年6月29日(土)〜30日(日)
 開催地:芦生山の家

(普及室/嶋村 早樹)


事務局からのお知らせなど

■自然保護室より

■Strix 34号発行のお知らせ

 Strix(ストリクス)は、1982年より当会が発行している野外鳥類学論文集で、当会会員であれば、どなたでも調査結果や観察記録を投稿できます。
 このたび34号を、上田恵介立教大学名誉教授(編集長、当会副会長)、三上かつら氏(副編集長)のご協力を得て発刊しましたのでお知らせ致します。
 34号は、原著論文7編、短報8編よりなり、長年の調査による鳥類の分布の記録や個体数の変化、日本で初めての観察記録や繁殖記録、興味深い行動の観察など、野外での観察に基づく幅広いテーマの論文を掲載しています。また、論文に関連するカラー写真を口絵で紹介しています。ぜひ、手にとってご覧ください(詳細は下記をご覧ください)。

https://www.wbsj.org/activity/conservation/publications/strix/

【Strix 34号 掲載論文】
●原著論文
・青森市の北限サシバ個体群の成長過程(三上修)
・東京都の伐採地と採石場におけるヨタカの生息状況(山口孝・御手洗望)
・北海道におけるオオジシギの繁殖期の分布(藤巻裕蔵)
・水面採食性カモ類の採食方法と水深の関係から検討する池沼の水位管理手法-ラムサール条約湿地・片野鴨池を例に-(田尻浩伸)
・都幾川におけるイカルチドリの繁殖失敗の要因(内田博・三上かつら)
・自然移入した喜界島のモズ個体群の繁殖生態(濱尾章二・山本裕・鳥飼久裕・伊地知告・吉川翠)
・人馴れヤマドリの由来とその特異な行動(坂梨仁彦・坂口里美・樋口広芳)

【短報】
・広島県三原市におけるギンムクドリSpodiopsar sericeusの繁殖記録(渡辺健三・畦徹司・辻昭治)
・日本におけるカラアカハラの完成した巣と卵の初確認記録(小海途銀次郎・和田貞次・奥野一男)
・カンムリカイツブリでみられた交尾行動の逆転(三上潔・三上かつら)
・霞ヶ浦のアサザ群落を利用していた鳥類(渡辺朝一)
・沖縄本島北部の水辺ビオトープにおけるカモ類・バン・オオバンの個体数の季節変化と利用形態(薮内喜人)
・茨城県神栖市におけるアメリカハイイロチュウヒCircus hudsoniusの観察記録(田沼寿・小田谷嘉弥・田仲謙介・安西英明)
・和歌山県日高郡日高町におけるクロハラアジサシChlidonias hybridaの集団飛来の観察,ならびに飛来時の気象条件の考察(上出貴士)
・函館市におけるハシボソガラスのクルミ割り行動:ある個体の学習過程の事例(荒奏美・三上かつら・三上修)


▲Strix第34巻 表紙

【Strix34号 ご購入方法】
●頒布価格(本体3,000+税) 別途送料
●お申込み先:
お求めは、以下のホームページ、メール、ファックスのいずれかよりお申し込み下さい。
日本野鳥の会 Strix で検索
・Eメール:[email protected]
・ファックス:03-5436-2635

※バックナンバーも当会ホームページよりご購入いただけます。
Wild Bird ストリクス で検索

【お問合せ先】
(公財)日本野鳥の会 自然保護室
Tel:03-5436-2633
((自然保護室/山本 裕)

■モニタリングサイト1000研修・交流会のご案内

 モニタリングサイト1000の事業は、皆様のご協力により今年度から第四期(16年目)がスタートしました。この大規模かつ長期的な調査を今後も継続していくためには、調査員の皆様の継続的な御協力が欠かせません。また近年、次世代の調査員の確保・育成が課題となっています。
 陸生鳥類調査では、昨年度に引き続き、各地域でさまざまな調査活動をされている方の成果発表や情報交換を通して、参加者同士の交流を深めることを目的とした研修会を実施します。今年は、鹿児島県、京都府、東京都の三箇所で開催することとなりました。新たに調査員を目指す方や現役の調査員の方々との交流、またエリアを超えた調査員の方同士の交流が深まるような内容としたいと思います。詳細はホームページ等で追ってお知らせ致しますので、ご確認ください!

≪モニタリングサイト1000研修会≫
【主催】(公財)日本野鳥の会・NPO法人バードリサーチ
【開催場所】
<鹿児島県>
2018年10月20日(土)、10月21日(日)
鹿児島県社会福祉センター(鹿児島市)&慈眼寺公園周辺

<京都府>
2018年11月3日(土)、4日(日)
コープイン京都(中京区)&宝ヶ池公園周辺

<東京都>2018年12月1日(土) 、2日(日)
日本野鳥の会事務所&国立科学博物館付属自然教育園

【内容】
1日目:室内講義(午後〜)
モニタリングサイト1000の事業概要とこれまでの成果を紹介します。
また、参加者による事例発表や情報交換の時間を設ける予定です。
※話題を提供いただける方を募集します。
※東京会場では、全国鳥類繁殖分布調査の報告と分布図を作成する際に重要なアンケート情報の提出方法について説明し、参加者の皆さんに実践していただく予定です。

2日目:野外実習(午前のみ)
実際に野外に出て、鳥類のスポットセンサス法と簡易植生調査を実践していただきます。
【参加対象】
鳥類の調査に興味のある方(経験不問)
(定員は各会場の都合により30〜40名。定員を超えた場合は参加できないことがあります。)

【参加費】
無料(ただし入園料や懇親会は実費を徴収)

【参加申し込み先】
・専用サイト「日本野鳥の会 モニタリングサイト1000」で検索
もしくはQRコードから


https://www.wbsj.org/activity/conservation/research-study/monitoring1000/moni1000-training/

・FAX:03-5436-2635

 件名は「研修会申込み」とし、お名前、電話番号、メールアドレス(あるいはFAX番号か住所)、参加会場、参加日程、事例発表の有無(タイトル)、懇親会参加の有無をお知らせください。

【お問合せ先】
(公財)日本野鳥の会 モニタリングサイト1000担当
Tel:03-5436-2633 Mail:[email protected]

(自然保護室/野口 真麿子)



会員室より

■平成30年7月豪雨への対応状況

 このたびの集中豪雨による災害で被災された皆さま、そのご家族の方に謹んでお見舞い申しあげます。被災地の一日も早い復旧、復興を心よりお祈り申し上げます。
 この災害で被害の大きかった地域の支部等の状況と、7月31日現在までの財団事務局の対応をご報告いたします。

●被災状況について
 今回、災害救助法が適用された地域(11府県※104市町村 <7月25日現在>)には1,681名の会員がお住まいです。
 豪雨災害の直後より、岡山県、広島県、愛媛県など被害の大きかった地域の支部と連絡をとり、代表や事務局の方の無事を確認しました。会員でお亡くなりになるなどの人的被害は、現在のところ確認されておりません。しかし、会員の被災状況については、いまだ全容は把握できておりませんので、引き続き情報を収集してまいります。
※高知県、鳥取県、広島県、岡山県、京都府、兵庫県、愛媛県、岐阜県、福岡県、島根県、山口県

●被災地への対応
・会費の収受停止
 災害救助法適用地域にお住まいの方の会費の引き落としを一旦停止し、「会員ご継続のお願い」と「自動引き落としのお知らせ」の発送も停止しました。被災状況を把握次第、改めてご案内をお送りする予定です。

・会費の免除
 ご自宅に住むことが出来なくなるなど、大きな被害に遭われた会員の方の本部会費は1年間免除といたします。支部会費につきましては、各連携団体と協議し決定したいと考えております。 
 災害救助法適用地域にお住まいの会員に向けては、お見舞いと被災状況の確認、会費免除申請についてのお手紙を送付する予定です。

●今後について
 会員の方の被害情報、会の対応などにつきましては、随時報告してまいります。連携団体の皆様にご協力をお願いしたいことが生じました際には、改めてお知らせいたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。

(会員室/佐藤ゆき乃)

■会員数

 8月1日の会員数は34,842人で、先月に比べ89人減少しました。7月の入会・退会者数の表をみますと、入会者数は退会者数より78人少なくなっています。
 会員の増減は入会者数と退会者数のほかに、会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活した人数によって決まります。7月の入会者数は141人で、前年同月の入会者132人に比べ9人増加しました。
 また、7月の退会者は219人で、前年同月の退会者193人に比べ26人増加しました。

表1. 7月の入会・退会者数

入会者数退会者数
個人特別会員 6人 10人
総合会員(おおぞら会員) 27人 58人
本部型会員(青い鳥会員) 33人 41人
支部型会員(赤い鳥会員) 48人 63人
家族会員 27人 47人
合計 141人 219人
年度累計 728人

※会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活する方がいらっしゃるため、退会者数の年度累計は、実際の退会者数とずれた数字となります。このため、退会者数合計については年度末の集計後にお知らせいたします。

■都道府県および支部別会員数■
野鳥誌贈呈者数を除いた数を掲載します。

表2 都道府県別の会員数(8月1日現在)

都道府県会員数対前月差
北海道1681人-2人
青森県242人-1人
岩手県365人-1人
宮城県477人-1人
秋田県248人-1人
山形県213人2人
福島県611人-1人
茨城県895人-3人
栃木県639人4人
群馬県629人-2人
埼玉県2143人-2人
千葉県1604人-11人
東京都4857人-16人
神奈川県3307人-4人
新潟県375人-2人
富山県209人1人
石川県280人1人
福井県227人0人
山梨県266人0人
長野県865人4人
岐阜県463人-2人
静岡県1315人-6人
愛知県1529人-8人
三重県430人0人
滋賀県298人0人
京都府810人-2人
大阪府2005人-8人
兵庫県1299人2人
奈良県482人-6人
和歌山県189人-3人
鳥取県183人0人
島根県167人1人
岡山県564人4人
広島県551人1人
山口県373人0人
徳島県312人-5人
香川県193人0人
愛媛県354人-3人
高知県129人-1人
福岡県1305人-8人
佐賀県193人0人
長崎県204人-2人
熊本県407人-3人
大分県226人3人
宮崎県241人-1人
鹿児島県328人-7人
沖縄県111人2人
海外11人1人
不明37人-3人
全国34842人-89人

備考:不明は転居先が不明の会員を示します。

表3 支部別の会員数(8月1日現在)

都道府県会員数対前月差
オホーツク支部240人-3人
根室支部81人0人
釧路支部158人-5人
十勝支部181人1人
旭川支部81人0人
滝川支部49人0人
道北支部29人0人
江別支部18人0人
札幌支部310人3人
小樽支部65人0人
苫小牧支部163人1人
室蘭支部153人-1人
函館支部24人0人
道南檜山61人0人
青森県支部136人0人
弘前支部109人-1人
秋田県支部237人0人
山形県支部199人2人
宮古支部88人0人
もりおか158人0人
北上支部101人-1人
宮城県支部446人1人
ふくしま159人-2人
郡山支部165人0人
二本松11人0人
白河支部42人0人
会津支部52人1人
奥会津連合8人0人
いわき支部106人-2人
福島県相双支部14人2人
南相馬14人0人
茨城県800人0人
栃木620人4人
群馬548人-5人
吾妻41人0人
埼玉1619人0人
千葉県1037人-7人
東京2807人-12人
奥多摩支部849人-5人
神奈川支部2315人-7人
新潟県288人0人
佐渡支部31人0人
富山188人2人
石川259人1人
福井県220人0人
長野支部461人0人
軽井沢支部167人0人
諏訪支部236人0人
木曽支部20人0人
伊那谷支部81人0人
甲府支部183人0人
富士山麓支部55人0人
東富士62人1人
沼津支部165人-1人
南富士支部250人1人
南伊豆37人0人
静岡支部346人-1人
遠江400人-4人
愛知県支部1115人-8人
岐阜465人-6人
三重369人-1人
奈良支部444人-5人
和歌山県支部189人-3人
滋賀298人-2人
京都支部779人2人
大阪支部1916人-4人
ひょうご970人-1人
鳥取県支部208人0人
島根県支部156人1人
岡山県支部528人2人
広島県支部485人3人
山口県支部346人0人
香川県支部156人0人
徳島県支部328人-3人
高知支部117人0人
愛媛330人-4人
北九州300人-3人
福岡支部 582人-7人
筑豊支部236人5人
筑後支部167人0人
佐賀県支部217人0人
長崎県支部191人-2人
熊本県支部400人-2人
大分県支部221人3人
宮崎県支部238人0人
鹿児島299人-7人
やんばる支部72人-2人
石垣島支部18人-1人
西表支部42人0人
 29925人-82人

備考:支部別の会員数の合計は、都道府県別の会員数の合計と異なります。これは、本部型(青い鳥)会員や支部に所属されていない個人特別会員が支部別の会員数に含まれないためです。


(会員室/佐藤ゆき乃)

★支部ネット担当より

 皆さまいかがお過ごしでしょうか。いつも支部ネット通信をご愛読いただき、ありがとうございます。
 先月は、研修で三宅島のアカコッコ調査に同行し、地道な活動の積み重ねで少しずつ調査研究が前進している、ということを実感いたしました。
 今月号では、「Strix34号発行のお知らせ」を掲載しています。ぜひご購読ください。また、今後連携団体の皆様の調査研究も、ご投稿いただけたらと思います。どうぞお気軽にお問合せください。


■支部ネット通信は支部の代表の方に電子メールでも配信をしています。電子メールでの配信を希望される支部の代表の方は下記メールアドレスまでお気軽にお申し込みください。

支部ネット通信 第173号
◆発行
公益財団法人日本野鳥の会 2018年8月28日
◆担当
総務室 総務グループ
林山雅子/松本直子
〒141-0031
東京都品川区西五反田3-9-23
丸和ビル
TEL:03-5436-2620
FAX:03-5436-2635
E-mail:[email protected]