目次 |
◆支部の動き ・支部報 保護・調査記事関連トピックス ◆ブロックからのお知らせ ・第22回福島県日本野鳥の会連携団体連合会総会 ふくしま大会報告 ◆事務局からのお知らせなど ・8月号『フィールドガイド日本の野鳥』 増補改訂新版の取り組み |
・『Strix』34巻向け原稿募集のお知らせ ・評議員会傍聴申込要領について ・支部・代表者・事務局変更のお知らせ ・会員数 |
本記事は日本野鳥の会へ送付されてきている各地の支部報/会報から抽出して作成し、調査・保護に関心がある野鳥の会の会員へ配信しております。本記事の一部又は全部を不特定多数が見る可能性があるところへ公開される場合は、各支部/各会の了承を事前に得て下さい。記事は筆者の意向に反しないように、取り扱いをお願いします。
●2017/7 札幌
・札幌は日本一のコウモリ都市(コウモリ写真家)
・札幌のカラス大きく減っている
●2017/ 弘前
・ミサゴ(青森県支部顧問)
●2017/7 埼玉
・2017年春シギ・チドリ類調査(調査部)
●2017/7 愛知県
・密対連2017年通常総会
●2017/6-7 京都
・囀る雌
・2017年ユリカモメ調査(調査部)
・バリアフリー探鳥会
・鴟尾(しび)
●2017/7-8 島根県
・春のシギ・チドリの渡り
●2017/6 筑豊
・ツメナガホオジロ
・リョウブの木
●2017/7 札幌
・札幌は日本一のコウモリ都市(コウモリ写真家)
コウモリ確認種数は札幌市17、仙台市13、東京23区2、名古屋4、大阪市2、松山市6、広島市7、福岡市7である。札幌市は1,100km2と東京23区600km2より広いが、森林がある環境である。ちなみに北海道全体では19種、島嶼部を含む東京都全体では14種、日本全体では37種(内2種は絶滅)、世界には1,300種もいる。
(札幌「カッコウ」NO.395,P11)
・札幌のカラス大きく減っている
冬のカラスの塒調査では2003年に約8,000羽が、2017年は3,900羽と半減している。原因はトリコックス病の蔓延で特に若い個体に影響があったとされる。道内のカラスに450km離れたロシアサハリン州まで移動した個体がいる。
(札幌「カッコウ」NO.395,P15)
●2017/ 弘前
・ミサゴ(青森県支部顧問)
ミサゴは津軽半島竜飛崎には3月末〜4月初めに渡来する。外国の資料では産卵1卵7%、2卵27%、3卵62%、4卵4%とある。孵化まで平均37、38日、産卵直後から抱卵するため孵化は不揃いで、後の雛が殺されることもある。営巣木はヒバでスギと異なり、樹上部が比較的扁平で営巣し易い。巣が落下したとき、近くの樹木に作った人工巣も利用する。巣立ちは米軍機オスプレイのように真上に上がれず、巣から落下する感じが大半である。
(弘前「初列風切」NO.195,P7〜8)
●2017/7 埼玉
・2017年春シギ・チドリ類調査(調査部)
4/29、さいたま市の大久保農耕地で調査した。5種、74羽で内訳はムナグロ64(4年ぶり記録)、コチドリ5、タシギ2、チュウシャクシギ1、タカブシギ1。
(埼玉「しらこばと」NO.400,P6)
●2017/7 愛知県
・密対連2017年通常総会
4/23、密対連京都事務所で開催された(参加者11名)。愛知県支部は団体の実行委員である。世界メジロ図譜配布、インドネシアのメジロは日本産とそっくりでやっかいである。四国、九州ではメジロの鳴き合せ会が、今でも公共施設で実施されている。新規飼養登録数が3桁の府県が未だある。
(愛知県「愛知の野鳥」NO.365,P10)
●2017/6-7 京都
・囀る雌
野鳥録音の第一人者松田道生氏は『野鳥を録る』(2004年)の中で、雌も囀る鳥としてコジュケイ、イワヒバリ、コマドリ、アカヒゲ、コルリ、イソヒヨドリ、マミジロ、キビタキ、オオルリ、サンコウチョウ、イスカ、イカル、コウライウグイスをリストアップしている。雌の囀りの意味は雄とのコミュニケーション、観察者への威嚇、そこにいない雄の代役とある。
(京都「そんぐぽすと」NO.206,P4)
・2017年ユリカモメ調査(調査部)
1/22、冬期の移動が少ない安定期に鴨川で調査した。カウントで計421羽のユリカモメを確認。第一回冬羽が102羽、第二回冬羽が101羽、第三回以降が218羽であった。給餌する人が減り、河川工事等で前年より約130羽減であった。
(京都「そんぐぽすと」NO.206,P15)
・バリアフリー探鳥会
3/20、NPO法人京都市肢体障碍者協会の協力を得て、鴨川で探鳥会を実施した。車いす利用5名、介助者2名を含む障碍者20名、総勢40名であった。当日の観察会風景は地元NHK、新聞で報じられた。
(京都「そんぐぽすと」NO.206,P17)
・鴟尾(しび)
お寺や神社の屋根の左右にある飾りで、お城では鯱(しゃちほこ)と呼ばれる。別名とびのおと呼ばれるがトビの尾羽には見えない。由来は古代中国の南北朝時代(5〜6世紀)で、当初は屋根に鳳凰(ほうおう)が飾られ、その後鳳凰の尾羽だけ飾り、鴟尾と呼ばれる。鳳凰は風の神様で古代中国では風神を表し、台風による倒壊を防ぐ意味があった。その後、宋の時代(10〜13世紀)に鳥から魚に変わり、火災除けとなり、水に関する想像上のしゃちほこに受け継がれた。
(京都「そんぐぽすと」NO.206,P25)
●2017/7-8 島根県
・春のシギ・チドリの渡り
2017年春、飯梨川周辺で調査した。個体数が多いのは5/2の115羽、内訳はチュウシャクシギ33、ハマシギ30、ムナグロ24、アオアシシギ10、コチドリ8等。3/23〜5/23の期間中、確認されたシギ・チドリは23種であった。
(島根県「スペキュラム」NO.178,P6)
●2017/6 筑豊
・ツメナガホオジロ
ツメナガホオジロは北方系の種で、北海道で観察され、九州では珍鳥のイメージがある。稀な冬鳥でなく開けた荒地や刈田でヒバリの群れの中で生息している。集団で飛び立つとき、ヒバリの「ピュルピュルッ」の中に「キリッ」と短く鋭い声がある。胴体はヒバリより短く、尾が短い。飛び方もヒバリのように上下に浮くようなことはなく、着地でもスピードを緩めない。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.472,P27〜29)
・リョウブの木
リュウブは飢えをしのぐため救荒植物として利用されていた。平安時代に深刻な飢饉があり、一定量のリュウブを植えるよう令法が出され、令法(りょうほう)の読みがリュウブに転訛されたとの説、龍尾からきた説がある。その若葉は食糧難を救った。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.472,P35)
●2017/5-6 盛岡
・視覚障がい者のための探鳥会
・セグロカッコウ県内初確認
●2017/7-8 群馬
・マップコードの使用
・2017年群馬県カッコウ初認
●2017/7 茨城県
・コクガンの標識調査
・オオヒシクイの謎を解く
・野鳥不法飼養大規模摘発
・コブハクチョウに石膏製偽卵
・孟宗竹で繁殖
●2017/5 沼津
・釣糸拾い探鳥会
●2017/6 和歌山県
・ツバメとイソヒヨドリ
・H29ガンカモ調査
●2017/7 筑後
・三池島のベニアジサシ
・矢部村のブッポウソウ保護
・ハクセキレイ(研究部)
●2017/5-6 盛岡
・視覚障がい者のための探鳥会
6/11、昨年に続き、定例探鳥会の2部として実施した。多くの鳥の囀りが聞かれた。12名+スタッフ7名(NPO法人メイプル協会)が参加した。
(盛岡「山翡翠」NO.376,P4)
・セグロカッコウ県内初確認
6/13〜21、網鳥ダム林道でセグロカッコウの声を確認した。岩手県初記録である。
(盛岡「山翡翠」NO.376,P6)
●2017/7-8 群馬
・マップコードの使用
自家用車のカーナビに集合場所を示すマップコードを入力する方式がある。会報での行事案内で集合場所に使える。カーナビ用に開発された10〜11桁の数字コードである。
(群馬「野の鳥」NO,342,P7)
・2017年群馬県カッコウ初認
5/11、伊勢崎市、5/14、高崎市、5/15、富岡市、渡良瀬遊水地、5/16、前橋市、5/21、軽井沢町。
(群馬「野の鳥」NO,342,P13)
●2017/7 茨城県
・コクガンの標識調査
秋に北海道東部を中継するコクガン約9千羽はそこで越冬するのは約2,500羽、他は本州以外に何処へ渡っていくのか。中国山東半島で越冬している可能性がある。ロシア北極海沿岸のコクガンの約半数は北米大陸に渡っている。日本に渡来するコクガンはロシアのレナからオレニョク川周辺の繁殖個体と推測され、アラスカからはかなり少ない。道東以外では函館湾、陸奥湾、三陸沿岸等で約3千が越冬し、この数が春に道東を通るが、秋と異なり、サハリンを北上して行く。
(茨城県「ひばり」NO.338,P3〜5)
・オオヒシクイの謎を解く
1/18、稲敷市稲波干潟でオオヒシクイが飛び立ち、頭上100m程、霞ヶ浦を東へ横断して行なった。そこから北東に飛ぶ約200羽のヒシクイの群れを見た人がいる。そこには雁通川の名称の小河川があり、鳥は陸地の窪地を通過するので、昔はかなりの数の雁がそこを通過していたのであろう。この観察地の北側延長線上で以前オオヒシクイの群れが通過しているのを見ている。
(茨城県「ひばり」NO.338,P6〜7)
・野鳥不法飼養大規模摘発
昨年12月、下見2週間後、捜査令状が下り、結城署管内で、野鳥不法飼養で大規模摘発がされた。オオタカ2、ヒガラ4、ヤマガラ2、イカル2、エナガ2、メジロ、カワラヒワ、ホオジロ、ウグイス、ルリビタキ、クロジ、コマドリ、キビタキ、オオルリ、ベニマシコ、マヒワ各1が押収され、県鳥獣保護センターに送られ、保護された。
(茨城県「ひばり」NO.338,P21)
・コブハクチョウに石膏製偽卵
水戸市からの受託事業でコブハクチョウ、コクチョウの卵を偽卵に交換する作業を4/3、千波湖で開始し、2箇月でコブハクチョウ4巣、コクチョウ15巣で計69個の卵を交換した。コブハクチョウの最大一腹卵数は7個、コクチョウは5個であった。卵は産卵直後薄水色で、抱卵中泥で汚れ、薄茶色になり、天敵の目をくらます。親の油腺から分泌される油脂で卵の表面はツルツルしている。偽卵は本物にあまりに似ているので現場で見分けがつかず、偽卵と思っていた卵が孵化したり、偽卵を持ち去る人がいたりの珍事があった。
(茨城県「ひばり」NO.338,P22)
・孟宗竹で繁殖
4/27、竹林の整理で「かぐや姫」のような事があった。倒れた竹の横向きになった割れ目でシジュウカラが孵化し、巣立った。竹の割れ目で営巣はウグイス、ガビチョウ、キビタキ等が知られている。
(茨城県「ひばり」NO.338,P22〜23)
●2017/5 沼津
・釣糸拾い探鳥会
4/16、新浦港で釣糸を拾い集めた。約200gで、第三日曜日は釣り人も清掃活動するようになった。
(沼津「野鳥だより沼津」NO.283,P1)
●2017/6 和歌山県
・ツバメとイソヒヨドリ
橋本市ではツバメの営巣調べで2014年、ツバメ営巣33箇所、コシアカツバメ7箇所、イワツバメ6箇所が、2017年には各々7、3、4と減っている。ツバメ営巣の天敵はカラス、ネコ、ヘビであったが、その間イソヒヨドリの住宅地進出が目覚ましく、ツバメやスズメがイソヒヨドリにモビングするのをよく見る。このような傾向は今のところ大阪南部から紀伊半島の一部に限られているが、イソヒヨドリの紀伊半島内陸部進出は10年以上前から進んでいる。
(和歌山県「いっぴつ啓上」NO.130,P17)
・H29ガンカモ調査
1/8、紀ノ川を主に和歌山県内を調査した。総計10,090羽で内訳はヒシクイ1、ヒドリガモ2,592、マガモ2,428、カルガモ1,717、オシドリ1,135、コガモ985、ホシハジロ464、オカヨシガモ243、キンクロハジロ123、ヨシガモ110等。
(和歌山県「いっぴつ啓上」NO.130,P19)
●2017/7 筑後
・三池島のベニアジサシ
6/11、三池島で熊本県支部と共同で調査した。約250羽のベニアジサシを確認した。昨年は全て営巣放棄していた。
(筑後「まめわり」NO.194,P6)
・矢部村のブッポウソウ保護
今年は2羽のブッポウソウを見る(昨年は4羽)。昨年営巣した橋の塗装工事があった影響か。近くの大牟田市、みやま市境辺りにもブッポウソウが飛来している。八女市市民との協働によるまちづくり事業でブッポウソウの巣箱4個を掛け自動監視カメラで調査を行う予定。ブッポウソウ保護基金のため絵葉書(5枚、500円)を販売する。
(筑後「まめわり」NO.194,P9)
・ハクセキレイ(研究部)
1930年代までは日本のハクセキレイは北海道のみの分布であったが、1980年代には石川県から関東を結ぶ所に達し、2010年代には夏季、九州でも観察されるようになった。ユーラシア大陸のほぼ全体にいるタイリクハクセキレイは10亜種に分かれ、日本には基亜種ハクセキレイがいる。亜種ホオジロハクセキレイは1968年、熊本県で繁殖し、最近はハクセキレイとの交雑がある。
(筑後「まめわり」NO.194,P10)
●2017/6 旭川
・コアカゲラの越冬個体
・オジロワシ・オオワシ一斉調査
・旭川市初記録イヌワシ
・イソシギ、イカルチドリ、厳冬期確認
・2016年遅い終認
●2017/6 山形県
・イヌワシ(最上ブロック)
・クロビタイハリオアマツバメ本州初記録
●2017/6 南富士
・春のシギ・チドリ調査(調査研究部)
・オオジシギ(保護部)
●2017/6 石川
・石川県の海岸にすむアカテガニの生態と保全
●2017/6 徳島県
・2017年干潟・湿地を守る日
・キマユホオジロ徳島県下初記録(普及編集部)
・ちょっと気になる野鳥の和名ヤブサメ
●2017/6 旭川
・コアカゲラの越冬個体
2/1、旭川市春光台公園でコアカゲラ♀を見る。旭川市では2015、2016年年末に確認例がある。天売島で秋に標識調査捕獲例あり。しかし、越冬期の確実な記録はない。十勝地方では越冬例ある由。道内では広く分布した種とは言い難い。他のキツツキと異なり、木の高いところにいて、余り鳴かないので気づかない。
(旭川「キレンジャク」2017 Vol.6,P4〜5)
・オジロワシ・オオワシ一斉調査
2/19、旭川市内、富良野市内を調査した。旭川ではオジロワシ18(成6、幼12)、オオワシ18(成11、幼7)、不明種1。富良野ではオジロワシ成3、オオワシ0、全体で40羽のワシ類を確認した。
(旭川「キレンジャク」2017 Vol.6,P6〜7)
・旭川市初記録イヌワシ
3/14、神居古潭でイヌワシ幼1が撮影された。初列風切基部、次列風切基部、尾羽基部が目立つ白で俗に「三ツ星タカ」と呼ばれる。旭川市初で旭川市鳥類目録リスト228種目となる。大雪山国立公園、阿寒国立公園、暑寒別道立自然公園等で若鳥が目撃されたことがある。
(旭川「キレンジャク」2017 Vol.6,P8〜9)
・イソシギ、イカルチドリ、厳冬期確認
2016/12/18〜2017/1/19、厳冬期の石狩川でイソシギ、イカルチドリを見る。旭川市での厳冬期にイソシギ確認は初で、イカルチドリもこの数年、厳冬期に見られるようになった。
(旭川「キレンジャク」2017 Vol.6,P22〜23)
・2016年遅い終認
11/21、雪の中、旭山公園でアオバト。11/26、ポン川周辺でコマドリ。12/2、ナナカマドにキジバト。12/22、キトウシ森林公園でトラツグミ。旭川市での通常の終認時期より1〜2箇月遅い。
(旭川「キレンジャク」2017 Vol.6,P26〜27)
●2017/6 山形県
・イヌワシ(最上ブロック)
神室山地のイヌワシは1996年までは繁殖成功が普通であったが、その後は、繁殖成功は2010年のみで、今年は、産卵は確認できていない。餌動物のノウサギが激減しているため、カモ類を食べるイヌワシ若鳥、魚類を巣に運び込む親もいる。
(山形県「やませみ」NO.89,P12)
・クロビタイハリオアマツバメ本州初記録
2016/9/27、最上町で高度30〜50mを約20羽のハリオアマツバメの群れの中に2羽のクロビタイハリオアマツバメが北西から南東へ移動した。本種はインド北部、ブータン、チベット、バングラディシュ、ミャンマーの一部で繁殖し、冬期はタイ、ベトナム、カンボジア、マレーシア、スマトラ、ジャワ島で越冬する。日本では先山諸島で記録があるが、本州での記録は初めてである。
(山形県「やませみ」NO.89,P13〜14)
●2017/6 南富士
・春のシギ・チドリ調査(調査研究部)
4/29、富士川河口で調査した。総計85羽で内訳はハマシギ33、コチドリ21、シロチドリ16、チュウシャクシギ6、メダイチドリ3、イソシギ3等。2009年以来総計100羽以下が続いている。
(南富士「さえずり」NO.415,P5)
・オオジシギ(保護部)
ジシギ類で最大の鳥で名前の由来となっている。ロシア南東部のウスリー、サハリン南部、千島列島南部でも繁殖するが、日本が主な繁殖地である。冬はオーストラリア東部やタスマニアに渡る。日本では中部地方以北に渡来するが、熊本や中国山地での繁殖例がある。繁殖期には広い草原にテリトリーを持つ。静岡県では南富士演習場に少数が棲息し、秋の渡りは他のジシギ類より早く、7月下旬には富士川河口や浮島ヶ原の水田に立ち寄る。
(南富士「さえずり」NO.415,P6)
●2017/6 石川
・石川県の海岸にすむアカテガニの生態と保全
4/23の支部総会での記念講演より。石川県では能登町九十九湾、北潟湖及び大聖寺川河口でアカテガニの密度が高い。5月下旬、照葉樹林にある巣穴から出て、6月、交尾、砂浜で7月下旬〜9月上旬に放仔活動があり、幼生は海から1箇月程で海から戻って来る。幼生は塩分濃度0.4〜2.4%である湾内、河口付近に多く生存し、塩分濃度3%を超える沖合には出ない。幼生はかなりが魚に食べられている。稚ガ二が上陸し、森へ入るための連続した場所が重要である。
(石川「石川の野鳥」NO.194,P2〜3)
●2017/6 徳島県
・2017年干潟・湿地を守る日
1997/4/14、諫早湾が閉め切られて今年で20年、日本湿地ネットワーク(JAWAN)は毎年4/14を「干潟・湿地を守る日」として全国キャンペーンを行なっている。支部は同日、吉野川河口探鳥会を実施した。日本湿地ネットワーク、支部、参加者一同の名で「2017干潟・湿地を守る日」宣言が採択された。
http://www.jawan.jp/wdj/2017/notice/sengen.html
(徳島県「野鳥徳島」NO.465,P2〜3)
・キマユホオジロ徳島県下初記録(普及編集部)
5/1、徳島県海部郡の農耕地で2羽のキマユホオジロが撮影された。バイカル湖北部で繁殖し、中国で越冬する鳥で、日本では日本海側の島嶼部に数少ない旅鳥として観察され、四国では愛媛、高知で記録があるが、徳島県では初記録である。
(徳島県「野鳥徳島」NO.465,P9)
・ちょっと気になる野鳥の和名ヤブサメ
ヤブサメの名前の由来はその囀りが藪に降りそそぐ雨音になぞらえ「藪雨」からの説が多い。私は名前の由来はその生息習性にあると思う。繁った藪を好み、「藪住み鳥」それが「ヤブ住み」→ヤブサメに転訛したと考えている。人の名字にも森や山に住んでいた人には森住、山住がある。
(徳島県「野鳥徳島」NO.465,P14)
●2017/4 十勝
・オオワシ・オジロワシ一斉調査
●2017/2-3 宮古
・オジロワシ・オオワシ一斉調査
●2017/4-5 宮古
・夜鳴くヤブサメ
●2017/3 軽井沢
・千鳥足(鳥老人)
●2017/3 沼津
・ガンカモ類カウント調査
●2017/5 南富士
・ウルトラトレイル・マウントフジ(保護部)
●2017/4 徳島県
・ナベヅル・コウノトリ徳島県の状況
・ちょっと気になる野鳥の和名オシドリ
●2017/5 徳島県
・ちょっと気になる野鳥の和名イスカ
●2017/5-6 広島県
・ガン・カモ・ハクチョウ類調査(ガンカモ調査担当)
●2017/4 高知
・ガンカモ調査
●2017/6 高知
・2017春サシバの渡り調査
●2017/4 十勝
・オオワシ・オジロワシ一斉調査
2/19、オオワシ・オジロワシ合同調査グループ主催で十勝管内を調査した。オオワシ79(成55、若24)、オジロワシ40(成30、若8、不明2)、不明種ワシ6、総計125羽であった。前年2月、全国調査では総計1,932(オオワシ826、オジロワシ732、不明324)であった。
(十勝「十勝野鳥だより」NO.195,P10)
●2017/2-3 宮古
・オジロワシ・オオワシ一斉調査
2/19、岩手県沿岸部12箇所、内陸部17箇所を調査した。沿岸部:オジロワシ成4、亜幼2、オオワシ成3。内陸部:オジロワシ成9、亜幼1、オオワシ0。両者計19羽を確認した。今年のオオワシの初渡来は10/24、オジロワシは11/19であった。沿岸部では海ワシは主にサケ漁に依存しており、震災後に放流した稚魚の回帰に期待する。内陸部ではニホンジカの死骸に飛来する個体は確認できなかったが、何を餌にしているのか不明。
(宮古「ミサゴの海」NO.252,P2)
●2017/4-5 宮古
・夜鳴くヤブサメ
1977年頃、初めて宮古で深夜、ヤブサメが鳴くのを聞いた。夜間は金属音に近く、尻上がりでなく平坦な調子の連続で、次第に長くなり30秒以上鳴き続ける。午前3時頃より次第に短くなる。昼間は1節が5〜7秒である。夜鳴くのは渡来の4月下旬から5月中旬で、地面近くの藪ではなく、樹上で鳴くことが多い。野鳥録音第一人者蒲谷鶴彦氏も夜鳴くヤブサメは初めてと言う。神奈川支部研究報告書(1997年)に夜鳴くヤブサメが掲載された。2007年、愛媛県での調査で立教大学生が4月に夜鳴くヤブサメは番相手が決まらない♂で、番形成後は昼に鳴き、尻上がりの短い鳴きになると報告された。
(宮古「ミサゴの海」NO.253,P1)
●2017/3 軽井沢
・千鳥足(鳥老人)
酔っ払いに使われる言葉であるが、本物のチドリはふらふらした足取りではない。しっかりした足取りで、ジグザク走行で目的とする餌や巣の位置を他の鳥に知られにくくするためと言われる。鳥の祖先は恐竜が定説で、それはスタスタ歩きをしており、当初の鳥はピョンピョンと歩かず、樹上生活でピョンピョンに進化?ダチョウは地面に戻った事でピョンピョンからスタスタ歩きに戻った。
(軽井沢「野鳥軽井沢」NO.407.P4)
●2017/3 沼津
・ガンカモ類カウント調査
1/8〜22、静岡県の依頼で沼津市内10箇所を調査した。総計931で、内訳はカルガモ278、ヒドリガモ195、マガモ156、コガモ109、キンクロハジロ80、ホシハジロ65等。
(沼津「野鳥だより沼津」NO.281,P3)
●2017/5 南富士
・ウルトラトレイル・マウントフジ(保護部)
UTMF(ウルトラトレイル・マウントフジ)は、富士山を1周する100マイルレースとして2012年より開催されている。当初5月開催で、生き物の繁殖時期は好ましくないとの申し入れで4月、その後9月開催に変更されていた。UTMF実行委員会は、9月は雨でコースが危険であるとして、天候の安定する春に実施の提案をしている。支部は1200名のランナーが何時間も続いて走るので野鳥の繁殖期(春)を外す、仮に春に実施する時は最小限のコースに変更するよう要望している。近々同実行委員会は自治体、関係団体に説明する。富士山を世界遺産に登録したユネスコの意見も聞いてみたい。
(南富士「さえずり」NO.414,P7)
●2017/4 徳島県
・ナベヅル・コウノトリ徳島県の状況
ナベヅルが出水市での越冬が1万羽を越える頃から、阿波市で、越冬で塒を取る事が多くなり22年目となった。4〜20羽が越冬する。コウノトリは2005年から野生復帰が試みられ、徳島県では2013年に初渡来があり、2015/5、豊岡地方以外で初となる鳴門市で巣作りがあった。コウノトリ定着推進連絡協議会が設置され、2015/11、鳴門コウノトリ鳥獣保護区(490ha)が設けられた。コウノトリとの距離を150m以上とる、繁殖中、巣から400m以内に接近しないをお願いしている。2017/3/21、豊岡地区以外で初となる雛の誕生があった。
(徳島県「野鳥徳島」NO.463,P5〜7)
・ちょっと気になる野鳥の和名オシドリ
オシドリは奈良時代より「をし」「をしどり」となっており、「雌雄相愛(お)し」が語源とされる。古人も本当のオシドリの番関係をある程度知っていたはずで、相愛(お)しに語源があるのは無理があると思う。現在も残っている名称カシドリから来ていると思う。カシドリからオシドリに転訛したと考える。オシドリはアラカシなどのドングリを好むのでカシドリと呼ばれていた。
(徳島県「野鳥徳島」NO.463,P13)
●2017/5 徳島県
・ちょっと気になる野鳥の和名イスカ
イスカの名前の由来は古語のが定説でねじけているの意である。岩波古語辞典には「いすかし」はいすかの派生語でイスカのようだとある。イスカの真の語源はいすかしではなく、別にあると考える。「すか」は古語で空かし、間をあける、当てが外れるの意で、嘴が食い違っているので「すか嘴鳥」と呼ばれ、それがスカ、イスカに転訛したと考える。
(徳島県「野鳥徳島」NO.464,P11)
●2017/5-6 広島県
・ガン・カモ・ハクチョウ類調査(ガンカモ調査担当)
1/8〜22、広島県内の248箇所を調査した。20種、30,156羽を記録した。内訳はヒシクイ1、ヒドリガモ5,790、スズガモ5,283、ホシハジロ4,824、マガモ3,593、カルガモ3,003、コガモ1,901、オシドリ1,363、ハシビロガモ1,120、オナガガモ1,076、キンクロハジロ698、オカヨシガモ674、ヨシガモ278、カワアイサ241等。
(広島県「森の新聞」NO.210,P2〜3)
●2017/4 高知
・ガンカモ調査
1月、高知県内21箇所で調査した。総計28,645羽で、内訳はマガモ11,125、カルガモ6,005、ヒドリガモ5,698、オナガガモ2,174、オシドリ1,500、コガモ1,432、ヨシガモ261、オカヨシガモ187、ホシハジロ138等。これとは別に同地でカワウ491、オオバン729。
(高知「しろぺん」NO.363,P3〜4)
●2017/6 高知
・2017春サシバの渡り調査
4/1〜5、高知県香美市〜徳島県上勝町で調査した。4/1、香美市有瀬(高知市の北東)で3,337羽の通過があった。
(高知「しろぺん」NO.365,P1〜2)
(自然保護室・野鳥の会・神奈川/森 要)
【日 時】:2017年5月20日(土)〜21日(日)
【場 所】:土湯温泉「向瀧」(福島市土湯温泉町)
【担 当】:日本野鳥の会ふくしま
【参加者】:会津支部(2名)、ふくしま(17名)、郡山支部(11名)、白河支部(5名)、いわき支部(6名)、南相馬(1名)、福島県相双支部(2名)、国立環境研究所(5名)、財団(安藤会員室室長、山本自然保護室チーフ)、計51名参加
【会議】5月20日12:50〜16:00
<内容>
●開会
・第22回連合会総会開会の辞と来賓並びに参加支部紹介(進行:三本杉松夫(日本野鳥の会ふくしま総務部長))
・開会と歓迎の言葉:志賀裕悦(日本野鳥の会ふくしま代表)
・開会挨拶:白岩康夫(連合会会長)
・来賓挨拶:黒澤涼一(福島県生活環境部自然保護課課長)、松谷治夫(福島市農政部部長)、安藤康弘(公益財団法人日本野鳥の会会員室室長)
●議事
≪議長選出≫
鈴木滋氏(日本野鳥の会ふくしま事務局長)より指名があり、白岩康夫氏が議長に選出された。また、議事録作成人として、駒木根和寿氏、古木勇氏(いずれも日本野鳥の会ふくしま副代表)、議事録署名人として、白瀬豊氏(日本野鳥の会福島県相双支部支部長)、佐藤勝彦氏(日本野鳥の会南相馬代表)が指名された。
1)第一号議案:平成28年度事業報告
鈴木事務局長より、[要望・請願・陳情事項]として、県南地区での橋梁撤去工事再開に関して、クマタカの繁殖に影響が出ないように注意を払い、異常が感じられた場合には一時的に作業を中断すること等の与件を附した工事再開の同意書を、県南建設事務所に日本野鳥の会白河支部と連名で提出したこと等が報告された。
[啓蒙活動]としては、福島第一原発事故により漏出した放射性物質により県内の各連携団体は、野外での活動に大きな制約を受けたが、それぞれの管轄する地域において、創意と工夫を盛り込んだ探鳥会や愛鳥教室等を開催し、愛鳥思想の啓蒙と自然保護活動に取り組んだことが報告された。
[調査活動]では、各連携団体の管轄地域において、「平成28年度第48回ガンカモ類の生息調査」を実施し、県を通じて環境省に提出したこと、福島県からの委託事業として「福島県におけるカワウの生息調査」、「平成28年度ふくしまレッドリスト(鳥類)見直し調査業務」を実施し、結果を県に提出したことが報告された。
また、第21回連合会総会相双大会が松川浦(相馬市)で開催されたことが報告された。
2)第二号議案:平成28年度収支報告と監査報告
鈴木事務局長より、平成28年度の収入は、県からの委託であるカワウの生息調査、ふくしまレッドリスト(鳥類)見直し調査業務等を含めて263万5千円、支出は、会議費、事務費、事業委託金等で、次期繰越金も含め同額であることが報告された。
また、収支報告書について、白瀬豊氏、佐藤勝彦氏による監査を受け、佐藤勝彦氏より、適正であった旨の監査報告があった。
3)第三号議案:平成29年度事業計画(案)
鈴木事務局長より、平成29年度事業計画(案)は4月22日に開催された連合会役員会で承認されたことが報告された。
[要望・請願・陳情関係]については従前どおり行なうこと、[啓蒙活動]については、放射性物質により野外活動に制約を受ける地域があるが、各連携団体の管轄する地域において、愛鳥思想の啓蒙と自然保護活動の啓蒙に積極的に取り組むこと、[調査活動]については、平成29年度第49回ガンカモ科鳥類の生息調査、県からの委託であるカワウの生息調査に、各連携団体の会員と協力して取り組むことが報告された。
4)第四号議案:平成29年度収支予算(案)
鈴木事務局長より、平成29年度の収入は、前年度からの繰越額に加えて、会費収入、県からの委託費として、ふくしまレッドリスト(鳥類)見直し調査業務、カワウの生息調査等により248万5千円、支出は、カワウ生息調査等への委託金支払いの他、会議費等で、より一層の経費削減に努めることが報告され、了承された。
5)第五号議案:第23回総会開催支部決定
鈴木事務局長より、次年度の総会の開催地は、連合会役員会(4月22日開催)において南相馬市とすることが協議され、日本野鳥の会南相馬代表・佐藤勝彦氏が了承されたことが報告され、本総会において承認された。
6)第六号議案:その他
@日本野鳥の会ひょうご様よりの義援金について
福島第一原発事故以降、福島県内の子供たちの野外活動ができなくなったことに対し、「日本野鳥の会ひょうご」様より連合会にいただいた義援金について、平成26年12月に続いて、次の6地区(会津地区・謹教小学校、県北地区・岡山小学校、いわき地区・綴秋山小学校、相双地区・石神第二小学校、県南と県中地区は検討中)の小学校の緑の少年団に記念品(双眼鏡、CD、ハンディ図鑑)の贈呈を行なう予定であることが報告され、承認された。
AふくしまRDB(鳥類)見直し業務成果表について
細井俊宏氏(福島県RDB鳥類アドバイザー)より、前回のレッドリスト見直しから15年が経過しているが、平成27年4月から平成29年3月まで県内全域で現地調査及び文献や資料、アンケート調査を実施したことの報告があった。前回見直しの際に使った福島県独自のカテゴリーを廃止し、環境省カテゴリーで再評価を行なったこと、69名の協力を得て、約1万7千件のデータを用いて分析し、改定評価委員会の検討を経て、結果を県に報告、県のホームページで公表予定であることが報告された。
福島県のレッドリスト掲載種は、現行の72種からノスリとオオバンの2種を除外、新たに20種を追加し、計90種になったことが報告された。
Bその他
特になし。
7)調査研究発表
(1)太陽光発電施設の反射光と設備周辺域気温上昇について
財団自然保護室の山本裕より、福島県内で太陽光発電施設が震災後に急速に増加している背景と、自然環境と野鳥への影響、施設周辺への影響についての報告ののち、対策についての情報交換を行なった。
地域住民の理解を得ることや、空地や建物の屋上の活用、生物にとっての重要な場所を把握し、ゾーニング等により生物多様性の保全に配慮した形で導入されることが望ましいが、現状で小規模施設の建設に関しては対策上の課題が多いことを共有した。
(2)国立環境研究所から発表
a)、バードデータチャレンジ及びデータ公開について
深澤圭太氏(国立環境研究所主任研究員)より、バードデータチャレンジとデータ公開についての報告がされた。当事業は、原発事故に伴う避難指示区域とその周辺の鳥類を対象に環境変化に対する鳥類の反応をみていくもので、ICレコーダーにより録音した音声データを聞いて種判別を行ない、確認した種を地図上でみるWebシステム「SONO-TORI(そのとーり)」を活用することによって、鳥の分布情報を多くの人と共有する仕組みである。
2016年度は、10月に郡山支部との共催で「バードデータチャレンジin郡山」を行ない(59名参加)、39種の鳥が識別されたこと、スズメは多くの地点で出現し、浪江町等の帰還困難区域では少ないこと、ホオジロは避難指示区域内とその周辺で見られたこと等が紹介された。データは、「野鳥のこえからわかること」というWebサイトにおいて、「KIKI‐TORI Map」で公開していることが報告された。また、2017年度は、10月に白河支部の協力により、「バードデータチャレンジin白河」を開催予定であることの報告があった。
b)、生きものアンケート調査支援ツールについて
三島啓雄氏(国立環境研究所主任研究員)より、郡山支部が市民に呼びかけて、長年行なっているカッコウ調査を支援するツールの開発状況について紹介がされた。
現在、アンケート回収後、手作業で行なっている地図化を、住所を緯度経度に変換し、その位置の重なり状況から個体数推定までを自動で行なう仕組みで、2017年は試験運用中であることが報告された。この仕組みは、汎用性があるので、様々なテーマで活用して欲しい旨の依頼があった。
(3)相馬市松川浦に飛来するシギ・チドリ類
白瀬豊氏より、震災後、7年間行なっている松川浦での調査について、レジメを基に紹介された。また、南相馬市原町区で行なっている調査についても紹介され、自然分布種44種、外来種2種が観察され、このうち12種が繁殖していること等が報告された。
(4)支部活動報告
各連携団体のレジメを基に報告された。
●閉会
・閉会の言葉:佐藤勝彦(第23回総会開催支部長)
【早朝探鳥会】5月21日6:00〜7:15
女沼周辺で早朝探鳥会を行ない、キビタキ、ウグイス、ヒヨドリ、ヤマガラ、シジュウカラ、キセキレイ、カワウ等の野鳥を観察した。
8:30に、集合写真撮影し解散となった。
(自然保護室/山本 裕)
■普及室より
<北海道に亜種エナガはいる?>
夏は、幼鳥の誤認が多くなります。私がウトナイ湖サンクチュアリのレンジャーだった頃、北海道にはいないはずの「アオゲラがいた!」と騒がれたのを思い出します。それは、ヤマゲラの幼鳥でした。ヤマゲラはアオゲラと違って腹に縞模様がないというのは成鳥の特徴であり、幼羽の段階では腹に横縞が見えます。
「亜種エナガがいた」とも騒がれたものですが、見せてもらった写真は、どれも亜種シマエナガの幼鳥のようでした。顔中が白いことで人気がある北海道の亜種シマエナガでも、幼羽にはエナガの他の亜種に似た暗色部があるのです。本州以南でも、成鳥のように頭が黒くないイカルの幼鳥がコイカルの雌にされたり、頭部の赤色部分が広いアカゲラ幼鳥がオオアカゲラの雄と間違われたりします。
『フィールドガイド日本の野鳥』ならご安心を・・・エナガ、イカル、アカゲラの幼鳥は高野が図版を描いています。ヤマゲラは幼鳥の図版がなかったので、増補改訂版(2007年)を私が担当した際、解説文に書き加えました。
<幼鳥?若鳥?成鳥?>
昨今の図鑑では、第1回冬羽(幼羽から換羽後の羽衣)、第1回夏羽(第1回冬羽から換羽した羽衣)なども多用する解説が見られるようになりました。それらは識別が難しい種で細部まで検討するには役立つのですが、現状では、ひな、幼鳥、若鳥、成鳥などの用語でさえ混乱しているのではないでしょうか? これらの用語の定義は簡単ではありません。多様な鳥類の世界は、厳密に考えるほど例外が生じ、一概には言えない場合が多々あるからです。
『フィールドガイド日本の野鳥』では、増補改訂版の段階で検討、整理した結果、幼羽(最初にまとう正羽)をまとった鳥を「幼鳥」、第一回冬羽あるいは冬になっても「成鳥」と羽や嘴の色などが異なる場合、「成鳥」「幼鳥」と区別して「若鳥」と呼ぶことを原則にしました。
上記の定義で見直してみると、増補版まではオオハクチョウ「若鳥」としてきた図版は、ほとんどグレーの幼羽なので、増補改訂版以後は「幼鳥」にしました。コハクチョウでは、第一回冬羽と思われる純白の羽毛も混じっている個体が「若鳥」とされていたので、悩んだ末に「幼〜若」と記すことにしました。若鳥と呼べる段階を設定しにくいシギの仲間では「幼〜冬」としたものもあります。高野の時代、換羽についての詳しい知見が乏しかったことは確かですが、今なお調べられていないことは多く、簡単にわからない場合、途中段階で何とも呼びようがない場合も少なくありません。
ついでながら、成鳥とは「成長によって外見が変化しないようになった鳥」と定義されることから、アホウドリのように、成鳥(の羽衣)にならない段階で繁殖活動を始める鳥もいることになります。
<正羽はダウンとどう違う?>
ややこしい話が続いて恐縮ですが、鳥類の幼鳥を理解するには幼羽、幼羽を理解するには正羽を理解しなくてはなりません。そのあたりは『フィールドガイド日本の野鳥』では、増補改訂版で書き足し、新版で修正を加えました。
ひなが最初にまとう正羽を幼羽と記しましたが、正羽contour featherとは、明確な羽軸がある羽毛のことです。いわゆるダウンは綿羽downのことで、羽軸がありません。さらに、正羽に近いものは半綿羽semiplumeとし、ひなの段階では幼綿羽natal downと区別されます。
ひなの定義も簡単とは言えません。『フィールドガイド日本の野鳥』では当初、「卵からかえってから体羽が生えそろうまでの時期の鳥。小鳥の場合、巣立ってからは幼鳥であるが、「巣立ちびな」という用例がある」と記されていました。正確に書こうとすればするほどわかりにくくなってしまうこともあって、図鑑の執筆の辛いところですが、増補改訂版の際、もう少し簡単にできないものかと考えて「孵化してから幼羽がはえそろって飛べるようになるまでの鳥を指すことが多い」としました。
ちなみに、前回、松田道生さんによる『CD鳴き声ガイド 日本の野鳥』で幼鳥の声が収録されている種を紹介しましたが、松田さんは幼鳥とひなを区別しています。ひなの声が収録されている種にはカルガモ、ウトウ、フクロウ、イワツバメ、リュウキュウツバメ、ツバメ、シジュウカラ、スズメがあります。フクロウ、シジュウカラ、スズメでは幼鳥も収録されているので、ひなと幼鳥を聞き比べることもできます。
© 谷口高司
▲図版:増補改訂版以後、谷口高司さんに追加してもらった図版の例。1枚の羽から種を同定するには、それがどの部分の羽かを知ることが重要なので、身近な鳥を例に初列風切(@)、次列風切(A)、尾羽(B)を並べて描いてもらいました。
(普及室・主席研究員/安西 英明)
■『Strix』34巻向け原稿募集のお知らせ
『Strix』(ストリクス, 1982年創刊)は、当会が発行している野外鳥類学論文集で、会員の皆様による長年の調査研究や鳥類の生態、行動に関する観察記録、繁殖や飛来についての新知見、自然保護活動の事例などを掲載する和文誌です。
Strix編集部の上田恵介先生(編集長、当会副会長)、三上かつら氏(副編集長)による論文指導のもとで、査読者や英文校閲者の方のご協力を得て発行しています。原著論文、短報、総説、論説(自然保護レポートを含む)に分かれ、原稿はすべて匿名査読者による査読があります。
現在、第34巻(2018年6月予定)の発行に向けて、原稿を募集しています。
皆さまのお手元にあるデータを分析し、まとめていただき、Strixにご投稿をいただければと思います。どうぞ、よろしくお願い致します。
▲Strix表紙
●Strixへの投稿は、下記の投稿規程をご覧ください。
https://www.wbsj.org/activity/conservation/publications/strix/strix_rule/
●原稿の送付先:
≪Eメールの場合≫ [email protected]
≪郵送の場合≫
141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル
公益財団法人日本野鳥の会 自然保護室 宛て
●お問い合わせ先:日本野鳥の会自然保護室
TEL03-5436-2633 Eメール[email protected]
(自然保護室/山本 裕)
■評議員会傍聴申込要領について
平成29年度第2回臨時評議員会の傍聴申込要領をお知らせします。
●開催日時:
平成29年12月13日(水)16:00〜17:30
●開催場所:
公益財団法人日本野鳥の会会議室
(〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23)
・東急目黒線「不動前」駅より徒歩5分
・JR「五反田」駅より徒歩約10分
・JR「目黒」駅より徒歩約10分
●申込要領
会場の都合上、傍聴は連携団体(支部等)1人を限度とします。参加希望者は、連携団体(支部等)の代表を通じ、メール又はFAXで下記あてにお申込み下さい。
≪お申込み先≫:日本野鳥の会総務室総務G(林山)
メールアドレスの場合:[email protected]
FAXの場合:03-5436-2635
●申込期限:平成29年9月29日(金)必着
(総務室/林山 雅子)
名称変更などがあった支部についてお知らせいたします。(敬称略)
●日本野鳥の会ひょうご
【事務局長の変更】
新):紀田 俊明
旧):堺 昭生
変更年月日:2017年7月8日
●日本野鳥の会愛媛
【代表の変更】
新):松田 久司
旧):山本 貴仁
変更年月日:2017年6月3日
●日本野鳥の会もりおか
【代表の変更】
新):佐賀 耕太郎
旧):中村 茂
変更年月日:2017年4月9日
(総務室/鈴木 美智子)
8月1日会員数35,322人で、先月に比べ61人減少しました。7月の入会・退会者数の表をみますと、入会者数は退会者数より61人少なくなっています。
会員の増減は入会者数と退会者数のほかに、会費切れ退会となった後に会費が支払われ、会員として復活した人数によって決まります。7月の入会者数は132人で、前年同月の入会者117人に比べ15人増加しました。また、7月の退会者は193人で、前年同月の退会者235人に比べ42人減少しました。
表1. 7月の入会・退会者数
入会者数 | 退会者数 | |
個人特別会員 | 6人 | 13人 |
総合会員(おおぞら会員) | 26人 | 55人 |
本部型会員(青い鳥会員) | 34人 | 39人 |
支部型会員(赤い鳥会員) | 50人 | 56人 |
家族会員 | 16人 | 30人 |
合計 | 132人 | 193人 |
年度累計 | 706人 | ※ |
※会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活する方がいらっしゃるため、退会者数の年度累計は、実際の退会者数とずれた数字となります。このため、退会者数合計については年度末の集計後にお知らせいたします。
■都道府県および支部別会員数■
野鳥誌贈呈者数を除いた数を掲載します。
表2 都道府県別の会員数(8月1日現在)
都道府県 | 会員数 | 対前月差 |
北海道 | 1743人 | -10人 |
青森県 | 255人 | -4人 |
岩手県 | 363人 | 0人 |
宮城県 | 486人 | -2人 |
秋田県 | 247人 | -2人 |
山形県 | 209人 | -2人 |
福島県 | 628人 | -2人 |
茨城県 | 921人 | -7人 |
栃木県 | 619人 | -3人 |
群馬県 | 629人 | -4人 |
埼玉県 | 2222人 | -3人 |
千葉県 | 1641人 | 2人 |
東京都 | 4938人 | -4人 |
神奈川県 | 3378人 | -16人 |
新潟県 | 371人 | 0人 |
富山県 | 209人 | -3人 |
石川県 | 289人 | -2人 |
福井県 | 223人 | -1人 |
山梨県 | 287人 | -1人 |
長野県 | 863人 | 1人 |
岐阜県 | 478人 | 0人 |
静岡県 | 1348人 | 1人 |
愛知県 | 1522人 | 4人 |
三重県 | 425人 | 1人 |
滋賀県 | 298人 | 2人 |
京都府 | 805人 | 1人 |
大阪府 | 1977人 | -2人 |
兵庫県 | 1283人 | 1人 |
奈良県 | 484人 | 5人 |
和歌山県 | 196人 | -2人 |
鳥取県 | 188人 | 2人 |
島根県 | 166人 | 0人 |
岡山県 | 562人 | 1人 |
広島県 | 558人 | -3人 |
山口県 | 374人 | -2人 |
徳島県 | 309人 | -1人 |
香川県 | 201人 | -7人 |
愛媛県 | 369人 | -2人 |
高知県 | 134人 | 0人 |
福岡県 | 1333人 | 6人 |
佐賀県 | 196人 | 0人 |
長崎県 | 209人 | -2人 |
熊本県 | 413人 | 0人 |
大分県 | 220人 | 0人 |
宮崎県 | 246人 | 0人 |
鹿児島県 | 337人 | -2人 |
沖縄県 | 114人 | 1人 |
海外 | 12人 | 0人 |
不明 | 44人 | 0人 |
全国 | 35322人 | -61人 |
備考:不明は転居先が不明の会員を示します。
表3 支部別の会員数(8月1日現在)
都道府県 | 会員数 | 対前月差 |
小清水 | 13人 | 0人 |
オホーツク支部 | 242人 | 0人 |
根室支部 | 81人 | -1人 |
釧路支部 | 160人 | -3人 |
十勝支部 | 193人 | 0人 |
旭川支部 | 82人 | -3人 |
滝川支部 | 46人 | 0人 |
道北支部 | 34人 | 0人 |
江別支部 | 20人 | 0人 |
札幌支部 | 308人 | 0人 |
小樽支部 | 75人 | 0人 |
苫小牧支部 | 169人 | 2人 |
室蘭支部 | 158人 | -1人 |
函館支部 | 25人 | 0人 |
道南檜山 | 72人 | -1人 |
青森県支部 | 139人 | -2人 |
弘前支部 | 119人 | -2人 |
秋田県支部 | 237人 | -1人 |
山形県支部 | 192人 | -2人 |
宮古支部 | 88人 | -1人 |
もりおか | 155人 | 0人 |
北上支部 | 106人 | 0人 |
宮城県支部 | 441人 | -2人 |
ふくしま | 161人 | -2人 |
郡山 | 172人 | 0人 |
二本松 | 15人 | 0人 |
白河支部 | 40人 | 0人 |
会津支部 | 51人 | 0人 |
奥会津連合 | 10人 | 0人 |
いわき支部 | 111人 | 0人 |
福島県相双支部 | 16人 | 0人 |
南相馬 | 14人 | 0人 |
茨城県 | 823人 | -5人 |
栃木 | 603人 | 0人 |
群馬 | 565人 | -4人 |
吾妻 | 41人 | 0人 |
埼玉 | 1679人 | -4人 |
千葉県 | 1068人 | 3人 |
東京 | 2892人 | -3人 |
奥多摩支部 | 840人 | -1人 |
神奈川支部 | 2387人 | -8人 |
新潟県 | 286人 | 0人 |
佐渡支部 | 29人 | 1人 |
富山 | 186人 | 0人 |
石川 | 267人 | -4人 |
福井県 | 215人 | -1人 |
長野支部 | 468人 | 2人 |
軽井沢支部 | 175人 | 2人 |
諏訪 | 233人 | 2人 |
木曽支部 | 22人 | 0人 |
伊那谷支部 | 81人 | -1人 |
甲府支部 | 196人 | -1人 |
富士山麓支部 | 56人 | 0人 |
東富士 | 67人 | 0人 |
沼津支部 | 168人 | -1人 |
南富士支部 | 248人 | 2人 |
南伊豆 | 41人 | 0人 |
静岡支部 | 355人 | -1人 |
遠江 | 414人 | -2人 |
愛知県支部 | 1117人 | 4人 |
岐阜 | 480人 | -2人 |
三重 | 358人 | 2人 |
奈良支部 | 455人 | 6人 |
和歌山県支部 | 197人 | -1人 |
滋賀 | 298人 | 2人 |
京都支部 | 769人 | 1人 |
大阪支部 | 1870人 | 1人 |
ひょうご | 980人 | -2人 |
鳥取県支部 | 205人 | 2人 |
島根県支部 | 158人 | 0人 |
岡山県支部 | 529人 | -1人 |
広島県支部 | 482人 | -2人 |
山口県支部 | 352人 | -2人 |
香川県支部 | 163人 | -3人 |
徳島県支部 | 320人 | -1人 |
高知支部 | 121人 | 0人 |
愛媛 | 344人 | 0人 |
北九州 | 311人 | 0人 |
福岡支部 | 601人 | 3人 |
筑豊支部 | 233人 | 1人 |
筑後支部 | 166人 | 0人 |
佐賀県支部 | 216人 | -1人 |
長崎県支部 | 201人 | -2人 |
熊本県支部 | 404人 | 0人 |
大分県支部 | 218人 | 1人 |
宮崎県支部 | 238人 | 0人 |
鹿児島 | 306人 | -1人 |
やんばる支部 | 78人 | 0人 |
石垣島支部 | 25人 | 0人 |
西表支部 | 42人 | 0人 |
30387人 | -38人 |
備考:支部別の会員数の合計は、都道府県別の会員数の合計と異なります。これは、本部型(青い鳥)会員や支部に所属されていない個人特別会員が支部別の会員数に含まれないためです。
(会員室/沖山展子)
厳しい暑さが続いておりますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。いつも支部ネット通信をご愛読いただき、ありがとうございます。
今月号では、「『Strix』34巻向け原稿募集のお知らせ」が掲載されています。連携団体の皆様の調査研究の発表の場にしていただければと思います。どうぞお気軽にお問合せください。
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支部ネット通信 第161号 ◆発行 公益財団法人日本野鳥の会 2017年8月25日 ◆担当 総務室 総務グループ 奥田秋穂/林山雅子 〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル TEL:03-5436-2620 FAX:03-5436-2635 E-mail:[email protected] |