No.158 2017年5月号


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目次 ◆支部の動き
支部報 保護・調査記事関連トピックス
◆ブロックからのお知らせ
九州・沖縄ブロック協議会報告
◆事務局からのお知らせなど
5月号『フィールドガイド日本の野鳥』
 増補改訂新版の取り組み
野鳥保護資料集 第31集「野鳥と風力発電の
 センシティビティマップ」の頒布を開始しました

オオジシギ生息状況アンケート調査への協力の
 お願い

支部・代表者・事務局変更のお知らせ
会員数

支部の動き

■支部報 保護・調査記事関連トピックス

 本記事は日本野鳥の会へ送付されてきている各地の支部報/会報から抽出して作成し、調査・保護に関心がある野鳥の会の会員へ配信しております。本記事の一部又は全部を不特定多数が見る可能性があるところへ公開される場合は、各支部/各会の了承を事前に得て下さい。記事は筆者の意向に反しないように、取り扱いをお願いします。

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.840

●2017/3-4 宮城県
・探鳥会リーダーズフォーラム東日本
●2017/3 東京
・鳥のフィールドサインに注目
・東京湾のミヤコドリ
・絶滅より脱出アカガシラカラスバト
●2017/3-4 諏訪
・2017年諏訪湖のカモ調査
●2017/4 伊那谷
・リニア新幹線残土NO!の取り組み
●2017/1 岐阜
・カラス(東濃ブロック)
●2017/2 岐阜
・絶滅した鳥、小笠原の鳥
●2017/2-3 京都
・2016年秋季タカの渡り調査(調査部)
・バレンタインデー由来の鳥(fagus)
●2017/3 高知
・風力発電が渡り鳥に与える影響を考える
●2017/3 筑豊
・2017年ガンカモ調査(研究部)

●2017/3-4 宮城県
・探鳥会リーダーズフォーラム東日本
 1/28、29、八王子市で開催され、23名(12支部)、本部10名が参加した。このフォーラムは今回が3回目で、全国支部の探鳥会実践情報を交換、共有する会である。HPまたはFacebookの有効活用、探鳥会参加者を増やし入会者を増やす方法が提案された。最終目的は自然を愛し、保全しようとする人を育てることで、直接探鳥会、保全保護活動に参加できなくても、会費がそれに活かされている方向を踏まえた運営が大切である。
(宮城県「雁」NO.282,P18〜19)

●2017/3 東京
・鳥のフィールドサインに注目
 野生動物が残した生活痕跡をまとめてフィールドサインと呼ぶ。鳥の場合は羽毛、ペリット、糞、足跡、古巣、食痕、はやにえ、砂浴び跡等がある。桜の吸蜜は、ワカケホンセイインコはスズメと異なり、枝を切り取り、片足で枝を持って花を摘み取るので、地面には花が切り取られた桜の枝が落ちている。参考:「鳥のフィールドサイン観察ガイド」箕輪義隆著(文一総合出版)
(東京「ユリカモメ」NO.737,P3)

・東京湾のミヤコドリ
 ミヤコドリは1980年代葛西でごく稀に観察されたが、1990年代から増え、三番瀬で初めて越冬が確認された1992年以降、継続して見られている。葛西での月例探鳥会で記録された最大数は2015/4の230羽で、ここでのピークは4月で三番瀬に潮干狩りに人が入り避難してくる個体や渡り時期のため。
(東京「ユリカモメ」NO.737,P16)

・絶滅より脱出アカガシラカラスバト
 10年前、この小笠原諸島固有亜種は100羽以下であったが、2008年、保全のため国際ワークショップが開かれ、山域のネコ排除が始まった。それから10年、目撃情報が増え、今では集落近くで見られ幻のプレミアでなくなった。愛称「アカポップ」と呼ばれる。
(東京「ユリカモメ」NO.737,P20)

●2017/3-4 諏訪
・2017年諏訪湖のカモ調査
 1/8、湖面に氷が無い諏訪湖で調査した。10種、1,338羽を記録。内訳は、カワアイサ557、カルガモ215、ヒドリガモ186、キンクロハジロ106、マガモ104等。漁協が魚食性カモ類の追い払いをしており、カワアイサは大幅に減っている。追い出されたカワアイサ、ミコアイサ、キンクロハジロ、ホシハジロ等は今まで見なかった天竜川に散在している。
(諏訪「いわすずめ」NO.173,P9〜10)

●2017/4 伊那谷
・リニア新幹線残土NO!の取り組み
 リニア新幹線、トンネル掘削による残土は長野県内で975万m3・東京ドーム7.7個分予定、処分地は未だ決まっていない。内、65万m3を伊那郡豊岡村の天竜川支流上流の沢筋に盛土するJR東海の案は、地元民の反対署名活動、村議会での埋立地候補地請願不採択を受け、JR東海はこの残土候補地を断念した。JR東海が残土処分候補地を断念したのは初である。
(伊那谷「かわせみ」NO.47,P5〜6)

●2017/1 岐阜
・カラス(東濃ブロック)
 ハシブトガラスの巣は木の葉が繁った中にあり見つけづらい、直ぐ見つかるのはハシボソガラスが多い。共に抱卵は20日程度、巣立ちまで32〜35日、3年程で繁殖可能、寿命は長くて20年(飼育下では40年)である。ハシブトガラスは丸尾、羽ばたき浅い、羽根に光沢がある。ハシボソガラスは角尾で羽ばたき深く、羽根はツヤ消しである。沖縄ではハシボソガラスは冬鳥、国外では街中にハシブトガラスはいない。
(岐阜「濃飛の野鳥」NO.591,P2)

●2017/2 岐阜
・絶滅した鳥、小笠原の鳥
 小笠原諸島で絶滅した鳥は3種、亜種1種がいる。オガサワラガビチョウは1828年の父島での4個体の標本が残るのみ。 オガサワラマシコは1827年に英国人が捕獲した2羽、1828年に独逸人が捕獲した9羽の標本が残るのみ。オガサワラカラスバトは1889年の聟島での3羽の標本があるのみ。オガサワラハシブトゴイはハシブトゴイでは最北に生息していた亜種で1889年に絶滅している。以上の標本は全て海外の博物館にある。
(岐阜「濃飛の野鳥」NO.592,P9)

●2017/2-3 京都
・2016年秋季タカの渡り調査(調査部)
 9/3〜11/7、岩間山でタカ類総数12,275羽が通過した。内訳はサシバ6,592、ノスリ4,702、ハチクマ1,134、ツミ186、ハイタカ61、逆行ハイタカ53、ハイタカ属67、オオタカ38、ハヤブサ15、チゴハヤブサ10、チョウゲンボウ7、ミサゴ17等。サシバは例年平均の4,500を上回る調査以来最大数であった。ハチクマ幼鳥で識別できた成鳥との比は25%で例年の25〜30%に合う。サシバのピークは9/25〜27に3,280、9/30に1,658でこの4日間で約5千羽が集中した。
(京都「そんぐぽすと」NO.204,P14〜17)

・バレンタインデー由来の鳥(fagus)
 世界大百科事典(平凡社)に「2/15の古代ローマの豊穣祭Lupercaliaは鳥が睦む日で、鳥が愛をささやき始める日と言われた。2/14はツバメが番になる日との民間伝承があり、この日に最初に出会った人が結婚相手になるとの俗説が生まれた」。2/14のバレンタインデーの由来の1つにこの鳥らが絡んでいる。
(京都「そんぐぽすと」NO.204,P27)

●2017/3 高知
・風力発電が渡り鳥に与える影響を考える
 12/11、慶応大学で本部主催のシンポジウムがあった。基調講演は本部自然保護室浦達也氏から事後調査の積み上げ、施設集中による累積的影響評価の実施、ゼロオプションの採用、戦略的アセスの法的制度の改正の取り組み指摘があった。環境省からは2012年から1万KW以上の風力発電は環境影響評価法の対象になり、環境大臣意見を出したものは6割以上と増えている。集中設置での累積的影響の問題はゾーニング手法で検討する。モンゴル、英国の例が報告され、バードライフ・インターナショナルからは帆翔性鳥類の脆弱性マッピング手法の開発、脆弱なエリアには風車は立てないとある。その後、樋口広芳氏のモデレートでパネルディスカッションがあった。環境影響評価が始まったばかりの日本は先進的な欧州に遅れがある。
(高知「しろぺん」NO.362,P1〜2)

●2017/3 筑豊
・2017年ガンカモ調査(研究部)
 1/7〜20、筑豊の5箇所で調査した。総計1,255羽、内訳はマガモ838、オシドリ141、ヒドリガモ87、カルガモ71等。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.469,P24)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.841

●2017/3 札幌
・石狩湾周辺の大型風力発電事業計画(石狩湾岸の風力発電を考える石狩市民の会)
・スズガモに魅せられて(東京 保護部幹事)
●2017/3 茨城県
・2017年ガン・カモ・ハクチョウ類一斉調査(環境計画部)
・繁殖地図調査の勧め
・風前の灯、神栖沖風力発電
●2017/3-4 群馬
・琵琶湖のオオバンの増加について
●2017/3 埼玉
・俳句の鳥
・亜種リュウキュウサンショウクイ(野鳥記録委員会)
●2017/3-4 諏訪
・アホウドリの復活を語る
●2017/3 徳島県
・2017年ガンカモ調査(研究部)
●2017/3-4 広島県
・カワウ生息状況モニタリング調査

●2017/3 札幌
・石狩湾周辺の大型風力発電事業計画(石狩湾岸の風力発電を考える石狩市民の会)
 石狩湾新港では48基の大型風力発電が計画されている。銭函風力発電では準備書で2000KWX15基、出力3万KWが評価書では3300KWX10基、出力3万3千KWとなり、アセス法では総出力1割の増加は再アセス不要とし、問題無しとしている。単機風車の大型化で環境省は健康への影響の訴えが増加しているのは把握しているが、健康被害は無く、苦情としている。御用学者が4年間調べた結論である。耳鼻科医療では低周波音は鼓膜の奥で感知され、低周波音の聴覚系疾病発症率は1〜5%とある。人口密集地近くでの大型風車は中止すべきである。
(札幌「カッコウ」NO.391,P4〜7)
 
・スズガモに魅せられて(東京 保護部幹事)
 葛西臨海公園には毎年3〜6万羽のスズガモが飛来する。鳥類園は公園(1989年)の5年後にオープンし、支部はそれを機に同地の探鳥会を定例化した。2020年の東京オリンピック計画で臨海公園の緑地1/3を壊す案が出たが、都は生き物の聖地を自ら壊す自己矛盾があり、11回の都との交渉で会場は公園外へ移動された。この環境をラムサール条約地に登録するよう準備会を立ち上げ、12/18に法政大学でシンポジウムを開催し、2018年のcop13での登録を目指している。
(札幌「カッコウ」NO.391,P10)

●2017/3 茨城県
・2017年ガン・カモ・ハクチョウ類一斉調査(環境計画部)
 1/15、県内71箇所で調査し、27種、123,831羽を記録した。内訳はオオハクチョウ808、コハクチョウ274、コブハクチョウ88、ヒシクイ131、マガン5、ハクガン1、マガモ46,325、ヒドリガモ19,401、オナガガモ13,915、カルガモ12,140、コガモ11,898、スズガモ6,722、オカヨシガモ5,893、ヨシガモ2,730、キンクロハジロ1,195、ホシハジロ899等。
(茨城県「ひばり」NO.336,P3〜5)

・繁殖地図調査の勧め
 茨城県鳥獣センターで保護収容された野鳥を見ると、カワウ、カンムリカイツブリ、キジ、コブハクチョウ、アカエリカイツブリ、アオサギ等、概して水辺の鳥が増えている。逆に収容数が減っているのはダイサギ、アマサギ、ヨシゴイ、セグロセキレイ、カルガモ、サシバ、アオバズク、ジョウビタキ等である。身近な鳥の変化は収容記録で推測できるが、深山の鳥はよく分からない。11年ぶりになるが、全国繁殖地図調査に参加頂きたい。
http://bird-atlas.jp/
(茨城県「ひばり」NO.336,P6〜7)

・風前の灯 神栖沖風力発電
 1/10、茨城県港湾課は神栖市沖の南半分の権利を持つ丸紅が撤退したと発表した。北半分もウィンドパワー社がヤフーパワー社に権利譲渡し、資金力がある企業が相次いで撤退し、事業の先行きは不透明になっている。
(茨城県「ひばり」NO.336,P22〜23)

●2017/3-4 群馬
・琵琶湖のオオバンの増加について
 オオバンは環境省のガン・カモ・ハクチョウ類一斉調査の対象外で、全国調査が必要である。滋賀県の「滋賀県ガンカモ類等生息調査」では琵琶湖を中心に2017年:20,231羽、2010:35,323、2014:51,210、2016:84,869と急増している。名城大学の橋本啓史氏は「オオバンの増加は国内の繁殖分布域拡大だけでは説明できない。中国で越冬していた個体が群れで西日本に場所を変えた可能性が高い」としている。
(群馬「野の鳥」NO.340,P3〜7)

●2017/3 埼玉
・俳句の鳥
 芭蕉、蕪村、一茶合わせて40種位の鳥の句を詠んでいるが、芭蕉は100句超、蕪村は150句弱、一茶は200句超を詠んでいる。松尾芭蕉はホトトギス、与謝蕪村はウグイス、小林一茶は雁が多い。一茶が最も愛鳥精神に満ちている。その代表句に「きょうからは日本の雁ぞ楽に寝よ」がある。
(埼玉「しらこばと」NO.395,P2〜3)

・亜種リュウキュウサンショウクイ(野鳥記録委員会)
 11/8、さいたま市で撮影記録された。同亜種は分布の北上・拡大が知られている。近年は静岡県、神奈川県で観察され、今回は埼玉県内で撮影観察された。初記録である。
(埼玉「しらこばと」NO.395,P9)

●2017/3-4 諏訪
・アホウドリの復活を語る
 12/18、山階鳥研の佐藤文男氏の講演会があった。1951年、鳥島で僅か10羽余りのアホウドリが見つかって以来、1976年、東邦大学長谷川博教授が保護活動を始め、1991年からは山階鳥研も本格的に参画している。鳥島から300q離れた聟島から飛び立った巣立ち雛69羽の内、戻ったのは23羽である。プラスチック漂流ゴミの海洋汚染が年々悪化し、アホウドリの誤飲による死亡例がある。
(諏訪「いわずずめ」NO.173,P4)

●2017/3 徳島県
・2017年ガンカモ調査(研究部)
 1/15、全国一斉ガンカモ調査に参加した。徳島県での集計は24,946羽で内訳はコハクチョウ2、ヒドリガモ6,761、マガモ5,883、コガモ3,415、カルガモ3,250、オカヨシガモ1,449、スズガモ1,441等。ちなみに全国調査総計は1,949,694羽、内スズガモは127,603羽。
(徳島県「野鳥徳島」NO.462,P5〜7)

●2017/3-4 広島県
・カワウ生息状況モニタリング調査
 9月から3月、中国地方では県外から多数のカワウが飛来し、最大羽数になるのが知られている。今シーズンも夏期の約2倍の4,400羽のカワウが広島県内に滞在し、内2,400羽が広島湾岸の3箇所の塒に集まった。
(広島県「森の新聞」NO.209,P9〜10)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.842

●2017/4 東京
・シジュウカラ繁殖メッシュ図
・スカイツリーにとまる鳥は?
●2017/3 神奈川
・名前に地名がついた鳥2
・外来種放たない徹底を(幹事)
●2017/4 岐阜
・アオサギ(ヘロン)
・2017年ガンカモ科鳥類生息調査(研究部)
●2017/3-4 愛媛
・オオバン(調査研究担当)
・2017年ガンカモ調査概況(調査研究担当)
●2017/4 筑豊
・ウェブサイトの保存(情報部)
・オオセッカ
・鳥のベストテン(編集部)

●2017/4 東京
・シジュウカラ繁殖メッシュ図
 1970年代の東京都のシジュウカラ繁殖分布図を見ると、23区東部の下町地区は冬期も殆ど姿を見ず、緑が殆ど無い地区である。1990年代になると、その空白地区は少しずつ減り、この地区の緑被率が高まった結果である。今回、3回目の鳥類繁殖分布調査を行う。野鳥の会会員の協力をお願いしたい。
問合せ先 バードリサーチ[email protected]
(東京「ユリカモメ」NO.738,P13)

・スカイツリーにとまる鳥は?
 高さ634mの東京スカイツリーがオープンして5年、スカイツリーに一番乗りする鳥は?バード・フォト・アーカイブの塚本洋三氏から「生活の場としてその天辺に止まる鳥は、まずいないのでは」とあり、未だ天辺に止まっている鳥の目撃情報は無い。ハシブトガラスが本命か。
(東京「ユリカモメ」NO.738,P17)

●2017/3 神奈川
・名前に地名がついた鳥2
 新地に移住、探検した人が見た鳥を故郷の鳥を模して故郷の地名を冠して呼ぶことがあるが、元の種と同じか怪しいので名前に惑わされてはいけない。米国でRobinと呼んでいるものは日本、欧州のコマドリの仲間ではなく、豪州でWrenと呼んでいるものはミソサザイとは異なる鳥である。尾を上に折り曲げるのはミソサザイに似るがムシクイの仲間である。
(神奈川「はばたき」NO.538,P4)

・外来種放たない徹底を(幹事)
 1/28の東京新聞への投稿記事より。外来種を持ち込んだ業者は「客が求めるから」、買う人は「売っているから」と責任逃れし、法律が追い付いていない。投稿で野鳥の会の名前を出すのは啓発活動の意識ではなく、本会は鳥マニアの集合体の世間の先入観を払拭して、自然保護団体の認知を社会に広めたいためである。
(神奈川「はばたき」NO.538,P9)

●2017/4 岐阜
・アオサギ(ヘロン)
 アオサギは近年、非常にポピュラーな鳥になった。川の水質が良くなりアオサギが食べる大きな魚が増えたためか。コサギが食べる魚もアオサギが食べ、アオサギが食べる大きな魚をコサギは食べられないためかコサギは減っている。山下達郎の曲にヘロン(アオサギ)という作品がある。歌の冒頭に「どんなにさみしい夜もやさしい声が聞こえる」とあるが、「グワーッ」と鳴くとは知らなかったようである。
(岐阜「濃飛の野鳥」NO.594,P2)

・2017年ガンカモ科鳥類生息調査(研究部)
 1/14、15、岐阜県下101箇所で調査した。ハクチョウ類18羽、カモ類17種、24,094羽であった。内訳はマガモ5,505、コガモ4,353、カルガモ3,751、ヒドリガモ3,713、キンクロハジロ1,651、オナガガモ1,449、オカヨシガモ902、ヨシガモ711、オシドリ593、ハシビロガモ529、カワアイサ468、ホシハジロ398等。オナガガモはこの数年余りいなかったが今回10倍以上に増え、ヨシガモはこの20年間漸増している。オオバンは101箇所中46箇所で確認された。
(岐阜「濃飛の野鳥」NO.594,P8〜9)

●2017/3-4 愛媛
・オオバン(調査研究担当)
 オオバンは増えた。愛媛県では1980年代は1、2羽が数箇所で見られる程度で、1990年代から見られる場所が増え、1992年県内初繁殖があった。その後、県内各地で数羽程度あったが、2010年代から急増している。2008年県内で121羽が2017年には1,706羽になっている。越冬するバンが増えたのは中国で越冬しているものが洪水で採餌場所を失い、日本や韓国に移動した、東アジアから極東ロシアで繁殖個体群が増えたという説(橋本2017)がある。越冬中は外来種のオオカナダモも食べる。カラス、カワウ、バン、黒い鳥は何故増える。
(愛媛「コマドリ」NO.237,P2)

・2017年ガンカモ調査概況(調査研究担当)
 1/7〜9、愛媛県下で調査した。カモ類総計33,507羽で内訳はマガモ8,931、コガモ5,891、ヒドリガモ5,674、カルガモ3,710、オナガガモ3,534、オシドリ2,714、ホシハジロ1,156、ハシビロガモ778、オカヨシガモ471、キンクロハジロ327、ヨシガモ206等。
(愛媛「コマドリ」NO.237,P13)

●2017/4 筑豊
・ウェブサイトの保存(情報部)
 支部の公式ウェブサイトは総合的な情報収集と記録の永続的保存を目指している。古くなると見られなくなる電子掲示板的な運用は排している。100年後でも私たちの活動を伝えるタイムカプセル的役割を目指す。退会した人から自分が投稿したものの削除要求がある場合があるが、原則としてそのまま残して頂きたい。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.470,P28〜29)

・オオセッカ
 オオセッカは中国の一部と日本で局地的に繁殖する世界的希少種で、日本での生息数は1,000羽程度と言われる。青森、秋田、茨城、千葉等の湖沼、河原のアシ原に生息し、越冬地は不明な点が多い。繁殖地、越冬地共にアシやスゲが繁茂する湿地や沼沢地が必要で、開発で失われやすい。越冬地、渡り状況の詳しい調査、総合的な保全が不可欠である。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.470,P45〜46)

・鳥のベストテン(編集部)
 雑誌社のアンケート結果。上位から順に美しい鳥:カワセミ、オオルリ、サンコウチョウ、キビタキ、ルリビタキ、タンチョウ、オシドリ、ヤイロチョウ、アカショウビン、オナガ。恰好が良い鳥:ハヤブサ、オオタカ、オオワシ、ミサゴ、イヌワシ、クマタカ、オジロワシ、シマフクロウ、ヤマセミ、ツバメ。可愛い鳥:エナガ、スズメ、メジロ、キクイタダキ、シマエナガ、ジョウビタキ(♀)、シジュウカラ、ヤマガラ、コガラ、ミソサザイ。声が美しい鳥:ウグイス*、オオルリ*、キビタキ、ミソサザイ、イソヒヨドリ、クロツグミ、コマドリ*、サンコウチョウ、アカショウビン、シジュウカラ、(*印は日本三鳴鳥)。見たい鳥:シマフクロウ、アカショウビン、ヤイロチョウ、ヤマドリ、ライチョウ、タンチョウ、エトピリカ、シマエナガ、ハチドリ(外国産)、ヤンバルクイナ。(出典:BIRDER 2014/6)
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.470,P59)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.843

●2017/4 札幌
・H29年オオワシ・オジロワシ一斉調査
・バードウォッチング長靴誕生物語(本部普及室)
●2017/4 いわき
・蜜無しで虫を呼ぶ黄色い花
●2017/4 千葉県
・顔白エナガ(幹事会)
・沼の水位下げたらハクチョウ激増(2/7朝日新聞)
・海の生態系を脅かす微粒子(2/5日本経済新聞)
●2017/4 山口県
・カワウ調査
・第36回ガン・カモ・ハクチョウ類一斉調査
●2017/4 北九州
・ハヤブサの人工巣棚
・カモ類が越冬する溜池にソーラーパネル設置計画
・H29年ガン・カモ・ハクチョウ類調査(研究部)
●2017/4 筑後
・パラグライダーと野鳥

●2017/4 札幌
・H29年オオワシ・オジロワシ一斉調査
 2/19、石狩川流域で調査した。オジロワシ11、オオワシ1を確認した。
(札幌「カッコウ」NO.392,P10)

・バードウォッチング長靴誕生物語(本部普及室)
 野鳥の会固有の商品誕生のきっかけは、会員がバードウォッチング旅行で長靴持参が必要になり、嵩張らない田植え用長靴が目につき、本部と長靴メーカーに提案があり、2004/4、新しい長靴が開発され発売になった。今では口コミでガーデニング、野外イベント、豪雨対策用としても広がっている。
(札幌「カッコウ」NO.392,P11)

●2017/4 いわき
・蜜無しで虫を呼ぶ黄色い花
 フクジュソウには虫を誘う甘い蜜を出す蜜腺が無い。虫媒花でありながら、エネルギーを蜜に回さず、省エネしている。その代わりパラボラアンテナ型の黄色い花びらで太陽光を集め、その熱で昆虫を誘引している。気温8℃の時、花びらの中心では32℃もあり、虫は花粉を食べに来るが、その際受粉させる。
(いわき「かもめ」No.134,P4)

●2017/4 千葉県
・顔白エナガ(幹事会)
 以前千葉県内で顔が白いエナガの観察記録があったが、会員へ情報募集した結果、2008年から現在まで計9件の写真提供があった。頭が真っ白もおり、僅かに少し色がついている個体もあった。
(千葉県「ほおじろ」NO.432,P3〜6)

・沼の水位下げたらハクチョウ激増(2/7朝日新聞)
 1/12の観察で宮城県の伊豆沼、内沼でオオハクチョウ6,412羽、前年同期の4倍近くに急増していた。昨年の10月より岸辺のヨシを刈り取るため沼の水位を15cm下げた結果で、沼底のレンコンをオオハクチョウが食べやすくなったためと伊豆沼・内沼環境保全財団では見ている。水面から沼底まで40〜60cmで、ハクチョウはレンコンの根が食べられる。
(千葉県「ほおじろ」NO.432,P12)

・海の生態系を脅かす微粒子(2/5日本経済新聞)
 洗顔料や歯磨き粉などに含まれる「@」と呼ぶ微粒子による海の汚染が懸念されている。この微粒子は有害物質に吸着し魚や鳥が飲み込む。欧米では使用禁止の動きがあり、日本では業界団体が自主規制を呼び掛けている。「マイクロビーズ」は直径1o以下のポリエチレン樹脂で、汚れや古い角質を落とすために添加されている。下水処理で殆ど回収可能であるが、海に直接流れたものは分解に時間が掛かる。化粧品に入っている更に細かな「マイクロビーズ」の人体や生態系への影響は分かっていない。
(千葉県「ほおじろ」NO.432,P12〜13)

●2017/4 山口県
・カワウ調査
 H28年度、山口県野生鳥獣調査団に支部も調査に協力した。山口県内に21箇所のカワウの塒があり、その利用個体数は5月:915、6月:959、12月:2,840で、宇部市の厚東川中流で12月に就塒1,640羽で最大であった。
(山口県「やまぐち野鳥だより」NO.250,P3〜4)

・第36回ガン・カモ・ハクチョウ類一斉調査
 1/15、山口県内46箇所で調査した。結果はマガン1、オオハクチョウ1、カモ類26,874羽で内訳はマガモ6,820、ヒドリガモ4,373、カルガモ3,699、スズガモ2,903、オシドリ1,644、ホシハジロ1,601、コガモ1,409、オナガガモ1,334、ヨシガモ774、キンクロハジロ536、オカヨシガモ412、ハシビロガモ228、トモエガモ222等。別にオオバン775。
(山口県「やまぐち野鳥だより」NO.250,P16〜17)

●2017/4 北九州
・ハヤブサの人工巣棚
 2000/5、北九州市の土地区画整備造成地内の採石跡地でハヤブサの雛3羽が確認され、北九州市、定量評価研究会、九州国際大学、区画整備事務所、日本野鳥の会北九州支部でハヤブサの分布、営巣場所の選定条件等を解析し、2000/11から人工巣棚による繁殖実験を試みた。2008/7、当初の巣棚の崩落もあったが、本来のハヤブサの保全、繁殖に一定の成果があった。
(北九州「北九州野鳥」NO.370,P13〜14)

・カモ類が越冬する溜池にソーラーパネル設置計画
 北九州市の豊前坊池(9.7ha)に太陽光のパネル設置の相談が業者から市にあった。同池は市有地で市が維持管理している。北九州市からの支部への意見照会で、「市有地のため池くらい、カモのために残したら」「市の言う野生生物との共生に矛盾するので、パネル設置は賛成しない」とした。支部のガンカモ調査記録提示が役立った。
(北九州「北九州野鳥」NO.370,P15)

・H29年ガン・カモ・ハクチョウ類調査(研究部)
 1/15前後に、北九州市内18箇所で調査した。ヒシクイ1、コブハクチョウ4、カモ類8,667羽で内訳はマガモ1,513、オナガガモ1,412、ホシハジロ1,101、スズガモ976、ヒドリガモ962、カルガモ926、コガモ547、キンクロハジロ422等。
(北九州「北九州野鳥」NO.370,P16)

●2017/4 筑後
・パラグライダーと野鳥
 上昇気流は風が山にぶつかって斜面を登る冷たく感じるリッジ(ridge)、温まった空気が上昇するサーマル(thermal)、前線付近での前線性上昇気流の3種がある。タカ柱はthermalの中心にでき、山沿いに低くタカやカラスが飛ぶ時はridgeを利用している。前線性上昇気流は天気が悪いので利用されない。thermalは裸地になっている田畑や高速道路の上空で発生しやすい。草地や緑地は日光を吸収するので、上昇気流はできづらい。猛禽類の渡りはthermalとridgeが合体した所に多く、青空の中、底が黒く見える雲塊が山に向かって流れ越えていくthermal blowと呼ばれる風が強弱を繰り返す場所が多い。
(筑後「まめわり」NO.191,P6)

(自然保護室・野鳥の会・神奈川/森 要)

ブロックからのお知らせなど

■九州・沖縄ブロック協議会報告

【日時】:2017年2月4日(土)13:00〜17:00
【場所】:くるめりあ みんくるセミナー室(福岡県久留米市)
【参加者】:大分県支部(支部長:谷上和年、事務局長代理:幸徳行)、福岡支部(事務局:田村耕作、永松愛子)、西表支部(支部長:衣斐継一)、鹿児島(上林房秀子)、北九州支部(事務局:前田伸一)、熊本県支部(事務局:原口研治)、筑豊支部(支部長:梶原剛二、植物部部長:三浦博嗣、事務局:広塚忠夫)、長崎県支部(事務局:執行利博)、佐賀県支部(支部長:宮原明幸)、筑後支部(支部長:松富士将和、研究部副部長:池長裕史)、財団事務局(常務理事兼事務局長:上原健、自然保護室室長:葉山政治、普及室室長代理:箱田敦只、普及室員:堀本理華)の計19名。

【議事】
1.開会挨拶(宮原佐賀県支部支部長)
遠方からの参加に対するお礼と開会宣言があった。
2.財団事務局 挨拶(上原常務理事兼事務局長)
 法人特別会員の企業と対話する中で、生物多様性を守ることへの認識が定着している一方、企業のCSRとしては社員のメンタルヘルス障害に対する優先度が高いことを実感しており、野鳥の会として自然のポテンシャルを活かしメンタルヘルス障害の予防に対する働きかけも出来るのではないかと考えていること、及び会員減少や高齢化は、日本全国に通じる状況でもあり、地域起こしや地域創生に対して野鳥の会が関れないかと考えていること、並びに先端技術を持っている企業から、自然保護の分野で野鳥の会と協力したいという相談を受けることも増えてきていることが述べられ、今後も支部と協力し合い、魅力ある活動を続けていきたい旨、挨拶があった。
3.議題
@モニ1000研修会開催及び繁殖分布調査説明会開催について(葉山自然保護室室長)
 モニ1000研修会及び繁殖分布調査説明会を秋から冬に数ヶ所で開催している。毎年1回は九州のどこかで開催したいと思っているので、開催の希望があれば知らせてほしい。また繁殖分布調査について不明な点がある場合は、財団から支部へ説明に行くことも可能なので、気軽に声をかけてほしい旨が述べられた。
A2016年度会員を増やすための探鳥会について(堀本普及室員)
 2016年度の会員を増やすための探鳥会について、途中経過が報告され、来年度に向けて参加の依頼があった。
B会計報告、決算及び予算(谷上大分県支部支部長)
 会計報告については、後日メールで行うことが承認された。
C久留米開催の交通費についての確認(松富士筑後支部支部長)
 今後は、久留米で協議会を開催すること、及び旅費については、次年度確認することが承認された。
D役員変更(宮原佐賀県支部支部長)
 ブロックの役員について、2017年度は、代表を福岡県支部、事務局を筑豊支部が務めることが確認された。
E一泊探鳥会保険について(広塚筑豊支部事務局長)
 宿泊を伴う探鳥会の保険について、名簿を後から提出するやり方で締結ができないかという要望があり、意見交換をした。また宿泊を伴う探鳥会については、旅行業法に抵触するため、旅行代理店を通じて実施する必要があることが確認された。
F会報の電子版化と交流促進(広塚筑豊支部事務局長)
 会報の電子版化と交流促進について連携団体全国総会で提案し、財団総務室へメール版を送付後、総務室から受信環境の整っている85団体に配信されることになったことが報告された。また、電子版に対するメリットとデメリット等について意見交換をした。
G九州沖縄ブロック大会in英彦山案内(広塚筑豊支部事務局長)
2017年5/20(土)〜21(日)に、福岡県立英彦山青年の家で、2017年九州・沖縄ブロック大会を開催すること、またその概要について報告された。
H各ブロック、活動報告
■熊本県支部(原口事務局長)
 熊本地震の被害状況と支援に対するお礼が述べられた。また南阿蘇村のオオジシギが毎年繁殖している場所で崖崩れがあり、村では復旧工事としてコンクリートで覆う計画をしており、会として意見を伝える予定であることが報告された。
■西表支部(衣斐支部長)
 南西諸島世界自然遺産に関して要望書を提出したこと、及び上原地区県営灌漑排水事業に関して意見書を提出したことが報告された。
■佐賀県支部(宮原支部長)
 会員増のために、口座引き落としの手続きをした新会員に対して、キャッシュバックすることで、初年度の会費を無料にする取り組みを始めたことが報告された。
■筑後支部(松富士支部長)
 ブッポウソウの繁殖状況及びベニアジサシ調査について報告された。
■北九州支部(前田事務局長)
 風力発電について、響灘ビオトープ周辺で現在13機が稼働しており、今後も増える予定であること、及びバードストライクの発生状況について報告があり、意見交換をした。

※終了後、懇親会で交流・親睦を深めた。


▲会議の様子

(普及室/堀本理華)

事務局からのお知らせなど

■普及室より

■5月号『フィールドガイド日本の野鳥』増補改訂新版の取り組み


<生きのびるのは当たり前?>

 巣立ちが始まりました。新版では、P346の繁殖行動の解説で・・・「雄のさえずり・求愛・なわばり防衛」「つがい形成や交尾」「巣作り」「産卵・抱卵」「育雛」「ひなの巣立ち」「その後の世話」と続く・・・と書かれています。が、野鳥の繁殖がこのように短期間で展開されることは、一般にはあまり理解されていません。
 これからは、ツバメ、スズメ、ムクドリなどの巣を撤去して欲しいという相談が多い季節にもなります。毎年、対応の考え方、法律に違反しない対処の事例などをご理解いただけるよう努めていますが、ほとんどの方がひなはすぐに巣立つことや、巣立ち後の巣は使われなくなることを知りません。「衣食住があって当たり前」といった感覚で、資源の消費やエネルギーの生産も意識せず暮らしていると、生存率が低い野生の命、本来のあり方はイメージしにくいのでしょう。内部寄生虫や外部寄生虫、さまざまな病気や怪我、悪天候、食物不足もあり得るし、日々捕食者に狙われているような野鳥たちの現実を知れば、成長が早いこと、親子関係が長くは続かないことも理解しやすくなるはずだし、文明のありがたさと危うさを感じることにも繋がるのではないでしょうか?
 『フィールドガイド日本の野鳥』は野外識別の手引きとはいえ、自然保護団体の発行物ですから、当会の理念に沿って自然の理解に貢献すべきと、私は考えています。もともと高野の図版や解説には習性や行動についても少なくなかったのですが、さらに書き加えた理由はそこにあります。

<子供は小さくない?>

 前回、野鳥たちは短期集中、子沢山の子育てを毎年繰り返しても増えすぎないことを書き加えたことを紹介しました。ほかにも、用語解説(新版ではP16〜)の『晩成性』で「スズメ目の小鳥では1〜3週間ほどで幼羽が生え揃って巣立つ種が多い」とか、『成鳥』では「翌年の春には繁殖可能になるものが多い」、『繁殖期』では「夏までに親子やつがいの関係、なわばりも解消されて、繁殖活動を終えるのが普通」と書き足しています。
 夏まではそこかしこで野鳥の親子が見られるのに、それに気づく人が少ないのは、「子供は小さいもの」と思っている人が多いからではないでしょうか? カモ目やキジ目(アヒルやニワトリのひよこ、野鳥ではカルガモのひな)が親しまれていることが影響しているかも知れません。
 『早成性』の用語解説で「幼綿羽に覆われて孵化し、すぐに巣を離れるようなひな。カモ科・キジ科のような地上営巣の鳥に多い」としたほか、増補改訂版で新設した「羽・幼羽と年齢・鳥の体」(新版ではP350〜)では、「巣立ち後の幼鳥は、小鳥なら数日もたたないうちに姿かたちや大きさが成鳥と変わらないようになる」と書きました。その後、幼羽による年齢判定、幼羽の形状や模様の特徴に続けて、声、口の中の色、行動や動作など、若い鳥を見分けるポイントも解説しました。

<カッコウ科の何種が托卵するか?>

 新版では鳥類には多産、晩成性が多いとしたので、例外的なもの(一腹産卵数が少ない、早成性)は科の概説で触れるように努めました。
 例えば、アビ科では「2卵を産む」は解説文としてそのまま残して、「ひなは早成性」を追記しました。ついでながら、ここでは田仲謙介さんから、アビ科の営巣場所を直したほうがよいと指摘がありました。増補改訂版までは「海に近い湖沼の岸の地上に営巣」としていましたが、海から離れた湖沼でも営巣するので、新版では「湖沼で営巣」としています。
 科の繁殖習性の修正では、カッコウ科で苦労したことを思い出しました。カッコウ科は、増補版まではホトトギス科で約130種、増補改訂版でカッコウ科に改め138種でした。新版では149種としました。これら世界の種数は、信用に足りうる文献を定めてそれに即して記せばよいのですが、高野はホトトギス科の概説で「約40%は托卵性」と記していました。カッコウの仲間は世界的に分布しており、托卵しない種も多いことが示せればよいのですが、高野の解説に倣って託卵する種の割合まで示すには、世界中のカッコウ科でどの種が托卵し、どの種はしないのかを最新の知見に沿って調べなくてはなりません。調べはじめはしたのですが、分類は変わるし、諸説あるので、最終的には「日本で繁殖する4種は托卵をするが、托卵しない種も多い」とせざるを得ませんでした。
 高野の優れた解説を生かせた例も記しておきましょう。アトリ科の繁殖習性では、初版から雌雄の分担や求愛給餌に触れられていました。求愛給餌についてはカワセミ科、シジュウカラ科、カラス科などでも見られるので、増補改訂版以後は「行動の見分け方」でも取り上げて、その参照頁も示すようにしてあります。また、雌雄の分担が仲間によって違う例として、アトリ科と同じように雌だけが抱卵する種が多いカラス科、雌だけが巣作りするシジュウカラ科などを「行動の見分け方」で紹介しました。


▲画像:増補改訂版で新設した「卵の見分け方」で、谷口高司さんに描いていただいたもの。この時期、卵の殻が拾われて「何の卵ですか?」と聞かれることが多いと思われるので、ご活用下さい。新版ではP348に解説がありますが、数字はpで長径×短径を示しています。

(普及室・主席研究員/安西 英明)

■自然保護室より

■野鳥保護資料集 第31集「野鳥と風力発電のセンシティビティマップ」の頒布を開始しました

 新たな野鳥保護資料集「野鳥と風力発電のセンシティビティマップ-その活用と作成事例」を地球環境委金の助成を受け作成しました。本書は、これから注目される風力発電と野鳥のセンシティビティマップの作成と活用のあり方について学ぶもので、本誌2016年2・3月号で紹介した、当会主催で2015年9月に英国のバードライフ・インターナショナル本部で開催した、野鳥と風力発電の脆弱性マップ作りの海外事例を学ぶワークショップの内容を日英併記で報告するものです。


▲表紙と裏表紙

※申し込み方法
【ホームページの場合】
https://form.wbsj.org/?page=sizenhogo
【ファックスの場合】
@注文数、A送付先ご住所、Bお名前を明記のうえ、FAX03-5436-2635へご注文ください。※頒布価格は3,500円(抜)です。

(自然保護室/浦 達也)

■オオジシギ保護調査プロジェクトより

■オオジシギ生息状況アンケート調査への協力のお願い

 2016年度よりオオジシギの保全を目指して活動を開始した「オオジシギ保護調査プロジェクト」では、その一環として、近年の本州以南におけるオオジシギの繁殖期の生息状況を把握するためのアンケート調査を行っています。北海道を除く全国の連携団体(以下、「支部」という)の皆様宛に、今年4月にアンケート用紙をお送りし、すでにいくつかの支部からは返信をいただいています。
 この調査では、過去20年間に各支部が活動されている地域でオオジシギの繁殖期の生息状況がどの程度変化したのか、その概要をつかむことを目的としています。繁殖期のオオジシギに特化することで、既往文献や既往調査で得られる情報とは異なった、生息地や生息数の増減傾向とその要因を把握したいと考えています。
 なお、全国の状況を同一の基準で把握するため、このアンケートは過去にオオジシギの生息が確認されていない地域や、支部報やその他の資料でこちらに情報をいただいている支部にも改めてご協力をお願いしております。
 アンケートの返送締め切りは8月31日です。お手数をおかけいたしますが、アンケート調査を通じてオオジシギ保全にご協力くださいますよう、よろしくお願いいたします。

(保全プロジェクト推進室/田尻浩伸・竹前朝子)

総務室より

■支部・代表者・事務局変更のお知らせ

 名称変更などがあった支部についてお知らせいたします。(敬称略)
●日本野鳥の会富士山麓支部
【事務局長の変更】
新):水越 文孝
旧):樋口 星路
変更年月日:2017年4月6日

●日本野鳥の会石川
【代表の変更】
新):中村 正男
旧):青山 輝久
変更年月日:2017年4月23日

●日本野鳥の会南相馬
【事務局長の変更】
新):佐藤 勝彦(支部長兼任)
旧):杉内 慶夫

●日本野鳥の会富山
【代表の変更】
新):藤島 光俊
旧):酒井 昌則
変更年月日:2017年4月16日

●日本野鳥の会大分県支部
【事務局長の変更】
新):谷上 和年
旧):高野橋 豊
変更年月日:2017年4月23日

※変更年月日のご連絡のない場合は、記載しておりません。

(総務室/鈴木 美智子)

会員室より

■会員数

 5月1日会員数35,331人で、先月に比べ4人減少しました。4月の入会・退会者数の表をみますと、入会者数は退会者数より7人少なくなっています。
 会員の増減は入会者数と退会者数のほかに、会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活した人数によって決まります。4月の入会者数は171人で、前年同月の入会者207人に比べ36人減少しました。また、4月の退会者は178人で、前年同月の退会者227人に比べ49人減少しました。

表1. 4月の入会・退会者数

入会者数退会者数
個人特別会員 9人 8人
総合会員(おおぞら会員) 28人 45人
本部型会員(青い鳥会員) 35人 29人
支部型会員(赤い鳥会員) 77人 48人
家族会員 22人 48人
合計 171人 178人
年度累計 171人

※会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活する方がいらっしゃるため、退会者数の年度累計は、実際の退会者数とずれた数字となります。このため、退会者数合計については年度末の集計後にお知らせいたします。

■都道府県および支部別会員数■
 野鳥誌贈呈者数を除いた数を掲載します。

表2 都道府県別の会員数(5月1日現在)

都道府県会員数対前月差
北海道1736人-3人
青森県262人1人
岩手県363人0人
宮城県486人5人
秋田県249人2人
山形県207人0人
福島県625人5人
茨城県932人-5人
栃木県604人-1人
群馬県636人1人
埼玉県2232人2人
千葉県1648人-9人
東京都4949人-4人
神奈川県3391人-13人
新潟県372人0人
富山県213人-5人
石川県292人0人
福井県225人-2人
山梨県288人-3人
長野県863人0人
岐阜県482人-1人
静岡県1351人-2人
愛知県1512人2人
三重県418人-5人
滋賀県294人-5人
京都府795人4人
大阪府1967人4人
兵庫県1282人2人
奈良県476人5人
和歌山県200人2人
鳥取県183人4人
島根県166人1人
岡山県563人2人
広島県568人4人
山口県380人1人
徳島県308人-2人
香川県206人-1人
愛媛県367人-2人
高知県134人0人
福岡県1320人9人
佐賀県196人0人
長崎県209人-1人
熊本県407人2人
大分県215人-1人
宮崎県249人-1人
鹿児島県344人-2人
沖縄県114人2人
海外12人0人
不明40人4人
全国35331人-4人

備考:不明は転居先が不明の会員を示します。

表3 支部別の会員数(5月1日現在)

都道府県会員数対前月差
小清水13人0人
オホーツク支部237人0人
根室支部82人0人
釧路支部162人3人
十勝支部194人1人
旭川支部87人0人
滝川支部46人1人
道北支部33人0人
江別支部20人0人
札幌支部306人-4人
小樽支部80人-1人
苫小牧支部167人1人
室蘭支部160人0人
函館支部25人1人
道南檜山73人2人
青森県支部145人1人
弘前支部120人0人
秋田県支部239人3人
山形県支部191人-1人
宮古支部89人-1人
もりおか154人1人
北上支部106人0人
宮城県支部440人2人
ふくしま161人3人
郡山173人2人
二本松15人0人
白河支部40人0人
会津支部51人0人
奥会津連合10人0人
いわき支部109人-1人
福島県相双支部16人0人
南相馬13人0人
茨城県839人-1人
栃木585人1人
群馬570人1人
吾妻41人0人
埼玉1709人2人
千葉県1077人-9人
東京2889人-7人
奥多摩支部842人0人
神奈川支部2391人-18人
新潟県285人1人
佐渡支部28人0人
富山187人-2人
石川272人1人
福井県218人-1人
長野支部467人2人
軽井沢支部173人-1人
諏訪232人-4人
木曽支部23人-1人
伊那谷支部82人1人
甲府支部198人-2人
富士山麓支部59人0人
東富士67人0人
沼津支部168人0人
南富士支部246人0人
南伊豆39人0人
静岡支部361人-4人
遠江421人1人
愛知県支部1101人1人
岐阜488人-3人
三重354人-2人
奈良支部450人7人
和歌山県支部200人-1人
滋賀294人-4人
京都支部760人4人
大阪支部1847人8人
ひょうご982人0人
鳥取県支部200人4人
島根県支部162人1人
岡山県支部530人0人
広島県支部492人4人
山口県支部360人2人
香川県支部164人0人
徳島県支部321人-1人
高知支部120人-4人
愛媛344人-2人
北九州310人-2人
福岡支部 596人6人
筑豊支部234人1人
筑後支部167人2人
佐賀県支部213人2人
長崎県支部201人-1人
熊本県支部400人2人
大分県支部214人1人
宮崎県支部239人1人
鹿児島310人-2人
やんばる支部81人1人
石垣島支部25人0人
西表支部42人1人
 30427人-1人

備考:支部別の会員数の合計は、都道府県別の会員数の合計と異なります。
これは、本部型(青い鳥)会員や支部に所属されていない個人特別会員が支部別の会員数に含まれないためです。


(会員室/沖山展子)


★支部ネット担当より

 夏鳥に出会うために少しだけ遠出をしたくなる季節です。皆さまいかがお過ごしでしょうか。いつも支部ネット通信をご愛読いただき、ありがとうございます。
 今月号では、『オオジシギ生息状況アンケート調査への協力のお願い』が記載されております。どうぞご協力お願いします。
 5月だというのに、夏の暑さが続いております。皆さま、お体をくれぐれもご自愛ください。

■支部ネット通信は支部の代表の方に電子メールでも配信をしています。電子メールでの配信を希望される支部の代表の方は下記メールアドレスまでお気軽にお申し込みください。

支部ネット通信 第158号
◆発行
公益財団法人日本野鳥の会 2017年5月26日
◆担当
総務室 総務グループ
奥田秋穂/林山雅子
〒141-0031
東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
TEL:03-5436-2620
FAX:03-5436-2635
E-mail:[email protected]