No.153 2016年12月号


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目次 ◆支部の動き
支部報 保護・調査記事関連トピックス
◆ブロックからのお知らせ
第24回日本野鳥の会中部ブロック会議報告
◆事務局からのお知らせなど
12月号『フィールドガイド日本の野鳥』増補改訂新版の
 取り組み

国内で、鳥インフルエンザの確認例が引き続き
 出ています

会員数

支部の動き

■支部報保護・調査記事関連トピックス■

 本記事は日本野鳥の会へ送付されてきている各地の支部報/会報から抽出して作成し、調査・保護に関心がある野鳥の会の会員へ配信しております。本記事の一部又は全部を不特定多数が見る可能性があるところへ公開される場合は、各支部/各会の了承を事前に得て下さい。記事は筆者の意向に反しないように、取り扱いをお願いします。

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.821

●2016/10 道南桧山
・津軽海峡のお話
●2016/秋の巻 弘前
・岩木川下流オオセッカ調査
・アオバトの声
●2016/10 東京
・スタートしている「全国鳥類繁殖分布調査」
・ガチョウ
・高尾山でアカショウビンを観察
●2016/10 伊那谷
・モズ
・四徳大橋のブッポウソウ
●2016/10 香川県
・全国鳥類繁殖分布調査
●2016/10 徳島県
・2016年春のタカの渡り(研究部)
●2016/10 高知
・オオジシギ6日間ノンストップ5800km飛んだ(事務局)
●2016/10 筑豊
・サンコウチョウ
●2016/10 筑後
・三池島ベニアジサシ調査(調査部)

●2016/10 道南桧山
・津軽海峡のお話
 4/29の講演会より。対馬暖流の5〜8割が津軽海峡を通り、太平洋へ抜ける。残りは北海道西岸を北上し、宗谷海峡を通り、北方四島の方へ行く。日本海は約1万年前にできた。それ以前は海底に無酸素層があり、氷河期が終わり、海面が130m程上がると、日本海に海流が流れ込んだ。明治時代には鹿が北海道から海峡を泳いで渡っていた。ハシボソミズナギドリはオキアミを追って津軽海峡を通り、秋には海峡を通らず、オホーツク海より直接南下する。以前、アホウドリはニシンを追って北海道に来ていた。江戸時代にはアホウドリをシカベと言っていた。
(道南桧山「はちゃむ」NO.116,P6〜8)

●2016/秋の巻 弘前
・岩木川下流オオセッカ調査
 個体数調査。6/5:総計100、7/7:124、7/30:104。昨年の7/5は164羽であった。
(弘前「初列風切」NO.191,P3)

・アオバトの声
 営林署を退職した人にアオバトが鳴いたと言うと、カモシカの声と言う。カモシカとアオバトが伝統的に間違って伝えられている。カモシカの別名を「アオジシ」と言い、マタギのあいだでは単に「アオ」と呼ばれていた。
(弘前「初列風切」NO.191,P5)

●2016/10 東京
・スタートしている「全国鳥類繁殖分布調査」
 1970年代、1990年代、20年ごとで2010年代に実施計画が、政府予算の目途がなく、NGOが民間の助成金で2年の準備期間を経て、今春より現地調査が始まっている。全国2300箇所を5年間で調査する。
http://www.bird-research.jp/1/bunpu/map.html
(東京「ユリカモメ」NO.732,P9)

・ガチョウ
 ガチョウ(シナガチョウ)はサカツラガンを家畜化したもので、白色以外もある。欧州のガチョウはハイイロガンを家畜化し、これは白い。中国のシナガチョウは我鳥(横に並べて1文字)と書き、我は鳴声の「ガーガー」からきており、江戸時代はそのまま「がてう」と読んでいた。今では鵞と書く。
(東京「ユリカモメ」NO.732,P13)

・高尾山でアカショウビンを観察
 2015/5〜7、高尾山とその周辺でアカショウビンが35年ぶりに観察されたが、2016年も高尾山の北側で5/23〜6/20、アカショウビンの声を聞いた。
(東京「ユリカモメ」NO.732,P16)

●2016/10 伊那谷
・モズ
 伊那谷ではモズをモンゾと呼んでいた。これは物集鳥(もつめ、獲物を集める鳥)からきたようである。ハヤニエはもともとは魚類などを貴人に献上するために昼夜の飛脚での新鮮な貢物の意味である。中川村ではジョウビタキがイナゴをハヤニエにしてモズに食べてもらい、自分はハヤニエになるのを免れているという(松山1977)。神奈川県の丹沢ではカケスは人から聞いて空の雲を目印に餌を隠すとある。中川村ではモズで同じような話がある。
(伊那谷「かわせみ」NO.46,P2〜4)

・四徳大橋のブッポウソウ
 JR東海はリニア中央新幹線の南アルプスのトンネル工事を始めた。これに並行して(小渋川の)四徳大橋直近でトンネル工事を行うことになった。支部はこの地区のブッポウソウの繁殖活動を見守っている。大型ダンプの増加が見込まれ、6/7、支部は中川村役場でJR東海、長野県と話し合いをした。支部とブッポウソウの里の会はJR東海にブッポウソウの繁殖期はダンプの通行量の規制を要望した。今年は四徳大橋で2ペアのブッポウソウが繁殖している。中川村全体では16巣であった。
(伊那谷「かわせみ」NO.46,P7〜8)

●2016/10 香川県
・全国鳥類繁殖分布調査
 今年度からスタートし、結果まとめは先の話であるが、途中経過は以下にある。
http://bird-atlas.jp/index.html
キビタキは低標高地で、及び西日本へ行くほど新規出現が増えている。
(香川県「かいつぶり」NO.393,P8)

●2016/10 徳島県
・2016年春のタカの渡り(研究部)
 3/5〜5/28、鳴門山展望台を通過したサシバは835羽であった。最多は4/2の179。ハチクマの通過は117羽、最多は5/13の38。ハイタカは西行きが230羽、東行は15羽であった。その他オオタカ22、ツミ11、4/8にコチョウゲンボウ1であった。
(徳島県「野鳥徳島」NO.457,P2〜5)

●2016/10 高知
・オオジシギ6日間ノンストップ5800km飛んだ(事務局)
 本部のオオジシギ保護プロジェクトによる衛生追跡の結果が分かった。2016/7、勇払原野で5羽のオオジシギに5gの送信機を付け、装着重量を体重の4%以下になるよう体重155g以上を選び、9/9北海道を発ち、9/16、一気に約5,800km、6日間飛び続け、ニューギニア島に到着した。
(高知「しろぺん」NO.357,P1)

●2016/10 筑豊
・サンコウチョウ
 国内には2亜種が生息、本州から屋久島には亜種サンコウチョウ、トカラ列島以南では亜種リュウキュウサンコウチョウがいる。サンコウチョウは特に日の出前後の薄暗い内が最も活動する。雄は背が黒紫色で尾が長い典型的なもの以外に、多型(たけい)として黒紫色で尾が短いもの、雌のように茶褐色で尾が短いものがいる。多型:生物学用語で同一種の中で異なった形態を示すこと。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.464,P20〜21)

●2016/10 筑後
・三池島ベニアジサシ調査(調査部)
 熊本県支部と合同調査した。6/14、ベニアジサシ32羽、上空を飛び回るのみ。島にいるハヤブサか、熊本地震の影響か。7/10、ベニアジサシ成355羽。殆どが抱卵中、産座数122(1卵57巣、2卵64、3卵1)。雛3羽、内2羽に標識をつける。ハヤブサ?によると思われる成鳥2個体の死体、カラス?に捕食された卵が散見された。7/23、ベニアジサシ確認されず。雛死亡3羽、放棄された卵67を確認。7/10以降の集中豪雨のためと考えられる。那覇市の状況が8/9付琉球新報に載った。県鳥獣保護区である渡嘉敷村チービンで1241羽(昨年の約2倍)のアジサシ類の繁殖が確認され、三池島からの約400羽も移動しているのかもしれない。
(筑後「まめわり」NO.185,P4〜6)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.822

●2016/10 オホーツク
・巣箱掃除
●2016/11 茨城県
・2016年シギチドリ類調査(環境計画部)
・冬のカラスのふるさとを見る
・オオヒシクイの海への出口
●2016/10 埼玉
・オオジシギの目撃情報収集
●2016/10 神奈川
・雄と雌で名前が異なる鳥
●2016/11 南富士
・羽根観察の楽しみ
●2016/10 兵庫
・小林コレクション
・ツバメの集団ねぐら調査(研究グループ)
●2016/10 熊本県
・クロツラヘラサギ・ズグロカモメ一斉調査
●2016/10 宮崎県
・夏鳥のアオバズク
・御池野鳥の森のヤイロチョウ
・日向の鳥ばなし ウグイスの敵討ち

●2016/10 オホーツク
・巣箱掃除
 9/24、道立オホーツク公園で架けていた巣箱25個の掃除を行った。カラ類が利用8個、ヒメネズミが利用8個、ヒタキ類が利用2個であった。掃除を9月に早めたのでヒメネズミ生体が入っていた巣箱はなくなった。
(オホーツク「ばあどこおる」NO.353,P2)

●2016/11 茨城県
・2016年シギチドリ類調査(環境計画部)
 春季調査(基準日4/29)では61箇所の調査で26種、総計1,952羽を記録。内訳はムナグロ1,031(53%)、チュウシャクシギ431(22% )、ミユビシギ139(7%)、キョウジョシギ66(3%)でこの4種で85%を占める。秋季調査(基準日8/21)では42箇所の調査で25種、総計507羽を記録、内訳はミユビシギ131(26%)、コチドリ104(21%)、ムナグロ71(14%)、シロチドリ32(6%)、タカブシギ31(6%)でこの5種で73%を占める。
(茨木県「ひばり」NO.334,P3〜5)

・冬のカラスのふるさとを見る
 茨城県初のミヤマガラスの越冬は1998年の東海村で、白色型コクマルガラスが混じっていた。当時、東京大学の樋口広芳教授が八郎潟でミヤマガラスに発信器をつけ放鳥した結果が2014年の日本鳥学会誌に掲載されている。繁殖期はロシア極東に渡っている。
(茨城県「ひばり」NO.334,P6)

・オオヒシクイの海への出口
 会員や調査会社の話を突き合わせると、茨城県で越冬しているオオヒシクイの海へ出る帰り道は鹿嶋市大小志崎以北から鉾田市大蔵付近にあると予想される。
(茨木県「ひばり」NO.334,P7)

●2016/10 埼玉
・オオジシギの目撃情報収集
 財団本部は今年度より北海道勇払原野保全に向けた「オオジシギ保護調査プロジェクト」を開始した。2016/7、勇払原野で102羽のオオジシギにフラッグと標識を装着した。目撃情報は同プロジェクト[email protected]
(埼玉「しらこばと」NO.390,P6)

●2016/10 神奈川
・雄と雌で名前が異なる鳥
 一般に鶏を含むキジ類の雄をcock、雌をhenと呼ぶようである。カモ類は総称をduckというが、時には雌のカモ類をduckといい、雄はdrakeと呼ばれる。ハイイロチュウヒは全てHen Harrierと呼び、この場合のhenは鶏で鶏を襲うチュウヒ類を意味する。エリマキシギは英名でRuffとあり、これは欧州で16世紀頃に用いられた「えだえり」のことで、雄の首周りの飾り羽がこれに似ている。雌の方はReeveと呼ぶ。英語では特定の種の雄あるいは雌に特定の名前がよく現れる。cob::ハクチョウ雄、pen:コブハクチョウ雌、gander:ガン雄、gobbler:七面鳥雄、tercel:タカの雄、rooster:雄鶏。
(神奈川「はばたき」NO.533,P5)

●2016/11 南富士
・羽根観察の楽しみ
 オオタカの風切羽は硬く、高速で飛ぶときはヒューッと風を切る音がする。東北地方では藁で編んだ円盤状のものを投げて、タカの飛ぶような羽音を立て、獲物を竦ませて捕らえる猟がある。キツツキ類の羽は中央の部分2枚は重なって生えており、丈夫で木の幹に縦向きに体を支えることができる。この2枚は同時に抜けることはない。下を向いて歩こう!
(南富士「さえずり」NO.408,P7〜8)

●2016/10 兵庫
・小林コレクション
 2/27、「コバケイ図鑑」の名で鳥類観察者に親しまれた小林桂助氏(1908〜2000)が兵庫県立「人と自然の博物館」に寄贈された鳥類を主とした約1万点の標本を見る機会があった。「成鳥、幼鳥、雌雄、年齢、場所」ごとに必要とし、同じ種で20〜30体の標本があった。
(兵庫「コウノトリ」Vol.214,P4〜5)

・ツバメの集団ねぐら調査(研究グループ)
 8/6,7を中心に県下9箇所で情報が得られた。市街地で2箇所:神戸市阪急王子公園駅前に935羽が電線に塒した。河川敷で5箇所:三木市美嚢川河川敷のヨシ原に3万羽、加古川下流河川敷のヨシ原に2万5千羽以上、豊岡市円山川河川敷のヨシ原に2万羽。溜池で2箇所:神戸市龍ケ池・四号池のヨシ原に2万5千羽。
(兵庫「コウノトリ」Vol.214,P12〜14)

●2016/10 熊本県
・クロツラヘラサギ・ズグロカモメ一斉調査
 1/17、熊本県内13箇所で調査した。ヘラサギ9(成3、若1、不明5)。クロツラヘラサギ143(成72、若25、不明46)。ズグロカモメ192。アジア地域のクロツラヘラサギは香港観鳥会の速報では3,356羽(2015年から84羽増)、日本国内総計は383羽(2015年から12羽増)で全アジアの11〜12%が日本で越冬している。
(熊本県「野鳥くまもと」NO.345,P4〜6)

●2016/10 宮崎県
・夏鳥のアオバズク
 4〜7月、会員、県民にアオバズクの情報提供を求めた。35件集まり、5月中旬〜下旬に多く声が聞かれ、延岡から串間までの県南部で9つの学校でセンダンの木で巣立ちがあった。
(宮崎県「野鳥」だよりみやざき」NO.251,P6)

・御池野鳥の森のヤイロチョウ
 無茶なカメラマンやウォッチャーに追われ、ヤイロチョウは一時姿を消したが、2010年からの立ち入り規制を開始した結果、2012,13年はヤイロチョウの声がまばらにあった。2014年、林床部で3羽が確認できた。2015年、森のあちこちで確認できたが、繁殖行動はなかった。2016年、観察小屋付近で2番の餌運びが見られたが、巣立ち雛は確認できなかった。ヒルが多い場所のため、人の出入りが少なく、ヤイロチョウに明るい兆し?
(宮崎県「野鳥」だよりみやざき」NO.251,P9)

・日向の鳥ばなし ウグイスの敵討ち
 昔、昔、キツネとタヌキがおり、ウグイスの巣で雛と卵を食うてしもうた。ウグイスはすぐに鳥の王様のワシに訴えた。裁判はうまくいかず、鳥の仲間と獣の仲間が戦になった。鳥には蜂も加わった。獣の大将はキツネで尾を立てたら進め、下げたら逃げよの合図、ハチはキツネの尾の下にとまってキツネの尻に針を刺したもんじゃから、キツネはたまらんごとなって、尾を下げてまたぐらにはさんだげな。それを見た獣たちはいっぺんに逃げ出し、穴の中にかくれてしもたげな。めでたし、めでたし。(一部略)出典:鈴木素直著 本多企画発行「鳥は人の心で鳴くか」P130。
(宮崎県「野鳥」だよりみやざき」NO.251,P13)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.823

●2016/10 札幌
・庭に来る野鳥の調査
・大型風車の建設ラッシュを考える(副支部長)
・ノビタキの渡り(森林総合研究所)
●2016/11 埼玉
・2016年秋シギ・チドリ類調査(研究部)
・埼玉県初記録(野鳥記録委員会)
●2016/11 東京
・東京都初記録・稀な記録の鳥たち(野鳥記録委員会)
●2016/11 甲府
・ガン科鳥類調査(委託調査部長)
・ヒヨドリの移動(資料情報部長)
●2016/11-12 諏訪
・フクロウ巣箱で5年連続営巣を確認
●2016/10 富山
・積雪と野鳥
●2013/11-12 愛媛
・ツル類保護の取り組み
●2016/11 福岡
・日本初記録!インドアカガシラサギ

●2016/10 札幌
・庭に来る野鳥の調査
 札幌市内で2014〜2016年、1〜3月、自宅やその周辺に来ている野鳥をアンケート調査した。その結果はスズメ15,042羽(61%)、ヒヨドリ1,569(6%)、シジュウカラ1,467(6%)、ハシブトガラス1,052(4%)、ツグミ977(4%)、キレンジャク747、ムクドリ556、ヤマガラ506、シメ448、ハシボソガラス323、ベニヒワ253、アカゲラ233、ハシブトガラ224、ヒレンジャク204、ゴジュウカラ200、カワラヒワ180、マヒワ98、カケス91、ウソ80、アトリ73、ヒガラ68、ミヤマホオジロ56、ハクセキレイ26、コゲラ23等。
(札幌「カッコウ」NO.387,P4〜8)

・大型風車の建設ラッシュを考える(副支部長)
 8/20、日本野鳥の会主催の北海道大学で道北で予定の「巨大風力発電3千KW級600基〜700基」について市民フォーラムが開催された。道北地方では現在172基の風車があり、北海道の大型風車の6割が集中する。新規に600基〜700基建設となると14kmに1基となり、ここを猛禽類、ヒシクイ、マガン、オオハクチョウ、コハクチョウが多数通過する。鳥類が安全に飛ぶルートが殆ど無くなる。本部自然保護室浦達也さんは予防原則に立った建設ゾーンにすべきとしている。センシティビティマップ(風力発電と野鳥の脆弱性地図)を作り、環境影響評価に役立たせる。
(札幌「カッコウ」NO.387,P10)

・ノビタキの渡り
 森林総研、北大、山階鳥研、独、豪州の共同研究チームは2014年、北海道で繁殖するノビタキ51個体にジオロケーターを取り付け、翌年帰って来た12個体からのデータを回収した。本州を経由せず直接沿海州の大陸を通り、中国を経由し中国南部、インドシナ半島で越冬していた。1万3千年ほど前、北海道はサハリンと地続きで 、草地性生物が大陸から渡って来ており、草地性鳥類の北海道のノビタキにはこの遺産が残っている。8月、国際学会で発表された。
(札幌「カッコウ」NO.387,P15)

●2016/11 埼玉
・2016年秋シギ・チドリ類調査(研究部)
 9/19、さいたま市の大久保農耕地で調査した(天候雨)。タシギ44、ムナグロ13を確認した。昨年は共に1羽であった。タシギ44はこの10年で最大で、雨天で田が湿っていた、人の通行が少ないことが影響した?
(埼玉「しらこばと」NO.391,P4)

・埼玉県初記録(野鳥記録委員会)
 9/2、さいたま市西区の荒川河川敷の農耕地にアネハヅル1、埼玉県335種目の県内初記録である。近県の茨城、千葉、東京には記録がある。9/4、川越市の休耕田でミナミクイナ1、埼玉県336種目の県内初記録である。2007年、沖縄本島で国内初記録され、その後、南西諸島で記録があるが、今回は本土で初記録と思われる。「フィールドガイド日本の野鳥」(2015年改訂版)ではハシナガクイナの別名が併記されている。
(埼玉「しらこばと」NO.391,P5)

●2016/11 東京
・東京都初記録・稀な記録の鳥たち(野鳥記録委員会)
 2013/12〜2014/1、葛西臨海公園でカツオドリ1、東京都本土部では初記録。2015/10〜2016/4、足立区荒川河川敷でハクガン幼3、千葉県行徳では1957〜58年、1羽の越冬記録があるが、東京湾には1900年代初頭まで多数飛来しており、今回およそ100年ぶりである。2015/10〜11、葛西臨海公園でヒメクイナ1、稲毛市の1971年から久々の記録となる。2015/12〜2016/5、葛西臨海公園でムジセッカ1、東京都では3回の記録がある。2015/12、北区浮間公園でオオホシハジロ1、東京都では1990年以来何度か記録がある。2016/1〜5、葛西臨海公園でヘラサギ1、東京都では2002年、2011年に記録がある。
(東京「ユリカモメ」NO.733,P16〜17)

●2016/11 甲府
・ガン科鳥類調査(委託調査部長)
 H27/9〜H28/3、山梨県の主要河川で7箇月間で月1回、調査した。合計16種、5,957羽を確認した。内訳はコガモ1,786(30%)、カルガモ1,326(22%)、マガモ1,194(20%)、ヒドリガモ962(16%)、ホシハジロ、キンクロハジロ共に168(3%)等。2月に千代田湖でメジロガモ1は県内では極めて稀、11月に笛吹川でスズガモ1も県内では稀な種である。
(甲府「カワセミ」NO.136,P4)

・ヒヨドリの移動(資料情報部長)
 2015年のやまなし野鳥の会の調査結果では、平地のヒヨドリの1データ当たりの平均羽数は、3月は13羽、4月は3羽、8月は4羽、9月は8羽、10月は10羽、11月は6羽と、3月と10月にピークがある。山地では6〜8月に夏場に増え、1〜3月の冬場に減っている。平地と山地の移動が推測される。
(甲府「カワセミ」NO.136,P5)

●2016/11-12 諏訪
・フクロウ巣箱で5年連続営巣を確認
 アウル諏訪は2009年、フクロウの保護、繁殖支援の目的で発足。諏訪地方で10数か所に巣箱を架設している。2012年から5年連続、フクロウが同一巣箱で繁殖した。5年間で16羽の雛が巣立ちし、雛を誘導する方向が決まっていた。フクロウは生後3〜4年で繁殖し、その後5年程繁殖が続く(2007 樋口)。生後10日ほど♀が抱雛する。雄が餌を運び、雌が受け取り、むしって雛に与える(1995 中村)。
(諏訪「いわすずめ」NO.171,P6〜7)

●2016/10 富山
・積雪と野鳥
 約180年前の越後の博物誌「北越雪譜」には、山に雪が積もると殆どの鳥はいなくなるとある。近年の新潟県長岡市の低山帯(標高50〜250m)の研究ではシジュウカラ、ヤマガラ、エナガ、キクイタダキ、コゲラ、ミソサザイ、ルリビタキは積雪地に留まる。これらは樹林の高い位置や、沢筋、崖等雪が積もりにくい場所で採食している。雪が積もるといなく種はホオジロ、カシラダカ、ツグミ等とある。
(富山「愛鳥ユース」NO.105,P2)

●2013/11-12 愛媛
・ツル類保護の取り組み
 昨年は愛媛県に過去最多のナベヅルが渡来した。10/21、日本野鳥の会他5団体は四国四県の知事宛にツルの保護の要望書を出した。ツルとの距離は200〜300mを保つ。ツルの塒周辺には日の入1時間前〜日の出1時間後の間、近づかない。
(愛媛「コマドリ」NO.235,P2)

●2016/11 福岡
・日本初記録!インドアカガシラサギ
 9/26〜10/2、福岡市のアイランドシティ中央公園にインドアカガシラサギ。観察者約40名、留鳥性が強く、南アジアから飛んでくるには距離がある。
(福岡「野鳥だよりふくおか」NO.445,P11)

●お知らせ
・本部理事会より鳥と緑の日野センター(愛称WING 1997年開館)の閉館のお知らせがありました。既に国際事業部門、研究部門は閉鎖されており、現在地元の普及事業のみで、日野市との土地賃借契約期限2025年を待たず、本部事務所に統合されます。なお、図書資料はウトナイ湖サンクチュアリに移設予定。

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.824

●2013/11-12 宮城県
・2016年秋シギチドリ類生息調査(調査・保護グループ)
●2016/10 千葉県
・ミヤマホオジロ繁殖国内4例目(8/21毎日新聞配信)
・東京都心のカラス15年前の4分の1へ(8/2朝日新聞配信)
・埼玉県の都市公園のクマゼミ5年前の3倍へ(8/24毎日新聞配信)
●2016/11 奥多摩
・タカの渡り観察会2016
・「青梅の森」での鳥類センサス調査(2005年/2015年)(青梅自然誌研究グループ)
●2016/10-11 京都
・京都府鳥類目録
・メガソーラー問題について
・人間はいつ托卵を知ったか?
・間違いだらけの鳥の季語(ヤマガラ)
●2016/11 筑後
・夜に鳴く鳥たち
・三池島のアジサシ類

●2013/11-12 宮城県

・2016年秋シギチドリ類生息調査(調査・保護グループ)
 8月〜9月、県内8箇所を調査し、最大羽数を記す。伊豆沼・内沼:ケリ11(8/28)、タシギ28(9/28)。蕪栗沼:ムナグロ11(9/27)。石巻工業港海岸:メダイチドリ54(8/13)、トウネン26(9/11)、ムナグロ9(8/21)。蒲生海岸:シロチドリ58(9/17)、メダイチドリ10(9/10)。鳥の海:シロチドリ18(9/11)、メダイチドリ16(9/17)、トウネン93(9/17)、ミユビシギ23(9/17)、チュウシャク シギ9(9/17)、オオソリハシシギ8(9/17)。牛橋:トウネン22(9/17)。
(宮城県「雁」NO.280,P12〜13)

●2016/10 千葉県
・ミヤマホオジロ繁殖国内4例目(8/21 毎日新聞配信)
 島根県立三瓶自然館はミヤマホオジロが三瓶山(大田市)で繁殖しているのを確認した。同館によると、8/2〜5、幼鳥5と♀成1を見つけた。個体識別のため、足輪を付け放鳥した。昨年は隠岐諸島で繁殖を確認し、今回は国内4例目となる。主に西日本に飛来し、11〜4月滞在し、中国北東部や朝鮮半島へ渡る。
(千葉県「ほおじろ」NO.426,P12)

・東京都心のカラス15年前の4分の1へ(8/2朝日新聞配信)
 都市鳥研究会の定点観測によると、東京都心のカラスはピークの15年前の約1/4に減り、30年前の水準より減っている事が分かった。カラスは1979年には山手線内側では殆ど繁殖が無く、85年には6,727羽、2000年には18,664羽まで増えた。今回は4,816羽まで減った。都に寄せられるカラスの苦情は、2014年度は2001年度の1/10以下の300件まで減っている。
(千葉県「ほおじろ」NO.426,P12)

・埼玉県の都市公園のクマゼミ5年前の3倍へ(8/24毎日新聞配信)
 埼玉県蕨市で自然観察員のセミの抜け殻調査で、クマゼミはアブラゼミより早く地上に現れ、その数は今年は5年前の約3倍に増えていた。
(千葉県「ほおじろ」NO.426,P13)

●2016/11 奥多摩
・タカの渡り観察会2016
 9/17〜10/2、青梅市の梅の公園と羽村市の羽村郷土博物館で調査した。梅の公園ではサシバ1,869羽、ハチクマ20羽を記録、羽村ではサシバ1,331羽、ハチクマ23羽を記録した。ピークは9/30のサシバ合計1,450羽(梅の公園:732、羽村:718)。9/30は梅の公園ではサシバは南へ向かい、羽村では西へ向かった。この日、この先の八王子市では松竹公園で1,255羽、陣馬山で586羽、城山湖ダムサイトで846羽をカウントした。その先の富士宮・明星山では過去最高の2,713羽につながった。箱根北側の矢倉岳でも2,000羽近くが渡った。
(奥多摩「多摩の鳥」NO.233,P2〜3)

・「青梅の森」での鳥類センサス調査(2005年/2015年)(青梅自然誌研究グループ)
 センサス調査で2005年49種、2015年50種、内44種が共通種であった。出現個体数は2005年 1,320羽、2015年 1,391羽で種構成、個体数、多様度いずれも明確な差異が無かった。
(奥多摩「多摩の鳥」NO.233,P20〜23)

●2016/10-11 京都
・京都府鳥類目録
 「Birds of Kyoto 京都府鳥類目録2016」が完成した。A4カラー150頁、府内で認定された335種の野鳥の写真がほぼ収められ、月別記録回数、探鳥会月別出現率把握でもきる。
http://green.ap.teacup.com/wbsjkyoto/1496.html
(京都「そんぐぽすと」NO.202,P13)

・メガソーラー問題について
 南山城村と三重県伊賀市にまたがる約1,000haにメガソーラ―(総出力37,500KW)の建設計画が出ている。事業主はファースト・ソーラー・ジャパンで米国のパネルメーカーの日本法人である。支部の同地の野鳥調査でオオタカ、サシバ、ハチクマの幼鳥、ヤマシギ、サンコウチョウ、フクロウ、ミゾゴイ、ヨタカを確認している。京都府の天然記念物ハッチョウトンボも確認されている。今年6月、京都府は環境影響評価条例の対象事業を拡大したが、事業主は5/26、懐柔案を盛り込んだ新規事業計画をそれを出し抜いて提出した。8/12、守る会や議員は1,885筆の反対署名と要望書を京都府に提出している。
(京都「そんぐぽすと」NO.202,P16)

・人間はいつ托卵を知ったか?
 万葉集に托卵を詠んだ歌がある。「うぐいすの生卵(かいこ)の中にほととぎす1羽生まれて己(な)が父に似ては鳴かず、己が母に似ては鳴かず」とある。紀元前4世紀、アリストテレスは「動物誌」の中で「カッコウは巣を作らず、他の鳥の巣に卵を産む」とある。当時の人は宿主が卵を巣の外へ放り出すのは知らなかったようで、医学界の偉人エドワード・ジェンナーは「カッコウの雛鳥は他の雛を背に乗せて巣の外へ放り出す」と書いている。その130年後、1921年、「カッコウの秘密」という無声映画が上映され、人々はカッコウの不思議な生態を知るようになった。
(京都「そんぐぽすと」NO.202,P20)

・間違いだらけの鳥の季語(ヤマガラ)
 1962年、俳人協会会長に就いた水原秋桜子(しゅうおうし)は「俳句作者は時鳥(ホトトギス)の声を自然観察で知っているのは少なく、句会の席上の題詠ばかりであった」と記している。秋桜子は「野鳥歳時記」の中で鳥がくる時期と季語がかなり違っているとあったが、残念ながら現代の俳句界は変わらず、俳句ファンには失礼ながら鳥に関する限り、俳人の季節感はいい加減である。
(京都「そんぐぽすと」NO.202,P22)

●2016/11 筑後
・夜に鳴く鳥たち
 コノハズクの声は昔、福岡県内では英彦山で聴かれたが、最近は難しい。本場の愛知県鳳来寺山、大台ケ原でも声を聞くのは難しくなっている。筑後地区では矢部村や星野村でコノハズクの落鳥個体が保護されているので、渡りの時期に結構立ち寄っている。
(筑後「まめわり」NO.186,P5)

・三池島のアジサシ類
 6/4、三池島上空に32羽のベニアジサシが渡来し島へは降下せず。同時にハヤブサ若1が島の周辺に滞在していた。7/10、目視カウントで355羽、連続写真で400羽以上のベニアジサシ、122の産座を確認した。前年の繁殖ゼロから復活か?7/23、ベニアジサシの生存個体は皆無で、卵を残したまま営巣放棄、400羽はどこへ行った。ベニアジサシ成、雛の死体、大型のアジサシ(セグロアジサシ幼)の死体、各1を収容した。捕食者は不明であるが、ハヤブサが考えられる。
(筑後「まめわり」NO.186,P6〜7)

(自然保護室・野鳥の会・神奈川/森 要)

ブロックからのお知らせなど

■第24回日本野鳥の会中部ブロック会議報告

【日 程】2016年10月1日(土)〜2日(日)
【場 所】豊田市自然観察の森(愛知県豊田市)
【担 当】日本野鳥の会愛知県支部
【参加者】日本野鳥の会新潟県、日本野鳥の会富山、日本野鳥の会石川、日本野鳥の会福井県、日本野鳥の会甲府支部、日本野鳥の会富士山麓支部、日本野鳥の会長野支部、日本野鳥の会軽井沢支部、日本野鳥の会諏訪支部、日本野鳥の会岐阜、日本野鳥の会沼津支部、日本野鳥の会東富士、日本野鳥の会南富士支部、日本野鳥の会静岡支部、日本野鳥の会遠江、日本野鳥の会三重、日本野鳥の会愛知県支部の17支部と(公財)日本野鳥の会から計57名が出席した。(公財)日本野鳥の会からは、佐藤仁志(理事長)、大畑孝二(施設運営支援室室長)、箱田敦只(普及室室長代理)、川島賢治(豊田市自然観察の森所長)、堀本理華(普及室員)が出席した。

【議 事】
10月1日(土)13:00〜17:00
<開会挨拶>
 愛知県支部の新實支部長より、遠方からの参加に対するお礼、及び財団事務局が運営管理する施設で開催を決めたこと、長い会議となるが活発な意見交換を期待したい旨、挨拶があった。
 財団事務局の佐藤理事長より、財団の近況として、大口の寄付や物販が好調であること、及び職員の待遇の改善をはかったこと、カンムリウミスズメの人口営巣に成功したこと、オオジシギ調査で1羽がパプアニューギニアまで行ったこと等が述べられ、今後とも支部との連携を強化し、支部の皆さんと一緒になりオール日本野鳥の会として盛り上げていきたい旨、挨拶があった。
 財団事務局の川島豊田市自然観察の森所長より、開催会場に選んでいただいたことへのお礼、及び施設や展示をご覧いただきたい旨、挨拶があった。

<議案>
1)規約の改正について
 愛知県支部の新實支部長より、中部ブロック会議規約について、目的や構成団体の追加等の提案があり、最終的に構成団体の過半数の同意により可決された。
2)中部ブロック会議開催ルールについて
 愛知県支部の新實支部長より、「中部ブロック会議開催ルール」が提案され、最終的に構成団体の過半数の同意により可決された。

<協議事項>
1)中部ブロックで連携してできる活動をさぐる
 福井県の組頭副代表より、中部ブロックの連携を深めていくため、調査など共通体験の出来る活動を始めていきたい旨、提案があり、活動の内容を引き続き検討していくこととなった。
2)環境保全について考える
A)もし、あなたの探鳥地で開発計画が持ち上がったら
 財団事務局の大畑施設運営支援室室長より、探鳥会スタッフ通信2016年5月、6月、8月号の記事を基に、探鳥地を守るために普段から出来ること等について説明があった。
 石川の白川幹事より、定例探鳥会を行っている普正寺の森に予定された河川工事について、問題点や反対活動の取組状況が報告された。
B)日本の国土を蝕むソーラーパネル
 財団事務局の大畑施設運営支援室室長より、資料「大規模太陽光発電施設のあり方について」に基づき、太陽光発電に関する財団の見解が述べられた。
 三重の安藤副代表より、四日市市で里山を削って進められているメガソーラー施設について報告された。
3)普及活動の新たな試み
A)SNSの効能、非会員への情報発信
 財団事務局の箱田普及室室長代理より、「おさんぽ鳥図鑑」等の小冊子に申し込まれた一般の方に、支部の探鳥会情報を送る取組みが報告され、各支部で小冊子のプレゼント葉書を設置できる場所があれば紹介していただきたい旨、述べられた。また、HPやSNSの特徴、及び各支部の保有状況、並びに財団のfacebookに掲載したい情報があれば会員室メディアグループへ相談していただきたい旨、述べられた。
B)変わり種探鳥会いろいろ
 財団事務局の堀本普及室員より、全国各支部で行われている「Young探鳥会、女性限定探鳥会、初心者向け探鳥会」の状況について報告された。
※各団体からツバメのねぐら入り観察会やサギコロニー観察会等、変わり種探鳥会について報告される予定であったが、時間の都合上、紙面のみでの共有となった。

<連絡事項>
 財団事務局の大畑施設運営支援室室長より、岐阜県のため池に1羽残っていた外来種カナダガンが行方不明となっているので、見かけたら報告いただきたいこと、及びウトナイ湖周辺で捕獲し発信機を取り付けたオオジシギについて秋の渡りルートの一端が解明できた旨、報告された。


▲会議の様子

10月2日(日)9:30〜10:20
<活動報告>
 遠江の増田代表より、会員数の減少に対する対策として「春の入会キャンペーン」を実施し、入会プレゼントを用意した初心者探鳥会等で、4〜6月中に27名の入会があった旨、報告された。
 富士山麓支部の樋口事務局長より、富士北麓地域で見られる鳥と富士山麓探鳥地を紹介したガイドブック「富士北麓の野鳥」を作成し、350円で販売中である旨、報告された。
 長野支部の渡邉幹事より、飯山高等学校からの依頼で鳥類調査の指導を行い、25名の生徒が参加した旨、報告された。
 遠江の増田代表より、横浜ゴム新城工場の生物多様性活動の支援として、野鳥生息調査指導等を行っている旨、報告された。
 南富士支部の影山支部長より、住友林業から鳥類等の生息状況モニタリングを委託され、自然林復元事業へ協力している旨、報告された。
 愛知県支部の野澤副支部長より、中日本高速道路、弥富野鳥園、愛知県支部の3団体連携で、高速道路でのサギコロニー調査を実施しており、座学での識別勉強会等と合わせて行うことで、親子連れも多く参加する広がりのある活動となっている旨、報告された。
 岐阜の大塚代表より、御嶽山噴火後のライチョウ調査を岐阜県と随意契約し、岐阜大学の生物調査サークルに声をかけて共同で調査をしていることが報告された。
 南富士支部の影山支部長より、室内でのレクチャーと昼食、観察をセットにした「初心者のための田貫湖バードウォッチング講座」を実施しており、過去4回の入会率は毎回60%以上である旨、報告された。
 石川の白川幹事より、SAVE JAPANプロジェクトの応援を受けて初心者向け自然観察会を開催しており、親子連れやリピーターの参加が多い企画となっている旨、報告された。

【その他】
※1日目の会議終了後、懇親会があり、諏訪支部よりジョウビタキの留鳥化についての報告、愛知県支部より飛翔サギ見分け方士(サギ士)養成講座の開催があった。
※2日目の早朝と会議終了後、豊田市自然観察の森レンジャーによる会場周辺の案内や施設見学があった。


▲レンジャーとの観察会の様子

(普及室/堀本 理華)

事務局からのお知らせなど

■普及室より

■12月号『フィールドガイド日本の野鳥』増補改訂新版の取り組み

<まずは探鳥会?>

 『フィールドガイド日本の野鳥』を増補改訂版(2007年)から担当させていただくようになった私は、その著者故高野伸二の、基礎を欠かさないという教えを生かしているつもりです。あるがままの野鳥に親しむ上で基礎的なこと、大切なことを漏らさないようにしている例では、フィールドマナーを書き足しました。1998年に初心者向けの『新・山野の鳥』、『新・水辺の鳥』を担当した際は、フィールドマナーで1頁を割くことに異論は出ませんでしたが、上級者向けとされていた『フィールドガイド日本の野鳥』で識別以外のことにスペースを使うことには、当時、抵抗もあったように記憶しています。
 『新・山野の鳥』では「フィールドマナー」に続けて探鳥会について6行を割きましたが、『フィールドガイド日本の野鳥』でも増補改訂版以後は、「はじめに」や「野鳥の見分け方」で探鳥会をお勧めしています。
 野鳥との出会いは一瞬のこともあるし、間近で観察しやすい昆虫や植物のように、図鑑と見比べることが簡単ではありません。同じ鳥でも、距離や角度、天候などによってさまざまに見えるので、「慣れる、比べる、絞り込む」というわかり方とともに、探鳥会を紹介することは大切なことだと考えています。
 ちなみに、普及室では、小冊子を多くの方に申し込んでいただくことを通じてコンタクトできる人を増やし、各地の探鳥会などをお知らせするように努めています。

<どこまで近づいてよいか?>

 高野による解説文は、今読み直しても「さすが!」と思わせる部分が多々あります。声の解説でも、さえずりと地鳴きにとどまりません。ミソサザイ、メジロ、ムクドリなどで、警戒声という表記は新版でも残しています。私はさらに、増補改訂版でスズメの交尾の時の声、シジュウカラの幼鳥の声や警戒の声なども書き足しました。
 新版も増補改訂版と同じくP21に・・・シジュウカラでは巣に人や獣が近づくとジュクジュクジュクと濁った連続音を発するし、タカ類の接近に対しては細く鋭い声をあげる・・・と記してあるのは、フィールドマナーのひとつ、「近づかないで野鳥の巣」でも参考にしてもらえると思っています。どこまで近づいてよいか?については、種や営巣環境、繁殖ステージによっても違うし、警戒には雌雄差、個体差もあるので、姿勢や行動とともに、声によって親鳥が警戒していると推測できたら距離を置く、という判断が妥当と思われます。野鳥のさまざまな声でその意味が研究されたものは多くはありませんが、シジュウカラを長年観察してきた経験から、巣の近くで親鳥がジュクジュクジュクと鳴いたら警戒していると考えてきました。

<ジジジは危ない?集まれ?>

 11月18日に開催された鳥ゼミ(※)は鈴木俊貴さん(京都大学生態学研究センター)が講師でした。立教大学時代にシジュウカラの警戒声の研究で話題になった方で、新聞記事を目にされた方もおられるでしょう。それは、親鳥の警戒声が巣内の雛に適切な捕食者回避行動を誘発する上で役立っている(雛は、ハシブトガラスに対する警戒声を聞くとうずくまり、ヘビに対する警戒声を聞くと巣立ちが近い場合は巣穴を飛び出す)という研究でした。今年の日本鳥学会の大会では「シジュウカラの言語能力:単語と文と文法規則」というタイトルで研究発表をされています。
 鳥ゼミでは今年の学会発表に沿って、シジュウカラが異なる意味を持つ声を組み合わせ、より複雑なメッセージをつくれるという研究を紹介してくれました。異なる意味を持つ声とは危険を知らせる「ピーツピ」と、仲間を呼ぶ声「ヂヂヂヂ」だそうで、その「ヂヂヂヂ」は、私がジュクジュクジュクと書いてきた声と同じでした(鳥ゼミの場で私が質問して、鈴木さんに確認していただきました)。つまり、私が警戒を意味するように解釈してきたジュクジュクジュクには、仲間を呼ぶ意味があることになります。このことについては、後に鈴木さんから論文(Suzuki TN et al. 2016)を送ってもらいました。
 鈴木さんのような研究が進むことで、野鳥のさまざまな声、それぞれの意味が解明されていくものと思われますが、さまざまな声を聞くことができるものとして、松田道生さんによる『CD鳴き声ガイド 日本の野鳥』が当会から発行されました。シジュウカラ一種でも、さえずりは東京、日光、三宅島での録音、加えて警戒、雄2羽の戦い、存在の確認、早春に聞かれる声、雛、幼鳥と続き、亜種イシガキシジュウカラのさえずり、警戒までも収録されています。

(※)鳥ゼミ:鳥類学の研究者や研究に関心がある人による自主的な勉強会で、中心となる上田恵介さんが当会副会長に就任されたのを機に、当会の西五反田事務所で開催するようになった。情報はメーリングリストで共有しており、参加希望者は、以下のアドレスにコンタクト下さい。
[email protected]

© 谷口高司
▲画像イエスズメ:新版で谷口高司さんに直していただいた図版の例、今回は増補改訂版で追記したイエスズメの雄(夏羽)です。新版の際に、色味と体型を修正しました。

(普及室・主席研究員/安西英明)

■自然保護室より

■国内で、鳥インフルエンザの確認例が引き続き出ています

 国内で、鳥インフルエンザの確認例が引き続き出ています。また、隣国の韓国からも鳥インフルエンザの確認報告が届いています。これからのシーズンはこれまで以上に注意が必要と思われますので、バードウォッチング等の際の留意点と国内での発生情報をお届けいたします。

<むやみに野鳥を恐れる必要はありません>

 環境省によれば、鳥インフルエンザウイルスは、感染した鳥との濃密な接触等の特殊な場合を除いて、通常では人には感染しないと考えられています。日常生活においては、鳥の排泄物等に触れた後には手洗いとうがいをしていただければ、過度に心配する必要はありません。

・野鳥の死体を発見した際は、直接、素手で触れるのは避け、都道府県の自然保護関係部署に相談してください。実際に鳥インフルエンザの検査が行われるかは野鳥の種や死体の数によって替りますが、その地域へのウイルスの侵入の早期発見につながることがあります。
野鳥から家禽への感染については、最大の注意を払う必要があります。知らず知らずのうちにウイルスの運搬役にならないように以下の配慮をお願いします。

・バードウォッチングのために、カモ類が多くいる探鳥地を訪れた場合、野鳥の糞の落ちているような水辺には近づかないように配慮する。
・バードウォッチング終了後には、靴底や三脚の石突、車のタイヤ等アルコールスプレー等で消毒する。
・探鳥後にその足で養鶏場や飼育鳥に近づかない。
※バードウォッチングに関する留意事項は、以下をご覧ください。
http://wildbirdfkg.seesaa.net/article/444682580.html

・餌台に鳥を集めることは野鳥への感染のリスクを高めることにつながります。餌台は清潔に保ち、定期的に消毒をしましょう。近くで感染が見つかった際には、給餌を自粛しましょう。
※餌台に関す留意事項は、以下をご覧ください。
http://wildbird.seesaa.net/article/444679541.html

<インフルエンザ 高病原性H5N6亜型の感染発生について>(平成28年12月8日現在)

1)野鳥における概況

種名 都道府県 市町村 高病原性鳥インフル エンザウイルス(H5N6亜型) 確定検査機関で検査中
マガン 宮城県 栗原市 1
登米市 1
コハクチョウ 鳥取県 米子市 2
新潟県 阿賀野市 1 1
長野県 安曇野市 1
オオハクチョウ 岩手県 盛岡市 1
宮城県 多賀城市 1
北海道 北見市 1
青森県 鶴田町 1
福島県 福島市 1
茨城県 水戸市 1
ヒドリガモ 鹿児島県 出水市 3
オナガガモ 出水市 1
マナヅル 出水市 1
ナベヅル 出水市 17
ユリカモメ 茨城県 水戸市 1
ノスリ 青森県 青森市 1
ハヤブサ 北海道 苫小牧市 1

飼育鳥での検出

種名 都道府県 市町村 高病原性鳥インフル エンザウイルス(H5N6亜型) 確定検査機関で検査中
コクチョウ(飼育 下) 秋田県 秋田市 3
愛知県 名古屋市 1
シロフクロウ(飼育 下) 秋田県 秋田市 2

糞便、環境資料における検出

種名 都道府県 場所 高病原性鳥インフル エンザウイルス(H5N6亜型)
オナガガモ糞便 鳥取県 鳥取市 1
カモ類糞便 鹿児島県 出水市 1
兵庫県 小野市 1
コガモ糞便 鳥取県 鳥取市 1
ヒドリガモ/ヨシガ モ糞便 鳥取県 鳥取市 1
環境試料 (ねぐら の水) 鹿児島県 出水市 1

・野鳥では、10種の野鳥31個体から鳥インフルエンザH5N6亜型が確認されています。
・またカモ類の糞便などからもこのウイルスが見つかっています。(鳥取県、兵庫県、鹿児島県)
・この他、コハクチョウ(新潟県・長野県)、オオハクチョウ(青森県等3道県)、ノスリ(青森県)、ユリカモメ(茨城県)から見つかったウイルスがこのインフルエンザである疑いがあり詳しい検査が行われているところです。

2)家禽・飼育鳥における感染

・秋田県の動物園では、動物病院での感染が見つかり、院内感染が疑われています(コクチョウ3羽ほか;シロフクロウ2羽から鳥インフルエンザH5N6亜型が確認されています)。また、愛知県の動物園でもコクチョウがA型陽性で詳しい検査が行われています。
・青森県のアヒル農場で2件、新潟県の養鶏場で2件、高病原性鳥インフルエンザ(H5N6亜型)が確認されています。
・中国、香港、ベトナム、ラオスにおいては、2015年から201 6年にかけて、家禽や飼育鳥のアヒル、ガチョウ、コクチョウ、ニワトリ、キジ、クジャクなどからこのウイルスが見つかっています。また、台湾ではH5N2亜型のウイルスが家禽から見つかっています。
・韓国においても、2016年11月から、アヒル、ニワトリへの感染が発生しています。また、野鳥では、ワシミミズクやオシドリ、カルガモでの感染が確認されています。

3)病原性、人への感染

・このウイルスは、鳥類に対して高病原性を示します。
・鳥の種類によって感染した時の症状に差があり、ニワトリのように死に至る種類もあります。
・哺乳類への感染性は今のところ低いと見られています。中国ではごく少数、人への感染事例が中国で見つかっています(2014年以降16人)が、家禽と接触した人が感染したことが報告されている例が多く、また人から人への感染事例は見つかっていません。

※詳しい情報は、下記も併せてご覧ください。
◆(公財)日本野鳥の会
http://www.wbsj.org/activity/conservation/infection/influenza/
http://www.wbsj.org/activity/conservation/infection/influenza/infl20110201/

◆環境省
http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/bird_flu/
現在、対応レベル3になっております。具体的な対応については以下をご覧ください。
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/bird_flu/manual/pref_0809/list_ap1.pdf

◆農林水産省
http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/tori/

(自然保護室/葉山 政治)

会員室より

■会員数■

 12月1日会員数35,470人で、先月に比べ110人減少しました。11月の入会・退会者数の表をみますと、入会者数は退会者数より66人少なくなっています。
 会員の増減は入会者数と退会者数のほかに、会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活した人数によって決まります。11月の入会者数は117人で、前年同月の入会者139人に比べ22人減少しました。また、11月の退会者は183人で、前年同月の退会者154人に比べ29人増加しました。

表1. 12月の入会・退会者数

入会者数 退会者数
個人特別会員 8人 14人
総合会員(おおぞら会員) 18人 42人
本部型会員(青い鳥会員) 22人 33人
支部型会員(赤い鳥会員) 48人 56人
家族会員 21人 38人
合計 117人 183人
年度累計 1079人

※会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活する方がいらっしゃるため、退会者数の年度累計は、実際の退会者数とずれた数字となります。このため、退会者数合計については年度末の集計後にお知らせいたします。

■都道府県および支部別会員数■
 野鳥誌贈呈者数を除いた数を掲載します。

表2 都道府県別の会員数(12月1日現在)

都道府県 会員数 対前月差
北海道1736人-9人
青森県262人-1人
岩手県364人2人
宮城県484人-1人
秋田県242人0人
山形県200人-3人
福島県623人-7人
茨城県949人0人
栃木県591人10人
群馬県636人-1人
埼玉県2225人-2人
千葉県1685人-14人
東京都5000人-6人
神奈川県3412人-20人
新潟県375人0人
富山県220人-6人
石川県288人-1人
福井県224人-4人
山梨県291人-2人
長野県872人1人
岐阜県492人-5人
静岡県1347人-5人
愛知県1499人-10人
三重県421人-3人
滋賀県302人-3人
京都府775人6人
大阪府1969人-3人
兵庫県1296人-3人
奈良県472人-2人
和歌山県197人1人
鳥取県182人0人
島根県162人0人
岡山県576人-6人
広島県558人-4人
山口県379人-3人
徳島県314人-3人
香川県216人0人
愛媛県370人3人
高知県134人-1人
福岡県1326人-5人
佐賀県193人0人
長崎県217人0人
熊本県418人0人
大分県212人3人
宮崎県251人0人
鹿児島県355人0人
沖縄県115人-1人
海外12人0人
不明31人-2人
全国35,470人-110人

備考:不明は転居先が不明の会員を示します。

表3 支部別の会員数(12月1日現在)

都道府県 会員数 対前月差
小清水13人0人
オホーツク支部238人-4人
根室支部80人0人
釧路支部158人1人
十勝支部202人0人
旭川支部86人-2人
滝川支部47人0人
道北支部31人2人
江別支部21人0人
札幌支部310人-2人
小樽支部82人0人
苫小牧支部162人-1人
室蘭支部158人-1人
函館支部24人-2人
道南檜山72人2人
青森県支部145人-1人
弘前支部122人1人
秋田県支部231人0人
山形県支部189人-3人
宮古支部94人0人
もりおか152人1人
北上支部106人0人
宮城県支部441人-2人
ふくしま156人-1人
郡山171人-1人
二本松17人0人
白河支部41人-1人
会津支部52人0人
奥会津連合12人0人
いわき支部113人0人
福島県相双支部16人0人
南相馬13人0人
茨城県855人-4人
栃木570人8人
群馬568人-6人
吾妻39人0人
埼玉1722人1人
千葉県1110人-11人
東京2920人-9人
奥多摩支部847人-1人
神奈川支部2420人-17人
新潟県286人0人
佐渡支部30人0人
富山194人-5人
石川265人-2人
福井県217人-5人
長野支部471人3人
軽井沢支部174人1人
諏訪234人3人
木曽支部26人0人
伊那谷支部81人-1人
甲府支部200人0人
富士山麓支部60人0人
東富士68人-1人
沼津支部167人-1人
南富士支部241人-1人
南伊豆38人0人
静岡支部371人-1人
遠江414人-2人
愛知県支部1094人-7人
岐阜498人-5人
三重357人-2人
奈良支部443人1人
和歌山県支部199人2人
滋賀303人-1人
京都支部757人4人
大阪支部1850人-6人
ひょうご999人-6人
鳥取県支部197人0人
島根県支部160人0人
岡山県支部552人-5人
広島県支部487人-2人
山口県支部363人-3人
香川県支部170人0人
徳島県支部327人-3人
高知支部123人-1人
愛媛344人2人
北九州310人-1人
福岡支部 603人-2人
筑豊支部241人-2人
筑後支部170人0人
佐賀県支部204人0人
長崎県支部212人0人
熊本県支部413人0人
大分県支部212人2人
宮崎県支部241人0人
鹿児島319人0人
やんばる支部85人0人
石垣島支部24人-1人
西表支部42人0人
 30,642人-101人

備考:支部別の会員数の合計は、都道府県別の会員数の合計と異なります。
これは、本部型(青い鳥)会員や支部に所属されていない個人特別会員が支部別の会員数に含まれないためです。


(会員室/沖山展子)


★支部ネット担当より

 寒気厳しき折柄、いかがお過ごしでしょうか。いつも支部ネット通信をご愛読いただき有難うございます。
今月号では、鳥インフルエンザの情報を掲載しております。ご一読いただき、ご参考にしてください。
忙しい年末ですが、体に気をつけてお過しください。ご家族健康で新年を迎えられますようお祈り申し上げます。

■支部ネット通信は支部の代表の方に電子メールでも配信をしています。電子メールでの配信を希望される支部の代表の方は下記メールアドレスまでお気軽にお申し込みください。

支部ネット通信 第153号
◆発行
公益財団法人日本野鳥の会 2016年12月26日
◆担当
総務室 総務グループ
奥田秋穂/林山雅子
〒141-0031
東京都品川区西五反田3-9-23
丸和ビル
TEL:03-5436-2620
FAX:03-5436-2635
E-mail:[email protected]