No.144 2016年03月号


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目次 ◆支部の動き
支部報保護・調査記事関連トピックス
◆ブロックからのお知らせなど
九州・沖縄ブロック協議会報告
◆事務局からのお知らせなど
3月号『フィールドガイド日本の野鳥』増補改訂新版の
 取り組み

連携団体(支部等)向卸販売をご利用ください
オオタカの国内希少野生動植物種指定解除について
評議員会傍聴申込要領について
会報誌(支部報等)を各連携団体(支部等)他に
 発送する部数について

支部名称・代表者・事務局等変更のお知らせ
会員数

支部の動き

■支部報保護・調査記事関連トピックス■

 本記事は日本野鳥の会へ送付されてきている各地の支部報/会報から抽出して作成し、調査・保護に関心がある野鳥の会の会員へ配信しております。本記事の一部又は全部を不特定多数が見る可能性があるところへ公開される場合は、各支部/各会の了承を事前に得て下さい。記事は筆者の意向に反しないように、取り扱いをお願いします。

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.785

●2016/1-2 宮城県
・連携団体全国総会にて
・インドガン
●2016/1 茨城県
・みんなで日本の鳥の今を調べませんか?
(バードリサーチ)
・オオミズナギドリとノネコ里親募集
(えだ動物病院)
・2015年シギチドリ調査(環境計画部)
・稲波のオオヒシクイ(事務局)
●2016/1 大阪
・庭に野鳥を呼ぼう
・コウノトリ飛来対応冊子完成(11/25 神戸新聞)
・潜る水面採食ガモ
・サシバシンポジウム
・コアジサシ鳥類講座
●2016/1-2 愛媛
・2015秋 由良半島サシバの渡り調査

●2016/1-2 宮城県
・連携団体全国総会にて
 11/7〜8、千葉市で開催された。NPO法人環境エネルギー政策研究所の松原弘直氏の講演があった。通常2年以上かかるアセス期間を半減する検討をしている。類似環境地域のアセスデータの流用化、役所の手続き簡素化等であるが、ビルの杭打ちデータ流用捏造事件等が頭をよぎる。その地のアセスに他データを流用していいものか疑問に思う。
(宮城県「雁」NO.275,P12〜13)

・インドガン
 11/29、伊豆沼でインドガン飛来を確認、撮影した。6月には道北でも飛来記録がある。国内で数例の記録があるが、多くは篭脱けと言われる。今回の個体は足環はなく、行動から篭脱けではない?
(宮城県「雁」NO.275,P21)

●2016/1 茨城県
・みんなで日本の鳥の今を調べませんか?
(バードリサーチ)
 1970年代、1990年代に環境省は全国鳥類繁殖分布調査を野鳥の会を中心に行った。これらの結果よりレッドリストの選定、種の増加、減少傾向が分かる。今回は全国2,300箇所のルートでNGO、大学の研究者と共同で調査する予定。調査期間は2016〜2020年、ルート上には2箇所の定点調査(30分滞在)がある。各自のフィールドで任意の定点を登録する事もできる。普段の観察情報のアンケート調査もできる。参加希望者は全国鳥類繁殖分布調査のHPから登録できる。
(茨城県「ひばり}NO.329,P3)

・オオミズナギドリとノネコ里親募集(えだ動物病院)
 御蔵島のオオミズナギドリがノネコにより相当数捕食されている。1970年代は175〜350万羽が繁殖したが、2012年には80万羽以下になっている。島内のノネコは約500頭いるとみられ、年間2万羽のオオミズナギドリが捕食されていると考えられる。御蔵島村役場、山階鳥類研究所、都医師会合同でノネコ里親プロジェクトが発足し、ノネコ13頭が島から本土へ渡った。ノネコの里親を募集する。
【連絡先】: [email protected] 枝幸江
(茨城県「ひばり}NO.329,P4)

・2015年シギチドリ調査(環境計画部)
 県内で4/29を中心に春季、8/16を中心に秋季の調査をした。春季:53箇所で25種、3,196羽(前年4,174)を記録、内訳はムナグロ1,562、チュウシャクシギ1,118、ミユビシギ148、キョウジョシギ77、以上4種で91%を占める。ムナグロ、チュウシャクシギはこの20年間減り続けている。秋季:44箇所で24種、761羽(前年639)を記録、内訳はミユビシギ233、コチドリ121、ムナグロ71、イソシギ67、タカブシギ51等とバラける。
(茨城県「ひばり}NO.329,P5〜7)

・稲波のオオヒシクイ(事務局)
 昨年124羽のオオヒシクイが飛来したが、12/6現在138羽に達している。今回は直前に近くにハス田が出現し、防鳥ネットと夜間照明が設けられたが、鳥獣保護管理員の説得で、撤去された。
(茨城県「ひばり}NO.329,P22)

●2016/1 大阪
・庭に野鳥を呼ぼう
 ウグイスはカキをよく食べ、パンくず、ミカンも食べる。ツグミはパンくず、カキをよく食べ、ミカンも食べる。シジュウカラはパンくずも食べる。カメラマンの餌付けはNGと言いながら、庭での給餌では冬期の餌不足を補助する、鳥の行動や生態に悪い影響を与えない条件で野鳥や自然を守ろうとする人が増えるのを願う。餌台(バードフィーダー)の管理は、http://www.wbsj.org/activity/conservation/infection/inf-birdfeeder/
(大阪「むくどり通信」NO.241,P7〜8)

・コウノトリ飛来対応冊子完成(11/25 神戸新聞)
 放鳥され全国の野外にいるコウノトリは約90羽、9月現在までに飛来が確認された場所は41府県、281市町村にのぼる。コウノトリ飛来時の対応策を兵庫県立コウノトリの郷公園が作成し、全国の自治体に配布された。
http://www.stork.u-hyogo.ac.jp/announce/announce_file/tp20151029_when_ows_flies_to.pdf
(大阪「むくどり通信」NO.241,P9)

・潜る水面採食ガモ
 水面採食ガモの潜水は欧米では1940〜50年代に既に報告がある。さほど珍しい事ではないが、オカヨシガモ、ヨシガモ、オナガガモ、コガモ、マガモ、カルガモ等でも潜水する。水に潜る理由は捕食者からの回避、採食の2つが考えられる。しっかりした報告例は下記2件ある。参考:岡奈理子(2010)、オホーツク海潟湖で越冬するマガモ潜水採食行動 日本鳥学会誌59 161-167。上出貴士(2015)、和歌山県で観察されたコガモ潜水行動 バードリサーチ 11 S15-20。
(大阪「むくどり通信」NO.241,P10)

・サシバシンポジウム
 11/15、大阪市自然史博物館で開催された大阪バードフェスティバル2015の中で報告があった。2014年、サシバプロジェクトin大阪が発足し、そのPRを兼ねて3氏の講演があった。東淳樹氏(岩手大学農学部):日本のサシバの生息状況と生息地の環境条件、小島幸彦氏(兵庫森林管理署):嘗ての南大阪のサシバの生息状況と繁殖生態、大西敏一氏(同プロジェクト):大阪のサシバの現状。1980年頃は河内長野市周辺には30ペアのサシバがいた。サシバの減少の原因の1つに2000年頃から増えた水田周囲に張られたシカ柵、電気柵の影響がある。
(大阪「むくどり通信」NO.241,P12)

・コアジサシ鳥類講座
 10/17、南港野鳥園で第10回鳥類学講座を開催した。千葉県九十九里浜でのコアジサシはこの16年間で1/3になった。同じような営巣環境にあるシロチドリも含め、全国の状況把握が必要である。NPO法人リトルターンプロジェクトは2001/6、東京都大田区森ヶ崎水再生センター屋上での営巣確認より始まった。当該地区以外と全国ネットワーク化を目指している。
(大阪「むくどり通信」NO.241,P13)

●2016/1-2 愛媛
・2015秋 由良半島サシバの渡り調査
 9/21〜10/11、由良半島の船越(旧内海村)で調査した。サシバ総計3,092羽と少なく、風力発電風車の影響があったかも。ピークは9/29、30、10/2であった。タカ柱の高度測定では平均343mとなった。その間ハチクマ92、ノスリ88、ミサゴ15、チョウゲンボウ4、ハヤブサ3、アカハラダカ2、チゴハヤブサ2、オオタカ1、ハイタカ1を記録した。
(愛媛「コマドリ」NO.230,P8)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.786

●2016/1-2 群馬
・2015年タカの渡り
・越冬アオバト観察記
・オジロビタキ
●2016/1 筑豊
・2015年ハチクマ秋季渡り調査(研究部)
・コノハズク属
・サンショウクイ2亜種で増減対照的
(筑豊博物研究会)
・吉兆をもたらすカササギ
・メボソムシクイ囀りのバリエーション
・メジロ(編集部)
●2016/1 熊本県
・2015年秋タカ類・ハヤブサ類の渡り調査
・探鳥会等、車に相乗りされる場合の申し合わせ事項

●2016/1-2 群馬
・2015年タカの渡り
 9/19、22の両日の伊勢崎市境島村利根川左岸の観察でサシバ83を記録した。時間帯は9〜11時であった。ハチクマは記録されず。
(群馬「野の鳥」NO.333,P6〜7)

・越冬アオバト観察記
 2014/12/20、東京都調布市の神代植物公園で4羽のアオバト(全て♂)が撮影された。アラカシのドングリをよく食べる。この実はアオバトの好物で、西日本に多い。神代植物園はシラカシが多いがアラカシが5本あり、アオバトはこれを見つけて棲みついたと思われる。土に埋まったアラカシの実でも嘴で掘り起こして選んで食べている。地上で食べる時間は12時〜午後2時頃、長くても5分、その間に20〜30個食べる。発芽しているものも食べ、小さいものは殻斗がついたまま食べる。ドングリを咥えると嘴を小刻みに振り、実を選定している。3/6にはイヌシデの花穂を食べ、5/1に飛去。
(群馬「野の鳥」NO.333,P10〜11)

・オジロビタキ
 10/7、太田市でオジロビタキを撮影した。従来、オジロビタキとされてきた個体の多くは冬季に本州に滞在するニシオジロビタキとされる。今回の個体は直ぐ渡って去り、嘴の上下全て黒色でニシオジロビタキの下嘴の肉色と異なる。喉から腹が明るい淡色であり、オジロビタキの幼鳥と思われる。この2種は、現在は別種とされており、群馬県では過去に2例の記録があるが、いずれの種であったかは断定されていない。
(群馬「野の鳥」NO.333,P12)

●2016/1 筑豊
・2015年ハチクマ秋季渡り調査(研究部)
 9/17〜25、六ヶ岳・剱岳で観察した。ハチクマ総計691羽、サシバ2、ハイタカ1、オオタカ3、ハヤブサ1であった。ピークは9/23のハチクマ303であった。
http://yacho.org/cbird/pages/2_oshirase/hachikuma/hachikuma2015.htm
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.455,P19)

・コノハズク属
 日本産コノハズク属にはコノハズク、オオコノハズク、リュウキュウコノハズクがいる。コノハズクは夏鳥で、初夏に東南アジアから渡って来る。オオコノハズクは留鳥で一部は冬季に南へ移動する。サメイロオオコノハズク、オオコノハズク、リュウキュウオオコノハズクの3亜種が知られている。リュウキュウコノハズクはトカラ列島以南に留鳥として生息し、飛び石型分布で500q以上離れた五島列島で記録があり、福岡県宗像市筑前沖ノ島に夏鳥として飛来し、繁殖もしている。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.455,P25〜28)

・サンショウクイ2亜種で増減対照的
(筑豊博物研究会)
 従来の亜種サンショウクイは夏鳥である。サンショウクイは落葉樹林に、リュウキュウサンショウクイは常緑樹林に生息する。リュウキュウサンショウクイは以前、南九州でしか見られなかった。現在、筑豊地方で観察されるサンショウクイは主に留鳥の亜種リュウキュウサンショウクイで、サンショウクイは福岡県内では渡りは見られるが、繁殖記録は無く、これは減っており、リュウキュウサンショウクイは増えている。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.455,P30)

・吉兆をもたらすカササギ
 カササギは北九州、山口県の一部に生息する地域限定種である。北海道、新潟、長野で確認されているが、地域や時期が限定的である。北海道のは苫小牧港に入った韓国船が持ち込んだものらしい。「カササギの七夕伝説」は有名で、発祥は中国江蘇省あたりで既に紀元前には広まり、我国にも伝わった。中国、韓国では普通のカラスを殆ど見ないのは戦時中の混乱期に食べられたようで、カササギは七夕伝説と吉兆をもたらす鳥として残った。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.455,P31〜33)

・メボソムシクイ囀りのバリエーション
 5/3、福津市で従来聞いたのとは違うメボソムシクイの別の2パターンの地鳴きを聞いた。下記で「メボソムシクイ囀りにまたバリエーション」を開く。
http://yacho.org/cbird/pages/4_kazakiri/shibuta_akira/dir.htm#meboso_songs3
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.455,P34)

・メジロ(編集部)
 メジロは古くは目の周囲が白い絹糸で刺繍された様に見え、「繍眼児」と言われ、中国では繍眼鳥と呼ばれる。メジロ科は世界に128種、日本には3種(メジロ、チョウセンメジロ、メグロ)おり、メジロは基亜種メジロ、シチトウメジロ(伊豆七島)、イオウトウメジロ(硫黄島)、ダイトウメジロ(北、南大東島)、 シマメジロ(種子島・屋久島)、リュウキュウメジロ(沖縄・南西諸島)の各亜種がある。チョウセンメジロは朝鮮半島では稀な通過鳥で、この和名は適当ではない。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.455,P45)

●2016/1 熊本県
・2015年秋タカ類・ハヤブサ類の渡り調査
 9/7〜10/26、県内16箇所と一部宮崎県、鹿児島県では延210名で調査した。アカハラダカは9/7〜10/2までの21回の調査では総計6,483羽で昨年よりやや少ない。ハチクマは9/11〜10/12、総計137羽。サシバは9/12〜10/14、総計2,294羽を記録した。アカハラダカは9/10、対馬で37,462羽、翌日の9/11、天草の六郎次山では1,674羽しか捕捉できず。ハチクマは県内では北部通過が多い事が伺える。熊本県内のサシバの渡りは多くは薩摩半島に向うが、今回の結果では金御岳
方面へ向うのもあると思われる。県西部を南下するサシバは朝鮮半島から南下する個体の可能性が高い(壱岐島でサシバのタカ柱を見た事例ある由)。
(熊本県「野鳥くまもと」NO.337,P2〜13)

・探鳥会等、車に相乗りされる場合の申し合わせ事項
 本会が行う調査活動、研究活動、探鳥会等の参加で、会員間で車の相乗り機会が多い。当然、安全運転に心がけているが、万が一の対応のため、下記の内容を搭乗前に互いに確認し了承しておく事が望ましい。事故の場合、同乗者に対して運転している会員が加入している自動車保険(任意保険)の範囲内で示談する。
(熊本県「野鳥くまもと」NO.337,P29)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.787

●2015/12 オホーツク
・ハクガン
●2015/11-12 盛岡
・スマートグリッドについて
・カッコウ調査2015
●2015/12 長野
・戸隠森林植物園周辺鳥類調査
●2016/1 長野
・H27年秋のタカの渡り調査
●2015/12 南富士
・「あさが来た」のメジロ(保護部)
●2015/12 石川
・オオタカ希少種指定解除問題
・里山について
●2015/12 徳島県
・鳴門海峡を渡ったクマタカ
・秋のタカの渡り2015年(研究部)
・ちょうと気になる野鳥の和名キツツキ
●2015/12 高知
・2015秋考える村タカの渡り

●2015/12 オホーツク
・ハクガン
 ハクガンの記録はオホーツク圏内では過去に3例しか無い。1999年以降16年ぶりに今回、観察された。10月、大空町で幼1羽、10/23、小清水町でハクガン幼4羽が確認された。共にヒシクイの群の中におり、塒入り時は群全体が100m程早足で移動し、数十秒静止した後、網走湖方面へ飛び立った。
(オホーツク「ばあどこおる」NO.343,P2)

●2015/11-12 盛岡
・スマートグリッドについて
 スマートグリッドは電力系統に「より高い知能を持たせ賢い系統」にする狙いがある。これには情報のやり取りで個人情報漏洩のリスクもある。EU諸国では国境を越えて電力を融通しており、風力発電、太陽光発電では気象予報に基づき24時間ごとの発電量誤差を15%以内で予測している。設置場所は渡り鳥経路や希少猛禽類生息地とのゾーニングがされており、レーダー観測で渡り鳥の群を感知すると風車を止めて(スペイン)対応している。日本ではスマートグリッドでは全系統のために末端で停電する可能性があり、風力発電、太陽光設置は発電量予測変動に対応に限定すべきでは。
(盛岡「山翡翠」NO.367,P2)

・カッコウ調査2015
 盛岡市を中心にカッコウの鳴き声情報をマッピングした。モズ、ホオジロ、オオヨシキリに托卵していたが、最近は、後者2種は托卵に防衛する行動をするように変化し、モズ、ノビタキへの托卵は継続している。
(盛岡「山翡翠」NO.367,P3)

●2015/12 長野
・戸隠森林植物園周辺鳥類調査
 H26/10〜H27/9、同地で鳥類を調査した。87種が確認され、4〜6月は60種と少なかった。多く観察された場所はみどり池からバリアーフリー全区間で、鏡池では秋冬にクマタカ、ハイタカが来ている。
(長野「野鳥ながの」NO.542,P6)

●2016/1 長野
・H27年秋のタカの渡り調査
 9/2〜11/13、長野市飯綱高原(標高900m)で調査した。最大渡り数はサシバ9/15 582羽、ハチクマ9/15 178羽、ノスリ10/19 179羽、ツミ10/3 8羽。その他の渡りはホシハジロ9/2、クサシギ9/24、オシドリ10/5、マニチャジナイ10/27、ベニマシコ10/31、アトリの大群11/16。
(長野「野鳥ながの」NO.543,P6) 

●2015/12 南富士
・「あさが来た」のメジロ(保護部)
 NHKの朝ドラ「あさが来た」に中で、ガス発生予知のため炭鉱の中にメジロが持ち込まれている。「足環がついていない、国内種では」の疑問が出た。確認した結果タンザニアから輸入されたアフリカヤマメジロであった。国内種でないにしても、鳥獣保護管理法での特定輸入鳥獣に指定されていないのが輸入、使われているのはHNKにびっくりポンである。
http://www.nhk.or.jp/osaka-blog/program/224227.html
(南富士「さえずり」NO.397,P10)

●2015/12 石川
・オオタカ希少種指定解除問題
 現在、環境省は種の保存法の希少種からオオタカを外す検討をしており、日本野鳥の会、日本自然保護協会、日本オオタカネットワークが協議に参加している。「オオタカ生息地の保全義務がなくなる」と現法整備では里山の環境破壊は止められなくなる。ガイドラインやアセス調査で対応可能とするが、ガイドラインには拘束力は無く、アセスでは希少種でなければ、配慮は望めない。環境省の中で野生生物課、アセス課と縦割りで解除後の対応について議論が進んでおらず、多くの人がこの点を問題視している。問題が出た時に違法性が問える法整備が必要である。(全国規模の)野鳥の会が先頭に立つ意義は大きい。
(石川「石川の野鳥」NO.185,P2〜3)

・里山について
 里山の生物多様性を支えるミソは近年、人工林間伐、農地草刈り等人手を加えるのは自然に対し良いとの理解が浸透してきた事である。しかし、それは農水産物の生産振興目的が多く、生物多様性の視点に欠ける。我々生き物屋はこの間の合意形成努力、生物多様性保持は地域の持続的発展に重要で寄与する事の理解を広める事である。
(石川「石川の野鳥」NO.185,P5)

●2015/12 徳島県
・鳴門海峡を渡ったクマタカ
 クマタカは海を渡らないと思われ、タカの渡り調査で眼中に無かった。今回、数例観察があった。5/4と9/28、鳴門山展望台で海峡を渡るクマタカの写真が撮られた。
(徳島県「野鳥徳島」NO.447,P4)

・秋のタカの渡り2015年(研究部)
 9/5〜11/15の内30日間、鳴門山でサシバ2,387、ノスリ653、ハチクマ191、ハイタカ40、オオタカ11等。この間に逆行(東行き)ハイタカは140であった。9/12〜9/27、四方見展望台でサシバ4,039、ハチクマ293、ノスリ136,1ツミ8等。徳島県南部で調査員確保は難しいが、10月の5日間で椿自然園でサシバ224、ハチクマ15、14日間で蒲生田岬でサシバ74、ハチクマ15を記録した。
(徳島県「野鳥徳島」NO.447,P5〜9)

・ちょうと気になる野鳥の和名キツツキ
 日本のキツツキ科は11種で、多くは最後に「ゲラ」が付く。ゲラはケラの濁音化で、一説に寺の柱をつつく平安時代の「てらつつき」から「ケラ」に変化したとあるが、私はその鳴き声からケラが出て来たと考える。
(徳島県「野鳥徳島」NO.447,P14)

●2015/12 高知
・2015秋考える村タカの渡り
 10/2〜12、高知市郊外の考える村で観察した。サシバ2,445、ハチクマ38、ノスリ32、他の猛禽25を記録した。
(高知「しろぺん」NO.347,P2)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.788

●2015/12-1 宮古
・北上高地の風力発電事業計画(岩手県連絡協議会)
・アリランの青い鳥
・宮古岩泉風力発電設備に関する請願書
●2015/12 山形県
・飛島海鳥調査
・酒田市十里塚風力発電計画の現状
・2015年酒田市のコアジサシ飛来状況
・山形初確認 ノドジロムシクイ
・山形県の留鳥
●2016/1 南富士
・まだ見ぬ仲間と共に
・ヒシクイの亜種
●2015/12 富山
・ガンカモ類・ハクチョウ類調査2015
・2014年富山県内のコアジサシ
・富山県の新野鳥

●2015/12-1 宮古
・北上高地の風力発電事業計画(岩手県連絡協議会)
 12/28、岩手県内3支部は本部と連名で同計画に対する要望書を岩手県知事へ提出した。既設区域、事業想定区域はイヌワシの重要な行動圏で、希少猛禽類保護の観点より建設に反対である。釜石広域ウインドファームでは国内初のイヌワシの風車への衝突死が発生している。
(宮古「ミサゴの海」NO.245,P4〜5)

・アリランの青い鳥
 ウオン・ピョンオーは北朝鮮出身で、朝鮮戦争で家族は南北にバラバラになった。1963年、ピョンオーの父親がピョンヤンで1羽のシベリアムクドリを手にする。「農林省Japan」の標識があり、父は日本に問い合わせ、末っ子のピョンオーが放鳥したものと分かった。音信普通であった親子がつながった。ピョンオーは1960年、国際鳥類保護会議で来日し、山階鳥類研究所より足輪を受け、ソウルで繁殖したシベリアムクドリ82羽に足輪をつけ放鳥したのが父親に届いたのは奇跡である。ピョンオーは現在韓国の鳥類学第一人者で2001年、「日韓国際環境賞」を受章し、筆者の生涯の友である。
(宮古「ミサゴの海」NO.245,P4〜5)

・宮古岩泉風力発電設備に関する請願書
 9/11、個人として宮古市に出した同請願書が12/21、市議会で採択された。内容は土砂崩れ等が発生した時は、業者が復旧工事の責任を負う。水質が飲用に適さなくなった時は業者が責任を持つ事。設備の耐久期間は18〜20年とされ、稼働しない施設と基礎コンクリートは撤去し、現状回復する事。
(宮古「ミサゴの海」NO.245,P8)

●2015/12 山形県
・飛島海鳥調査
 支部は今年から3年計画で県の委託で飛島の御積島でカンムリウミスズメ、ウミスズメ、ウトウの生息調査を行っている。島には上陸不可能であるので、船上からの観察である。カンムリウミスズメは最大27羽、ウミスズメは観察されず、ウトウは50羽を記録した。これらの繁殖が確認できれば、カンムリウミスズメでは日本北限、ウトウは日本海側の南限となる。
(山形県「やませみ」NO.86,P2)

・酒田市十里塚風力発電計画の現状
 2012年、山形県知事は卒原発を謳い、「山形県エネルギー戦略」を策定。同年、酒田市十里塚地区に2300KW×6基の風力発電を計画。2013年、支部は国指定の鳥獣保護区、コアジサシの繁殖地のため、計画中止、代替地を要望。2014年、オオタカ営巣確認で環境省の指針で調査開始。2015年、本部と連名で知事と市長に要望書を提出。その回答は環境に配慮した事業となるよう手続きを進めて行くだけの不誠実なもので、再度、日本自然保護協会と連名で意見書を出した。従来の施設に隣接する計画は法定アセス外規模と言えど、既設を含む全体で評価する新たな法規制が必要である。
(山形県「やませみ」NO.86,P2〜3)

・2015年酒田市のコアジサシ飛来状況
 コアジサシの国内での繁殖個体は5千〜1万番と推定されるが、詳細は不明、繁殖地の減少は著しく、巣立ち率は1割未満とされる(2014 環境省)。山形県では庄内海岸を中心に繁殖地がある。2015年の調査では日別カウントでの最大数は124羽(5/1、B地区)、110羽(7/20、C地区)で、B地区では産卵巣20に対し、孵化巣2、C地区では産卵巣17に対し、孵化巣3であった。抱卵放棄要因把握のため、C地点で巣から2m付近にて自動撮影カメラでモニタリングした。ウミネコ、アオサギ、テン、キツネ、ノネコ、カラス類等の天敵となりうる動物を見る。
(山形県「やませみ」NO.86,P5)

・山形初確認 ノドジロムシクイ
 10/6、飛島で日本初記録であるノドジロムシクイを外国人が発見した。欧州に分布する種で悪天候のため10/17まで滞在した。
(山形県「やませみ」NO.86,P12)

・山形県の留鳥
 留鳥、英名Resident Breederには渡りをする種がいる。夏に山形で繁殖したヒヨドリやモズは秋に全てではないが南下する。より北で繁殖したヒヨドリやモズは秋にやって来る。カワラヒワ、ダイサギでは山形で繁殖するのは亜種カワラヒワ、亜種チュウダイサギで、越冬で来るのは亜種オオカワラヒワ、亜種ダイサギである。見かけ上、一年中見られる形であるが、個体は入れ替わっている。
(山形県「やませみ」NO.86,P12)

●2016/1 南富士
・まだ見ぬ仲間と共に
 会員の減少と高齢化が常に話題になる。嘗ては野鳥の会に入会しなければ地元の野鳥情報が得られなかった。現在ではITの発達で気の合った仲間同士でリアルタイムに鳥情報がやりとりされている。しかし、野鳥の会の存在価値が薄れているとは思わない。我々が行う調査がその地域の自然を守る貴重な資料になり、会員が集まる事で野鳥や自然を守る大きなメッセージとなる。
(南富士「さえずり」NO.398,P2)

・ヒシクイの亜種
 ヒシクイはユーラシアの寒帯に広く繁殖、分布する。その仲間は4つの亜種に分けられる。ツンドラ地帯:西部にロシアヒシクイ、東部にヒシクイ、タイガ地帯:西部にニシヒシクイ、東部にオオヒシクイ。ツンドラ型はタイガ型より食性の違いで嘴、首が短い傾向にある。また西部から東部に向かい体が大きくなる傾向にある。ヒメヒシクイはその特徴より亜種ロシアヒシクイの最も東の個体群との説がある。
(南富士「さえずり」NO.398,P8)

●2015/12 富山
・ガンカモ類・ハクチョウ類調査2015
 2015/1/4〜12、富山県内43箇所で調査した。ガン類2種、11羽(ヒシクイ1、マガン10)、ハクチョウ類2種、652羽(コハクチョウ424、オオハクチョウ219等)、カモ類18種、23,248羽、内訳はマガモ8,199、コガモ5,459、カルガモ5,031、オナガガモ1,620、ヒドリガモ840、ホシハジロ754、キンクロハジロ431、オカヨシガモ259、ヨシガモ157、カワアイサ98等。
(富山「愛鳥」NO.72,P2,4〜5)

・2014年富山県内のコアジサシ
 黒部川:5/6、成鳥最大約100羽、抱卵は見られず、5月下旬には観察されず。片貝川:5/24、成鳥最大約70羽。抱卵有。6/29、雛5羽。常願寺川:7/2、成鳥最大約200羽、7/27、雛21羽。神通川:6/20、成鳥最大12羽、7/14、雛3羽。
(富山「愛鳥」NO.72,P3)

・富山県の新野鳥 
 2013/11/15、朝日町タンチョウ幼、怪我のため保護されたが、翌年1/31死亡。2013/12/31魚津市でホシムクドリ。2014/1/13富山市でアオシギ、2015/2/14富山市でシベリアジュリン。
(富山「愛鳥」NO.72,P8〜10)

(自然保護室・野鳥の会・神奈川/森 要)

ブロックからのお知らせなど

■九州・沖縄ブロック協議会報告■

【日時】2016年2月6日(土)14:00〜17:00
【場所】福岡県営春日公園自然観察館会議室(福岡県春日市)
【参加者】北九州(事務局:前田伸一)、福岡支部(事務局:田村耕作、永松愛子)、筑豊支部(支部長:梶原剛二、事務局:広塚忠夫)、筑後支部(支部長:松富士将和)、佐賀県支部(支部長:宮原明幸、青蝸ヌ子)、長崎県支部(事務局:執行利博)、熊本県支部(事務局:原口研治)、大分県支部(事務局:高野橋豊)、宮崎県支部(支部長:前田幹雄)、鹿児島(代表:手塚理一郎)、西表支部(支部長:衣斐継一)、財団事務局(常務理事:遠藤孝一、自然保護室長:葉山政治、普及室長代理:箱田敦只、普及室員:堀本理華)の計18名。


会議の様子

●議事
1.ブロック代表挨拶(宮原佐賀県支部長)
  遠方からの参加に対するお礼と忌憚のない意見を交わして欲しいとの挨拶があった。

2.(公財)日本野鳥の会代表挨拶(遠藤常務理事)
  財団事務局(以下、財団)の近況として、内閣府の立入があったが公益財団法人として順調に運営されていると評価されたこと、物販の好調や寄付等により赤字運営が好転しはじめ、新商品の開発や遺贈を受ける取組みをしていることが述べられた。また会員を増やすための探鳥会や全国鳥類繁殖分布調査など、今後とも連携団体(支部等)と手を組んで取り組んでいきたいと考えている旨が述べられた。

3.出席者の自己紹介

4.(公財)日本野鳥の会検討事項回答
  事前に筑豊支部よりいただいていた質問に対して、財団より、以下の通り回答があった。
Q1.メール版の会報を作成している支部を教えていただきたい。
A1.財団では把握していない。
Q2.メール版の会報をメールで受けたい支部があれば、送付したいので希望を募っていただけないか。
A2.支部ネット通信などで呼びかけたり、確認したりすることができる。
Q3.メール版の会報を送付するために財団のメーリングリスト(wbsj-tori-joho)を使用する問題点は。
A3.ML「wbsj-tori-joho」は野鳥に関する調査研究情報の共有に特化したものであり、設置目的が異なる。また各支部の窓口(受け手)も調査担当者や地区担当者であり、支部の事務局等に確実に届く保証がない。メール版会報の送信などを含めた支部間の連絡用のMLの開設について、次の連携団体全国総会時(11月予定)に筑豊支部から提案して、議論していただければと思う。
Q4.全国の支部から、紙ベースの会報を受け取っているが、支部事務所に全会報を保管するのは困難であり、各支部の活用方法や保管現状について、情報があれば教えてほしい。
A4.財団では把握していない。
※この件に対し、出席支部より以下が共有された。
・佐賀県支部では、1年分はファイルに収め、古いものは探鳥会に持って行き、興味のある方に持ち帰ってもらえるようにしている。
・宮崎県支部では、支部報発送のときに他支部の会報もアトランダムに入れて送っている。
・長崎県支部では、支部ネット通信の「支部報保護・調査記事関連トピックス」を活用して、そこから面白いものを読むようにしている。このトピックスは役立っているのでこれからも続けてほしい。
・筑豊支部では、筑豊支部の会報は、創刊号よりすべて電子化し、会員は見られるようにしている。
 野鳥誌も記録という観点から電子化して会員が見られるようにしてはどうか。
・熊本県支部では、熊本県支部の支部報に加えて、他支部の支部報も全て電子化しているが、まだその活用には至っていない。
Q5.各支部の記念号や調査研究誌だけを受け取ることは可能か。
A5.支部報発送は、ボランティアにお願いして行っているため、必要な支部報とそうでない支部報の判断が難しいため、対応は難しい。なお、支部報の発送を全て断られている支部はあり、全て送らないという対応は可能である。
Q6.財団の紙版支部報の必要部数は。
A6.現時点で、支部への発送分は86部、財団内での活用は15部で、計101部必要。
Q7.ガンカモ調査を財団主催の調査として検討いただけないか。
A7.この調査は1982年から1992年まで「ガン・カモハクチョウ類全国一斉調査」として行ったものである。その後1993年から2004年まで「鳥の生息環境モニタリング調査」として模様替え、2004年以降環境省による「モニタリングサイト1000」に組み込まれ、陸生鳥類、ガン・カモ類、シギ・チドリ類、海鳥の調査へと引き継がれている。一方、昭和45年の当時の林野庁によってスタートした「ガン・カモ類の生息調査」は環境省に引き継がれ、環境省から都道府県に依頼して行われていて、都道府県からの報告を環境省が取りまとめている。(調査主体は猟友会や鳥獣保護員等) 日本野鳥の会はNGOとして、行政ができていない分野をやるべきと思っているため「全国一斉ガン・カモ調査」に関して再開は考えていない。
Q8. 探鳥会保険の適用範囲について
A8. HPなどの告知で宿泊の案内が掲載されているものは原則的には宿泊型の探鳥会となり、探鳥会保険の適用範囲外となる。ただし、以下の条件を満たしている場合は、宿泊されない方のみ探鳥会保険でカバーできる。
@2日間にまたがる場合であっても、集合から解散までの時間が24時間以内である。
A宿泊される方の名簿が事前に作成できており、宿泊する人・しない人の切り分けができている。

5.「2016年九州・沖縄ブロック大会in筑後」関連(松富士筑後支部長)
(1)大会参加状況報告、主要スケジュール他2016年4月9日(土)〜10日(日)に、船小屋温泉郷、ホテル樋口軒(福岡県)で開催する。参加申し込みが未だの支部があるが、枠があるので早めの申し込みを願うと述べられた。
(2)京都支部からの講師招聘費用について
 松富士筑後支部長より、2015年の連携団体全国総会における京都支部からの事例報告が大変参考になる内容だったので、九州・沖縄ブロック大会に招聘して講演してもらいたく、そのための交通費をブロックで負担できないかという相談があった。その結果、支部の負担金が増額するのは厳しいなどの意見により招聘は見送り、連携団体全国総会への出席者から京都支部の事例を紹介することとなった。

6. 九州・沖縄ブロック協議会の開催場所について
 福岡支部の事務所の移転に伴い、今回から開催場所が変更になったが、次回以降については、会場までの旅費や会場使用料などのデータを揃えた上で再度検討することとなった。

7.その他(堀本普及室員)
(1)会員を増やすための探鳥会と小冊子プレゼント葉書について
 支部型会員を増やすことを目的とした会員を増やすための探鳥会を、2015年度は関東ブロックと近畿ブロックに所属する12支部と23回開催し2016年度はさらに開催範囲を広げていきたいと考えている旨が述べられた。また、そのための研修会に対応可能であることや小冊子プレゼント葉書を使った集客方法の紹介と設置場所に対する協力依頼があった。

(普及室/堀本 理華)

事務局からのお知らせなど

■普及室より

■3月号『フィールドガイド日本の野鳥』増補改訂新版の取り組み■

<日本の野鳥は633種でよい?>

 日本の野鳥は633種とか、600種以上などと言われるようになりました。ただし、日本鳥類目録改訂第7版に掲載された633種には、絶滅種やただ一回記録されただけの種も含まれています。また、「外来種・亜種」、「検討中の種・亜種」、「最近50年以上国内で記録がない種・亜種」という別のカテゴリーもあります。
 『フィールドガイド日本の野鳥』は、リュウキュウカラスバトのような絶滅種も扱ってきたので、私が増補改訂版を担当した際に、絶滅種には種名の前に赤で×を記しました。目録7版に対応させた新版では、「最近50年以上国内で記録がない種」とされたリュウキュウガモなどに×を記すことにしたので、絶滅種は××としました。
 目録7版での「外来種・亜種」は43種に及びますが、『フィールドガイド日本の野鳥』で外来種として扱っているテンニンチョウはそこに含まれていません。目録7版の「はじめに」を読むと、外来種については国内で繁殖が記録されたものと書いてあります。私もかつて埋立地でよく目にしたテンニンチョウですが、目録7版に載っていないのは繁殖記録が確認されていないためです。このように捉え方によって違いが生じる例として、『神奈川の鳥2006-10』(日本野鳥の会神奈川支部発行)の鳥類目録では、目録7版では外来種とされているコジュケイが在来種・帰化種として掲載されており、別のカテゴリーで逸脱種(野外で観察された記録の少ない外国産の鳥)がまとめられています。
 ついでながら新版をお持ちの方はP305で、テンニンチョウの雌の嘴を見ていただけませんか? 増補改訂に取り組んだ際は高野図版で赤く描かれた嘴を少し直して赤味を減らしましたが、新版では再度、谷口さんに修正をお願いして、赤味はほとんど失くしました。

<普通に見られる種とは?>

 1976年、高野伸二が小学館から出した『日本の野鳥』で、観察頻度が表されました。そこで、珍しい鳥には×マークが記された結果、×マークの鳥を見ることに価値があるように捉えたバードウォッチャーが少なくなかったことを覚えています。
 珍しい鳥を見たいと思うのは悪いことではありません。ただし、野鳥や自然を知るには珍しくない鳥も大切だし、野外識別には慣れが必要なので、普通の鳥をよく見ておくことは珍しい鳥を見つける、見分ける上でも役立ちます。私は、観察頻度については「いかに珍しいか」ではなく、「いかに珍しくないか」を示すために記号化を考えてきました。この本の使い方(新版P14)の「観察頻度」の解説で、次のように書きました。

・・・本書はごく珍しい種や絶滅種まで扱っているので、普通に見られる種を●○△の3タイプで示した。厳密に区分したものではないが、3タイプの印があれば先に知っておくとよい種、まずチェックすべき種であり、印がなければ普通には見られない種(飛来が不定期、迷鳥、とても少ないなど)と言える。

 ●広い範囲で、普通にいる
 ○範囲は広いが、多くはない
 △地域や環境によっては普通(ごく限られた分布、外洋の一部、数がとても少ないものは除いた)

 増補改訂版での△は「北海道のみ、南方の島のみなど分布する地域が限られている種は除く」として、ハシブトガラやズアカアオバトは無印でした。が、それぞれ北海道や南西諸島では少なくないし、本書では分布図がそれを示しているので、新版では△を記すことにしました。「ごく限られた分布は除く」として新版でも△を記していないのは、南西諸島でも一部の島にしかいないキンバトなどです。
 新版で「外洋の一部は除く」として△としなかったのは、伊豆諸島周辺など海域が限られるオーストンウミツバメなどです(外洋でも広く見られるハシボソミズナギドリは△のまま)。また、「数がとても少ない」として、無印、つまり普通としていないのはウズラ、チゴモズ、シマアオジなどで、解説文にも近年の減少について書き加えました。

<野鳥は見分けやすい?>

 「日本の野鳥は600種以上」は間違いではないし、さまざまな種がいることを知るのは大切です。ただ、野鳥を見分けたい人が600種から1種を絞るとしたら、大変なことのように感じてしまう心配は要らないでしょうか?
 私は1998年に『新・山野の鳥』を担当した際、それまでの『山野の鳥』がワシやタカから始まっていたのを変えて「身近な鳥」を初めにまとめました。「身近な・・・」と言っても、北海道や南西諸島では大きな違いがあるし、環境や季節、目にしやすさやわかりやすさなどさまざまな観点があるので、当時発行していた『探鳥会リーダー通信準備号』で考え方を紹介しました・・・「主要都市の庭や公園などの人家付近で見られる」という基準で27種をリストアップしました。
 「野鳥は難しい」と思っていた人も、慣れて、比べるという識別ができるようになると、案外、簡単に感じるでしょうし、身近な種の多くはわかるようになるはずです。『新・山野の鳥』以降、野鳥を見分けるコツとして「慣れる、比べる、絞り込む」を提唱していますが、この「絞り込む」は種数が多くないからこそお勧めできるもの。地域や環境や季節から、そこにいるはずの種を絞り込めるのが野鳥の良いところ、と言えるのではないでしょうか?
 「生物多様性は我が家から知るべき」と考えて、数年前から自宅敷地での鳥、昆虫やクモ、植物や菌類のリストを作っていますが、鳥以外はすべて未完成です。クモは28種までわかりましたが、アリやガ、コケやキノコなど何年たっても種が同定できないものが少なくありません。ちなみに、昆虫ではチョウ目の既知種数だけで野鳥の10倍の6千種、コウチュウ目では1万6千種に及びます。ダニや地衣類など種の同定が非常に難しい分野もあるので、野鳥は見分けやすい生物と言ってもよいはずです。
 新版では、観察頻度について解説した後、「日本の野鳥」の解説で次のように記しました。

・・・日本で記録された633種の中で、各地で普通に見られるとして本書で頻度マーク●とした種は110種ほどで、頻度マーク○△合わせても300種に満たないので、半数以上は飛来が不定期かまれな種と言える。●の中でほぼ1年中見られるのは50種以下、・・・中略・・・、各地で普通に見られる種でも、半数以上は季節移動をしている。


© 谷口高司
▲画像:今回は、新版で谷口高司さんに追加していただいた画像から、ミナミクイナです。目録7版ではコモンクイナやウズラクイナも新たに掲載されましたが、それぞれヒメクイナ、ツルクイナの類似種の項目で解説してあります。

(普及室/安西 英明)


■連携団体(支部等)向卸販売をご利用ください

 通販カタログ「バードショップ」2016春夏号が発行となりました。会員のみなさまには、会誌「野鳥」4月号に同封しております。

 販売事業ご担当者の皆様には3月下旬に、連携団体(支部等)向卸販売のご案内と合わせてお届けします。
 仕入れた商品を連携団体で販売することで、探鳥会の参加者が図鑑や双眼鏡などバードウォッチングに必要な道具をその場で買えるようになり、サービスの向上につながります。さらに、売上は連携団体の収入になります。販売を通じてバードウォッチングの輪が広まるとともに、その販売収益が連携団体の活動の一助となれば幸いです。


グッズ販売の様子(日本野鳥の会栃木の探鳥会にて)

●2016年春夏号の特集・おすすめ商品
(1)寄付付きTシャツ「千人の森2016」
 今回で5回目となるキャンペーン。Tシャツ1枚につき250円を当会が実施するシマフクロウ保護活動の資金として使わせていただきます。Tシャツのイラストは、絵本作家・村上康成氏の描き下ろしです。
(2)オリジナルデザインTシャツ
今年は、「ツバメ」をテーマに2種類のTシャツを制作。男女兼用と女性用の2タイプのシルエットのTシャツに、それぞれ異なるタッチのイラストをプリントしました。
(3)特集:ハンディ図鑑
野外に持ち歩けるサイズの図鑑を集めました。当会レンジャーからのおすすめコメントとともに、野草や樹木、昆虫など野鳥以外にも幅広い分野の図鑑をご紹介しています。
 ほかにも、双眼鏡やウェアなどバードウォッチング用品や、野鳥や自然にちなんだ商品を多数掲載しております。みなさまのご利用、お問い合わせをお待ちしております。

●支部卸販売のご注文、お問い合わせ
普及室 販売出版グループまでお願いします。
TEL:03-5436-2623 FAX:03-5436-2636 E-mail:r-hanbai @wbsj.org

(普及室/江面康子)

■自然保護室より

■オオタカの国内希少野生動植物種指定解除について■

 平成25年5月、環境省は中央環境審議会野生生物小委員会にて、オオタカを絶滅の恐れのある種の保存に関する法律(以下、種の保存法)の定める国内希少野生動植物種(以下、国内希少種)からの指定解除の検討をすすめる方針を明らかにしました。国ではレッドリストの検討で2回続けて準絶滅危惧種になった場合、指定解除の検討を開始するとしている方針に沿ったものです。現在、仙台、大阪、東京で環境省とNGOの意見交換会が開かれました。
 現在、3月末まで、意見交換会に参加できなかったり、意見を述べられなかったりした方々からの意見を以下のホームページで募集しています。環境省では寄せられた意見を元に今後必要な対応策を検討することとなっています。ぜひ、ご意見をお寄せください。
http://www.env.go.jp/nature/kisho/domestic/otaka_ikenkoukankai.html
 今回の検討は、種の保全法の絶滅のリスクの高い種を指定して、保全対策を行い絶滅のリスクをなくして指定を解除するという目的から考えると、歓迎すべき状況です。平成18年と平成24年に公表された第3次と第4次のレッドリストの評価を見ると個体数は1996年で1,000羽以上、2005年では約2,000羽と科学的な視点では、解除は妥当といえます。しかし単純に良かったと喜べない事情がオオタカにはあります。
 その一つは、種の保存法が規制していた捕獲、譲渡の禁止です。かつてオオタカは飼育目的、剥製目的での密猟が横行し、連携団体でも巣のパトロールを行った時代があります。ただ、これに関しては鳥獣保護管理法に基づく規制の徹底や現在ヤマドリだけが指定されている販売禁止鳥獣の指定による剥製などの流通規制、外為法による輸入規制や特定輸入鳥獣の指定、外国産オオタカとの識別マニュアルの改定などで他の法律でカバーできる部分はあります。ただ鳥獣保護管理法の希少鳥獣からも、自動的に外すこととなっています。その場合、有害捕獲などの捕獲許可が都道府県の権限となってしまいます。希少鳥獣については、絶滅の恐れのある鳥獣からはずれても、特別の保護や管理が必要な場合は指定することが可能で、この場合国は保護計画などを作ることもできます。また、都道府県も希少鳥獣ということで鳥獣保護区を設定するなど、一定の配慮をすることができます。今回の件は、種の保存法から外れる実質的な第一号の事例ですので、慎重に進めてもらいたいと考えます。
 しかし、より大きな問題があります。それはオオタカの生息地の生態系の保全です。近年都市周辺にも進出しているオオタカですが、本来の生息地は水田や畑と森林が混在する低地から丘陵地でいわゆる里山と言われる場所です。里山は人による管理の減少で質的な低下が指摘されていますが、オオタカは里山を土地造成や道路建設、森林開発などの不可逆的な破壊というより重大な脅威から守ってきたという経緯があります。これは、種の保存法には、生息地等の保護に関する土地の所有者・占有者の責務として、「土地の利用に当たっては、国内希少野生動植物種の保存に留意しなければならない。」という条文と、必要な場合は環境大臣が助言、指導をすることができるという条文があり、これを受けて環境影響評価や各地の条例でちゃんと調査を行い保全措置がとられているという状況があります。行動圏の広いオオタカの利用エリアが保全されることが、里山の保全につながってきていたのです。解除の検討開始後に行われたパブリックコメントや当会をはじめとしたNGOが開催したシンポジウムでも多く出された懸念でした。環境省では「猛禽類保護の進め方」の活用や「環境アセスメント技術ガイド」に希少性に限らず生態系上位種として選定する記述を行うなどの対応案を示していますが、法的な拘束力はなくその効果は疑問です。
 オオタカに代わって生息地を守る制度が必要と考えます。現在、日本に生息地を守る制度としては、鳥獣保護管理法の鳥獣保護区特別保護地区など幾つかのものがあります。指定地域の殆どが国有地や公有地にとどまっています。私有地が殆どを占める里山を規制強化による保全は向きません。また、オオタカのように分布域が広くポツポツと生息する種の保全には、現行の保護地域の制度は向いていません。土地所有者等に保全の努力義務と税制などの優遇措置などを組み合わせて、保全を推進するような新たな制度が必要です。こうした制度の検討や立法が行われていない現状においては、オオタカの指定解除は時期尚早と言わざるを得ません。
 今後、オオタカの指定解除の方向は変わらないと思われます。指定解除が開発側の人にオオタカにはもう配慮しなくてもいいという誤ったメッセージと取られる可能性もあります。指定解除されてオオタカの希少性の評価は下がったが里山生態系の上位種であることに変わりはなく、改変を伴い行為を行う際には評価と保全措置が必要なことを発信し続けることが重要です。また、全国で32の都道府県版のレッドリストでは、オオタカを絶滅の恐れのある種として評価しています。個体数が少ないなど生息基盤の弱い地方では、条例などで保全していく動きを促進することも必要です。
 種の保存法の運用を記した指針では、解除の検討を開始することとなっています。今回の検討の過程で、今後解決しなければならない問題がいろいろと見えてきました。環境省には、検討を行っているということで、各問題を解決するまでは、解除は中断という決定をするべきだと思います。

(自然保護室/葉山 政治)

総務室より

■評議員会傍聴申込要領について■

平成28年度第1回定時評議員会の傍聴申込要領をお知らせします。

1:開催日時:平成28年6月15日(水)
16:00〜17:30

2:開催場所:公益財団法人日本野鳥の会会議室
(〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23)
・東急目黒線「不動前」駅より徒歩5分
・JR「五反田」駅より徒歩約10分
・JR「目黒」駅より徒歩約10分

3:目的事項:
(1)議決事項
   なし
(2)報告事項
  1 平成27年度事業報告及び決算の件
  2 平成28年度事業計画及び予算の件
  3 平成27年度第4・5回及び平成28年度第1回理事会の結果の件

4:申込要領:
 会場の都合上、傍聴は連携団体(支部等)1人を限度とします。参加希望者は、連携団体(支部等)の代表を通じ、メール又はFAXで下記あてにお申込み下さい。
【申込先】:日本野鳥の会総務室総務G(林山)へ
メールアドレス([email protected]
FAX(03-5436-2635)
5:申込期限:平成28年4月22日(金)必着

(総務室/林山 雅子)


■会報誌(支部報等)を各連携団体(支部等)他に発送する部数について■

 毎月、連携団体(支部等)から財団事務局にお送りいただいている会報誌(支部報等)は、次月以降、101部への変更をお願いします。
 なお、埼玉、千葉県、東京、奥多摩支部、神奈川支部は、今まで通りの部数をお送りください。

(総務室/鈴木 美智子)


■支部名称・代表者・事務局等変更のお知らせ■

 名称変更などがあった支部についてお知らせいたします。
【名称及び呼称の変更】
●日本野鳥の会 諏訪
  旧名称:日本野鳥の会 諏訪
  新名称:日本野鳥の会 諏訪支部
  呼 称:会長→支部長


(総務室/鈴木 美智子)


会員室より

■会員数■

 3月1日会員数35,871で、先月に比べ43人減少しました。2月の入会・退会者数の表をみますと、入会者数は退会者数より17人少なくなっています。
 会員の増減は入会者数と退会者数のほかに、会費切れ退会となった後に会費が支払われ、会員として復活した人数によって決まります。2月の入会者数は157人で、前年同月の入会者153人に比べ4人増加しました。また、2月の退会者は174人で、前年同月の退会者178人に比べ4人減少しました。

表1. 2月の入会・退会者数

※会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活する方がいらっしゃるため、退会者数の年度累計は、実際の退会者数とずれた数字となります。このため、退会者数合計については年度末の集計後にお知らせいたします。

■都道府県および支部別会員数■
 野鳥誌贈呈者数を除いた数を掲載します。

表2 都道府県別の会員数(3月1日現在)

備考:不明は転居先が不明の会員を示します。

表3 支部別の会員数(3月1日現在)

備考:支部別の会員数の合計は、都道府県別の会員数の合計と異なります。
これは、本部型(青い鳥)会員や支部に所属されていない個人特別会員が支部別の会員数に含まれないためです。


(会員室/沖山展子)


■支部ネット担当より

 先日、自宅付近でエナガが口いっぱいに巣材をくわえているのを発見しました。春が近いなあと実感しました。皆さまいかがお過ごしでしょうか。いつも支部ネット通信をご愛読いただき、ありがとうございます。
 今月号では、6月に開催される評議員会傍聴申込要領について掲載しました。ぜひ連携団体でご検討ください。
 寒かったり暖かかったりと、安定しない日が続きますが、くれぐれもご自愛ください。

■支部ネット通信は支部の代表の方に電子メールでも配信をしています。電子メールでの配信を希望される支部の代表の方は下記メールアドレスまでお気軽にお申し込みください。

支部ネット通信 第144号
◆発行
公益財団法人日本野鳥の会 2016年3月23日
◆担当
総務室 総務グループ
奥田秋穂/林山雅子
〒141-0031
東京都品川区西五反田3-9-23
丸和ビル
TEL:03-5436-2620
FAX:03-5436-2635
E-mail:[email protected]