No.140 2015年11月号


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目次 ◆支部の動き
 支部報保護・調査記事関連トピックス
◆連携団体からのお知らせ
 沼津支部創立40周年記念事業の報告
◆事務局からのお知らせなど
 11月号『フィールドガイド日本の野鳥』増補改訂新版の取り組み
 12月は「ウィンターフェア」!連携団体向け卸販売をご利用下さい
 今年も鳥インフルエンザにご注意ください
 支部名称・代表者・事務局等変更のお知らせ
 会員数

支部の動き

■支部報保護・調査記事関連トピックス■

 本記事は日本野鳥の会へ送付されてきている各地の支部報/会報から抽出して作成し、調査・保護に関心がある野鳥の会の会員へ配信しております。本記事の一部又は全部を不特定多数が見る可能性があるところへ公開される場合は、各支部/各会の了承を事前に得て下さい。記事は筆者の意向に反しないように、取り扱いをお願いします。

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.769

●2015/9-10 宮城県
・全国鳥類繁殖分布調査が始まります
(調査・研究グループ)
●2015/9 神奈川
・スズメの名がついた鳥名
・夏のジョウビタキ?
・2015年ガンカモ調査 (保護研究部)
●2015/9-10 諏訪
・アウル諏訪の活動から
●2015/7 岐阜
・飼養メジロ鑑定
・絶滅した鳥 オオウミガラス
●2015/8 岐阜
・とりぱん (編集N)
●2015/8 山口県
・蛇滑り
・2015年春第84回シギ・チドリ類一斉調査
(調査研究部)

●2015/9-10 宮城県
・全国鳥類繁殖分布調査が始まります
(調査・研究グループ)
 1970年代、1990年代に続き、環境省とNGOとの共同で第3回調査が2020年完成目標で始まる。過去の調査では野鳥の会を中心に約2千名が協力した。日本野鳥の会、日本自然保護協会、日本鳥類標識協会、バードリサーチ、環境省生物多様性センター(事務局)の共同作業で、過去の規定調査コースを基本としてラインセンサス、定点調査、アンケート回収を2016〜2020年の4〜8月に予定する。支部では調査空白域を減らすため、規定外場所でも行う。
(宮城県「雁」NO.273,P15)

●2015/9 神奈川
・スズメの名がついた鳥名
 世界の鳥の半数強がスズメ目である。スズメ科と関係がないのにウミスズメ、ゴマフスズメ、ベニスズメがいる。ウミスズメ類には他にマダラ、カンムリ、コ、シラヒゲ、エトロフが付く。更にスズメ科に関係がないのにSparrowが付くSavannah Sparrowサバンナシトド、Golden-crowned Sparrowキガシラシトド、White-crowned Sparrowミヤマシトドがいる。更にJava Sparrow文鳥、Eurasian Sparrowhawkハイタカ、Japanese Sparrowhawkツミがいる。外国には小さい意味でスズメバト、スズメフクロウ、スズメインコがおり、スズメモドキ属(ホオジロ科)もある。
(神奈川「はばたき」NO.520,P4)

・夏のジョウビタキ?
 7/25、箱根の標高1100m付近でジョウビタキと思われる地鳴きを1分程聞いた。姿は確認できず、声だけの観察であるので、他のヒタキ類の可能性も否定できない。近年、長野県や各地でジョウビタキの繁殖や夏の目撃例が出ている。
(神奈川「はばたき」NO.520,P8)

・2015年ガンカモ調査 (保護研究部)
 1月中旬、県内80箇所を調査した。総計15種、12,943羽であった。2年連続して約1千羽ずつ減少した。オシドリとスズガモが年により大きく変動し、他は安定している。内訳はコガモ3,520(♂1,665、♀1850、不明5)、ヒドリガモ2,435(1,377、1,043、15)、カルガモ2,061、キンクロハジロ1,135(655、442、38)、スズガモ849、マガモ797(406、367、24)、ホシハジロ769(447、256、66)、オナガガモ558(342、197、19)、オカヨシガモ295(161、133、1)、オシドリ231(128、89、14)等。
(神奈川「はばたき」NO.520,P9)

●2015/9-10 諏訪
・アウル諏訪の活動から
 2009年からアウル(フクロウ)諏訪の活動が始まり、巣箱HF2ではこの4年間で13羽の巣立ちがあった。今年の状況は2/25、巣箱への立ち寄り初認、その後タッチ板への痕跡が増える。3/9〜18に抱卵開始、4/13、巣箱のスリットから見た影が8pと高くなり孵化の始まりを示唆。4/15、スリットの影の親の動きから孵化確実。外で呼びかける♂に♀は巣箱の中で鳴き返すのは初めてであった。4/22、ピチュと雛の声を聞く。4/27、タッチ板の変化から見て給餌が忙しい。5/9、19時頃、第一子が巣箱口に立つ。5/13、2羽並んで巣箱口に立つ。5/15、20時から翌日の18時までに第一子巣立ち。5/19、第二子巣立ち。フクロウは3〜4年で繁殖を始め、5年程その能力がある(樋口2007)とある。
(諏訪「いわつばめ」NO.164,P5〜8)

●2015/7 岐阜
・飼養メジロ鑑定
 H19年に飼養許可申請をしたメジロを、足環が割れたとして継続飼養許可すべきか鑑定した。捕獲時期から見て9歳になる、メジロの自然寿命は長くて8年、通常は5、6年、飼育下では条件がよければ10年生きる。足輪は自然に外れたりはあり得ない。過去に足環を紛失とか言ったり、割れた足環を見せているが、可也怪しい。羽色が整い、とても8年前と同じ個体には見えない。再飼育許可は出さず、放鳥とした。
(岐阜「濃飛の野鳥」NO.573,P9)

・絶滅した鳥 オオウミガラス
 北大西洋の北極海で生息していた数百万羽のオオウミガラスはウミスズメ科の中で最大で全長80cm、体重5Kg、飛べず、水中を上手く泳いでいた。そのため「ペンギン」と呼ばれていたが、ペンギンの仲間ではない。しかし、1500年代、フランス人がニューファンドランド島に上陸し、食用、羽毛利用で1日、1千羽を乱獲し1820年頃には繁殖地はアイスランド沖の岩礁だけになり、1830年の火山噴火で僅か50羽になり、1844年7月、最後に目撃された抱卵中の番も殺された。現在は欧州の博物館で標本を見るのみ。姿が似ている現在のペンギンにペンギンの呼称が受け継がれた。
(岐阜「濃飛の野鳥」NO.573,P10)

●2015/8 岐阜
・とりぱん (編集N)
 自然と日常観察漫画「とりぱん」(講談社)は10年間で今回18冊目が出た。岩手県での野鳥、動物、人を描写し、東北の豊かな自然を想像させる。野鳥に限らない人にお勧めの1冊である。
(岐阜「濃飛の野鳥」NO.574,P7)

●2015/8 山口県
・蛇滑り
 巣箱の雛を襲う蛇に悩まされてきた。通常の蛇返しは費用、手間が掛かり、雪で壊れやすい。木の幹にポリエチレンシートを巻き付けると蛇が登れないと聞く。実験では110cm程のアオダイショウは70cm登ると滑り落ちた。このお陰で6箇所の巣箱でヤマガラ、シジュウカラの雛が巣立った。
(山口県「やまぐち野鳥だより」NO.240,P2〜3)

・2015年春第84回シギ・チドリ類一斉調査
(調査研究部)
 4/29、山口県内20箇所で調査した。総計1,754羽で内訳はチュウシャクシギ749、ハマシギ749、ダイゼン75、アオアシシギ36、キアシシギ27、シロチドリ24、イソシギ23、メダイチドリ20、タカブシギ13等。
(山口県「やまぐち野鳥だより」NO.240,P12)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.770

●2015/9 滋賀
・ノビタキ
・タカの渡り調査中止 (保護研究部)
・鳥獣保護管理員
●2015/9 香川県
・オオタカを続いて保護
●2015/9 北九州
・カンムリウミスズメ
・消えゆくツバメ (冊子 消えゆくツバメ)
●2015/9 筑豊
・ヒバリ類観察
・かごぬけ鳥 (筑豊博物研究会)
・コウライウグイス
・鳥名に由来する野草 (編集部)

●2015/9 滋賀
・ノビタキ
 ノビタキは秋に新しい羽が生え、全身の羽が変わる。新しく生えた♂の頭部の羽は先端が茶色で内側に黒い部分がある。冬から春にかけ、茶色の羽の部分が摩耗し、下の黒い部分が出てきてノビタキの♂の頭は夏は黒くなる。ユリカモメ、オオジュリンも同様。秋のノビタキの初列雨覆の先端が白い個体はその年生まれの若鳥である。
(滋賀「におのうみ」NO.42,P10)

・タカの渡り調査中止 (保護研究部)
 会の調査研究事業で実施してきた猪子山でのタカの渡り調査、調査事業に対応できる役員がいなくなり、地元や他団体との対応が出来なく、支部では調査を行わない事になった。会の力不足を痛感するが、有志が引き継ぎ、現地の環境整備協力金の支部支援はしていく。
(滋賀「におのうみ」NO.42,P13、24)

・鳥獣保護管理員
 鳥獣保護法が昨年5月一部改正され、今年の5月から施行されている。保護と狩猟を取り扱う法律に、鳥獣被害への対応が求められ、場合によっては個体数を減らす管理が追加されており、略称も鳥獣保護管理法になり、従来の鳥獣保護員も鳥獣保護管理員になっている。同管理員は滋賀県でも狩猟関係者が殆どで、大阪では鳥獣保護関係者が半分を占める。主に猟期(11/15〜2/15)、計27回担当区域を回り、1回の報酬2000円、年額54,000円となっている。
(滋賀「におのうみ」NO.42,P18)

●2015/9 香川県
・オオタカを続いて保護
 5/16、丸亀市の運動公園のツツジの植え込みで昨年生まれの右足が折れたオオタカ若1が保護された。段ボール箱に保護され、県の保護センターに引き渡された。自然復帰が難しく生涯飼育と心配されたが、7月放鳥された。7/9、小豆島の自動車整備工場内にオオタカが迷い込んだ。下の水溜りで水を飲んだだけで、衰弱したが、翌日窓から外へ出て行った。ドバトを追ってきたのか。
(香川県「かいつぶり」NO.380,P1〜3)

●2015/9 北九州
・カンムリウミスズメ
 風力発電計画の事前調査で若松沖の白島で多数のオオミズナギドリの繁殖、アマツバメのコロニー、ミサゴの繁殖が確認され、周辺洋上でカンムリウミスズメの親子が観察された。カンムリウミスズメは世界に5千羽程度、日本近海特産種で、1975年に天然記念物に指定され、繁殖地は伊豆諸島、熊野灘、九州北部と東部の沿岸離島が報告されている。福岡県小屋島では侵入したドブネズミで殆ど絶滅した。
(北九州「北九州野鳥」NO.351,P10)

・消えゆくツバメ (冊子 消えゆくツバメ)
 ツバメは全国的に減少傾向で、石川県の調査では40年前の半分に減っている。あるデータでは5羽の雛に一日、520回の餌運びがあった。農耕地減少、耕作放棄、宅地化進行、河川護岸化、農薬使用等で餌が減っている。
(北九州「北九州野鳥」NO.351,P10〜11)

●2015/9 筑豊
・ヒバリ類観察
 地元では冬期にヒバリの数が増え、体も一回り大きくなっている。狭い農道に入って観察する時は、地元農家の方と話合いをし、鳥見の理解を得て、車の車種、ナンバー、運転者顔写真を公表し、守るべき事をステッカー掲示している。農繁期は鳥見中止、狭い畦道には車を入れず徒歩で探鳥をしている。地元の方から一時的な了承を得ていると言っても、離合できない田の中の道には車は乗り入れ禁止にしている。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.451,P22〜24)

・かごぬけ鳥 (筑豊博物研究会)
 筑豊ではソウシチョウとガビチョウの声をよく聞く。ソウシチョウは1980年代から英彦山で声が聞かれている。ウグイスと生息地が競合している。ガビチョウは筑豊では1980年代半ばに宮若市で確認されて以来、急速に生息域を広げている。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.451,P25)

・コウライウグイス
 中国ではこの鳥を「黒枕黄色?」と呼び、黒い枕を持った黄色の鳥とある。黄鶯とも書く。韓国で多く繁殖するこの鳥は渡り鳥で、南から日本を通過し朝鮮半島に渡る。ユーラシア起源の鳥で日本には定住しないと思われる。台湾で見られるコウライウグイスの半数は留鳥で、飼い鳥として人気があった事から篭脱けと思われる。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.451,P26〜28)

・鳥名に由来する野草 (編集部)
 アオチドリ、カモノハシ、カモメラン、カラスウリ、カラスノエンドウ、カラスノゴマ、カラスムギ、カリガメソウ、キジムシロ、サギスゲ、サギソウ、スズメウリ、スズメノエンドウ、スズメノテッポウ、スズメノヤリ、ツバメオモト、ツルラン、ツレサギソウ、トキソウ、ハクサンチドリ、ヒヨドリジョウゴ、ヒヨドリバナ、ホトトギス、マイサギソウ、マイヅルソウ、ミズチドリ、ミヤマウズラ。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.451,P35)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.771

●2015/10 埼玉
・蓮田市黒浜沼周辺における野鳥の増減
・ニシセグロカモメ及びカツオドリ初記録
(野鳥記録委員会)
●2015/10 千葉県
・千葉県内のサギ類のコロニー
・コアジサシ、検見川の浜で8年ぶり巣立ち (8/25 毎日新聞)
・カツオドリ埼玉で保護
(8/11 日本経済新聞)
・オオムギ、中東が起源 (8/29 朝日新聞)
●2015/9 岡山県
・考察「七つの子」
・こんな所にササゴイ
・ヘビに巻かれたサシバ
●2015/10 熊本
・熊本県におけるカワウの生息状況

●2015/10 埼玉
・蓮田市黒浜沼周辺における野鳥の増減
 蓮田市環境学習館BW講座の観察記録で94〜96年と2014年の記録を比較した。出現率が40%以上減少した種は秋冬期でコサギ、バン、オナガ、オオタカ、カワウ、コガモ、タヒバリ、メジロ。春夏期ではハクセキレイ、オナガ、オオヨシキリ、カワウ、コジュケイ。ホオジロ、アオサギ、ウグイス、モズは1年中観察できるようになり、増加している。
(埼玉「しらこばと」NO.378,P2〜3)

・ニシセグロカモメ及びカツオドリ初記録
(野鳥記録委員会)
 4/2、春日部市内の利根川でニシセグロカモメを撮影、種が同定され、当委員会の332種目の野鳥となる。日本鳥類目録改訂第7版(2012年)による新見解での初記録になる。嘴の色と同じ位足が黄色、下嘴の赤斑が横長である。初列風切の白斑が小さい等の特徴があった。8/5、埼玉県生態系保護協会は入間郡越生町の林道でカツオドリ幼を保護した。写真、説明により埼玉県の333種目の記録に追加した。
(埼玉「しらこばと」NO.378,P4)

●2015/10 千葉県
・千葉県内のサギ類のコロニー
 千葉県内の16箇所のサギ類のコロニーのH27年の調査結果(アオサギは3月中旬〜6月中旬、シラサギ類は6月下旬〜8月下旬)を示す。シラサギ類は総計12,041羽(ダイサギ2,961、チュウサギ4,629、コサギ3,441、アマサギ1,010)。アオサギは1,973で共に昨年とほぼ同じであった。ダイサギとコサギは個体数変化は少ないが、チュウサギ、アマサギは2011年以降減少傾向にある。チュウサギ、アマサギは竹林を好んで営巣し、針葉樹には少ない。
(千葉県「ほおじろ」NO.414,P3〜6)

・コアジサシ、検見川の浜で8年ぶり巣立ち (8/25 毎日新聞)
 千葉市は市の鳥コアジサシが検見川の浜で8/19、2羽が8年ぶりに巣立ったと発表した。千葉市は政令市になった翌年1993年に公募でコアジサシを市の鳥にし、2003年から保護活動を進めてきた。市内では2007年に2700羽が飛来し時に巣立ちがあったが2009年からが飛来は全く無かった。今年は親子4羽が6300uの立入り禁止区で営巣し、8/19、「水鳥研究会東京湾グループ」が巣立ちを確認した。
(千葉県「ほおじろ」NO.414,P12)

・カツオドリ埼玉で保護
(8/11 日本経済新聞)
 埼玉県生態系保護協会は8/5、同県越生町の山中でカツオドリ幼1を保護したと発表した。東松山市の動物病院に搬送された。8/5は台風などの影響の気象条件下にはなく、何故内陸に入ったのか謎である。
(千葉県「ほおじろ」NO.414,P13)

・オオムギ、中東が起源 (8/29 朝日新聞)
 日本で古くから栽培されている麦茶などの原料のオオムギの起源は、シリアからトルコの地域で1万年以上前に突然変異した野生種である事が岡山大学等の国際研究チームのDNA分析で分かった。日本には7〜8千年前に伝わった。ビールの原料となる欧州のオオムギ栽培種はイスラエルの野生種に近く、突然変異で東西に分かれて広がったと見られる。
(千葉県「ほおじろ」NO.414,P13)

●2015/9 岡山県
・考察「七つの子」
 野口雨情が童謡「七つの子」を発表して93年、「七つ」の歌詞の意味で今も論争が絶えない。雨情の息子が7歳の頃書かれた、雨情が母親と別れた時が7歳、7歳のカラスは可愛い子供ではない、7羽のカラス、カラスは7つも卵を産まない、論客は色々いる。原色日本野鳥生態図鑑(保育社)にハシボソガラスの2重構造縄張りの生態が記されている。直径500〜800mの家族縄張りとその内部に直径80〜100mの番の縄張りがあり、外側にいる前年生れの3羽の若鳥は内部の巣にいる4羽の子どもを守り、親鳥は計7羽の子どもを見て可愛い、可愛いと啼くと解釈できる。
(岡山県「野鳥おかやま」NO.210,P3)

・こんな所にササゴイ (小見山節夫)
 高梁市のクロマツにササゴイは毎年営巣するが、今年はその近くでケーブルが十字にクロスする場所で営巣し6/8、4羽の雛が給餌を受けるのを見る。1週間後には巣立ちしていた。クロマツにササゴイが近付くとハシボソガラスに攻撃され、それで営巣地を移動したようである。
(岡山県「野鳥おかやま」NO.210,P4)

・ヘビに巻かれたサシバ (延江克彦)
 6/2、岡山市で道端でシマヘビに巻かれてもがいているサシバを発見。ヘビを振り落とすとサシバは礼も言わずに飛び去った。サシバは捕獲したヘビの逆襲に遭った。
(岡山県「野鳥おかやま」NO.210,P9)

●2015/10 熊本
・熊本県におけるカワウの生息状況
 カワウは1950年以前には日本各地に生息していたが、その後1970年代初期まで使用された農薬の影響、狩猟圧等で3千羽程にに減った。水質改善に伴い、琵琶湖では1982年より繁殖し、急増し、1995年頃より銃で駆除された(2001/11野鳥 石田 須川)。熊本県では1986/4、天草下島で30羽、琵琶湖での駆除が始まると西日本へ分散し、1996/1、八代市の球磨川で196羽、球磨川下流域で2014年冬季には2,100羽となる。カワウの塒での追い出し、駆除は長距離逃避で生息域を拡大させる(2013年環境省)とあり、県内ではカワウの追い出しで反って生息域を広める結果になっている。その結果、移動先の緑川水系で今年、繁殖が確認され、九州で4県目の記録となる。
(熊本県「野鳥くまもと」NO.334,P3〜12)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.772

●2015/9 茨城県
・自然に優しいはずだったが
・茨城のサシバ渡り調査30年 (環境計画部)
●2015/10 東京
・オオミズナギドリの繁殖地ノネコの脅威
(山階鳥類研究所)
・「中西悟堂生誕120年」展
●2015/10 神奈川
・湘南タゲリ米のふるさと (三翠会)
・デジタルカメラの功罪
・鳥の名前が付いたスポーツチーム
●2015/9-10 鳥取県
・ブッポウソウ巣立ち間際の雛と迷惑給餌
・会員を増やす取組み
●2015/9-10 広島県
・2015年カワウコロニー調査と塒調査

●2015/9 茨城県
・自然に優しいはずだったが
 ラムサール条約登録地になれば、その意義を誰もが尊重すると思っていた。涸沼砂並草原の乱暴なヨシ刈りは誰もが予想できず、大規模太陽光発電所建設で駆け込みの土地取得でエコ事業を標榜する会社。畑や山林を潰し、空スペースをパネルで埋め尽くすとなると、本来の地球温暖化防止の環境保全に悖る事業である。
(茨城県「ひばり」NO.327,P2)

・茨城のサシバ渡り調査30年 (環境計画部)
 風向が渡りに影響してしているとして、順風の北東風を+4とし、逆風の南西風を-4として16方位にその間の数値を入れ、風向きの累計を求めると、風向きの良し悪しの指標になる。これによると、茨城県西部ではサシバの渡りに不利な南寄りの風が遅くまで吹く。この30年間の調査で、県内の渡りの大きなルートは9月初頭までに南を目指すものと、9月下旬以降に南西を目指すものがある。前者は筑波山塊の東側平地で、太平洋からの冷たい北西風の影響を受ける。これらは1本の流れにならず、幾つもの細い流れである。後者は筑波山以南を通り、西向に大転換している。
(茨城県「ひばり」NO.327,P3〜7)

●2015/10 東京
・オオミズナギドリの繁殖地ノネコの脅威
(山階鳥類研究所)
 長くオオミズナギドリの世界最大の繁殖地であった御蔵島、1978年には170〜350万羽の生息推定が、2007年:88万羽、2012年:77万羽と激減している。世界の過半数を占める貴重な島で起こった事である。激減の主因は人が持ち込んだ飼いネコの子孫ノネコである。ノネコの推定数は500頭、2月から日本医女性獣医師の会は子猫の里親募集で島の外へ運び出す対策を始めた。ご協力できる方連絡下さい。
(東京「ユリカモメ」NO.720,P12〜13)

・「中西悟堂生誕120年」展
 10/31〜12/13、杉並区立郷土博物館にて同展が開かれる。今回は生誕地の金沢市の金沢ふるさと偉人館、福生市郷土資料室、中西氏のご息女小谷ハルノ氏の蔵資料等が展示される。
(東京「ユリカモメ」NO.720,P17)

●2015/10 神奈川
・湘南タゲリ米のふるさと (三翠会)
 湘南タゲリ米を販売して15年目となった。2014年の湘南地区でのタゲリ一斉調査では19羽を記録した。タゲリ米は今年は茅ヶ崎市の「ふるさと納税」の礼品になり、学校給食に採用検討が始まった。茅ヶ崎市では夏に神輿を担いで海に入る濱降祭があり、その神輿の鳳凰はタゲリ米を咥えている。稲作のの継続は生物の保全だけでなく、文化の継承に繋がっている。
(神奈川「はばたき」NO.521,P2)

・デジタルカメラの功罪
 探鳥会で双眼鏡を持たず、望遠レンズ付きのデジタルカメラを手持ちし、野鳥を撮影しては液晶画面で拡大して種の識別をしている人がいる。嘗ては野鳥を撮る前に、ただ見るだけの時代があった。まず肉眼や双眼鏡や望遠鏡で動きを捉え、声を聞きわけ、図鑑を見る過程があった。安易な撮影はバードウォッチングの基本である鳥の見つけ方、鳥との距離の取り方、野鳥魅力の堪能、撮影マナー等、野鳥への想像力、観察集中力を衰えさせる。バードウォッチングの本質は撮ること以前にある。
(神奈川「はばたき」NO.521,P2)

・鳥の名前が付いたスポーツチーム
 プロ野球では福岡ソフトバンクホークス(鷹)、東京ヤクルトスワローズ(燕)、東北楽天ゴールデンイーグルス(イヌワシ)、米国大リーグではオリオールズ(Orioles コウライウグイス属)、ブルージェイズ(Blue Jays アオカケス)、カージナルス(Cardinals 元は枢機卿の意味であるが、深紅のマントからコウカンチョウ属を示す)。Jリーグではファジアーノ岡山はイタリア語のFagianoキジ(岡山県の鳥)からである。バレーボールでは岡山シーガルズ(Sea Gullsカモメ)、ラクビーではキャノンイーグルス(Eagles 鷲)、バスケットでは西宮ストークス(Storks コウノトリ科)がある。
(神奈川「はばたき」NO.521,P4)

●2015/9-10 鳥取県
・ブッポウソウ巣立ち間際の雛と迷惑給餌
 巣立ち期に親鳥が雛に餌を見せつけ、与えず、巣立ちを促すとされている。この数年のブッポウソウの観察では、巣立ち数日前から雛は絶食に近く、親鳥が餌を口に押しつけても受け取らず、ダイエットする姿を見る。餌の受け取りを拒否している雛、食べたくない雛に親は繰り返し食べさせようとして巣の周りでウロウロするのを見ると、餌に釣られて雛が飛び出すとの定説に疑問が湧いた。
(鳥取県「銀杏羽」NO.141,P9)

・会員を増やす取組み
 6/21、支部の定期総会の時、本部の普及室の方を迎え、同テーマで研修会を開催した。会員を増やすためには初心者は大事で、探鳥会リーダーの自分本位の固定観念は反省すべき。本部普及室では会員を増やすため、関東地区8支部と14箇所で探鳥会を行った。10時前後の集合で2時間以内である。参加者総数380名、内非会員314名、その中の3割94名がお試し入会した。初心者への対応は初心者を対象にした探鳥会であるを伝える、リーダー1名当り参加者7名以下、参加者と話をする、身近な鳥、目の前の鳥を説明する。従来はまず入会からとしていたが、個々の参加、興味の先に入会がつながる。
(鳥取県「銀杏羽」NO.141,P10〜11)

●2015/9-10 広島県
・2015年カワウコロニー調査と塒調査
 5月、県内でカワウのコロニー(繁殖)調査した結果、11箇所で250巣以上、内、130巣で抱卵、抱雛があった。7/12〜26の塒調査では、31箇所で総個体数2,363羽であった。
(広島県「森の新聞」NO.200.P11)

 (自然保護室・野鳥の会・神奈川/森要)

連携団体からのお知らせ

■沼津支部創立40周年記念事業の報告■

 11月1日に沼津支部創立40周年記念事業で記念講演を担当させていただき、懇親会後に、展示会場も見せていただきました。


展示会場の様子

 会員による野鳥写真、鳥の短歌や工芸作品、バードカービング、中学生会員による研究発表、中西悟堂の短歌、実態顕微鏡で見る羽毛など多様な展示が工夫されていました。
 事後、小花博副支部長から他支部の皆様にも経緯から報告するために報告文を書いていただきました。

(理事・主席研究員/安西英明)

沼津支部創立40周年記念事業を振り返って

 沼津支部創立40周年記念事業は、2015年度予算を編成する3月7日の定例幹事会から始まりました。そして総会議案として25万円を計上、年度内に講演会、展示会を開催することとなりました。
 当初、会場を市立図書館の視聴覚ホールを計画しましたが展示会の日程がとれずプラザヴェルデに変更しました。会場が決まり7月から具体化するにつれて決めることも多く毎月、臨時幹事会を10月まで連続して行いました。会場の下見、作品の募集、展示方法、講演会の演題などなど私に取っては、初めてのことばかりでした。広報にもプラザヴェルデ、新聞、ネットなどできる限り行いました。10月27日準備の日になり、市民ギャラリーの会場作りです。スライディングパネルの位置決めから6人の幹事と3人の女性にも応援していただき午前中で展示まで終わることができました。皆様の協力のおかげです。
 10月28日ついに開幕の日がきました。実際来て頂いた人から駅から近い割には、大きな建物が前にあり、目に入らず場所が分かりづらく、建物の中も広く長いので会場に着きにくいと指摘がありました。支部報に地図、案内図などの掲載、館内の案内看板を急いで追加しました。
 11月1日の講演会は、何人来てくれるか心配でした。111人と出ましたので、まずは、一安心です。全て終わり振り返れば、展示会の内容は幹事会の討議の結果、野鳥写真だけでなく多くの作品を展示すると同時に(公財)日本野鳥の会からも野鳥保護区6枚、生物多様性4枚のタペストリーを借用することができました。講演会ともに良かったとの心境です。会員と共に協力し、ひとつになれば成し遂げられることを感じました。安西講師、はじめ県内の各支部より来ていただきありがとうございました。
 次の沼津支部創立50周年に向けて!

(日本野鳥の会沼津支部副支部長 小花 博)

事務局からのお知らせなど

■普及室より

■11月号『フィールドガイド日本の野鳥』増補改訂新版の取り組み■

 野鳥誌11月号は見ていただけましたでしょうか?この連載で述べてきたような裏話しは省いて、会員のバードウォッチング初心者の方でもご理解いただけるように、P18から、新版の紹介をさせていただいたつもりです。今回は、秋に新版が役立ったことがあったので、その報告から・・・

<シマアカモズ?カラアカモズ?ウスアカモズ?>

 「東京港野鳥公園にシマアカモズが飛来」とネット上で話題になり、多くの方が見に行かれたそうです。野鳥公園の当会レンジャーから、シマアカモズと同定してよいものか? ベテランが使うような図鑑の著者などに聞いてもなかなか回答が得られない・・・ということで、私にも、シマアカモズとして騒がれた写真が回ってきました。
 シマアカモズはアカモズの亜種として、『フィールドガイド日本の野鳥』の初版にも高野による雌雄の図版が掲載されています。さらに新版では、日本鳥類目録の改訂第7版で掲載種となったセアカモズとモウコアカモズを追記した横に、改めて谷口高司さんにシマアカモズ(雄と若鳥)を描いてもらい、比較できるように並べました。モズ類は交雑例もあるし、換羽段階や個体差もあって、簡単には識別できないことがあるからです。 例えば、2012年12月に神奈川県で観察されたモズ類は、その識別を巡って諸説が出され、議論が続きました。2014年、日本鳥学会誌に渡部良樹さんらによる8ページに及ぶ観察記録が掲載されてからは落ち着いたようですが、そこには、モズ類7種、アカモズの亜種なども含めて細部まで比較検討した上で、セアカモズと考えられるように書かれています。
 新版をお持ちの方は、P14「鳥の羽の名称」の右下を見て下さい。羽縁の内側にある模様をサブターミナルバンドと呼ぶように、図示してあります。次ぎに後ろの方になってしまいますが、P350「幼羽と年齢」をよく読むと、モズ、コオバシギなどの幼羽にはサブターミナルバンドがあるように書かれているはずです(これらの記載は、増補改訂版で追記しました)。今回の写真では、背などの羽毛にサブターミナルバンドが見えるので、この個体には幼羽があることになり、秋という季節から、今年生まれで、第一回冬羽への換羽が終了していない段階であることがわかります。
 また、新版では、目録の改訂第7版の「検討中の種・亜種」をリストにしました。P370には検討中のアカモズの亜種として、カラアカモズ、ウスアカモズの名があります。つまり、アカモズの亜種を同定するには、亜種アカモズ、亜種シマアカモズ以外の亜種も検討したほうがよいことになります。

<亜種不明でもよい?>

 前述の渡部良樹さんには、新版でモズ類の追記原稿をお願いしています。彼にも調べてもらうために、東京港野鳥公園のレンジャーから識別の検討に使える複数のカットを送ってもらいました。その結果、種のレベルではセアカモズやモウコアカモズを思わせる箇所は写真からは見当たらないのでアカモズと思われました。が、亜種のレベルでは、赤味がない、過眼線が濃くないなどの点から亜種アカモズではない可能性はあるものの、亜種カラアカモズや亜種ウスアカモズについても調べた範囲では、幼羽を残した段階ではどれも否定しきれない、つまり亜種は決められない、という結論に至りました。
 アカモズは『フィールドガイド日本の野鳥』などで分布図を見ると納得いただけると思うのですが、モズやチゴモズと比べて広い分布域があります。かなりの距離を移動しているアカモズもいそうだし、私自身はマレーシアなどでアカモズのさまざまな個体を見てきました。また、遺伝的独立によって種を区分するという考え方からすれば、種以下の単位である亜種は交配可能です。図鑑で亜種が識別できるように書かれていたとしても、亜種を同定できない個体がいても不思議はありません。
 「亜種不明」については野鳥誌11月号でも書いたように、目録では改訂第7版から「種が同定できれば、亜種不明でも掲載種とする」という大きな方針の転換がされたばかりです。もちろん不明でよしとするためではなく、今後の検討を促すことに意味があるのですが、そもそも、種と亜種の違いがわからない人や、種や亜種を同定できない個体もいるということが理解できない人が少なくありません。
 今回も「シマアカモズと決められないなら何なの?」と、執拗に食い下がる方がおられました。新版のP12を使って「種を特定できないものもいる」とか、P23を見せて「さまざまな姿勢や角度から確認できた特徴とともに、こんな個体がいたという記録を残すことが第一歩」などと解説させていただきました。


▲東京港野鳥公園で観察されて、シマアカモズとネット上で騒がれたアカモズ(撮影=青木伸夫)。他にも違う角度からのカットを使って検討したが、亜種の同定にはいたらなかった。


<コシアカツバメ問題その後>

 前々回の9月号で裏話しとして、コシアカツバメ問題を紹介しました。新版では、台湾の分布で参考文献とした2009年発行の『台湾の野鳥300図鑑』に沿って、コシアカツバメの分布図に、台湾では留鳥のように示されています。が、「近年の見解は違ってきているのではないか?」という指摘がありました。「今後の研究や文献の動向を気にかけておくようにしたいと思います。」としたので、その後の情報を紹介しておきます。
 当会普及室の堀本理華らが、10月に台湾でのバードフェスティバル(The 17th Taipei International Birdwatching Fair)に参加してきました。そこで、台北市野鳥学会から2014年発行の『Field Guide of Wild Bird in Taiwan』を貰ってきました。そこではオオコシアカツバメがコシアカツバメと別種として扱われており、オオコシアカツバメが留鳥で普通、コシアカツバメは少なく、季節も限られるように書かれていました。
 また、オオコシアカツバメの識別点についても、新たな観点が記されていました。コシアカツバメとの違いとして、日本の図鑑で「顔の赤褐色部分が後頭部まで及ばない」と書かれたものがあります。しかし、コシアカツバメでもそのような個体はいると思うので、そこだけで識別してよいものか?と考えていたのですが、『Field Guide of Wild Bird in Taiwan』には別の識別点として、下尾筒の黒色部がコシアカツバメより広いような記載もありました。
 コシアカツバメについては、大阪支部報『むくどり通信』9月号「和田岳さんの身近な鳥から鳥類学」第28回で取り上げられています。繁殖が終わった後も巣穴で寝る、10月にススキ原にねぐら入りした、早朝に電線に並んでいた、越冬個体がツバメやイワツバメと一緒にヨシ原の集団ねぐらに入ったなどの興味深い観察例が紹介されている一方で、観察が十分でないので、渡りの実態やねぐらを明らかにしようなどと書かれていました。
 実のところ、東南アジアでコシアカツバメとされる実にさまざまな個体を見てきた私は、種を細分化することを歓迎したくありませんでした。また、目録の改訂第7版では、オオコシアカツバメは検討中にもなっていません。が、今後、コシアカツバメに注目する際には、オオコシアカツバメとされるような特徴を持つ個体もいないか?など、注意してみようと思い直すことにします。

(理事・主席研究員/安西英明)

■12月は「ウィンターフェア」!連携団体向け卸販売をご利用下さい。■

 会誌「野鳥」12月号に、「ウィンターフェア2015」の通販カタログを同封いたします。また、事業担当の皆様には、当フェアの連携団体向け卸販売のご案内を別途お送りします。双眼鏡や望遠鏡の割引販売や、雑貨・食品・書籍など冬のおすすめ商品を取りそろえたカタログです。
 探鳥会やイベント等で会員や参加者の皆様にご案内いただき、ご注文を取りまとめていただければ、卸価格で販売させていただきます。商品を通じたコミュニケーション、支援者の輪の拡大にぜひご活用ください。

※ご注文方法につきましては、11月下旬に、事業ご担当の皆様に案内お送りしますので、ご確認下さい。ご不明点はお気軽にお問合せ下さい。
※12月29日〜1月4日は休業いたします。ファックスやメールでのご注文は休業中も受け付けております。

●支部卸販売のご注文、お問い合わせ
普及室 販売出版グループまでお願いします。
TEL:03-5436-2626 FAX:03-5436-2636 Email:[email protected]

(普及室/江面 康子)

■自然保護室より

■今年も鳥インフルエンザにご注意ください■

 冬鳥の飛来シーズンとなり、高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)への注意が必要な時期になりました。今年の春以降も、韓国や中国、台湾、北米で感染が確認されています。現在(11/9)のところ、国内においてHPAIの発生は確認されていませんが、夏の間に繁殖地や経由地でウイルスが維持されて、越冬期に持ち込まれる可能性が農林水産省による「平成26年冬季に発生した高病原性鳥インフルエンザに係る疫学調査報告書」で指摘されています。このことからも今冬も国内にウイルスが侵入する可能性は高いと思われます。すでに今年9月に韓国でH5N8亜型のHPAIが確認されたため、野鳥サーベイランスにおける全国の対応レベルは、通常時の「対応レベル1」から、近隣国発生時の「対応レベル2」に引き上げられています。
 ウイルス侵入の早期発見に向けて野鳥の動向や、死亡・異常個体について注視するとともに、発生時の対応について改めてご確認をお願いします。

「野鳥における高病原性鳥インフルエンザに係る対応技術マニュアル」
環境省HP http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/bird_flu/

【近隣諸国の高病原性鳥インフルエンザ発生状況】(2015年4月以降)
(1)韓国 H5N8
 2015/9/14〜10/27 全羅南道で家禽14件
http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/tori/pdf/korea_hpai.pdf

(2)中国 H5N1、H5N2、H5N6
・2015/5/11 亜型:H5N1 動物種:ハジロカイツブリ300羽、インドガン他415羽
場所:内モンゴル自治区 通遼市 ホルチン左翼後旗の湿地帯(ハジロカイツブリ)、チベット自治区 ナクチュ地区 アムド県(インドガン)
・2015/6/7 亜型:H5N1 動物種:観賞鳥
場所:江蘇省 常州市
・2015/6/9 亜型:H5N1 動物種:ニワトリ
場所:貴州省 黔南プイ族ミャオ族自治州
・2015/7/9/ 亜型:H5N1 動物種:オオズグロカモメ2,361羽
場所:青海省 海南チベット族自治州 共和県の村
・2015/8/3 亜型:H5N2 動物種:ガチョウ
場所:江蘇省 揚州市
・2015/8/6 亜型:H5N6 動物種:家きん
場所:広東省 清遠市
http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/tori/pdf/china_ai.pdf

(3)台湾 H5N2、H5N8、H5N3
・2015/1/7〜2015/10/20 家禽959件、野鳥7件(シロガシラ、ツグミ、ゴイサギ、クロツラヘラサギ、スズメ、カモSP.)
http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/tori/pdf/taiwan_hpai.pdf

※その他の国の発生状況につきましては、農水省HPをご覧ください。
http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/tori/index.html

http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/tori/ai_world.html (アジア地域)

※平成26年冬季に発生した高病原性鳥インフルエンザに係る疫学調査報告書
http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/tori/pdf/150909_h26win_hpai_rep.pdf

http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/tori/pdf/150909_h26win_hpai_sum.pdf(概要版)

※高病原性鳥インフルエンザに関する基本的な情報は当会HP
http://www.wbsj.org/activity/conservation/infection/influenza/
又は野鳥誌2011年11月号特集をご参照ください。

(自然保護室/伊藤加奈)

総務室より

■支部名称・代表者・事務局等変更のお知らせ■

今月は支部名称等の変更はありません。
(総務室/鈴木美智子)

会員室より

■会員数■

 11月2日会員数36,023人で、先月に比べ69人減少しました。10月の入会・退会者数の表をみますと、入会者数は退会者数より84人少なくなっています。
会員の増減は入会者数と退会者数のほかに、会費切れ退会となった後に会費が支払われ、会員として復活した人数によって決まります。10月の入会者数は134人で、前年同月の入会者117人に比べ17人増加しました。また、10月の退会者は218人で、前年同月の退会者209人に比べ9人増加しました。

表1. 10月の入会・退会者数

※会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活する方がいらっしゃるため、退会者数の年度累計は、実際の退会者数とずれた数字となります。このため、退会者数合計については年度末の集計後にお知らせいたします。

■都道府県および支部別会員数■
 野鳥誌贈呈者数を除いた数を掲載します。

表2 都道府県別の会員数(11月2日現在)

備考:不明は転居先が不明の会員を示します。

表3 支部別の会員数(11月2日現在)

備考:支部別の会員数の合計は、都道府県別の会員数の合計と異なります。
これは、本部型(青い鳥)会員や支部に所属されていない個人特別会員が支部別の会員数に含まれないためです。

(会員室/沖山展子)

■支部ネット担当より

 財団事務局近くの目黒川でも、ユリカモメやスズガモが見られるようになりました。お元気にお過ごしでしょうか。いつも支部ネット通信をご愛読いただき有難うございます。
 今月号では、ウィンターフェアのお知らせが掲載されています。双眼鏡や望遠鏡の割引販売や、雑貨・食品・書籍など冬のおすすめ商品を取りそろえておりますので、この機会に是非ご利用ください。
 寒さに向かう季節、お体に気をつけてお過ごしください。

■支部ネット通信は支部の代表の方に電子メールでも配信をしています。電子メールでの配信を希望される支部の代表の方は下記メールアドレスまでお気軽にお申し込みください。

支部ネット通信 第140号
◆発行
公益財団法人日本野鳥の会 2015年11月25日
◆担当
総務室 総務グループ
奥田秋穂/林山雅子
〒141-0031
東京都品川区西五反田3-9-23
丸和ビル
TEL:03-5436-2620
FAX:03-5436-2635
E-mail:[email protected]