本記事は日本野鳥の会へ送付されてきている各地の支部報/会報から抽出して作成し、調査・保護に関心がある野鳥の会の会員へ配信しております。本記事の一部又は全部を不特定多数が見る可能性があるところへ公開される場合は、各支部/各会の了承を事前に得て下さい。記事は筆者の意向に反しないように、取り扱いをお願いします。
●2015/3 北上
・鳥雑学
・鳥の名前に由来する山野草
・ガン・カモ類水鳥生息調査
●2015/4 千葉県
・千葉県内の鳥類生息に見る地球環境問題(千葉県・環境史研究会)
・バンの恋
・御蔵島海鳥保護でノネコの子を島外へ(2/4 毎日新聞)
・ベニアジサシ繁殖ゼロに沖縄県屋我地島 (2/18 琉球新報)
・ライチョウ人工飼育(2/25 朝日デジタル)
・ミツバチの群消滅 農薬が原因の可能性(2/17 日本経済新聞)
●2015/4 神奈川県
・普通種の記録って必要なの?(鳥類目録編集委員)
・鳥の種名を文字列として捉える
●2015/3 北上
・鳥雑学
人(哺乳類)の頸椎は7個、小鳥は14個、ハクチョウは25個もあり、フクロウの首が回るのも結局、鳥の首は長いためである。カエルの頸椎は僅か1個。ウグイスとヤブサメの尾羽は10枚、他のムシクイは12枚。ウグイスは昆虫食で脂肪や蛋白質を分解する酵素が糞に混ざって出る。ウグイスの糞で洗顔すると美白顔になるとか。スズメの幼鳥は新天地を求めて移動する。新潟県で標識されたのが300km以上離れた愛知県で見つかっている。
(北上「北上支部報」NO.21,P28〜29)
・鳥の名前に由来する山野草
ヒヨドリバナ:ヒヨドリが鳴く頃花が咲く。ヒヨドリジョウゴ:ヒヨドリが赤い実を好んで食べる。トキソウ:花の色から。ツベメオモト:一説には濃藍色の果実をツバメの頭に見立てる。マイヅルソウ:2枚の葉をツルの舞う姿に例えて。キジムシロ:丸く広がった株をキジの座るむしろに見たてる。カモノハシ:カモの嘴。
(北上「北上支部報」NO.21,P30)
・ガン・カモ類水鳥生息調査
1/11、北上地区4箇所で調査した。総計1,125羽、内訳はオオハクチョウ成84、同幼7、マガモ405、ホオジロガモ206、オナガガモ196、カルガモ57、キンクロハジロ52、コガモ40等。オオハクチョウは3月下旬に最大数になり4/10頃まで渡って行く。その後数羽が残るが、10/16頃、渡りの初認となる(2014年)。
(北上「北上支部報」NO.21,P31〜32)
●2015/4 千葉県
・千葉県内の鳥類生息に見る地球環境問題(千葉県・環境史研究会)
三番瀬では青潮が発生し、底生生物が大量に死に、スズガモの飛来は減り、ズグロカモメの飛来は無くなった。スズガモは東京湾南部、神奈川県側、銚子市〜外房に移動している。豊かな東京湾を取り戻せばならない。サンカノゴイは成田新高速鉄道の建設後、顕著に減少した。利根川河川敷のオオセッカも♂の囀りが600個体程あったものが、現在250程に減っている。銚子市から九十九里浜沖で洋上風力発電の調査、研究が進んでおり、バードストライクが危惧される。植生を犠牲にした太陽光パネル設置は生き物生息環境を減少させる。ネオニコチノイド系農薬、除草剤の法的規制が待たれる。オオバン、ヒドリガモ、サギ類等は内水域の生息環境悪化で、海岸に餌を求める事が増えている。
(千葉県「ほおじろ」NO.408,P3〜6)
・バンの恋
2月、鴨川市内の河川で10羽程のオオバンの群に1羽のバンが混じっている。中洲で休んでいると、このバンが1羽のオオバンのもとへやって来て、オオバンの頸から背中まで丹念に羽づくろいを始めた。オオバンも嫌がらず、うっとりして
いた。両者とも若い個体で種の自覚がまだ薄い?
(千葉県「ほおじろ」NO.408,P11)
・御蔵島海鳥保護でノネコの子を島外へ(2/4 毎日新聞)
伊豆諸島の御蔵島はオオミズナギドリの集団繁殖地(世界の9割が日本で営巣する)で、1978年の都の調査では同島に175〜350万羽のオオミズナギドリがいたが、2007年、環境省調査では88万、2012年は77万と減っている。減少の主な原因は島内にいる約500匹のノネコで、村は389匹に避妊、去勢をし島内に再放逐して
いた、今回山階鳥研は小笠原諸島の例を参考に、捕獲した子ネコを島外の飼い主に引き取ってもらう試行を行う。
(千葉県「ほおじろ」NO.408,P12)
・ベニアジサシ繁殖ゼロに沖縄県屋我地島(2/18 琉球新報)
2004年、300羽以上の営巣を確認していた名瀬市の屋我地島のベニアジサシ、環境省の調査で昨年は繁殖確認できず、飛来数も従来の100羽程度が20羽以下と過去最低であった。2/13の名瀬市での「アジサシ類保全ワークショップ」で、カラスバト飛来数の増加、海上レジャーによる人の接近による影響の可能性が指摘された。島沿岸岩礁出入り禁止を求める声があった。ベニアジサシを観光資源に活用する期待の声もある。
(千葉県「ほおじろ」NO.408,P12)
・ライチョウ人工飼育(2/25、朝日デジタル)
環境省は日本動物園水族館協会と連携し、(ニホン)ライチョウの保護のため、人工飼育を始める。乗鞍岳で6月、10個の卵を採取し、上野動物園と富山市ファミリーパークで飼育する。ライチョウは日本中部の高山帯に1980年代には最多の約3000羽がいたが、近年は2000羽弱になったとされる。
(千葉県「ほおじろ」NO.408,P13)
・ミツバチの群消滅 農薬が原因の可能性(2/17 日本経済新聞)
ネオニコチノイド系農薬をミツバチに与えると、冬場から春先に急減し、群が消滅「蜂群崩壊症候群(CCD)」に似た現象が起こる事をハーバード大学等の研究チームが突き止めた。農薬は致死量より遥かに低く、実際の農場で確認されるレベルで、世界で起きているCCDの原因がこの農薬である可能性が高まったとしている。実験は18の蜂の群に対し、7〜9月、同系の農薬を砂糖水で与えた12群に対し、6群が消滅した。周囲に蜂の死骸は無かった。農薬を与えない群は冬に数は減っても、春先に個体数は回復している。内、ダニの感染で消失した群は巣内に大量の蜂の死骸が残っていた。
(千葉県「ほおじろ」NO.408,P13)
●2015/4 神奈川県
・普通種の記録って必要なの?(鳥類目録編集委員)
鳥類目録「神奈川の鳥」で記録件数の多い順にヒヨドリ、スズメ、シジュウカラ、キジバト、ハシブトガラス、メジロ、ムクドリ、ハクセキレイ、カワラヒワ、カルガモである。日常的に観察される普通種が見事にランクされている。鳥類目録の大きな目的の一つは今を記録する事で将来の生物多様性保全の基礎資料として不可欠であるためである。50年前であれば、ヒヨドリが第一位、キジバトがトップテンになかったように、50年後はこの上位種とは限らない。何がいるかだけはなく、どの程度いるかで学術的価値が高まる。
(神奈川県「はばたき」NO.515,P3)
・鳥の種名を文字列として捉える
一文字違い:アオサギとアマサギ、ウタスズメとウミスズメ、ズグロカモメとセグロカモメ、キジバトとキンバト、キビタキとノビタキ、シジュウカラとゴジュウカラ、タヒバリとコヒバリ、ハマヒバリとヤマヒバリ、マガンとノガン、メジロとメグロ、ヤマガラとヤマゲラ、アオサギとアオシギ、ハチクイとハチクマ、ヘラサギとヘラシギ等と多数いる。他の種の名に紛れ込んでいるものにウズラ、シジュウカラ、キジ、ホオジロ、マミジロ、シロハラ等がいる。サバンナシトドにバンが、ブッポウソウにウソが、ミヤマガラスにヤマガラが偶然に入り込んでいる。
(神奈川県「はばたき」NO.515,P5)
●2015/5 札幌
・横浜自然観察の森(チーフレンジャー古南幸弘)
・キクイタダキ
・カモの交雑種
●2015/5 埼玉
・ホトトギス、カッコウ、托卵相手の出現率の変化
・青森県地名の鳥
●2015/4 富山
・危機的状況にあるイヌワシ
●2015/5 山口県
・ツバメのねぐらのマップ
・ガン・カモ・ハクチョウ類一斉調査
●2015/4 筑豊
・カメラマンのマナー向上問題
・セグロカモメ識別
・春を告げるマガン(ウトナイ湖レンジャー中村聡)
・雌も囀る(編集部)
●2015/5 札幌
・横浜自然観察の森(チーフレンジャー古南幸弘)
同森は神奈川県の三浦半島にある3000ha以上の緑地の一部45haを占め、2012年ヒットしたアニメ「おおかみこどもの雨と雪」に出てくる施設のモデルになっている。ここには900種以上の植物、250種以上の昆虫が記録されている。横浜市は1970年代後半、ネイチャーセンターを備えた自然探索路を設ける構想で、1986年、本部のレンジャーが常駐する施設が開設された。鳥類の記録は152種、年間4万人が訪れ、ボランティア延3千人で支えらている。
(札幌「カッコウ」No.373,P11)
・キクイタダキ
4/12、札幌市の円山公園でキクイタダキを見ている。この鳥は4月、針葉樹ではない明るい所でよく見る。この鳥の一部は南で越冬し、北海道に移動して来る?
(札幌「カッコウ」No.373,P13)
・カモの交雑種
小樽でホオジロガモとミコアイサ両方の特徴を持つカモの写真が届いた。両種の交雑種と判断された。
(札幌「カッコウ」No.373,P15)
●2015/5 埼玉
・ホトトギス、カッコウ、托卵相手の出現率の変化
ホトトギスの托卵相手は主にウグイスと言われ、支部の探鳥会では共に出現率が増加している。関東地方低地ではウグイスはホトトギスが托卵する6月前に繁殖していること、産卵前にホトトギスの托卵を妨げる行動がある(研究報告「ホトトギスの托卵に対するウグイスの対抗手段」:H23年国立科学博物館)
https://www.kahaku.go.jp/procedure/press/pdf/50354.pdf
が関係している?カッコウは托卵相手のオオヨシキリ、モズ、オナガと共に出現率は低下している。
(埼玉「しらこばと」NO.373,P2〜3)
・青森県地名の鳥
龍飛崎近くに燕崎(つばくらざき)、イワツバメが棲んでいる。津軽に鶴田、鶴泊、嘗ては津軽にツルが安住していた。八戸駅近くに鳥舌内(ちょうしたない)、由来は諸説あるが、奇声を発する鳥を撃ち落したら、舌が無かったとある。六ヶ所村近くに雲雀平(ひばりたいら)、草地が広がる所、鷹架(たかほこ)、鷹狩りのタカを止らせていた場所である。鶏ケ唄(とりがうた)、鶴喰(つるばみ)、鴨ノ首(かものくび)、これらは由来不明。
(埼玉「しらこばと」NO.373,P4)
●2015/4 富山
・危機的状況にあるイヌワシ
3/21、富山市で日本イヌワシ研究会小澤俊樹会長よりイヌワシを取り巻く問題を解説頂いた。イヌワシの繁殖率が大きく低下している要因に林業衰退による餌場の減少、人の影響がある。極めて神経質な鳥で、人の気配を嫌い、鉄塔等人工物にはとまらない。観察には1km以上あけねばならず、それでもレンズ越しにイヌワシの警戒心が分かる。
(富山「愛鳥ニュース」NO.98,P6)
●2015/5 山口県
・ツバメのねぐらのマップ
本部普及室で全国18箇所のツバメのねぐらのマップが完成した。
http://www.birdshop.jp/nature2/
(山口県「やまぐち野鳥だより」NO.238,P3)
・ガン・カモ・ハクチョウ類一斉調査
1/12、山口県47箇所で調査した。総計25,127羽で、内訳はマガン2、ヒシクイ8、オオハクチョウ2、コブハクチョウ2、マガモ9,694、ヒドリガモ4,429、カルガモ2,864、オシドリ2,053、オナガガモ1,946、ホシハジロ850、オカヨシガモ759、ヨシガモ649、コガモ594、キンクロハジロ469、トモエガモ289、ハシビロガモ133、ウミアイサ128等。
(山口県「やまぐち野鳥だより」NO.238,P13〜15)
●2015/4 筑豊
・カメラマンのマナー向上問題
2/1、九州・沖縄ブロック協議会で西表支部よりの発言。テレビ局撮影にも問題が多い。特にNHKは撮影機材が新規格になるたびに撮影に訪れる。特に営巣を放映する必要があるのだろうか。(財団:記録は必要だが公開は本来すべきでない)。ソニーのCMに対し、財団普及室より自粛申し入れで放映中止になった。熊本では珍鳥情報入手の目的で入会する人がおり、悪用されないよう対策が必要である。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.446,P33)
・セグロカモメ識別
セグロカモメの仲間は日本鳥類目録改訂第7版で、セグロカモメ、キアシセグロカモメ、ニシセグロカモメの3種に対し、通常使用する種・亜種名を記す。セグロカモメ:セグロカモメ、アメリカセグロカモメ。キアシセグロカモメ:モンゴルセグロカモメ、カスピセグロカモ、カザフセグロカモメ。ニシセグロカモメ:ニシセグロカモメ(日本国内で記録無し)、ホイングリングカモメ、タイミルセグロカモメ(セグロカモメとホイグリングカモメの交雑種と考えられる)。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.446,P37〜40)
・春を告げるマガン(ウトナイ湖レンジャー中村聡)
マガン・ヒシクイは9〜11月、ウトナイ湖で羽を休め、その後宮城県等に南下し、3月、ロシアに向う時、再び当地を訪れる。一昨年春は10万羽近くと過去最高であった。春は日中はウトナイ湖湖面では見られず、周辺の田畑で採食し、夕方戻って来る。今年は2/21に初確認、3/8、6万1千羽、3/19には1万7千羽になっている。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.446,P50)
・雌も囀る(編集部)
雌が囀る意味はよく分かっていないが、雌も囀る記録はアカショウビン、コウライウグイス、サンコウチョウ、マミジロ、コマドリ、アカヒゲ、コルリ、イソヒヨドリ、キビタキ、オオルリ、イワヒバリ、カヤクグリ、イスカ、イカル、タマシギ、ミフウズラ、コジュケイ等がある。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.446,P56)
●2015/5 茨城県
・ジョウビタキ異変!?
・H26年度ガン・カモ・ハクチョウ類一斉調査 (環境計画部)
・H27年度冬期防鳥ネット事故調査
・鳥獣保護員推薦(事務局)
●2015/5 奥多摩
・ホオジロガモ生態調査(研究部)
●2015/5 岡山県
・オオセッカの越冬記録
・キビタキ
●2015/5-6 島根県
・カモ類月別最大渡来数
●2015/5 筑後
・杜鵑類(研究部)
●2015/5 筑豊
・福岡県環境部と福岡県内野鳥の会四支部との意見交換会
・カラ類(Tits)
・オオコノハズクの声を求めて
●2015/5 茨城県
・ジョウビタキ異変!?
長野県八ヶ岳山麓のあちこちの別荘地でジョウビタキの繁殖が報告されている。以前は北海道十勝地方と静岡県の2例のみであったが、今では北海道大雪山、西日本では兵庫県鉢伏高原、岡山県新庄村、山口市等に繁殖記録がある。営巣場所は人が関与した環境で、大陸での営巣地と共通点がある。この漸進具合は冬鳥から留鳥となったハクセキレイとダブる。
(茨城県「ひばり」NO.325,P2)
・H26年度ガン・カモ・ハクチョウ類一斉調査 (環境計画部)
1/11、79箇所で調査した。26種、134,894羽を記録した。内訳はハクチョウ類1,429(オオハクチョウ803、コハクチョウ516、コブハクチョウ110)、ガン類は亜種オオヒシクイ124、カモ類はマガモ67,753、ヒドリガモ16,068、オナガガモ12,621、カルガモ12,152、コガモ11,673、オカヨシガモ6,631、ヨシガモ2,351、キンクロハジロ1,512、ホシハジロ1,493、スズガモ847、クロガモ459、ハシビロガモ272、ミコアイサ127等。カワウは7,483羽(39箇所)、オオバン4,834羽、カンムリカイツブリ4,378羽であった。
(茨城県「ひばり」NO.325,P3〜5)
・H27年度冬期防鳥ネット事故調査
1月末中心に霞ヶ浦・北浦の蓮田地帯で鳥の羅網事故を調査した。毎年1千羽を超え、今年も過去最高の1,364羽の被害を確認した。蓮収穫前に226羽で1千羽以上は収穫後に羅網している。この状態はH17年以来続き、県と毎年協議を重ねている。行政はネットの撤去まで指導できないとしている。霞ヶ浦・北浦のラムサール条約湿地登録には無秩序な防鳥ネットの撤去が必要である。現在の網はレンコンを保護するのではなく、野鳥をいたずらに羅網させ、本来の目的から外れた施設となっている。羅網した主な鳥:オオバン586、識別不能カモ232、ヒドリガモ176、コガモ122、カルガモ38、サギ類44等。
(茨城県「ひばり」NO.325,P6〜7)
・鳥獣保護員推薦(事務局)
2/25、支部は支部会長の面接を経て県へ次期鳥獣保護員(任期2年)の推薦書(6名)を提出した。内1名は支部会員外でペットの猛禽類を扱うが、違法行為の監視、指導に十分な資質があるとして支部は推薦している。
(茨城県「ひばり」NO.325,P22)
●2015/5 奥多摩
・ホオジロガモ生態調査(研究部)
10/29〜4/5、多摩川羽村堰周辺で12回調査した。初認日は12/6、♀1(2011/11/6が最も早い)。終認日は3/17(2011/4/3が最も遅い)。最大羽数は2/15の31羽。♀が8割、♂は少なく、♂は体が大きく♀より水が深い場所を好む。記録は成鳥が7割、やや流れがある水域で潜水を繰り返し採食していた。求愛ディスプレイは12/17〜3/16、計7回観察した。潜水採食は20〜50分間連続し、日中の大半(7割)は採食に費やす。水草類やカジカ類を採食していると思われるが、詳細不明。
(奥多摩「多摩の鳥」NO.224.P2〜6)
●2015/5 岡山県
・オオセッカの越冬記録
オオセッカは国内生息推定は2,500羽で、コヨシキリに似るが、尾端は不揃いでボサボサして見えるのが識別の手掛かりになる。ヨシの高さ1.2〜2.4m程でスゲ類等の下層植物が生えた湿潤な環境を好む。このような遷移途中の植生は非常に限られている。2014/12〜2015/2、岡山県瀬戸市の錦海塩田跡地でオオセッカの越冬が確認され、瀬戸内海沿岸が越冬期の西限と考えられる。
(岡山県「野鳥おかやま」No.208,P2)
・キビタキ
キビタキは4月中旬〜10月下旬留まる。岡山県南部ではこの10年間で一気に増加した。アカマツ林が衰退し、コナラやアベマキを主にする林が広がった影響が大きいのでは。餌場は落葉広葉樹林で、樹木が大きく樹冠の下が開け、林床が茂る環境である。竹林でもよく見るのは、餌が採りやすいためかもしれない。
(岡山県「野鳥おかやま」No.208,P3)
●2015/5-6 島根県
・カモ類月別最大渡来数
飯梨川河口周辺で2014/4〜2015/3、調査した。最大数が見られるのはマガモ:10月、カルガモ:10月と7月、コガモ:12月、ホシハジロ:10月、キンクロハジロ:11月、スズガモ:11月、カワウ:1月であった。カモ類は年が明けると減ってくる。カワウは年明けて最大数となる。
(島根県「スペキュラム」NO.165,P2)
●2015/5 筑後
・杜鵑類(研究部)
トケン(杜鵑)類は野鳥図鑑、鳥類目録の分類には載っていない。嘗てはこの仲間をホトトギス目ホトトギス科と云う事があり、杜鵑はそのホトトギスの1つの漢字表記で、杜鵑類はホトトギスの仲間の鳥を示す。現在はカッコウ目カッコウ科となっている。
(筑後「まめわり」NO.168,P10)
●2015/5 筑豊
・福岡県環境部と福岡県内野鳥の会四支部との意見交換会
1/15、福岡県庁で行われた。シカの食害:餌が減ってもシカは減らずに、体を小さくして適応している。メジロの飼養:福岡県内のメジロ飼養登録数は396羽、捕獲許可は無。メジロは長いものは15年位生きる。他県では20年以上飼養更新例がある。イノシシの捕獲数は年々増加し、H25年度は22800頭。シカの捕獲数はH25年度は10年前の5倍の6,500頭。鳥獣保護行政:密対連は県の動きを評価している。
(筑後「野鳥だより・筑豊」NO.447,P25〜30)
・カラ類(Tits)
日本産カラ類で記録されたものはハシブトカラ、コガラ、ヤマガラ、ヒガラ、キバラガラ、シジュカラ、ルリガラの7種、他の種に比べ種類数が少ないのはカラ類の特徴として、留鳥性が強く余り移動しない事が一要因と思われる。キバラガラは中国の狭い地域に生息し、国内では2件のみの記録が、2012年冬、西日本を中心に20個体近く記録され、春は日本海側の離島で観察される。シジュウカラは同種とアマミ・・・、オキナワ・・・、イシガキ・・・の3亜種を含め国内で4亜種が知られる。ルリガラは1987/11、利尻島で唯一記録がある。
(筑後「野鳥だより・筑豊」NO.447,P34〜36)
・オオコノハズクの声を求めて
3月、対馬北部でオオコノハズクの声を収録した。声は「プゥーウー」と高い声で間隔を置く連続音で聞きようにより「ミャー」と猫の声に似ていた。熊本県五木村ではネコドリとある(里山の野鳥百科 大田眞也著)。同誌では「ポッポッ・・・」、「ポカスカ・・・」とも鳴くとある。木魚鳴きと言って低い声で木魚のように間隔を開けて鳴く(松田道生氏)ともある。台湾では「ホゥ・・ホゥ・・」と高い声で一声ずつ鳴くのを聞いている。オオコノハズクは世界に16亜種おり、台湾と日本では別種である。
(筑後「野鳥だより・筑豊」NO.447,P39〜41)
★NO.750まで達した事にお祝いと今後の励ましを一部の方より頂きました。ご愛読有難うございます。
(自然保護室・野鳥の会・神奈川/森要)
日本野鳥の会弘前支部設立50周年記念イベントとして、本部より安西英明氏をお迎えして弘前公園で探鳥会を開催しました。バードウィーク連続探鳥会は、昭和56年、5代目支部長として小山信行が就任して以来ずっと続いている当支部の誇るべき行事です。その連続探鳥会初日が日曜日であり、安西氏の巧妙なガイドで探鳥でき、いろいろなお話を伺えれば最高に幸せと、2年前から予約、申込みして実現しました。
昭和40年4月23日の第1回探鳥会より通算第1971回目となる5月10日 6時、弘前公園内緑の相談所前に集合。弘前公園は桜で有名な約50haの城址公園で、10年かけて改修する本丸石垣積み工事が昨年から施工されています。当日はあいにくの雨、気温+9℃と肌寒い日でしたが、30名(支部会員 24人、会員外 6人)が参集し、8時30分の鳥合わせまで、22種を確認しました。過去、バードウィーク中に弘前公園では77種が記録されており、多い時は一日で50種近く観察していることからすれば、出現種は少なく、羽数も少ないように感じました。途中アマヤドリという鳥が1種増えて、鳥のからだのしくみや羽根の解説をしてもらいました。スズメやカラスの雑学は盛りだくさん、もてる♂の話や、横に動く瞬膜、餌となる昆虫の生存率なども興味深かったです。クイズに正解し、景品のカワラバトやインコ(アカショウビンもどき)などの美しい羽根や羽毛をもらった人たちは大喜びでした。わざわざ弘前で、楽しい探鳥会、お話し会をしてくださった安西氏に厚くお礼申し上げます。
探鳥会の様子
集合写真
ちなみに、一週間連続探鳥会の参加者は42人(支部会員 29人、会員外 13人)。のべ102人。皆勤賞は 4人。観察できたのは 42種。皆勤鳥は、オシドリ、カルガモ、カイツブリ、キジバト、ハシボソガラス、ハシブトガラス、シジュウカラ、ヒヨドリ、ムクドリ、コムクドリ、スズメ、カワラヒワ、アオジの13種でした。エゾムシクイが盛んに囀り、アオジの鳴き声も毎日聞こえ、アオジは5ヶ所で声がしていたのでもっと増える傾向にあるように思えました。カイツブリは蓮池に5羽、2番で繁殖する模様。ササゴイが今年もまた営巣しました。カッコウの初鳴きは 5/13。最終日に自転車のブレーキのような謎の小さい音が、姿を見てヒレンジャクと知ることができました。エナガ、オオルリ、マヒワなど常連を確認できなかったのが寂しいです。
50周年記念は一時のイベントとして通過し、次は来年の通算2000回目の探鳥会を祝いたい、どう祝おうかと今から楽しみに算段しています。
(日本野鳥の会弘前支部副支部長 鳴海真澄)
【日時】 2015年5月16日、17日
【場所】 熊本県荒尾市 ホテルカサブランカ
【主管】 日本野鳥の会熊本県支部
【探鳥】 荒尾海岸
当日は、沖縄の3支部を除く九州内の10支部から約120人が参加し、盛況のうちに大会が開かれました。九州・沖縄ブロックは、ブロック大会とは別にブロックの運営に関する運営会議が別にあるため、大会では、講演と懇親会、探鳥会のみとなっています。
荒尾市は2012年にラムサール条約湿地になったということで、来賓の山下荒尾市長から、ラムサール条約登録を活かしたまちづくりを行いたいとの挨拶がありました。
講演をする安尾氏
これについで、荒尾干潟のラムサール湿地登録の中心となられた支部会員の安尾征三郎氏から、登録に向けての行政への働きかけ、市民への働きかけ、漁業者への働きかけなどについての講演。財団事務局の葉山から、IBAとラムサール条約の関係と国内の干潟の登録地の紹介。熊本県支部長の高野茂樹氏から、モニタリングサイト1000のデータを使って検討をした国内のシギ・チドリ類の渡りのルートについての講演がありました。
翌日、早朝は雨気味でしたが全員で荒尾海岸に行きシギ・チドリを堪能いたしました。今回は佐賀県の東よか干潟、鹿島新籠の2つの干潟のラムサール条約湿地登録も決まり、有明海の保全につながる大会となりました。
探鳥会風景
海岸を舞うシギの群れ
(自然保護室 葉山政治)
【日時】 平成27年5月16日(土)〜17日(日)
【会場】 国立那須甲子青少年自然の家
【担当】 日本野鳥の会白河支部
【参加連携団体】
ふくしま支部(10名)、郡山支部(13名)、いわき支部(6名)、南相馬支部(2名)、相双支部(2名)、会津支部(2名)、白河支部(16名)
【その他参加者】
武田和也(来賓・福島県生活環境部自然保護課長)、佐藤正博(西郷村村長)、深澤圭太・三島哲雄・熊田那央(発表・国立環境研究所)、浦 達也(発表・財団事務局 主任研究員)
【内 容】
○開会(13:00)
司会・進行(白河支部 長田雅一)
・歓迎と開会挨拶(白河支部長 戸邉進)
・挨拶(連合会長 白岩康夫)
・連携団体紹介
・来賓挨拶
福島県知事代理 福島県生活環境部 武田和也様
西郷村村長 佐藤正博様
公益財団日本野鳥の会 浦達也
○会議(13:30)
・第一号議案 平成26年度事業報告(主なもの)
(1)要望・請願・陳情関係
@H26.8.12に国道289号第一片見橋の撤去工事再開に係る同意書を福島県に提出。
AH26.9.24に白河・権太倉山の新規登山道整備工事について、動植物の生息に配慮するよう
白河市長に同意書を提出。
(2)啓蒙活動
@「地球にやさしい“ふくしま”:県民会議」への参加
(3)調査活動
@H26福島県委託事業「福島県に於けるカワウの生息調査」を8・12・3月に実施。
AH27年1月に「H26第46回ガン・カモ類生息調査」を県内各連携団体で実施。
B財団本部より協力依頼のあった「ツバメの調査(放射線がツバメに与える影響)」を
各連携団体の協力で実施。
(4)会議・その他
@H26.5.31〜6.1に第19回福島県日本野鳥の会連携団体連合会総会を郡山で実施。
A関東カワウ広域会議・福島県カワウ保護管理協議会・福島県カワウ対策地域協議会に出席し、
カワウの適正な保護管理に協力した。
B福島県自然環境審議会に出席した。
C福島県野生動物保護アドバイザー会議に出席し、「福島県の生物多様性の指標作り」と
「ふくしまレッドリスト改訂の問題点」の検討を行った。
D福島県に於ける地熱資源開発に関する情報連絡会に出席し、情報収集を行った。
E日本野鳥の会ひょうごより過去3年間受け取った義援金を活用した。
F財団本部創立80周年功労者表彰に、福島県内から、日本野鳥の会ふくしま名誉会長の白岩康夫様、
いわき支部の小野金次郎様、郡山支部長の湯浅孝子様が表彰された。
G「福島県鳥類総目録」の作成に、公益信託福島銀行ふるさと自然環境基金より助成金を
いただくこととなった。
・第二号議案 平成26年度収支報告、監査報告
・第三号議案 平成27年度事業計画(主なもの)
啓蒙活動
・地球にやさしい“ふくしま”:県民会議」への参加
調査活動
・福島県委託事業「福島県に於けるカワウの生息調査」の実施。
・「第47回ガン・カモ類生息調査」の実施。
・福島県委託事業「福島県版レッドデータブック鳥類編」作成に向けたデータ収集。
・「福島県鳥類総目録」の作成に向け、各連携団体から鳥類のデータを収集。
会議
・福島県カワウ保護管理協議会・福島県カワウ対策地域協議会への参加。
・福島県自然環境審議会への出席。
・福島県野生動物保護アドバイザー会議への出席。
・福島県に於ける「地熱資源開発に関する意見交換会」に出席し、磐梯朝日国立公園での地熱発電に関する
諸問題について情報と意見の交換を行う。
・福島県楢葉沖に増設される7000kw級浮体式洋上風力発電2基、および阿武隈山系を中心に設置計画のある
風力発電計画について、その動向を見守る。
・第四号議案 平成27年度収支予算(案)
・第五号議案 連合会加盟団体と連合会役員の一部変更について
・第六号議案 H28年度第21回福島県日本野鳥の会連携団体連合会総会開催支部の決定
→相双支部に決定
・第七号議案 その他
・日本野鳥の会ひょうご様からの義援金の活用について
・ふくしまレッドリスト(鳥類)見直し調査について
・福島県の鳥類目録の作成手順について
・東北ブロック内に「風力発電対策連絡協議会」設置に関する県内各連携団体としての意思統一
発表風景
○発 表(14:30)
(1)松川浦に渡来するシギ・チドリ類の震災影響について(相双支部)
→震災後、コチドリ・コハクチョウ・セッカの渡来数が増加。オオセグロカモメ、セグロカモメ、
ウミネコが激減した。ワシカモメはみられなくなった。
(2)「バードチャレンジ」の趣旨説明(国立環境研究所 深澤圭太)
→福島県内で鳥の音声を録音し、音声解析結果から鳥類相を調べる事業。
(3)「風力・太陽光発電の功罪について」(日本野鳥の会 浦達也)
・太陽光発電が環境に与える影響
→太陽の光を地球が反射する割合が変化し、大気の温度に影響を与える要素になる。
→地表面温度と大気境界層の状況が変化する。
→微気候と水文学の変化
→降水型の変化
→土壌の侵食や崩壊
→土地利用や土地被覆の変化…メガソーラーを作る場合、大規模面積を一度、裸地にして砂利を敷く。森林がある場所では、伐開してパネルを設置する例もある。
※野鳥への影響…直接影響はないが、生息地消失や餌生物変化など間接的影響を受ける。
・風力発電が環境に与える影響
→景観阻害
→騒音、低周波音による被害
→シャドウフリッカーによる光害
→取付け・作業道路や風車基礎の設置による生息地破壊(森林伐採、土砂流出、土地利用・被覆・植生の変化等)
→野鳥への被害…バードストライク等
○連合会及び連携団体の活動報告
・白河市とその周辺におけるケリの14年間の生息状況について
→近年の太陽光発電の設置増加により、ケリは営巣地を失っていた。
○閉会の挨拶(連合会副会長 熊谷健一様)
○早朝探鳥会(17日5:30〜6:50)/朝のつどい(7:00〜)
・青少年自然の家周辺の森の散策路にて、数グループに分かれて探鳥会を実施。
・キビタキなどを観察した。
みんなでラジオ体操
○探鳥会(9:00〜)
・キビタキの森にて実施
・キビタキをはじめ、多くの鳥を観察した。
探鳥会の様子
(自然保護室 浦達也)
■普及室より
支部ネット通信第120号から連載中の『フィールドガイド日本の野鳥』についてです。
長らくお待たせしてしまい、すみませんでした。ようやく『フィールドガイド日本の野鳥』増補改訂新版(以後、新版と記す)の発行に至りました。一見しただけでは「そんなに変わったの?」と思われるかもしれませんが、見比べて、読み比べていただくほどに「こんなに変えたの?」とお気づきになるでしょう。歴史が詰まっている図鑑ですから、吟味、熟考の上ではありますが、相当な箇所に修正を施しています。
一方、2013年に日本鳥類目録改訂第7版に沿わせて発行できた『新・山野の鳥』『新・水辺の鳥』(以後『山野』『水辺』と記す)の改訂版はお陰様で売れ続け、早くも第3刷を出さなくてはならなくなりました。新版では『フィールドガイド日本の野鳥』と『山野』『水辺』との違いを減らすように努めましたが、『山野』『水辺』改訂版の増刷の機会に見直した結果、逆に『山野』『水辺』を修正したほうがよい箇所がありました。
<海ガモ類か?潜水カモ類か?>
先に『フィールドガイド日本の野鳥』と『山野』『水辺』で違う例を書いておきましょう。『フィールドガイド日本の野鳥』は、カモ類を淡水ガモ類、海ガモ類などに分けています。私が担当する前の『水辺』も同様でしたが、「海ガモ類とされる中で最も身近なキンクロハジロやホシハジロは淡水域にいることが多いので、海ガモという呼び方はよくない」という意見をしばしば頂戴していました。環境で分けるのに無理があるとしたら、水面採餌ガモ類と潜水ガモ類という行動で分けた呼び方でよいのでは・・・と考えましたが、「水面採餌では言葉として長くなる」「採餌は不適切で、採食とすべき」「時には潜ることもある」など、さまざまな見解があります。1997年に『山野』『水辺』の解説を担当することになった私は、海ガモ類と呼ばれる仲間は例外なくよく潜るので、「潜水ガモ類」としました。ただし、『フィールドガイド日本の野鳥』と『水辺』に違いを生じさせてしまったために、『水辺』の潜水ガモ類の解説の中で「キンクロハジロとホシハジロ以外は海に多く、海ガモ類ともいう」と補足してあります。
すでに『山野』『水辺』改訂版をお買い上げいただいた方には申し訳ありませんが、第3刷で『フィールドガイド日本の野鳥』と違う点を補足するために直す例として、尾羽の形状の名称があります。カワラヒワのように中央尾羽が外側尾羽より短く真ん中が凹んだ形に見える尾羽を、『山野』『水辺』ではM尾と呼んでいました。が、『フィールドガイド日本の野鳥』では凹尾としているので、『山野』のM尾の下に(凹尾)と入れることにしました。
<九州以北か?屋久島以北か?>
新版では分布図を見直すために、目録7版に記載された全種、全国の記録をチェックしたし、目録では不十分な島嶼部での記録を調べもしました。これまでは小笠原群島(硫黄列島は含まない)と小笠原諸島(硫黄列島を含む)などで混乱もありましたが、新版ではすべて見直して、必要に応じた修正を施しました。それでも、分布不明の種や地域は少なくないし、島ごとの違いもあるし、変化もしますので、分布の表記のしかたは、悩ましいことが少なくありません。
例えば、フクロウのように「九州以北」と記される種は南西諸島では見られないことを意味します。が、ツバメのように南西諸島を旅鳥として通過するような種では、私は「主に九州以北」と書くようにしています。悩ましいのはトビのように奄美諸島以南では稀でも屋久島には普通というような場合、どう書くか?です。これまで『山野』『水辺』では九州以北と書いてきたトビですが、第3刷では『フィールドガイド日本の野鳥』に合わせて「屋久島以北」に直します。
ほかにも『山野』『水辺』で、ズグロミゾゴイ、ムラサキサギ、オオクイナは八重山諸島と書いてきましたが、目録7版ではこれらは宮古島でも見らるように書かれています。新版では南西諸島南部と位置づけていて問題ないのですが、『山野』『水辺』では八重山諸島と宮古諸島を合わせた「先島諸島」と記すように直します。また、キバシリやホシガラスのように九州では少ない上に分布が限られる種は、これまでは主に四国以北と書いてきましたが、新版に合わせて「九州以北」とします。
<シロカモメは69pでよいか?>
『水辺』改訂版を見直してみると、シロカモメの解説中にやや小さい類似種、アイスランドカモメを補足していました。シロカモメの小型個体がアイスランドカモメと誤認されることがあるので、アイスランドカモメを記すならシロカモメの全長の個体差に触れておくべきではないか?と考えました。これまで全長69pとしていましたが、第3刷では『フィールドガイド日本の野鳥』新版に合わせて62〜70pとします。
昨年の10月号で、全長や翼開長の数値を決めなくてはならない難しさは書いたと思いますが、新版と第3刷同時に修正することになったのがヒメアマツバメの翼開長です。多くの図鑑で28cmとされていますが、イワツバメの翼開長が30pとされています。個体差や見え方の違いはあるにせよ、野外で見比べたときイワツバメより小さく感じられることは少ないのではないでしょうか?新版の参考文献としたMark Brazilの著作には28〜35pと幅広い数値があげられており、その平均値で32pを採用することにしました。
<基部か?付け根か?>
ここまでは図鑑をよりよくしたい担当者の裏話しと思っていただいてよいのですが、第3刷での重要な修正点があります。それは、新版に揃えて、漂鳥の定義から国内移動を削除することです(昨年の7月号で触れたが、ウグイスやウソを漂鳥とし、漂鳥は国内を移動する鳥とする図鑑が多いが、大陸から移動してくるウグイスやウソもいる)。
もう1点、部位の表し方を揃えることも重要なポイントとしてお伝えしておきます。『フィールドガイド日本の野鳥』では増補改訂版に遡りますが、しばしば混乱が見られる嘴の基部と付け根についてを整理して、統一しました。「嘴の基部」は嘴そのものの基の部分で、「嘴の付け根」は嘴がついている顔の部分として揃えたのですが、『山野』『水辺』改訂版でも混乱があったので、第3刷で修正させていただく次第です。
*これまで探鳥会スタッフ通信での連載で、目録7版における新たな掲載種の図版を、担当された谷口高司さんの了解を得て紹介してきましたが、今回は支部ネット通信ともども、当会で新版を購入された方(8月末日まで)へのプレゼントはがきを紹介させていただきます。(新版で新たに追記した種の画像を、描いた谷口さんご自身に並べていただいたものです)
フィールドガイド新版のプレゼントハガキ
(普及室/主席研究員 安西英明)
当会通信販売では、7月31日までの期間限定で「サマーフェア2015」を開催いたします。対象の双眼鏡や望遠鏡を特価でご購入いただける機会となっているほか、夏のバードウォッチングにおすすめの商品をご紹介しております。会誌「野鳥」7月号に通販カタログ「サマーフェア2015」を同封いたしますので、ぜひ、ご覧ください。
また、事業担当の皆様には、当フェアの連携団体向け卸販売のご案内を、6月下旬にお送りします。会員や探鳥会参加者のみなさまからのご注文を取りまとめていただければ、卸価格で対象商品を販売いたします。
商品を通じたコミュニケーション、支援者の輪の拡大にぜひご活用ください。
●本件についてのお問い合わせ
普及室販売出版グループまでお願いします。
TEL:03-5436-2623
FAX:03-5436-2636
メール:[email protected]
(普及室 江面康子)
議事の経過の要領及びその結果
理事会開催にあたり、冒頭、佐藤仁志理事長から挨拶があった。佐久間仁常務理事が開会を宣言し、本理事会は定款第42条の規定に定める定足数を満たしており、適法に成立している旨、報告があった。
続いて、オブザーバーの柳生博会長より、挨拶があった。又、職員労働組合より3名の傍聴者が出席している旨、報告があった。
なお、議事録署名人については、定款第44条に基づき、出席した代表理事及び監事となっており、佐藤理事長、吉田新副理事長、曽我千文監事及び見田元監事が署名人となることを確認した後に、次の議案の審議に入った。
(1) 第1号議案 平成27年度第2回評議員会(臨時)招集の件
奥田秋穂総務室長より、定款第20条に基づき、下記の要領で臨時評議員会を招集する旨の説明があった。審議を経て、議長がこの賛否を諮ったところ、全員が異議なくこれを承認した。
(2) 第2号議案 平成26年度事業報告及び決算(案)承認の件
各室長より、平成26年度事業報告(案)について、資料に基づき説明があり、五十嵐真総務室長代理より、平成26年度決算(案)について、当期一般正味財産は、約10,116千円の増加、指定正味財産は、約73,782千円の減少であること、収益事業等会計の当期経常額は、約103,758千円の増加となり、約15,000千円の法人税等の納税が発生することが資料に基づき説明された。
引き続き、曽我監事より、業務監査の結果、業務執行状況及び決算書類等について問題がないことについて、監査報告があった。
松田道生理事より、Strixの進捗状況について質問があり、葉山政治自然保護室長より、平成26年度は6月に発行したこと、次号は風力発電について掲載すること、次号の査読に時間を要していること、会員からの投稿数は増加しているが、販売増には結び付いていないこと、又、その原因として以前はISBNを取得していたが現在は取得していないことなどが考えられるとの回答があった。
見田監事より、Strixの広報も含め、当会の活動内容を広報するための組織を検討いただきたいとのコメントがあった。
審議を経て、議長がこの賛否を諮ったところ、全員が異議なくこれを承認した。
会議の様子
(3) 第3号議案 特定費用準備資金等取扱規程制定の件
五十嵐総務室長代理より、公益認定法で定められた特定費用準備資金及び資産取得資金の制度を利用するため、特定費用準備資金等取扱規程を新設することについて、資料に基づき説明があった。
安西英明理事より、特定費用準備資金の使い道について質問があり、五十嵐総務室長代理より、例えば、80周年記念事業のような周年で実施される事業が典型的な使い道であるとの回答があった。
遠藤孝一理事より、資産取得資金による土地の買取りも可能かとの質問があり、五十嵐総務室長代理より、可能であるとの回答があった。
審議を経て、議長がこの賛否を諮ったところ、全員が異議なくこれを承認した。
(4) 第4号議案 賞罰等評価委員会設置の件
佐久間常務理事より、定款第52条に基づき、就業規程の賞罰規定に基づき賞罰を行うにあたり、その適正性を担保するため、弁護士1名、その他学識経験者2名で構成する賞罰等評価委員会を設置することについて、資料に基づき説明があった。
松田理事より、賞罰等評価委員会とは第3者委員会と同等のものか、又、賞罰等評価委員会の権限について質問があり、佐藤理事長より、第3者委員会と同等のものであること、佐久間常務理事より、賞罰等評価委員会の権限については、資料「29.賞罰等評価委員会設置細則(案)」の第2条第6項のとおり、又、賞罰等評価委員と賞罰対象者が直接面談を行うことも可能との回答があった。
審議を経て、議長がこの賛否を諮ったところ、全員が異議なくこれを承認した。
(5) 第5号議案 賞罰等評価委員会委員承認の件
佐久間常務理事より、賞罰等評価委員会委員の候補者について、資料に基づき説明があった。
審議を経て、議長がこの賛否を諮ったところ、全員が異議なくこれを承認した。
理事長賞を受賞した、普及室販売出版グループ(上)とフレシマ隣接地風力発電計画見直し事業(下)
上記の議事を明らかにするために議事録を作成し、佐藤理事長、吉田副理事長及び出席監事の名において記名、捺印する。
平成27年6月12日 公益財団法人日本野鳥の会
議長 代表理事 佐藤 仁志
代表理事 吉田 新
監 事 曽我 千文
監 事 見田 元
(総務室 柴田英美)
代表者変更のあった支部についてお知らせいたします。
【事務局長の交代】
●日本野鳥の会 函館支部
新事務局長:前田 育夫
旧事務局長:小林 明
(総務室/鈴木美智子)
2016年会員証を飾る野鳥写真を募集しております。テーマは自由で、郵送かメールにて受け付けております。詳細は当会ホームページまたは野鳥誌6月号の応募要項をご確認ください。野鳥写真を撮影される支部の会員の方にも広めていただき、投稿の機会をご紹介いただけたらと思います。
皆様からのご応募お待ちしております。
○応募締切
2015年8月14日(金)
○応募資格
当会の会員であること
○応募要項のホームページ
http://www.wbsj.org/join/join-and-changes/personal/kaiinsho_boshu/
※当会HPトップページの「おしらせ」欄、またはトップページ>ご入会・ご変更・ご支援>個人会員>2016年会員証作品募集をご覧ください。
○お問合せ先
会員室 会員グループ
TEL:03-5436-2631
FAX:03-5436-2636
E-mail:[email protected]
(会員室 亀崎愛)
6月1日会員数36,265人(対前月+18)会員数は先月に比べ18人増加しました。5月の入会・退会者数の表をみますと、入会者数は退会者数より26人少なくなっています。会員の増減は入会者数と退会者数のほかに、会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活した人数によって決まります。5月の入会者数は179人で、前年同月の入会者に155人比べ24人増加しました。また、5月の退会者は205人で、前年同月の退会者203人に比べ2人増加しました。
表1. 5月の入会・退会者数
※会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活する方がいらっしゃるため、退会者数の年度累計は、実際の退会者数とずれた数字となります。このため、退会者数合計については年度末の集計後にお知らせいたします。
■都道府県および支部別会員数■
野鳥誌贈呈者数を除いた数を掲載します。
表2 都道府県別の会員数(6月1日現在)
備考:不明は転居先が不明の会員を示します。
表3 支部別の会員数(6月1日現在)
備考:支部別の会員数の合計は、都道府県別の会員数の合計と異なります。
これは、本部型(青い鳥)会員や支部に所属されていない個人特別会員が支部別の会員数に含まれないためです。
(会員室/沖山展子)
長雨の季節となりましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。いつも支部ネット通信をご愛読いただき、ありがとうございます。
今号には、弘前支部より、設立50周年記念イベントの記事を投稿いただきました。このような節目のイベントは各支部にあると思います。ぜひ、弘前支部のご報告を参考にしたり、各支部でこのようなイベントを開催されたときには、こちらにご投稿ください。
■支部ネット通信は支部の代表の方に電子メールでも配信をしています。電子メールでの配信を希望される支部の代表の方は下記メールアドレスまでお気軽にお申し込みください。
支部ネット通信 第135号 ◆発行 公益財団法人日本野鳥の会 2015年6月23日 ◆担当 総務室 総務グループ 奥田秋穂/柴田英美 〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル TEL:03-5436-2620 FAX:03-5436-2635 E-mail:[email protected] |