No.126 2014年9月号


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目次 ◆支部の動き
 支部報保護・調査記事関連トピックス
◆国際鳥類学会議(IOC2014)の報告と御礼
 国際鳥類学会議(IOC2014)の報告と御礼
◆事務局からのお知らせなど
 シンポジウム「オオタカ −希少種解除の課題−」
 モニタリングサイト1000 (森林・草原)
 鳥類調査研修会のご案内8〜9
 新たな『フィールドガイド日本の野鳥』に向けて
 補改訂新版の取り組み

 訂正とお詫び
 支部名称等変更のお知らせ
 会員数

支部の動き

■支部報保護・調査記事関連トピックス■

 本記事は日本野鳥の会へ送付されてきている各地の支部報/会報から抽出して作成し、調査・保護に関心がある野鳥の会の会員へ配信しております。本記事の一部又は全部を不特定多数が見る可能性があるところへ公開される場合は、各支部/各会の了承を事前に得て下さい。記事は筆者の意向に反しないように、取り扱いをお願いします。

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.717

●2014/3 十勝
・ワシ一斉調査
・海鳥を読む
・海鳥とプラスチック
●2014/7 奥多摩
・保全活動繰り返しが貴重
・カイツブリ
・サンカノゴイ
●2014/4 奈良
・2014ガン・カモ調査
・繁殖期の奈良公園のセキレイ3種
●2014/7 奈良
・2014春のタカの渡り
・繁殖期の平城宮跡のヒクイナとバン
●2014/5 佐賀県
・鳥獣被害対策で新サービス (4/21 長崎新聞)
・有明海の干潟をラムサール登録へ(5/16 佐賀新聞)
●2014/6 長崎県
・生月島の春の小鳥類渡り

●2014/3 十勝
・ワシ一斉調査
 2/23、十勝地方の6箇所で調査した。オオワシは成鳥58、幼鳥または亜成鳥9、オジロワシは成鳥22、幼鳥または亜成鳥14、種不明ワシ11で総計114であった。数が多い場所は池田町〜足寄町〜陸別町〜阿寒でオオワシ50、オジロワシ18、計68であった。
(十勝「十勝野鳥だより」NO.184,P7〜8)

・海鳥を読む
 海鳥に関する本を紹介する。「海鳥識別ハンドブック」(箕輪義隆、2007、文一総合出版)、「カモメ識別ハンドブック 改訂版」(氏原巨雄・氏原道昭、2010、文一総合出版)、「海鳥の行動とその生態-その海洋生活への適応」(綿貫豊、2010、生物研究社)、「海鳥についてもっと知ろう」(小城春雄、2008、海と渚環境美化推進機構)、「エトピリカ」(片岡義廣、1998、北海道新聞社)、「アビ鳥を知っていますか 人と鳥の文化動物学」(百瀬敦子、2011、福村出版)、「野鳥の記録 東京〜釧路航路の30年」(宇山大樹、2012、自費出版)、「極東の鳥類27 海鳥特集」(藤巻裕蔵、2010、極東鳥類研究会)、「北海道の海鳥1 ウミスズメ類@」(千嶋淳、2013、日本野鳥の会十勝支部)。
(十勝「十勝野鳥だより」NO.184,P12〜18)

・海鳥とプラスチック
 長期的に海鳥たちの生存を脅かしているものにプラスチックがある。海に漂着したプラスチックの一部は海鳥が間違って飲み込んでいる。消化管に直接影響与えるだけでなく、添加されている化学物質も脅威である。「脱プラスチック生活」に取り組んでみませんか。(2/10、十勝毎日新聞に掲載)
(十勝「十勝野鳥だより」NO.184,P19)

●2014/7 奥多摩
・保全活動繰り返しが貴重 
 羽村堰下のヨシ原でクズの蔓切り、伸び始めたオオブタクサの幼苗抜き作業を、暑い7月後半から8月は休み、定期的に行っている。保全されているヨシ原にオオヨシキリが縄張りを構え、在来生息種のイシガメも発見された。
(奥多摩「多摩の鳥」NO.219,P26)

・サンカノゴイ
 2/28、あきる野市の多摩川でサンカノゴイが確認、撮影された。奥多摩支部フィールド内で初記録となる。
(奥多摩「多摩の鳥」NO.219,P28)

・カイツブリ 
 カイツブリの巣は周囲からまる見えで、上空からの外敵に無防備に見える。しかし、親鳥が巣を離れる時は必ず巣材をかき集め、卵を隠し、巣に戻る時はそれを取り除く。孵化した雛の体色は巣材が保護色である。3/26:抱卵、4/1:卵4個、4/15:雛2、卵2、4/16:雛3、卵1、4/17:雛4となった。孵化した雛は羽毛が生え、眼を開けており、水面に落ちても小亀のように巣に這い上がり、親の腹の下や背中に乗る。親は30〜60分で餌取りで交代し、孵化後10日過ぎると巣は利用されなくなる。大きなカメが雛を狙う事もあり、カルガモを親が水面を走るように猛ダッシュで追い払う。
(奥多摩「多摩の鳥」NO.219,P31)

●2014/4 奈良
・2014ガン・カモ調査
 1/4〜18、奈良県内120箇所で調査した。ハクチョウ・ガン類は0、カモ類総計18,494羽で内訳はコガモ7,219、マガモ4,066、カルガモ2,043、オシドリ1,556.、ヒドリガモ1,438、ハシビロガモ931、キンクロハジロ417、ホシハジロ267、オナガガモ255、ヨシガモ152、オカヨシガモ67、ミコアイサ48、トモエガモ17等。
(奈良「いかる」NO.145,P6〜8)

・繁殖期の奈良公園のセキレイ3種
 奈良公園定例探鳥会での繁殖期の記録では、セグロセキレイは20年前、毎回記録されていたが、最近は8割まで低下している。ハクセキレイは数%が現在は93%も見られ、キセキレイは50%程度が2004年以降、全く観察されない。ハクセキレイの繁殖が激増し、キセキレイは繁殖しなくなった。乾燥した環境で生息するハクセキレイ、湿った環境の苔を利用するキセキレイ、奈良公園の乾燥化と関連している?
(奈良「いかる」NO.145,P17)

●2014/7 奈良
・2014春のタカの渡り
 3/28〜4/13、五條市で観察した。その間、サシバの渡り総計601(ピークは4/7の106)、ノスリ23、オオタカ8、ハイタカ6、ミサゴ2であった。
(奈良「いかる」NO.146,P16)

・繁殖期の平城宮跡のヒクイナとバン
 ヒクイナの声は恋人が戸を叩く音に関連され、和歌で詠まれている。バンは田を見守り番をするように見えるとして名がついている。平城宮跡探鳥会での繁殖期の記録ではバンは20年前、65%の確率で見られたのが、最近は15%に減り、卵をミシシッピィアカミミガメに盗まれているのが一因かも。ヒクイナは殆ど見られなかったのが、10年程前から10%の確率で見られる。ネオニコチノイド系農薬が散布されていない平城宮跡へ逃避の可能性がある。
(奈良「いかる」NO.146,P17)

●2014/5 佐賀県
・鳥獣被害対策で新サービス (4/21 長崎新聞)
 鷹匠がタカを使い、カラスやハトを追い払うサービスがある。これにより神戸市の高層マンションではハトの被害が大幅に減った。農作物被害対策でイノシシ等が罠にかかると、メールで通知するサービスもある。捕獲したシカの肉を使ったレストラン、その皮を使った皮革産業も出てきている。現状は駆除した獣の5%がこれらに利用されている。
(佐賀県「野鳥さが」NO.194,P13)

・有明海の干潟をラムサール登録へ(5/16 佐賀新聞)
 5/14、佐賀市で東与賀町域の有明海の干潟をラムサール条約への登録を考えるシンポジウムが開催された。佐賀市は2015年の登録を目指す。シギ・チドリの渡来数日本一であるが、登録には国の特別鳥獣保護地区指定が要件で、海苔や農産物への野鳥の食害が農漁業者から根強い課題とされ、市は害鳥駆除は可能で、登録で有明海の再生につながるとしている。
(佐賀県「野鳥さが」NO.194,P14)

●2014/6 長崎県
・生月島の春の小鳥類渡り
 平戸市の生月島は九州本土の北西端に位置し、多くの渡り鳥が見られる。1992年より同島で標識調査をしており、観察は190種になる。2010/3/27〜5/30、51種、1,774羽が放鳥された。内訳はメジロ466(26%)、ヒヨドリ371(21%)、センダイムシクイ283(16%)、シロハラ157(9%)、エゾムシクイ75(4%)等であった。ここでの春の渡りはヒヨドリ:4/M〜5/E、コルリ:4/E〜5/B、シロハラ:3/B〜5/B、エゾムシクイ、センダイムシクイ、キビタキ:4/M〜5/M、オオルリ:4/M〜5/B、メジロ:3/E〜5/E、メボソムシクイ:5/B〜5/Mであった。
(長崎県「つばさ」NO.318,P15)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.718

●2014/7 道北
・オオワシ・オジロワシ一斉調査
・ギンムクドリ
●2014/8 埼玉
・残念!今年のコアジサシ
・東京五輪カヌースラローム競技場計画変更に朗報
●2014/7 静岡
・謎のウスバキトンボ
・南アルプスライチョウ調査
●2014/8-9 京都
・エトロフウミスズメ
・ニュウナイスズメ
・近紫外光 (inorgsp)
●2014/7-8 広島県
・2014春のシギ・チドリ渡り調査
●2014/8 北九州
・風力発電が野鳥に与える影響
●2014/7 佐賀県
・支部発足20周年記念 安西英明さんの講演
・カササギバッチ

●2014/7 道北
・オオワシ・オジロワシ一斉調査
 2/23、道北地方15箇所を調査した。総計185羽で内訳はオオワシ73(成50、幼・亜23)、オジロワシ109(成83、幼・亜26)、識別不明3。最も数が多かったのは礼文島でオオワシ15(14、1)、オジロワシ25(21、4)、総計40であった。
(道北「オロロン」Vol.38 No.1,P6)

・ギンムクドリ
 4/7、稚内市で、4/15、焼尻島でギンムクドリが撮影された。2012/2にも稚内市で記録があり、稚内地区初記録のようである。
(道北「オロロン」Vol.38 No.1,P10〜11)

●2014/8 埼玉
・残念!今年のコアジサシ
 さいたま市西区の荒川堤防上で昨年はコアジサシ10巣程巣立ったが、今年は河川事務所が予定していた工事を6月から8月にずらし、支部でも許可を得て注意の貼り紙を出した。7羽が抱卵しているような姿勢で見られたが、6/10頃には殆ど見られなくなった。コアジサシは何故、人が通る場所に営巣しようとするのか。
(埼玉「しらこばと」NO.364,P9)

・東京五輪カヌースラローム競技場計画変更に朗報
 桝添東京都知事は同会場予定地を葛西臨海公園から近くの都有地に変更する方針を明らかにした。6/27、IOC調整委員長は都の方針について「国際競技団体の承認が必要」との条件付きで理解を示した。同委員長は会場変更を4月、自ら進言していた事を明らかにした。野鳥の会東京を中心にした当会会員の運動が成果を実らせつつある。
(埼玉「しらこばと」NO.364,P12)

●2014/7 静岡
・謎のウスバキトンボ
 ウスバキトンボは熱帯、亜熱帯に住んでいて、日本には春、海を渡って来る。成長が早く、西日本では7月には第2世代が羽化し、8月に数が増え、「盆トンボ」、「精霊トンボ」と呼ばれる。水辺とは縁がない所にも集団で飛んでくる。第3、第4と世代交代し、カムチャッカまで辿り着く。寒さに弱いため、日本では卵まで全て死に果てる。
(静岡(「野鳥だより」NO.416,P1)

・南アルプスライチョウ調査
 ライチョウ分布南限地区で4回、生息調査した。上河内岳で6縄張り、茶臼岳周辺で3〜4縄張り、仁田岳で1縄張りと推定される。確認縄張り数は昨年と同じで、最南限のイガルガ岳でライチョウの羽、糞、砂浴び場等の生息痕跡が4年続けて確認された。
(静岡(「野鳥だより」NO.416,P4)

●2014/8-9 京都
・エトロフウミスズメ
 愛知県西尾市の古書博物館にある江戸時代の鳥類図鑑「禽品」に1852年4月、京都でカラスに追われ、見慣れぬ鳥が捕獲され、異鳥の名でスケッチが残っている。一見エトロフウミスズメにそっくりであるが、生息地から見て確信が無かった。名古屋大学の塩村耕教授が詳細にチェックし、エトロフウミスズメと断定したと、4/28の京都新聞に載った。今まで府内での確認記録はない。質の高い観察による過去の記録を受け止める大切さがある。
(京都「そんぐぽすと」NO.189,P14)

・ニュウナイスズメ
 平安時代、左遷され、現地で恨みを抱いたまま死去した貴族、藤原実方がスズメになって若い時、学業に精を出していた宮中に舞い戻り、飯を突いていたとある。宮中に入る(入内)スズメであるので、ニュウナイスズメとあり、その語源にもなっている。
(京都「そんぐぽすと」NO.189,P17)

・近紫外光 (inorgsp)
 太陽光は可視光(波長400-800nm)、紫外光(200-400nm)、赤外光(800nm以上)よりなり、大気のオゾンで300nmより波長が短い紫外光は吸収され、地上には届かない。鳥は近紫外光(300-400nm)も感じている。羽毛の近紫外領域での反射が大きい♂は健康状態が良いため、♀を惹きつけるとされる。マーキングで使う尿や糞は紫外線をよく反射するため、餌を探す時に有利とされる。
(京都「そんぐぽすと」NO.189,P18)

●2014/7-8 広島県
・2014春のシギ・チドリ渡り調査
 4/29、広島県内10箇所で調査した。20種、1,022羽を記録、内訳はハマシギ434、チュウシャクシギ279、キアシシギ92、ケリ79、イソシギ29、ソリハシシギ25、シロチドリ17、タシギ16、コチドリ14、ダイゼン12等。
(広島県「森の新聞」NO.193,P8)

●2014/8 北九州
・風力発電が野鳥に与える影響
 北九州市内では既に響灘埋立海岸線に10基の風車が立っており、今後の計画では当会と事業者で協議を行っている。窓ガラス等に衝突するバードストライクは膨大な数になり、風車での衝突死は野鳥の生態に影響する程でないとの説もあるが、対策は怠ってはならない。羽根の向こう側が止まって透けて見える「モーションスミア現象」は鳥類では起こり易く、特にタカ類は上空から獲物を見ると、風車が回っている認識が無くなり、急降下し羽根に衝突する。風力発電所付近では野鳥の餌場が無くなっている。逆に、緑化が裏目になり、虫が増え、小鳥が集まり、それを狙う猛禽類が風車に近づく結果になる。野鳥の渡りコース上の風車はそのコースの変更を余儀なくしている(宗谷岬、愛媛県佐田岬半島、長崎県五島等)。「開発か保護か」「人か鳥か」の二者択一ではない「野生生物との共生」で、野鳥が良く利用する場所に風車を設置しないのが最善策である。
(北九州「北九州野鳥」NO.338,P9〜10)

●2014/7 佐賀県
・支部発足20周年記念 安西英明さんの講演
 6/21、本部主席研究員から色々話を聞いた。「鳥類、哺乳類、被子植物、キノコ類」は恐竜以降に現れた。キノコは生産者、消費者、分解者の視点からは分会者としての新しい生物である。甲虫でもチョウ、ガ、ハエ等の完全変態するものは恐竜以降に出てきたようである。鳥類は一般に腸内細菌を持たないが、ライチョウは植物のセルロースを分解する菌を持つ。鳥類の目は瞬膜を持つが、ヤモリは無いため舌で目を舐める。
(佐賀県「野鳥さが」NO.195,P5〜6)

・カササギバッチ
 支部設立20周年記念で、佐賀県の県鳥、カササギのバッチ、販売中。1個500円。
(佐賀県「野鳥さが」NO.195,P24)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.719

●2014/7 十勝
・十勝沖海鳥・海獣調査 2014年春
・北海道東部のカンムリウミスズメの観察記録
・日高山系の鳥類
●2012/8 東京
・葛西臨海公園オリンピック問題解決に向けて
・葛西の自然を守ろう!
・JR中央線・各駅停車ツバメの巣調査中間報告
・オオタカの「国内希少野生動植物からの指定解除」・  3
●2014/8 神奈川
・鳥と花との複雑な関係
・色の揃った鳥の名前
●2014/9 神奈川
・多摩川河口干潟の保全について
・真の鳥、偽の鳥、鳥の名前

●2014/7 十勝
・十勝沖海鳥・海獣調査 2014年春
 5/25、ハシボソミズナギドリは最大でも50羽程度の群で、昨年5月の3万5千羽とは大違い。春の十勝沖は濃密な索餌群は見られず、ひたすら移動群で通過時の偶然に左右される。アホウドリ類はコアホウドリのみ確認。カンムリウミスズメは日本近海では暖流域で繁殖するが、今回5月に北海道近海で生殖羽の個体を見る。6/21、アホウドリ複数羽をマンボウが出す泡のようなものの中に見る。アホウドリは本調査では2011/11以来で、霧多布、羅臼等道東で増えている。
(十勝「十勝野鳥だより」NO.185,P14〜16)

・北海道東部のカンムリウミスズメの観察記録
 カンムリウミスズメは世界的には日本と韓国の暖海で繁殖し、総個体数も5千〜1万と少なく、天然記念物、環境省の絶滅危惧U類、国際自然保護連合(IUCN)の危急種になっている。瀬戸内海で非繁殖期に過す群がいる。北海道の太平洋上では7〜10月、数羽の群で見られ、その後再び南下している。この洋上調査結果は2014年のStrixs30 P25-33に掲載されている。
(十勝「十勝野鳥だより」NO.185,P17〜18)

・日高山系の鳥類
 山脈の東西での印象は日高側(西)はヤマガラ、メジロ、イカル、クロツグミ、アオバズク等の温暖系が多く、十勝側(東)はエゾムシクイ、カワアイサ、オジロワシ、シメ等の北方的要素が強い。ここではツツドリがセンダイムシクイに托卵している。日本三鳴鳥のオオルリ、ウグイス、コマドリは5〜6月、囀りを楽しめる。猛禽類もクマタカ、オジロワシ、オオタカ、ノスリ、ハイタカ、ツミ等。イヌワシ、フクロウは観察が十分には行われていない。シノリガモは非繁殖期は海や磯におり、繁殖は山地の渓流で行う。同様の形態はマダラウミスズメにもあり、海上では観察されるが、未だ日高山系での記録は無い。
(十勝「十勝野鳥だより」NO.185,P19〜21)

●2012/8 東京
・葛西臨海公園オリンピック問題解決に向けて
 6月中旬、都知事は同地のオリンピック・カヌースラローム競技場建設計画の見直しを表明した。同地での毎月の支部の探鳥会での出現種平均53種、参加者平均60人は支部内第一位である。地元では子供向けに昆虫観察会も行われ、都知事は「公園の成り立ち歴史と自然環境に配慮」の表現で長年の関係者の努力に言及している。IOC委員は代替地を2、3箇月で決定要請しており、支部は新たな環境破壊が起きぬよう見届けていく。「スポーツ」、「自然」とも文化で共に発展するのが望ましい。
(東京「ユリカモメ」NO.706,P3)

・葛西の自然を守ろう!
 シオカラトンボは雌が水面に卵をばら撒くのを、雄が見守る。ギンヤンマは両者連結し、ガマ等の水草の茎に卵を産みつけるのは大型トンボとしては珍しい。臨海公園の鳥類園ではボランティアが池を掘っている。池には多くの生き物が集まり水鳥が住むようになる。カワセミの繁殖期は作業休みであるが、カワセミの繁殖環境も作っている。
(東京「ユリカモメ」NO.706,P10)

・JR中央線・各駅停車ツバメの巣調査中間報告
 改札口から300mの範囲を調査している。市ヶ谷駅周辺で30年間営巣している例もあり、数箇所見つかっている。日野市内では日野駅周辺で12箇所で、豊田駅周辺で9箇所で巣を確認。「日野の自然を守る会」が協力し、「日野市のツバメマップ」を作り始めた。
(東京「ユリカモメ」NO.706,P16)

・オオタカの「国内希少野生動植物からの指定解除」・3
 3月に開催された「東京オオタカ・シンポジウム」の討議内容が下記のHPにアップされた。日本野鳥の会は環境省の方針が固まる今秋に公開論議の場を設ける予定である。今春と言われていた再度の環境省へのパブリックコメント提出は今秋予定となっている。
http://www.wbsj.org/activity/conservation/endangered-species/ag-hog/goshawk-symposium-report/
(東京「ユリカモメ」NO.706,P17)

●2014/8 神奈川
・鳥と花との複雑な関係
 「神奈川県鳥類目録」のデータを分析した。花の採食記録は約800件(野鳥24種、植物約60種)あった。野鳥はメジロ、ヒヨドリ、ウソ、スズメが多く、植物はヤブツバキ、サクラ類、ウメが多い。「吸蜜」では両者相利関係にあり、「花食」では両者は敵対的関係にある。メジロは花粉の送粉者で、ウソ、スズメは花の捕食者、ヒヨドリは中間に位置する。相利関係での観察記録の方が多いが鳥、植物とも種数は少ない。既存の研究では殆どが1つの相互作用に着目したものが多く、
今回、異なるタイプの相互作用ネットワークが絡み合う様子が分析できたのは大きな成果である。
(神奈川「はばたき」NO.507,P2〜4)

・色の揃った鳥の名前
 鳥の名前は通常(形容語+部位+総称)が多い。この形容語に赤、青、黄があればアカアシシギ・・・となる。ヒタキ類には黄、瑠璃、紺、緑青、鮫等多くの色がある。ハト類にも青、金、紅、サギ類には蒼、黒、紫、白黒のコントラストが美しいアジサシ類には、白、黒、灰色、紅、ケラ類、ショウビン類には赤、青、セキレイには白、黄、黒がある。カツオドリ類ではアオツラ〜、アカアシ〜、シロガシラ〜の青、赤、白がある。
(神奈川「はばたき」NO.507,P5)

●2014/9 神奈川
・多摩川河口干潟の保全について
 菅官房長官が羽田連絡道路を2020年までに使用開始と発言した(5月下旬、神奈川新聞)。支部等は2006年より6回、要望書やパブリックコメントで多摩川河口の保全を神奈川県等へ訴えてきた。2008年、国土交通省が設置した京浜臨海部基盤施設検討会の検討結果は公表されていない。7/9、支部は「羽田連絡道路橋梁案」に反対する要望書を国土交通大臣、神奈川県知事、川崎市長へ提出した。
(神奈川「はばたき」NO.508,P2)

・真の鳥、偽の鳥、鳥の名前
 「真(マ)」のついた鳥名にマガモ、マガン、マナヅル、マヒワ等がある。「本」が付くものにホンケワタガモ、ホンセイインコ等がある。英名ではtrueがよく出てくる。偽がつく鳥名は日本には無いが、外国にはニセタイヨウチョウ、ニセメンフクロウ等がある。外国産では語尾に「モドキ」が付く種が多数いる。日本にいない鳥の命名で苦策としてモドキを付けたようである。アジサシ〜、ウズラ〜、カラス〜、キクイタダキ〜、キバシリ〜、クイナ〜、サザイ〜、シトド〜、スズメ〜、ツグミ〜、ツル〜、ノガン〜、ヒガラ〜、ヒタキ〜、ヒバリ〜、メジロ〜、ムクドリ〜、モズ〜、ヤマガラ〜、レンジャク〜と様々ある。
(神奈川「はばたき」NO.508,P6)

○支部報 保護・調査記事関連トピックス

NO.720

●2014/8 千葉県
・オオセッカ減っています
・餌不足?都心のツバメ (6/22 読売新聞)
・コアジサシ子育て団地 (6/10 朝日新聞)
●2014/8 石川
・動物園で行うイヌワシの保全ガイド
●2014/3 岐阜
・2014年ガンカモ科鳥類生息調査
●2014/4 岐阜
・リニア新幹線「環境影響評価書」に対する意見
・岐阜市の伊自良川のオオタカ姿消す
・キマユムシクイ
●2014/8 徳島県
・メリケンキアシシギ
・鳥の巣をつくろう
●2014/8 福岡
・タマシギの営巣
・メボソムシクイ近縁種の囀り
●2014/7 長崎県
・平戸市生月島の春の渡り

●2014/8 千葉県
・オオセッカ減っています
 7/6、利根川河川敷で繁殖するオオセッカの総数をカウントした。オオセッカの囀り雄個体数は過去500羽を超えていたが、昨年は316羽、今年は236羽と減少している。
(千葉県「ほおじろ」NO.400,P2)

・餌不足?都心のツバメ (6/22 読売新聞)
 野鳥の会は昨年5〜9月、HP上で呼び掛けたツバメの雛の数の調査、関東と山梨県での327箇所の調査結果をまとめた。都心部(81箇所)では1巣当り巣立ち雛平均3.5羽、都市近郊(196箇所)は3.9羽、都市郊外(50箇所)は4.4羽と都会になる程、巣だち雛数は少ない。都会でも近くに林や公園があると数は増えたと言う。
(千葉県「ほおじろ」NO.400,P12)

・コアジサシ子育て団地 (6/10 朝日新聞)
 東京都大田区にある都の下水処理施設、森ヶ崎水再生センターの屋上人工営巣地で今年、約700羽(昨年の7倍)のコアジサシが飛来した。調査をしている保護団体「リトルターン・プロジェクト」は過去最高の1000羽を超える雛が見れると期待している。同人工営巣地は2001年から整備され、約6haの広さがある。「リトルターン・プロジェクト」のブログには「森ヶ崎屋上では1,000羽を超えるヒナが誕生したと考えていますが、その半分はチョウゲンボウにより捕食されたと推定しています」とある(森)。
(千葉県「ほおじろ」NO.400,P12)

●2014/8 石川
・動物園で行うイヌワシの保全ガイド
 秋田市大森山動物園では40年も前からイヌワシを飼育している。イヌワシは繁殖期には縄張り意識が強く、11月以降は若鳥は別室で飼われる。いしかわ動物園ではこの様な個体を使い、ショーではなく、来園者のためのイヌワシ保全ガイドを始めた。動物に何か芸をさせるには、体重を2割以上落とす飢餓状態が必要であるが、環境省から教育的ガイドの理解を得てトレーニングをやり、4月からイヌワシを近くで見せている。このようなガイドは邪道かもしれないが、この体験で希少種の保全や生態系の保全活動を知って頂きたい。会員の皆さまには娯楽的なショーに成り下がらないよう監視をして頂きたい。
(石川「石川の野鳥」NO.177,P2〜3)

●2014/3 岐阜
・2014年ガンカモ科鳥類生息調査
 1/11〜13、岐阜県下93箇所で調査した。カモ類は18種、21,056羽で内訳は、カルガモ4,939、コガモ4,827、マガモ3,627、ヒドリガも2,850、キンクロハジロ1,637、オカヨシガモ845、オシドリ564、カワアイサ564、ホシハジロ427、ヨシガモ367、ハシビロガモ230、ミコアイサ77、オナガガモ73等。ツクシガモ1が8年ぶりに木曽川で確認された。
(岐阜「濃飛の野鳥」NO.557,P3)

●2014/4 岐阜
・リニア新幹線「環境影響評価書」に対する意見
 JRの見解には「繁殖環境への影響は特別に大きいものではない」「消失する環境に類似した環境に代替巣を設置する」「徐々に工事に伴う騒音に慣れさせる」の言葉が並んでいる。これは住民に対しても同じような事を言っている気がする。JRの見解の甘さ(はほっておけない。
(岐阜「濃飛の野鳥」NO.558,P2)

・岐阜市の伊自良川のオオタカ姿消す
 長良川の支流伊自良川で毎年2、3羽のオオタカが越冬していたが、護岸工事や樹木伐採の公共事業の影響で姿を消した。3/17、支部は国土交通省中部地方整備局に河川の自然環境に関する要望書を提出した。多方面から多種多様な工事を同時に行う事でそこに生息する野鳥の生活を脅かすのは明白である。
(岐阜「濃飛の野鳥」NO.558,P3)

・キマユムシクイ
 2/23、海津市でキマユムシクイが撮影された。旅鳥として日本海側の島で観察例が多いが、西日本では稀に越冬する。岐阜県では2005/12の岐阜市での記録に次ぐ2例目の観察となる。
(岐阜「濃飛の野鳥」NO.558,P8)

●2014/8 徳島県
・メリケンキアシシギ
 清棲幸保氏(1969年)によるとキアシシギの翼長は155〜171mm、メリケンキアシシギは178〜182mmとある。これに基づき、徳島県でのメリケンキアシシギの初記録は今年の5月の阿南市と考えられる。
(徳島県「野鳥徳島」NO.431,P6〜7)

・鳥の巣をつくろう
 徳島中央公園で野外彫刻展が開催された。特別企画で子供のワークショップ「鳥の巣をつくろう」で流木を使って、鳥が巣を架ける構造物を作った。
(徳島県「野鳥徳島」NO.431,P8)

●2014/8 福岡
・タマシギの営巣
 5/2、福津市の水はり前の田圃でタマシギの番を初認。5/15、田植後の田圃に番。6/9、タマシギ♂と卵2個以上確認。6/11、卵3個以上、♂が抱卵。6/13、巣が壊れ、♂も卵も見られず。6/23、♂♀を見る。近くで雛を育てているケリは人、犬、カルガモ、バンが接近すると、威嚇行動をしたが、タマシギには反応しなかった。
(福岡「野鳥だよりふくおか」NO.418,P10)

・メボソムシクイ近縁種の囀り
 メボソムシクイ3亜種は鳥類目録第7版で3つの独立種に分かれている。メボソムシクイの声は「ゼニトリゼニトリ」と聞きなしされる四拍子、オオムシクイは「ジジロジジロ」と三拍子が基本である。実はメボソムシクイには一部の繁殖地で三拍子で鳴く個体群がいる。「ゼニトリ」のニが抜けた形で、オオムシクイの声と誤認しそうであるが、オオムシクイより周波数帯域が低く、三音目は二音目と同じ周波数帯である(オオムシクイは三音目が下がる)。「ゼゼニトリ」と五拍子で鳴くメボソムシクイも確認している。もう1つのコムシクイは「ジジジジジ」 と連続音となる。
(福岡「野鳥だよりふくおか」NO.418,P11〜12)

●2014/7 長崎県
・平戸市生月島の春の渡り
 GW期間中、平戸市の生月島で標識調査した。期間中7日間で新放鳥した鳥は167羽で、内訳はセンダイムシクイ83、エゾムシクイ21、コサメビタキ17、これらは例年並み、メジロ12、.ヒヨドリ1、これらは例年よりかなり少なかった。
(長崎県「つばさ」NO.319,P10)
(自然保護室・野鳥の会・神奈川/森要)


◆国際鳥類学会議(IOC2014)の報告と御礼

■国際鳥類学会議(IOC2014)の報告と御礼■

 アジアで2度目となる国際鳥類学会議(IOC2014)が、63か国1115人の参加者を得て無事に終了しました。東京の立教大学を会場に、8月18〜24日にかけて(後半からは日本鳥学会大会と重複)開催され、さらにエクスカーションが25日まで続きました。当会は、後援団体としての役割のほかに、理事長である私がナショナルコミッティーとして参画したり、当会の関係者3名が実行委員として加わり、大会運営に協力しました。大会の様子等については野鳥誌11月号で報告する予定ですが、ここでは連携団体のみなさんにご協力をいただいた、エクスカーションについて報告いたします。
 会議の中日である22日開催された東京近郊におけるエクスカーションでは、10コースが設定され多くの連携団体のみな様にご協力いただきました。世界中の鳥類学者が対象であったため、ウェブ上で告知し申し込みを受け付けたところ、富士山コースが特に人気があり、このコースだけで200名を超えてしまいました。そのため、バスや乗員、ガイド役等の工面をし、富士山周辺を巡る5コースを、富士山麓支部のご協力も得て新たに設定しました。
 さえずりが止み、換羽期を迎えた野鳥たちは、見るにも聞くにも難しい中、世界各地からいらっしゃったみなさんに、英語で対応せねばなりません(国際会議なので公用語は英語)。ガイド1人では大変なので、サブガイドなど複数の体制で臨むこととし、申し込みが少ないコースは中止することにしました。
 高尾山コースは、日本野鳥の会東京のご協力のもとに実施しました。『高尾山野鳥観察史-75年の記録と思い出』を出版された清水徹男さんが、英文資料を作成して下さいました。当日は高尾山探鳥会の元リーダー役、現リーダー役、さらに翻訳ボランティア・グループ「アジアクラブ」の方々など、多くのみなさんにご協力いただきました。暑い最中でしたが、アオゲラ、セグロセキレイ、ヤマガラなどの日本固有種や、日本周辺にしかいない鳥たちを観察することができ、参加者一同大喜びでした。また、水田でシギ・チドリ類の観察をメインに考えた霞ヶ浦コースでは日本野鳥の会茨城県に、奥日光コースでは実行委員の金井裕参与と松田道生理事にガイド役を担当していただきました。
 大会終了後の24日から予定されていた遠出のエクスカーションは、当初北海道や三宅島以外に、沖縄・奄美、佐渡、青森、ロシア、台湾などを含め9コースを企画しました。企画段階では、コース選定やガイド役などに関して、青森県支部、秋田県支部、佐渡支部、やんばる支部などにご相談させていただきました。しかし、残念ながら思いのほか申し込み者が少なく、北海道東部と三宅島を巡る2コース以外は催行人員に達しなかったため、やむなく断念せざるを得ませんでした。なお、開催した2コースについては、当会の現地レンジャーがガイド役を担当し、いずれも好評のうちに終えることができました。
 また、多くのコースでガイドやサブガイド、ボランティアのみなさんなど、多くの人たちが関わることになったため、関係者全員に事前に手引きを作成して配布しました。その中の安全管理については、私が本通信で連載した『探鳥会のリスクマネジメント講座』を活用してもらいました。
 大会実行委員長の立教大学教授で当会の評議員でもある上田恵介さんから、実行委員や関係者に、次のようなねぎらいの言葉が述べられています。
『今回の大会はとても大きく成功した大会だったと思います。それは参加者の満足度が非常に高かったというのが一番の印象です。これまでいくつもの国際会議に参加してきて、いろんな不便なことや対応のまずさ、厄介ごとが必ずあって、それが大会の評価を下げていたと思います。今回の日本での大会も、私たちから見ればまだまだのところもありますが、わたしが話した人たちは、一様に満足と賞賛の言葉を口にしてくれました。日本大会はよかった、これからも評価されて行くことでしょう』(抜粋)
 国際鳥類学会議(IOC2014)の成功、特に各地で行われたエクスカーションを成功裏に終えることができたことは、連携団体のみなさまのお力添えがあったからこそと思います。この場を借りて、厚く御礼申し上げます。

国際鳥類学会議の様子
国際鳥類学会議の様子
(公益財団法人日本野鳥の会理事長/佐藤仁志)

事務局からのお知らせなど

■自然保護室より

■シンポジウム「オオタカ −希少種解除の課題−」■

シンポジウム「オオタカ −希少種解除の課題−」

 オオタカが過去2回のレッドリスト改訂で「準絶滅危惧」であったことを踏まえ、環境省はオオタカを種の保存法の「国内希少野生動植物種」の指定を解除することについて検討を開始しました。
 しかし、本当に解除可能なほど十分な個体数がいるのか、また解除された場合、開発などの際に里地・里山の上位種(指標種)としてオオタカがいることによって守られてきた自然環境の保全はどうなるのか、密猟や違法飼育が助長されることはないのか、等々多くの課題が浮き彫りになってきました。
 そこで今回、保護関係者や行政から過去の調査および最新のアンケート結果に基づくオオタカの生息状況の変遷と現状、パブリックコメントから見えてきた課題などについて話題提供していただき、オオタカの希少種解除にあたっての課題と対応について議論するシンポジウムを開催します。

◆日時:10月4日(土) 13:00〜17:00
     (受付開始12:30)
◆会場:立教大学(池袋キャンパス・東京都豊島区)11号館地下AB01教室
 ●池袋キャンパスへのアクセス
  (http://www.rikkyo.ac.jp/access/ikebukuro/direction/
 ●池袋キャンパスマップ
  (http://www.rikkyo.ac.jp/access/ikebukuro/_asset/pdf/img-campusmap_ike.pdf)
◆主催:日本野鳥の会・日本オオタカネットワーク
◆共催:環境省・立教大学
◆定員:500人
◆参加費:無料
 参加の申し込みは、
 日本野鳥の会自然保護室 [email protected] または、fax 03-5436-2635まで、お名前(読みがなも)、
 所属(あれば)をご記入ください。
 当日受付もしますが、資料の準備上、できるだけ事前申し込みにご協力をお願い致します。
◆プログラム
 開場・受付開始 12時30分
 開会        13時
 挨拶・趣旨説明 13時〜13時15分
 第1部 話題提供 13時15分〜14時45分
 1 オオタカの希少種解除の検討について
 (環境省自然環境局野生生物課希少種保全推進室長 安田直人)
 2 オオタカの生息状況の変遷と現状
 (環境省自然環境局野生生物課希少種保全推進室長補佐 徳田裕之)
 3 指定解除における課題
 (日本野鳥の会参与 金井 裕)
 第2部 .パネルディスカッションおよび討論
 15時00分〜17時
 1 違法な捕獲・飼育の現況と対処
 (日本野鳥の会自然保護室室長 葉山政治)
 2 生息地保全とアセスメント
 (自然保護協会保護研究部主任 辻村千尋・日本オオタカネットワーク副代表 今森達也)
 3 モニタリングと保全状況の評価システム
 (日本オオタカネットワーク代表 遠藤孝一)
 4 総合討論
 閉会挨拶 17時

◆この件に関するお問い合わせ先
 公益財団法人日本野鳥の会 自然保護室 葉山 tel.03-5436-2633 メール [email protected]
 (自然保護室/葉山政治)

■モニタリングサイト1000 (森林・草原)鳥類調査研修会のご案内■

環境省のモニタリングサイト1000(正式名称:重要生態系監視地域モニタリング推進事業)では、日本の代表的な生態系に、全国で合計1000か所程度のモニタリングサイトを設置し、100年間観測することをめざしています。そして、その結果から生態系の変化を早期に把握し、生物多様性保全のための施策に活かそうとするものです。

当会では多くの会員の方にご協力いただいて、森林・草原の陸生鳥類サイトの調査と取りまとめを担当しています。このような、大規模かつ長期的な調査にはみなさまの継続的なご協力が欠かせません。また、生態系の変化を知るためには、長期的に同一の手法で調査を実施する必要があります。そこで、調査手法の研修、これまでの成果報告、調査員の拡充と交流を目的とした研修会を開催します。

これまでの研修会は調査方法の説明を中心に行なってきましたが、今年度も、各地域でさまざまな調査活動をされている方の成果発表や情報交換を通して、参加者同士の交流を深めることを主な目的とします。
研修会は2日間にわたって開催し、1日目は事業紹介とこれまでの成果報告、参加者による事例発表、鳥類と植生の調査方法の説明についての室内講義を行ないます。2日目は野外実習で、鳥類と植生の調査を実際に体験していただきます。

調査が未経験の方からベテランの方までの受講を歓迎しています。また、本事業で用いる手法は、他の一般的な鳥類調査や自然環境調査の方法としても使えますので、ご自身で実施される調査にも役立てていただけます。みなさまのご参加お待ちしております。
参加を希望される方は、メールもしくはFAXでお申し込みください。

主催 (公財)日本野鳥の会、NPO法人バードリサーチ

会 場
(1) 2014年 10月4日(土)〜5日(日)
<福島県>
福島県青少年会館(福島県福島市)および福島市小鳥の森
(2) 2014年 11月1日(土)〜2日(日)
<愛知県>
名古屋工業大学(愛知県名古屋市)および名古屋市平和公園
(3) 2014年 12月13日(土)〜14日(日)
<東京>
(公財)日本野鳥の会事務所(東京都品川区)および国立科学博物館附属自然教育園
(4) 2014年 10月25日(土)〜26日(日)
<北海道>
酪農学園大学(北海道江別市)および野幌森林公園

内 容
1日目 午後から
室内講義:モニタリング1000の事業概要とこれまでの成果の紹介。
参加者による事例発表※と情報交換。講義終了後、懇親会。
※支部活動、個人の活動に関わらず、話題を提供いただける方を募集します。発表内容や方法については、お申し込みの際にご相談ください。
東京会場のみ内容が異なります。解析編ということで,調査地の周囲の環境やその変化を知るための,GISを使った手法を学びます。QGISというソフトウェアを使います。各自ご自身のコンピュータをご持参ください。
2日目 午前のみ
野外実習:鳥類のスポットセンサス法と簡易植生調査の説明と実習。

参加対象 調査に興味のある方(経験不問)
(会場により20〜40名まで。定員を超えた場合は参加できないことがあります。)
参加費 無料(ただし懇親会費は実費を徴収)
実習参加者には、当会が保険料を負担して探鳥会保険に加入していただきます。
お問い合わせ先 (公財)日本野鳥の会 モニタリングサイト1000事務局(担当:葉山政治・荒哲平)
〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23
丸和ビル
E-mail: [email protected] TEL: 03-5436-2633 FAX: 03-5436-2635

(自然保護室/荒哲平)

■普及室より

■新たな『フィールドガイド日本の野鳥』に向けて補改訂新版の取り組み■

<恐ろしい話し?>

 新版は秋の発行を目指していますので、すでに追記や修正はイラストも文章も終え、分布図も終えて、編集段階となりました。取り組んだメンバーは安西とともに増補改訂に携わった田仲謙介、叶内拓哉に渡部良樹が加わり、さらに小田谷嘉弥、亀谷辰朗、橋本宣弘、箕輪義隆の各氏にも修正箇所のご指摘、ご教示をいただきました。図版は増補版以後は谷口高司で、高野伸二を師と仰ぐ谷口さんだからこそ、高野さんと同じ絵の具を使って原画を損なわないように高野図版の微修正にも取り組むことができました。
 上記の方々とメールや電話で相談したり、議論したりして検討を続けてきましたが、ほとんど一人で図版も解説も担当された高野さんが、1982年の野鳥誌に『フィールドガイド日本の野鳥』の全図版を描き終えて書いた「ああ、おそろしい話」を読み返してみました。
 「ツグミの個体差をどこまで示せばよいか?」に始まり、自身の観察ではよくわからなかった眼の色や足の色をどう描いたらよいのか?など調べに調べて、悩みに悩んだ経緯が紹介されています。当時ほとんど知られていなかったサギ類の婚姻色については吉井正さんに、シギの幼鳥の羽衣ついては塩田猛さん(いずれも故人)に教えられたことなどにも触れられていました。どこまで裏話を明かしてよいものか?と気まずい思いもあるのですが、連携団体の皆様の情報も活用させていただいている図鑑でもあるので、高野さんに倣って正直に書かせていただきます。

<東アジアか?世界か?>

 鳥類の分布や習性などわかっていないことが多いし、地域や季節や年による違い、時代による変化もあることをご存知の皆様は、図鑑に100%はあり得ないことはご理解いただけるとは思います。でも、図鑑に関わる以上は、そのミッション・インポッシブルに挑まなくてはなりません。
 野鳥の分布は変化するし、新たな知見も加わるので、増補改訂時でもカワウやミヤマガラスの分布拡大に沿って分布図を修正しました。近年は世界地図で分布を示す図鑑も発行されており、『フィールドガイド日本の野鳥』もそうして欲しいというご希望もありました。現状の東アジアの地図でも、コゲラやヤマガラなど世界的に分布が狭いことは十分わかりますが、クマゲラやヤマゲラがヨーロッパにかけて広く分布していることやミユビゲラにいたっては北米までいることなどは、世界地図でないとわかりません。
 しかし、種ごとの分布を世界地図で示そうとすると、野外で持ち歩くサイズの図鑑では日本が小さくなって、識別に必要な情報を得にくくなってしまいます。また、高野図鑑の特徴として種の解説の前に科の解説があり、そこで科ごとの世界分布に触れられています。私自身、ミソサザイやホオジロの仲間がアメリカ大陸に多いことを知ったのも高野図鑑によってです。
 現状の東アジアの地図でさえ県以下の地域を示すのは大変で、ミコアイサやサンカノゴイの繁殖地などにピンクの点が記されていますが、私には虫眼鏡がないと確認できません。

<シジュウカラは五島列島にいる?>

 メジロやヒヨドリの分布図を見ると、初版の段階から佐渡島から小笠原諸島に至るまで主な島の分布までわかります(これを超えるものは、大東諸島まで示されている全国密猟対策連絡会発行の『ごまかせません!!メジロの国籍』にある分布図くらいではないでしょうか?)。一方でハシブトガラスやハシボソガラスの分布図には、佐渡、隠岐、五島列島などが示されていません。佐渡については佐渡支部が佐渡島鳥類目録まで発行しているのに、反映されていなかったのです。そこで、新版では観察頻度が高い種については主な島の分布を示すべく、昨年末から調べてきました。もちろん、日本鳥類目録改定第7版が元にはなるのですが、目録も100%ではありません。
 例えば、シジュウカラ。目録に準拠させて学名の種小名や英名の変更はもちろん、大陸のものと別種とされたので別種の分布範囲を削除する措置も施しました。島嶼部での生息については目録では五島列島に周年生息するように書かれています。が、五島列島でも島による違いもあるはずで、一番大きな福江島の状況を反映させようと、出口敏也さんに相談しました。私がデアゴステーニ発行『週間野鳥の世界』の観察地ガイドの監修をしていた頃、福江島を扱う際に、長崎県支部から紹介いただき現地の最新情報を確認すべくお世話になった方です。出口さんによるとシジュウカラは記録されたばかりで普通に見られる種ではないようなので、新版では佐渡や隠岐は周年生息を示す茶色を加えましたが、五島列島には加えませんでした。
 ついでながら島の分布を調べていて、日本で一番分布が広い鳥は何か?が気になってきました。ウグイスという人もいますが、北海道では秋冬に見られないので私はヒヨドリではないかと考えています。ただ季節を問わず、小さな島も含めるとしたら、イソヒヨドリも候補でしょう。今回、国後やエトロフも含めて調べた島々ではすべて見られるようですし、ヒヨドリが旅鳥として通過するだけの小さな島でも、イソヒヨドリなら繁殖している可能性があるからです。
(普及室/安西英明)

■訂正とお詫び■

 先日、お送りいたしました名簿に誤りがありましたので、下記の通りお詫びして訂正します。

■新入会員の方へ『ワイルドバード・カレンダー2015』をプレゼントします■

会員室会員グループの電話番号

正:03-5436-2630
誤:03-5435-2630

(普及室/江面康子)

総務室より

■支部名称等変更のお知らせ■

名称変更などがあった支部についてお知らせいたします。

【代表者等の交代】

●日本野鳥の会 白河支部
新支部長:戸邉 進
旧支部長:三森 繁

(総務室/鈴木美智子)

会員室より

■会員数■

 9月1日会員数36,748人(対前月-35)会員数は先月に比べ35人減少しました。
 8月の入会・退会者数の表をみますと、入会者数は退会者数より50人少なくなっています。会員の増減は入会者数と退会者数のほかに、会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活した人数によって決まります。8月の入会者数は134人で、前年同月の入会者103人に比31人増加しました。また、8月の退会者は184人で、前年同月の退会者170人に比べ14人増加しました。

表1. 8月の入会・退会者数

※会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活する方がいらっしゃるため、退会者数の年度累計は、実際の退会者数とずれた数字となります。このため、退会者数合計については年度末の集計後にお知らせいたします。

■都道府県および支部別会員数■
野鳥誌贈呈者数を除いた数を掲載します。

表2 都道府県別の会員数(9月1日現在)

備考:不明は転居先が不明の会員を示します。今月からは転居先不明の会員も会員数に含めています。

表2.支部別の会員数(9月1日現在)

備考:支部別の会員数の合計は、都道府県別の会員数の合計と異なります。
これは、本部型(青い鳥)会員や支部に所属されていない個人特別会員が支部別の会員数に含まれないためです。

(会員室/沖山展子)

■支部ネット担当より

 ようやくしのぎやすい季節となりましたが、いかがお過ごしですか。いつも支部ネット通信をご愛読いただき有難うございます。
 今号では、自然保護室より、シンポジウム「オオタカ −希少種解除の課題−」のお知らせを掲載しました。オオタカの「国内希少野生動植物種」の指定解除に興味をお持ちの方も多いと思います。保護関係者や行政から生息状況の変遷と現状を聞く貴重な機会ですので、是非ご参加ください。
 これからの季節、朝夕冷え込んでまいりますのでお身体にお気をつけください。

■支部ネット通信は支部の代表の方に電子メールでも配信をしています。電子メールでの配信を希望される支部の代表の方は下記メールアドレスまでお気軽にお申し込みください。

支部ネット通信 第126号
◆発行
公益財団法人日本野鳥の会 2014年9月24日
◆担当
総務室 総務グループ
奥田秋穂/植月智子/柴田英美
〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23
丸和ビル
TEL:03-5436-2620
FAX:03-5436-2635
E-mail:[email protected]