No.125 2014年8月号


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 新たな『フィールドガイド日本の野鳥』に向けて
 増補改訂新版の取り組み

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 コミュニケーションツールを目指して〜
 支部名称等変更のお知らせ
 訂正とお詫び
 会員数

支部の動き

■支部報保護・調査記事関連トピックス■

 本記事は日本野鳥の会へ送付されてきている各地の支部報/会報から抽出して作成し、調査・保護に関心がある野鳥の会の会員へ配信しております。本記事の一部又は全部を不特定多数が見る可能性があるところへ公開される場合は、各支部/各会の了承を事前に得て下さい。記事は筆者の意向に反しないように、取り扱いをお願いします。

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.713

●2014/6 埼玉
・2014年冬カモ科カウント調査(研究部)
●2014/6 神奈川
・多様な英名を有する鳥
●2014/6 滋賀
・タカの渡り調査2014(保護研究部)
・水鳥一斉調査2014
●2014/6-7 京都
・緑の指導員
・サバンナシトド
・ホトトギス
●2014/6 筑豊
・トケン類(Cuckoos)
・「フィールガイド日本の野鳥」増補改訂版(本部普及室 安西英明)
・好きな鳥(編集部)
●2014/6 熊本県
・アジアをつなぐクロツラヘラサギ

●2014/6 埼玉
・2014年冬カモ科カウント調査(研究部)
 1/11〜19、県内57箇所でカウントした。17種、13,025羽を記録した。内訳はコハクチョウ55、カルガモ2,897、コガモ2,718、マガモ2,585、ヒドリガモ1,638、オナガガモ876、キンクロハジロ522、オカヨシガモ136、ハイビロガモ100、カモ不明1,202(渡良瀬遊水地)、ホシハジロ82、ヨシガモ67、ミコアイサ61、ホオジロガモ43、トモエガモ23等。カワウは30箇所で627。
(埼玉「しらこばと」NO.362,P4〜5)

●2014/6 神奈川
・多様な英名を有する鳥
 鳥の英名は英語圏の俗称、愛称で、色々なものがある。豪州のLaughingKookaburra(ワライカワセミ)、Avibaseというサイトには面白い英名が載っている。Bushman's Clock(田舎者の掛時計)、Alarm Bird(目覚まし時計)、Ha Ha Duck(ハーハーいうカモ)、Woop Woop Pigeon(ウープウープと鳴く鳩)。東南アジア、豪州にいるRainbow Bee-eater(ハチクイ)には様々な英名がある。Kingfishuer、Gold Digger(金鉱夫)、Golden Swallow、Needlebeak(針状嘴)、Pintail(針の尾)、Raibow Bird(虹の鳥)等。
(神奈川「はばたき」NO.505,P5)

●2014/6 滋賀
・タカの渡り調査2014(保護研究部)
 春の渡り:3/28〜4/8、長浜市の大箕山で調査した。サシバ55、ノスリ85、他8、計148で未だ他県の主なルートとの連動が確認されていない。秋の渡り:昨年は総カウント数、1万を超えた。滋賀支部が発足し10年目の節目、「数える派」だけでなく、「見る派」、「撮る派」の参加を(9月上旬から東近江市の猪子山で予定)。
(滋賀「におのうみ」NO.37,P11)

・水鳥一斉調査2014
 琵琶湖内3地域(赤野井湾、湖北水鳥公園、高島)で11月、1月、3月、調査した。 カモ科総計は11月:13,655、1月:11,434、3月:4,717。内訳はホシハジロ7,893→570→462。琵琶湖では秋季にホシハジロの通過個体群が見られる。
ヒドリガモ1,497→757→197。カルガモ226→693→638。キンクロハジロ1,206→824→1,047。オオバンは12,373→
14,735→9,536。
(滋賀「におのうみ」NO.37,P12〜13)

●2014/6-7 京都
・緑の指導員
 当時、京都府の鳥獣保護員は猟友会からハンターが推薦されるのが習わしであったが、古参の会員が知事と面談した時、野鳥の会会員が採用されない理由を問いかけた結果、数日で府の担当者から支部へ鳥獣保護員推薦依頼書が届いた。現在、支部会員7名が活躍している。しかし、他府県より任命日が遅く、密猟が多い繁殖期の対応に戸惑う。また昨年から、京都市野生鳥獣保護センターの救護対象種から普通種が外され、支部で対応する事態になっている。
(京都「そんぐぽすと」NO.188,添付資料)

・サバンナシトド
 10/7、巨椋干拓地で、サバンナシトドが撮影された。京都府内では初記録と思われる。
(京都「そんぐぽすと」NO.188,P9)

・ホトトギス
 正岡子規が1898年に創刊した文芸誌「ホトトギス」は現在も刊行され、長寿命である。ホトトギスは西欧では生息しないため、カッコウと違いクラシック音楽に登場しない。日本では唱歌「夏は来ぬ」に登場し、山口素堂の名句「目には青葉山ほととぎす はつ鰹」は有名である。京都府の声での初認日は5月中旬で、2004/4/9が飛び抜けて早く、2011/5/8がそれに次ぎ、1983/6/17、1987/6/17、1993/6/10は渡来遅れとされる。
(京都「そんぐぽすと」NO.188,P15)

●2014/6 筑豊
・トケン類(Cuckoos)
 日本に渡って来るトケン類はツツドリ(4/M)が最も早く、カッコウ、ジュウイチ、最後にホトトギス(5/M)である。カッコウはユーラシア大陸に広く分布し、主な宿主はオオヨシキリ、コヨシキリ、モズ、ホオジロで、国内では赤色型のカッコウの確実な報告は無い。ツツドリの主な宿主はムシクイ類で、夜間は鳴かない。ジュウイチの主な宿主はコルリ、オオルリ、コマドリ、ルリビタキで、姿を見るのが難しく、夜間も良く鳴く。ホトトギスの宿主は殆どがウグイスで、それがいない伊豆諸島ではイイジマムシクイ、ウチヤマセンニュウ等に托卵する。カッコウ、ツツドリは直線的に飛ぶが、ホトトギスは浅く波状飛翔する。セグロカッコウは鳴声で識別可能で托卵相手は本来の生息地ではオウチュウ類であるが、日本での繁殖は確認されていない。春季、日本海側の島嶼で観察されていたが、近年は西日本の山地で見られる。オオジュウイチはヒマラヤから東南アジアに分布するが、近年、韓国、日本でも記録がある。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.436,P25〜27)

・「フィールガイド日本の野鳥」増補改訂版(本部普及室 安西英明)
 今年の6月以前に改訂版発行予定としていたが、「Checklist of Birds of World」のスズメ目の完成を待って予定する(6月中?)。2000年の日本鳥類目録改訂第6版、その後の情報を加味して2007年に同フィールドガイド増補改訂版が発行されているが、今回の鳥類目録第7版を受け、新版「フィールガイド日本の野鳥」に新たな分類変更や新しい考え方を盛り込む(支部ネット通信121号より)。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.436,P30)

・好きな鳥(編集部)
 Birder誌(文一総合出版)によると、読者が選ぶ好きな鳥ベスト10は、1.カワセミ、2.ヤマセミ、3.オオタカ、4.オオルリ、5.アカショウビン、6.ミサゴ、7.ルリビタキ、8.サンコウチョウ、9.クマタカ、10.キビタキ。別の会社が調査した一般人を対象としたアンケートでは、1.カワセミ、2.ヒヨドリ、3.スズメ・・・となっており、カワセミは根強い人気で、身近な鳥もよく見られている。カラスも22位にあり、童謡のイメージがある?好きになれない鳥として1.カラス、2.ドバト、3.ヒヨドリ、4.ムクドリ・・・シギチドリ類、カモメ類とあり、識別が難しいのが理由?見たい鳥は1.ヤイロチョウ、2.アカショウビン、3.シマフクロウ、4.サンコウチョウ、5.エトピリカ、6.ヤマセミとなっている。 古来人は強い関心を持ってホトトギスの声を待っていた。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.436,P40)

●2014/6 熊本県
・アジアをつなぐクロツラヘラサギ
 3/22〜24、八代市で国際環境交流イベント「アジアをつなぐクロツラヘラサギ」が開催された。60名を超す参加があり、八代市の歓迎挨拶から始まり、韓国からは2003年当時約100ペアが2013年には繁殖個体群が約640ペアに増加、台湾からは2014年の飛来状況、台南市地域の取組みが、香港からはマイポ湿地での保護管理、最近の飛来数減少が報告された。日本からは環境省からラムサール条約湿地、東アジア・豪州地域フライウェイパートナーシップネットワークへの登録、沖縄からは1970年代から飛来があり、2014年には36羽まで増えた、クロツラヘラサギネットワークからは主に九州での飛来状況変化が、九州大学大学院からは北朝鮮の状況報告があった。環境交流親子イベント、クロツラヘラサギ観察会も開かれた。
(熊本県「野鳥くまもと」NO.320,P11〜13)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.714

●2014/7 札幌
・タンチョウと石狩低地帯
●2014/6 郡山
・阿武隈高地北部の鳥類と原発事故
●2014/7 千葉県
・支部の活動(幹事会)
・自然を見る眼 
・オスプレイ影響?ノグチゲラ(5/16 Web版 琉球新報)
●2014/7 埼玉
・2014年春 シギ・チドリ類調査(研究部)
・わたらせ未来基金の記念講演会
●2014/6 福井県
・コハクチョウの越冬状況
●2014/7 岡山県
・ブッポウソウ・シンポジウム
●2014/6 山口県
・2014年春期シギ・チドリ類一斉調査(幹事)
●2014/7 筑後
・セグロセキレイ(研究部)
●2014/7 宮崎県
・コアジサシ人工浮島で産卵(5/23 宮崎日日新聞)
・阪神電鉄も協力してツバメの保護強化(6/7 読売新聞)

●2014/7 札幌
・タンチョウと石狩低地帯
 江戸時代の史料には蝦夷地に白鶴(ソデグロヅル)、蒼鶴(マナヅル)、黒鶴(ナベヅル)、丹頂(タンチョウ)が生息し、中でもタンチョウは石狩低地帯に多いとある。千歳の地名もこれに因んで付けられた。ツルは食材として利用され、最も美味なのはナベヅルでタンチョウは肉が硬く、食用は少ないとされる。タンチョウは飼い鳥として、特権階級に飼われた。明治27年頃、明治天皇に献納されたが、石狩低地帯のタンチョウは姿を消した。しかし、近年になって、苫小牧で番のタンチョウが見られている。
(札幌「カッコウ」NO.365,P11)

●2014/6 郡山
・阿武隈高地北部の鳥類と原発事故
 主に尾羽の放射能汚染の測定でウグイスの捕獲、標識調査をしている。放射線量は2012年は2011年の約1/5に低下した。2013年は汚染されたままの(換羽していない)羽毛の放射線量は2012年とほぼ同値であった。録音機の記録では阿武隈高地ではウグイスは3月中旬に渡来する。参考:NHKブックス1208「土壌汚染〜フクシマの放射性物質のゆくえ」。
(郡山「かっこう」NO.86,P2〜3)

●2014/7 千葉県
・支部の活動(幹事会)
 主な活動は1・自然愛好・保護思想の普及、2・鳥類生息環境の調査・研究、3・鳥類に関する保護である。1の探鳥会は年間100回以上実施、2の調査では、毎年ガンカモ類、シギ・チドリ類の一斉カウント、オオセッカの生息状況、NPO法人野鳥千葉と協力し、盤洲、三番瀬、銚子沖等で鳥類調査をしている。3では印旛沼のサンカノゴイ、利根川河川敷のオオセッカ、コジュリン、普通種のコサギ、オオヨシキリ、サシバ等、シギ・チドリ類の減少原因究明と保護、環境再生を目指す。
(千葉県「ほおじろ」NO.399,P2)

・自然を見る眼 
 地球上何処へ行っても、金太郎飴のように人の経済活動が環境を破壊している。原生自然をどのように破壊したのか「地球環境報告」(石弘之)が出版され、筆者はバーダー誌に「鳥たちの地球」を連載した。新しい農薬、ネオニコチノイドの毒性は従来のものより遥かに強い。EU内では厳しい規制があるが、我国では規制が緩い。ソーラパネルは自然エネルギー万歳の感があるが、緑被率低下で、本来、酸素を出す場所でパネルが太陽エネルギーの一部を電気に変換するが、大部分が熱で放出され、地球温暖化に加勢している。
(千葉県「ほおじろ」NO.399,P3〜6、11)

・オスプレイ影響?ノグチゲラ(5/16 Web版 琉球新報)
 5/14、国の天然記念物ノグチゲラが子育てする営巣木の上空をオスプレイが1時間ほど訓練飛行した。5/11に1羽が巣立っていたが、2羽目は当日、巣穴から顔を出さず、鳴き声も、親鳥の姿も無く、翌日になって巣立ちした。ヘリコプター着陸帯建設の森では3〜6月、ノグチゲラ営巣期のため、工事を中断しているがオスプレイも飛行中止すべき(やんばるの自然を歩む会)。
(千葉県「ほおじろ」NO.399,P13)

●2014/7 埼玉
・2014年春 シギ・チドリ類調査(研究部)
 4/29、さいたま市の大久保農地を調査した。コチドリ10、タシギ2、チュウシャクシギ1、計13で、昨年まで見られたムナグロ(昨年は211羽)が見られなかったのは1987年の調査以来、初めてである。
(埼玉「しらこばと」NO.363,P4)

・わたらせ未来基金の記念講演会
 6/8、古河市で同記念講演で「学ぼう都会の鳥の生態」、「調べよう渡良瀬遊水地の野鳥」(唐沢孝一氏)の話があった。栃木、群馬、埼玉支部が共催した。
(埼玉「しらこばと」NO.363,P12)

●2014/6 福井県
・コハクチョウの越冬状況
 2006年からの鯖江地区とその周辺でのコハクチョウの記録、最大羽数は2006:47、2007:40、2008:50、2009:85、2010:67、2011;106、2012:66、2013:133。初認は10/11〜10/22、終認は3/15〜4/4であった。冬水田んぼを長年続けると、水田の土壌が柔らかくなり過ぎ、農耕機を入れられなくなるので、今季冬水田んぼを止めた所では積雪が無くても、コハクチョウの記録数は少ない。
(福井県「つぐみ」NO.170,P15〜16)

●2014/7 岡山県
・ブッポウソウ・シンポジウム
 3/8、岡山大学で第2回同シンポが開催された。岡山県内の活動は吉備中央町では、2012/9、保護条例を制定し、全戸にブッポウソウのパンフレットを配布し、保護意識の高揚がはかられている。支部が県内に設置した巣箱は317個で、その利用率は7〜8割であった。多くの地区で、高齢化で巣箱の管理維持が危うくなっている。自然木の巣穴に営巣戻るように、4年前から丸太を樹木に設置しているが、未だ利用実績は無い。
(岡山県「野鳥おかやま」NO.203,P2〜3)

●2014/6 山口県
・2014年春期シギ・チドリ類一斉調査(幹事)
 4/29、山口県下20箇所で調査した。総計2,575羽で、内訳はチュウシャクシギ1,370、ハマシギ878、ダイゼン64、キアシシギ47、ソリハシシギ42、イソシギ30、メダイチドリ28、タシギ17、ムナグロ15、キョウジョシギ15、アオアシシギ15、コチドリ12、タカブシギ11、オバシギ9、オオソリハシシギ8等。
(山口県「やまぐち野鳥だより」NO.233,P7〜8)

●2014/7 筑後
・セグロセキレイ(研究部)
 セグロセキレイは英名でJapanese Wagtail、日本だけに生息とされている。最近、筑後地区でセグロセキレイは追われ?ハクセキレイが繁殖し、セグロセキレイは台湾、中国、朝鮮半島に移動し留鳥化しており、日本だけ生息の鳥とは言い言い難い。東北の伊達正宗はセキレイの花押を使ったが、何れのセキレイか不明。
(筑後「まめわり」NO.158,P7)

●2014/7 宮崎県
・コアジサシ人工浮島で産卵(5/23 宮崎日日新聞)
 宮崎市一ッ葉入江海上に地元民が浮かべた人工浮島にコアジサシが32個の卵を産んだのを確認した。大きさ2m四方、竹で組み、苗箱を乗せ、砂や貝殻を敷き、浮きと碇をつけている。130羽程が飛来し、30羽以上が定着した。宮崎大学三浦知之教授(海洋生物学)は人工浮島での産卵は恐らく世界的に見て画期的である。カラスは水上の浮遊物に止るのに慣れていないため、6/13現在、雛は順調に育っている。
(宮崎県「野鳥だよりみやざき」No.242,P19)

・阪神電鉄も協力してツバメの保護強化(6/7 読売新聞)
 愛称「つばめ通り」がある大阪十三出身のAさん、約5年前より、阪神西宮駅、尼崎駅で計12箇所でツバメの巣を確認したが、今年は4箇所のみ。阪神電鉄は駅などでツバメの巣を見つけた時、巣がある事を張り紙し、糞を受ける容器を設け、温かく見守っている。5/26、阪神尼崎駅ではツバメの雛4羽が確認された。
(宮崎県「野鳥だよりみやざき」No.242,P19)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.715

●2014/7 道南桧山
・スズメに関する故事、ことわざ
●2014/7 茨城県
・水戸の秋のサシバの渡り(環境計画部)
●2014/7 神奈川
・カメに注目しよう!
・環日本海地域固有の鳥たち
・鳥の名前 大中小
●2014/7 大阪
・動物園でバードウォッチング
・水族館でペンギン
・ムクドリの新たなライバルたち
●2014/7-8 島根県
・2014年飯梨川 春のシギ・チドリの渡り
●2014/7 北九州
・小笠原でアホウドリの雛確認か(5/12 産経新聞)
・渡り鳥オオジュリン尾羽に異常(5/24 朝日新聞)
・ミゾゴイは湿った広葉樹林がお好き(森林総合研究所HP)

●2014/7 道南桧山
・スズメに関する故事、ことわざ
 スズメは初めはクラと言っていたらしい。地方で残っているものはイタクロ、イタクラ、イナグラ、イタクラスズメ等で、クラは古代は小鳥の総称であった。○○カラのカラはクラが元である。スズメに関することわざは、意外に少なく、多い順に烏、鷹、鶴、鶏、雀である。参考:野鳥雑記(1986 柳田國男 八坂書房)、鳥のことわざうそほんと(1990 国松俊英 山と渓谷社)、成語林 故事ことわざ慣用句(1992 旺文社編)。
(道南桧山「はちゃむ」NO.107,P9〜11)

●2014/7 茨城県
・水戸の秋のサシバの渡り(環境計画部)
 昨年、9/12〜24、水戸市谷津町の「くれふし展望台」でサシバの飛去方向を見た。南方向が殆どで後半は西方向に変わり、西関東のサシバ渡り観察地とのつながりが期待される。
(茨城県「ひばり」NO.320,P20)

●2014/7 神奈川
・カメに注目しよう!
 日本では13種類のカメが記録されている。神奈川県ではクサガメ、ニホンイシガメ、ニホンスッポンが在来種として生息。ニホンスッポンは食用で移入されており、自然分布について不明な点が多い。外来種のミシシッピアカミミガメはミドリガメと称し売られ、自然界に広まっている。若い個体は肉食傾向が強く、成体になると、水生植物に害を与える。更にカミツキガメ、ミナミイシガメ等の外来種がいる。NPO法人生態工房では東京周辺のカメを調査し、情報を求めている。
(神奈川「はばたき」NO.506,P2)

・環日本海地域固有の鳥たち
 セグロセキレイは近年、韓国で繁殖確認され、日本固有種ではなくなった。古くはウスリー川上流、サハリン南部から報告がある。北海道、サハリン南部、沿海州の樹林地帯、朝鮮半島、九州、四国、本州に達する一帯を環日本海地域と呼び、セグロセキレイ、オシドリ、オオセッカ、コマホオジロ、コウライアイサ、カンムリツクシガモ、カラフトアオアシシギ、ヒメクロウミツバメ、オオミズナギドリ等はこの地域の固有種である。嘗て、オシドリはユーラシアの温帯域に生息していたが、氷河の影響を受け同地域に避難してきた。同地域は北半球では有数のレフェジア(氷期の避難場所)であった。氷河消滅後、多くの鳥類は北上を続けているが、次の氷河期、環日本海地域は新たな進化を開始する重要な場所である。
(神奈川「はばたき」NO.506,P4〜5)

・鳥の名前 大中小
 和名の場合、大の代わりにクマ(クマゲラ、クマタカ・・・)やオニ(オニアジサシ、オニカッコウ・・・)またはワシ(ワシカモメ、ワシミミズク・・・)が使われ、小にはヒメ(ヒメアマツバメ、ヒメウ・・・)やチゴ(チゴハヤブサ、チゴモズ・・・)が使われる。
和名も英名も大きさの表す大中小が揃っているのはサギでダイサギ(Great Egret)、チュウ サギ(Intermediate Egret)、コサギ(Little Egret)である。
(神奈川「はばたき」NO.506,P7)

●2014/7 大阪
・動物園でバードウォッチング
 1980年、IUCN(国際自然保護連合)は野生動物を含む生物資源を保護するための「世界環境保全戦略」を発表し、その中で動物園に対し、飼育管理と計画的繁殖で種保存に貢献すること、野生動物の展示は生態系で果たす役割を理解させるものであることを挙げている。国内151の動物園、水族館が加盟する「日本動物園水族館協会」http://www.jaza.jp/で飼育動物が検索できる。鳥類ではコウノトリ、タンチョウ等絶滅が危ぶまれる種の血統登録、繁殖計画がある。
(大阪「むくどり通信」NO.232,P4〜7)

・水族館でペンギン
 日本は世界一のペンギン飼育国である。世界に18種いるペンギン科の内、11種、3,400羽以上が約100箇所で飼育されている。お勧めのペンギン・スポットは大阪市天保山にある世界最大級の水族館「海遊館」と国内最多の8種、170羽と数が多い長崎ペンギン水族館である。
(大阪「むくどり通信」NO.232,P8〜9)

・ムクドリの新たなライバルたち
 大阪では21世紀に入り、ムクドリのライバルとしてイソヒヨドリとハッカチョウがいる。大阪府でのイソヒヨドリの内陸進出は1979年頃で、2014年には大阪鳥類研究グループとの共同調査では全面に拡がっている(特に大阪南部)。ハッカチョウは沖縄以外ではペット由来の外来生物と考えられるが、関西では1982年、姫路市で繁殖が確認されてから、播磨地区で定着し、大阪府でも現在、淀川の長柄橋周辺以外に4箇所で定着している。共に人工物の穴や隙間で営巣し、果実や地面の虫をよく食べる点がムクドリと似ている。
(大阪「むくどり通信」NO.232,P11)

●2014/7-8 島根県
・2014年飯梨川 春のシギ・チドリの渡り
 4/30の調査で、13種、221羽を見る。ハマシギ109、ムナグロ41、チュウシャクシギ40、トウネン7、イソシギ6、コチドリ5、タシギ5等。
(島根県「スペキュラム」NO.160,P2)

●2014/7 北九州
・小笠原でアホウドリの雛確認か(5/12 産経新聞)
 5/12、東京都とNPO法人小笠原自然文化研究所はアホウドリの雛を小笠原諸島の媒島(なこうどじま)で確認したと発表した。近くに親鳥は見られず、最終的に羽毛のDNA鑑定で判断する。同島では野生山羊の根絶が成功し、営巣環境改善したと思われる。聟島(むこじま)に雛の移送をし、新繁殖地を目指しているが、未だ繁殖に至っていない。
(北九州「北九州野鳥」No.337,P6)

・渡り鳥オオジュリン尾羽に異常(5/24 朝日新聞)
 2011年秋からオオジュリンの尾羽が虫食い状に欠けたり、長さが不揃いである異常が広がっているのが、山階鳥研の調査で確認された。2012/3までに調査した5,541羽の内14%に尾羽の異常があった。その97%は2011年生まれの幼鳥であった。原因は判断できないとしながら、可能性は寄生生物、感染症、栄養不足、甲状腺異常、放射性物質等が考えられる。尾崎清明同研究所副所長は「鳥の体内で遺伝子やホルモン分布等の異常が発生ているのかも知れない」とし、異常の割合は減っていない。同じホオジロ科のアオジでも少数であるが、尾羽に同様の異常が確認され始めている。
(北九州「北九州野鳥」No.337,P10)

・ミゾゴイは湿った広葉樹林がお好き(森林総合研究所HP)
 ミゾゴイは日本でのみ繁殖する。減少の要因の1つに繁殖地の森林環境の悪化が考えられる。生息密度が低く、観察が難しい。愛知県西三河地域で、繁殖期初期の日出前、日没後に良く鳴く声を探し、ミゾゴイの生息地を23箇所確認できた。その地域の特徴を分析した結果、温潤で広葉樹が広い森林を好んでいることが分かった。ミゾゴイの生息地確保のため、低山帯のこのような森林を維持する必要がある。
(北九州「北九州野鳥」No.337,P10)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.716

●2014/7-8 宮城県
・2014年春シギ・チドリ類生息調査(調査・保護グループ)
・キガラシセキレイ
●2014/7-8 群馬
・「群馬県鳥類目録2012」完成
・2014ガンカモ類自主調査(総合調査委員会)
●2014/7 東京
・ドバトに目をむけよう(保護研究係)
・銀座のツバメ
・上野不忍池のカモのカウント (研究部)
●2014/7 甲府
・鳥の寿命と各部測定値
●2014/7 福岡
・福岡県環境部自然環境課と福岡県会4支部との意見交換会
・2014年ガン・カモ・ハクチョウ類調査(集計係)
●2014/7 筑豊
・2014年春。初認まとめ(情報部)
・ムクドリ類
・鳥の感覚器官(編集部)

●2014/7-8 宮城県
・2014年春シギ・チドリ類生息調査(調査・保護グループ)
 4/27、鳥の海:ハマシギ187、チュウシャクシギ185、メダイチドリ153、ムナグロ19、オオソリハシシギ17、コチドリ13、タシギ6、シロチドリ5、キアシシギ2、イソシギ2等。5/11、蒲生海岸:トウネン100、ダイゼン54、キアシシギ21、メダイチドリ20、ハマシギ20、シロチドリ7、ムナグロ7、ミユビシギ5、コチドリ4、キョウジョシギ2、オオソリハシシギ2、チュウシャクシギ2等。4/20、蕪栗沼:ツルシギ40、コチドリ19、タシギ3、ムナグロ2、アオアシシギ2等。
(宮城県「雁」NO.266,P17)

・キガラシセキレイ
 5/6、亘理町で、キガラシセキレイ♂第1回夏羽を撮影した。宮城県では初記録である。
(宮城県「雁」NO.266,P22)

●2014/7-8 群馬
・「群馬県鳥類目録2012」完成
 支部創立50周年記念事業として編纂された。前回の目録から30年近く経過し、新たな目録を追加した。目録だけでなく、探鳥会や市町村別鳥類生息密度調査等をグラフや図にして、分布の経年変化等をまとめている。支部会員全員に配布済、会事務所で販売をしている。
(群馬「野の鳥」No.324,P7)

・2014ガンカモ類自主調査(総合調査委員会)
 2/16〜24、県内37地点を28名で調査した。総数9,256羽で、多い順にオナガガモ3,995、マガモ1,435、コガモ1,280、ヒドリガモ940、カルガモ901等。オナガガモが全体の43%も占め、多々良沼ではオナガガモが5割以上と偏っている。
(群馬「野の鳥」No.324,P11)

●2014/7 東京
・ドバトに目をむけよう(保護研究係)
 1978年、都内でのドバト調査は79箇所で8,711羽の報告があった。浅草寺境内では2000羽が現在約40羽、日比谷公園では569→84、上野公園では350+→50±、その他も減っていた。逆に給餌で靖国神社では83→250、墨田公園では101→200と増えていた。1973年、支部報で「ドバトは野鳥ではないのか?」の議論があった。その時の話が柴田敏隆氏の「カラスの早起き、スズメの寝坊」(新潮選書、2002)に「ドバトへの偏見」として書かれている。
(東京「ユリカモメ」NO.705,P8)

・銀座のツバメ
 嘗ては銀座のツバメはヒットソングに登場していたが、数はいたって少なくなったが、現在も3箇所程に巣がある。松屋デパートのコンクリートの庇に今年もツバメが来ている。この30年間、銀座で付き合ってきたツバメのことは「銀座のツバメ」(学芸みらい社刊)に書いた。
(東京「ユリカモメ」NO.705,P9)

・上野不忍池のカモのカウント(研究部)
2013/12/25、しのばず自然観察会が調査した。カモ総計626羽で内訳はキンクロハジロ374(♂283、♀91)、オナガガモ199(♂96、♀103)、ホシハジロ31(♂20、♀11)、ハシビロガモ11、ヒドリガモ5、マガモ3、カルガモ2、スズガモ1。往時の数はいない。
(東京「ユリカモメ」NO.705,P16)

●2014/7 甲府
・鳥の寿命と各部測定値
 2012年の鳥類標識調査報告書を見ると、長期経過後の回収例が15種載っている。オオミズナギドリ36年、クロコシジロウミツバメ31年、スズメ目ではハシブトガラス19年、ゴジュウカラ、キビタキ共に8年等で平均寿命ではない。当方の調査ではヒヨドリ8年、アカゲラ、ホオジロ7年、クロツグミ、アオジの4年があった。野鳥の各部測定値は70年前の榎本佳樹氏の「野鳥便覧」からの引用が多く、筆者は山階芳麿氏の「日本の鳥類と其生態」(絶版)の数値を使っている。各人の測定結果を纏めるシステムがうまく機能していないようだ。
(甲府「カワセミ」NO.127,P6)

●2014/7 福岡
・福岡県環境部自然環境課と福岡県会4支部との意見交換会
 12/25、県庁で意見交換会を持った。鳥獣保護区、愛鳥モデル校、密猟対策、違法飼養、生物多様性・希少種の保護等について話し合われた。
(福岡「野鳥だより・ふくおか」NO.417,P14〜16)

・2014年ガン・カモ・ハクチョウ類調査(集計係)
 前回提示分に多くの誤りがあったので、下記訂正する。マガン4、コブハクチョウ4、カモ類25,388羽、内訳はマガモ6,471、ホシハジロ4,605、スズガモ3,294、カルガモ3,257、オナガガモ2,388、ヒドリガモ2,351、キンクロハジロ640、ツクシガモ619、コガモ500、オカヨシガモ494、トモエガモ185、ハシビロガモ151、オシドリ133、ウミアイサ103、ヨシガモ74、ホオジロガモ54、ミコアイサ46、シノリガモ13等。
(福岡「野鳥だより・ふくおか」NO.417,P17〜18)

●2014/7 筑豊
・2014年春。初認まとめ(情報部)
 今年の福岡県内の観察記録から。3/15:ホウロクシギ、ツバメ。3/21:オバシギ、キョウジョシギ、ハマシギ、メダイチドリ。3/23:アカハラ(旅鳥)。4/3:サシバ。4/6:ノビタキ。4/9:ニュウナイスズメ。4/10:センダイムシクイ、キビタキ。4/14:オオルリ。4/17:コサメビタキ、ヤブサメ。4/23:ツツドリ。4/25:アオアシシギ。4/27:アカショウビン。4/30:オオヨシキリ。5/2:クロツグミ。5/6:キアシシギ。5/7:ジュウイチ。5/9:アオバズク。5/13:ホトトギス。5/15:チュウシャクシギ。5/16:サンコウチョウ、アマサギ。5/19:ハチクマ。5/21:カッコウ。5/22:ヒクイナ。5/24:ヨタカ、ヤイロチョウ。5/29:コノハズク。6/1:ササゴイ。6/5:ヨシゴイ。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.437,P21〜23)

・ムクドリ類
 北九州では、ムクドリ、コムクドリ、ホシムクドリ、ギンムクドリ、カラムクドリ、シベリアムクドリ、バライロムクドリ等、国内で確認さえているムクドリ類は記録がある。コムクドリは春秋の渡り時期にムクドリの群に混じるか、時には単独で大群になる。ホシムクドリは九州では冬鳥として定着。ギンムクドリは現在は春秋の渡り鳥または冬鳥として定着。カラムクドリは日本には旅鳥、冬鳥として南西諸島、南九州に渡ってくる。シベリアムクドリは日本海側の離島で5月中旬過ぎに記録される。バライロムクドリは南西諸島、日本海の島で主に春に見られる。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.437,P34〜36)

・鳥の感覚器官(編集部)
 視覚:人は3原色(赤、緑、青)であるが、鳥は4色型色感(赤、緑、青、紫)で紫外線域も見ている。聴覚:鳥は耳介(耳たぶ)が無く、聴域は狭い(200〜8000Hz)。 味覚:味蕾は人が10,000個に対し、カモで400、ニワトリで300と少ないが、味に反応はする。臭覚:鳥は臭球が小さく、かなり弱い。ニュージーランドのキーウィは臭覚 が鋭い。ミズナギドリは夜巣に帰る時、匂いで自分の巣を識別しているような行動をする。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.437,P53)

(自然保護室・野鳥の会・神奈川/森要)

事務局からのお知らせなど

■普及室より■

■新入会員の方へ『ワイルドバード・カレンダー2015』をプレゼントします■

 当会は、今年に創立80周年を迎えます。それを記念して、今年(2014年1〜12月)に入会申し込みをされたみなさまへ、当会オリジナル『ワイルドバード・カレンダー2015』をプレゼントいたします。この記念の年に、たくさんの方にご入会いただき、ますます活動の輪をひろげていければと期待しております。
 ぜひ、入会をご検討の方におすすめいただき、入会促進にお役立てください。どうぞよろしくお願いいたします。

●プレゼントの概要:
【対象】2014年中に、「公益財団法人日本野鳥の会」に入会申し込みをされた方。

≪対象の会員種別≫おおぞら会員、青い鳥会員、赤い鳥会員、個人特別会員(家族会員の方は、ひとつのご家族につき一本となります。)

【プレゼント内容】『ワイルドバード・カレンダー2015』1本をご登録のご住所に郵送いたします。
【お届け時期】『ワイルドバード・カレンダー2015』は2014年9月頃完成予定です。
そのため、お届けは2014年9月以降とさせていただきます。

ワイルドバード・カレンダー2015
カレンダープレゼントのチラシ

●支部のみなさまへ:「チラシ配布のお願い」
・プレゼントの案内用チラシがございますので、入会案内と一緒にお配りくださいますようお願いいたします。
・配布にご協力いただけます場合には、通常のパンフレット類のご請求先 [会員室 会員グループ(TEL 03-5436-2630/FAX03-5436-2636)]まで「新入会員カレンダープレゼントチラシ希望」とお伝えの上、必要部数をおしらせください。事務局よりお送りいたします。

●お問い合わせ:
公益財団法人日本野鳥の会普及室販売出版グループ
〒141-0031
東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル
TEL:03-5436-2623/FAX:03-5436-2636/メール:[email protected]

(普及室/江面康子)

■新たな『フィールドガイド日本の野鳥』に向けて増補改訂新版の取り組み■

 支部ネット通信3月号から連載で『フィールドガイド日本の野鳥』についてです。

<世界の鳥類は10680種?>

 秋に新版を出すために、これまで参考文献としてきた『Checklist of the Birds of the World』スズメ目の最新版の刊行を待つのは諦めました。ウェブ上ではありますがIOC World Bird Listhttp://www.worldbirdnames.org/の最新バージョン4.3が公開され次第、それを参考文献とし、印刷したものを保存することに致します。
 増補版までは鳥類の種数は「世界的にみた場合、全種約8600種」でした。2007年の増補改訂版では上記の『Checklist』によって、「世界では204科2161属9721種となる・・・」としましたが、現在チェックしているIOC World Bird Listのバージョン4.2では238科2273属10680種になり、科で34科、種では959種も増えていることになります。目録の変更によってこれまでウグイス科とされてきた種がキクイタダキ科、ムシクイ科、センニュウ科、ヨシキリ科、セッカ科などに細分化されたとか、メボソムシクイの亜種が別種とみなされ3種になったなど、大変ではありますが、それは日本だけではないのです。
 日本鳥類目録改定第7版で新たに掲載され、世界的にも注目されたオガサワラヒメミズナギドリを含むミズナギドリ科を例に、種数の変遷を見てみましょう。30年前の原著から増補版までは「約60種」でした。増補改訂版では上記の『Checklist』により「74種」としました。春に新版を出す計画で参考文献にしていた、上記の『Checklist』非スズメ目の最新版では「94種」でしたが、新版ではIOC World BirdList最新バージョンの数字を記す予定です。

<尾と尾羽は違う?>

 前回、漂鳥の用語解説を新版で改める考えを書きましたが、実は、尾と尾羽もかなり書き直しています。例えばシジュウカラガンの解説に「尾は黒く、上尾筒は白い」とあります。なぜ、ここを直さなくてはならないのでしょう?
 学問的に使われる用語でも100%正しいとは言い切れません。だからこそ、図鑑では「何を根拠にするか?」が明確にされているべきで、『フィールドガイド日本の野鳥』の用語は日本鳥学会の鳥類学用語集はもちろんですが、増補改訂版で参考文献に記した鳥類学辞典も参考に検討しています。そこでは尾について、上尾筒、下尾筒、尾羽から成るように記されています。つまり、「尾」を用いた場合には上尾筒が含まれ、シジュウカラガンの解説では「尾羽」は黒く、上尾筒は白いという表記が正しいことになります。
私もかつては「クジャクの尾は長いというのは間違い。目玉模様のついた長い羽は、尾でなくて上尾筒だ」などとえらそうに語っていたことがあります。が、上尾筒も含めて尾とするなら「尾は長い」は間違いとは言えません。
 今も学術論文などで参考文献にされるだけの信用度がある『フィールドガイド日本の野鳥』です。発行が遅れた新版だけに、このような細部についても検討を続けてきました。

<シロエリオオハムの首は青い?>

 増補改定版の参考文献の頁に「全国の支部報も参考にさせていただきました」と書いたように、分布や生息状況の確認にも、新たな情報を加えるか?修正するか?という判断をするためにも目を通させていただいています。
 例えば、日本野鳥の会埼玉の「しらこばと」8月号に榎本秀和さんが「シロエリオオハムの夏羽の前頚の色は、図鑑に記されているほどオオハムと違わないのではないか?」という主旨の投稿をされていました。実は、「高野さんが描いたシロエリオオハムの前頚は青すぎないか?」という指摘があり、直すべきか?悩み続けてきました。
 この部分は光線の具合で見え方はさまざまなので、強いてオオハムと違いを強調して描かれた可能性もあります。高野作品を歴史的遺産として残すというミッションから、間違いと言えない限りは直さないという原則があり、微妙な課題だったのですが、8月4日、高野図版の微修正の最終日、谷口高司さんに僅かに色味を変えていただきました。榎本さんが投稿されたように、オオハムとの違いが微妙であることは間違いありません。図鑑としては、そこで簡単に識別できると誤解されるようではまずいとの結論に至った次第です。

(普及室/安西英明)

■探鳥会スタッフ通信〜支部と財団をつなぐコミュニケーションツールを目指して〜■

 昨年4月、財団事務局に入ると同時に担当することになった探鳥会スタッフ通信の編集の仕事。支部のことも探鳥会のことも初めてで、探鳥会リーダーに役立つ情報を発信できるのかという不安とともに始めた通信でした。
 しかし、発行を続けていると、支部の方から反響のメールをいただいたり、探鳥会でお会いしたときに声をかけていただいたりするようになり、最近では、通信で紹介した支部の事例をもとにして、別の支部で同じような活動を始めたという嬉しい報告もいただきました。今では、通信の意義を日々実感しながら、編集に取り組んでいます。
 このたび6月29日に埼玉の総会にて、探鳥会スタッフ通信についてお話しする機会をいただき、通信の発行状況や役割について考察しました。ここにその内容を紹介させていただきます。

埼玉総会での講演の様子
▲埼玉総会での講演の様子

■発行の経緯
 「探鳥会スタッフ通信」は、当会創立80周年を機に探鳥会の意義やあり方を見直していこうと2013年4月に創刊されました。現場の探鳥会リーダーに届くよう、探鳥会リーダーへのメールによる発行を基本とし、メールを使わない方に向けたものとして、支部事務局にも紙媒体で2部お送りしています。発行は毎月1回、この8月で17号目になります。

■登録者数、登録方法
 メール版の購読者数は、8月6日現在で773名です。メーリングリストでの登録をいただいた支部も12支部あり、創刊時の129名から比べると登録者数は大きく増えました。
 一方、まだメール版の登録者が1人もいない支部も9支部あります。メール版は、「探鳥会スタッフ通信希望」と明記し、@支部名 A担当している探鳥会名 Bお名前 Cご住所 D電話番号 Eメールアドレス(パソコンやスマートフォンのアドレス)を記入し[email protected]へお送りいただくことで登録ができます。まだの方はこの機会にぜひご登録いただければと思います。

■連載内容
 2013年度は、どこの支部の方がどのような情報を持っているのかもあまり分かっておらず、財団の情報が中心の連載になっていました(図1の青の枠)。連載には、安西主席研究員が探鳥会の歴史などについて紹介する「安西英明の探鳥会講座」、佐藤理事長が野外における危険生物を紹介する「探鳥会リスクマネジメント」、私が東京近郊の支部を訪問して探鳥会を紹介する「探鳥会訪問記」、支部ごとの探鳥会保険申請人数を公開する「探鳥会保険集計結果」、普及室の事業を紹介する「普及室からのお知らせ」がありました。
 2014年度は、新たな連載も始め、支部の情報が中心の通信になってきました(図1の赤枠)。連載には、支部からの投稿により探鳥会の紹介をする「私たちの探鳥会自慢」、昨年度よりも訪問範囲を広げて続けている「探鳥会訪問記」、支部で活動する様々なトコロジストを紹介する「トコロジストになろう」、撮影マナー問題の対応事例について紹介する「マナー問題の事例」、昨年度から継続の「探鳥会保険集計結果」、通信のメール版の登録者数を公開する「今月の登録者数」、同じく昨年度から継続の「普及室からのお知らせ」があります。

2013年度と2014年度の連載内容
▲図1)2013年度と2014年度の連載内容(青枠:財団の情報、赤枠:支部の情報)

■支部からの反響
 発行を開始してみると、支部の探鳥会リーダーから様々な反響をいただきました。
 取材先の東京や神奈川支部からは、「探鳥会訪問記では、探鳥会参加者の感想が知れるので嬉しい」という感想。
 愛知県支部からは、「探鳥会保険集計結果から、他支部と比べて、非会員の参加者割合が高いことが判明した。入会促進に役立てたい」という報告。
 また、滋賀から、「探鳥会での初参加者への対応について知りたい」というメールをいただいたときには、通信を使って意見を募集しました。その結果、神奈川支部、愛知県支部、埼玉、東京から事例をいただき、通信で紹介しました。
 他にも、東京の「Young探鳥会」の話を掲載したときには、それが1つのきっかけとなって、栃木で「ユース観察会」が開催されたり、オホーツク支部の「女子探鳥会」の記事を掲載したときには、それを読んだ宮崎県支部の女性副支部長が「女子会バードウォッチング」を開催したりという広がりも生まれてきました。

■支部と財団をつなぐコミュニケーションツールへ
 探鳥会スタッフ通信がどのようなサイクルで回っているかを図2のように考えました。
 @まず支部に取材に行き、A支部の事例を探鳥会スタッフ通信に掲載します。B記事にすることで、事例が顕在化、資料化することになります。C通信が発行されることで、多くの支部に事例が伝わります。Dその結果、支部から反響をいただきます。E財団は支部からの反響によって探鳥会リーダーのニーズを知ることができ、Fニーズに合わせた新連載を始めて、新たに取材や原稿の依頼をします。その後は、A新たな事例を通信に掲載し・・・というサイクルになっていきます。また、財団では探鳥会リーダーのニーズを知った結果を、新たな企画として、「会員を増やすための探鳥会」や「探鳥会リーダーズフォーラム」などを考えるきっかけとしても活かしています。

探鳥会スタッフ通信のサイクル
▲図2)探鳥会スタッフ通信のサイクル

 昨年4月、少しの情報をもとに支部に取材に行ったことから始まった探鳥会スタッフ通信。
 今では探鳥会スタッフ通信がまさに財団と支部のコミュニケーションツールとして機能していることを実感しています。
 探鳥会スタッフ通信は、読者である探鳥会リーダーと探鳥会リーダーからのご感想、ご意見、事例の紹介があっての通信です。連載以外にも、支部の特徴だと思う取り組みや探鳥会での工夫点など、[email protected]
まで、いつでもご連絡お待ちしています。

(普及室/堀本理華)

総務室より

■支部名称等変更のお知らせ■

 名称変更などがあった支部についてお知らせいたします。

【代表者等の交代】

●日本野鳥の会 道南桧山
新事務局長:橋本 英樹
旧事務局長:奥田 孝一
(総務室/鈴木美智子)

■訂正とお詫び■

 先日、お送りいたしました名簿に誤りがありましたので、下記の通りお詫びして訂正します。

【支部長名簿】
支部長名簿

【支部事務局名簿】
支部事務局名簿

【専用事務局一覧】
専用事務局一覧

(総務室/鈴木美智子)

会員室より

■会員数■

 8月1日会員数36,783人(対前月-89)会員数は先月に比べ89人減少しました。
 7月の入会・退会者数の表をみますと、入会者数は退会者数より128人少なくなっています。会員の増減は入会者数と退会者数のほかに、会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活した人数によって決まります。7月の入会者数は122人で、前年同月の入会者115人に比べ7人増加しました。また、7月の退会者は250人で、前年同月の退会者254人に比べ4人減少しました。

表1. 7月の入会・退会者数

※会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活する方がいらっしゃるため、退会者数の年度累計は、実際の退会者数とずれた数字となります。このため、退会者数合計については年度末の集計後にお知らせいたします。

■都道府県および支部別会員数■
野鳥誌贈呈者数を除いた数を掲載します。

表2 都道府県別の会員数(8月1日現在)

備考:不明は転居先が不明の会員を示します。今月からは転居先不明の会員も会員数に含めています。

表2.支部別の会員数(8月1日現在)

備考:支部別の会員数の合計は、都道府県別の会員数の合計と異なります。
これは、本部型(青い鳥)会員や支部に所属されていない個人特別会員が支部別の会員数に含まれないためです。

(会員室/沖山展子)

■支部ネット担当より

 いつも支部ネット通信をご愛読いただきありがとうございます。毎日うだるような厳しい暑さが続いておりますが、皆さま、いかがお過ごしですか。

 今号では、普及室より昨年の4月に創刊された「探鳥会スタッフ通信」について、これまでの通信の内容やどのような役割を果たしているかなどについてご紹介しています。ぜひ新たにご登録いただき、探鳥会開催の一助としてご活用いただければ幸いです。

まだまだ暑さが厳しいので、体調を崩されませんようお過ごしください。

■支部ネット通信は支部の代表の方に電子メールでも配信をしています。電子メールでの配信を希望される支部の代表の方は下記メールアドレスまでお気軽にお申し込みください。

支部ネット通信 第125号
◆発行
公益財団法人日本野鳥の会 2014年8月22日
◆担当
総務室 総務グループ
奥田秋穂/植月智子/柴田英美
〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23
丸和ビル
TEL:03-5436-2620
FAX:03-5436-2635
E-mail:[email protected]