No.115 2013年10月号


バックナンバー一覧に戻る

目次 ◆支部の動き
 支部報保護・調査記事関連トピックス
 愛知県支部バードウォッチング案内人研修会受講生募集
◆ブロックからのお知らせなど
 2013年度中部ブロック協議会報告
◆シリーズ「探鳥会におけるリスクマネージメント」
 第7回:ツキノワグマ
◆事務局からのお知らせなど
 ナベヅル・マナヅルの飛来状況調査ご協力のお願い
 モニタリングサイト1000(森林・草原)鳥類調査 研修会を開催します
 80周年記念写真展「未来に残したい鳥風景」写真募集
 支部名称等変更のお知らせ
 野鳥誌のリニューアルについてのお知らせ
 会員数

支部の動き

■支部報保護・調査記事関連トピックス■

 本記事は日本野鳥の会へ送付されてきている各地の支部報/会報から抽出して作成し、調査・保護に関心がある野鳥の会の会員へ配信しております。
 本記事の一部又は全部を不特定多数が見る可能性があるところへ公開される場合は、各支部/各会の了承を事前に得て下さい。記事は筆者の意向に反しないように、取り扱いをお願いします。

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.675

●2013/8 十勝
・節電、再び
●2013/8 滝川
・離島の観光地
・自宅の庭に来た鳥たち
●2013/9 東京
・野鳥写真の撮影マナーについて思う事
・越冬鳥の観察
・葛西海浜公ン東なぎさクリーン作戦
・ミソサザイ、ミミズク
・東京都初記録、稀な鳥たち
●2013/9 徳島県
・コウノトリ飛来
・残留したジョウビタキ
・秋のタカ渡り (研究部)
●2013/8 山口県
・安岡沖洋上風力発電事業
・シギ・チドリ類県内一斉調査

●2013/8 十勝
・節電、再び
福島原発事故を機に、太陽光発電が脚光を浴びている。ソーラパネルを建物に設置する場合は問題無いが、広大な土地を必要とする農作物が取れる土地に設置するのは疑問を感じる。北海道では140羽しかいないシマフクロウ生息地がソーラー発電所になる計画もある。しかし、現在、電力は不足していない。電力消費を減らすことができれば、原発を稼働させる必要は無いはずである。地球環境との共存を図るため、家庭でできる節電を提したい。熱を利用する電化製品は他の方式に見直してみたらと思う。
(7/1 十勝毎日新聞掲載)
(十勝「十勝野鳥だより」NO.181,P34)
●2013/8 滝川
・離島の観光地
 鳥見で離島を訪れた。双眼鏡で見ると、白っぽい発泡スチロールのゴミが多い。沢沿いには洗濯機等の家電廃棄物、携帯用ボンベ等が山のように投げ捨てられている。多くは地元の方が捨てているので、観光で仕事をするなら、この清掃に声を挙げては。廃屋、廃車が増えて、鳥を見て歩くにも寂しい。離島の格安ツアー、海の幸のPRも結構であるが、海岸線等の人目につきづらい場所の実情についても目を向けて欲しい。ゴミの無い島で歌う鳥を見に訪れたい。
(滝川「あかもず」NO.45,P2)
・自宅の庭に来た鳥たち
 昨年12月〜今年4月、会員へのアンケートでハイタカが来た例が3例あった。以前もハイタカの飛来例があり、意外にハイタカはここでは身近に来ている感じ。
(滝川「あかもず」NO.45,P14)
●2013/9 東京
・野鳥写真の撮影マナーについて思う事
 鉄道写真(撮り鉄)でのトラブルはニュースに取り上げられる事がよくある。野鳥写真でもマナーが悪い人が増えている。フクロウに近づき、飛び立たせたり、ブランドに入って撮影している脇を通り抜け、目的の鳥を逃がしてしまったりする。珍鳥が撮れるとの情報で、沢山のカメラマンが押し掛け、撮影ポイントを探すため、立入ってはいけない場所に入る。それを見て他のカメラマンも追従し、周囲の状況を冷静に見られなくなっている。鳥、地元の方、周囲の環境に充分配慮して気持ちよく撮影、観察をしたい。
(東京「ユリカモメ」NO.695,P3)
・越冬鳥の観察
 葛西臨海公園の北、約200mの団地でこの5年間、11月〜5月上旬、早朝散歩で越冬する野鳥を観察した。2011〜2012年は、アカハラ、シロハラ、ツグミは初認日が1箇月以上遅れ、2月は1月の2倍の数になり、全体的に3箇月遅れて到着の形であり、個体数も激減である。その冬は全国的に冬鳥の渡来が少なかった。
(東京「ユリカモメ」NO.695,P9)
・葛西海浜公ン東なぎさクリーン作戦
 7/6、46名が漁船2隻で立入禁止の東なぎさに上陸し、クリーンエイド方式*で分類しながらゴミを45L袋で43個回収した。後半は生き物観察会を実施した。
*「クリーンエイド」はクリーン(除去する)+エイド(助ける)の造語で、ゴミや水質、自然回復などの問題を考えて、自然を取り戻そうとする活動である。*
(東京「ユリカモメ」NO.695,P10)
・ミソサザイ、ミミズク
 「鳥名の由来辞典」によると、ミササザイの古名は「ささき」で「ささ」は小さい、「き」は鳥を表す接尾語で小さい鳥の意とある。「ささき」が平安時代に「さざい」となり、室町時代に「みぞさんざい」(溝にいる小鳥)、ミソサザイへ定着とされる。ミソは味噌とする意見も根強い。ミソサザイは世界各地で吉鳥とされ、欧州では雌の神の鳥とされ、アイヌの伝承では熊の耳に飛び込み、狩を支援し、その勇気が称賛される。日本ではフクロウはその鳴き声から不吉な鳥とされ、耳羽があるミミズクは吉祥とされ、フクロウとは別の種と考えられていた。
(東京「ユリカモメ」NO.695,P13)
・東京都初記録、稀な鳥たち
 タカサゴモズ:2012/9〜2013/3、東京港野鳥公園で見られ、都内初記録である。ノハラツグミ:/2/25〜3/15、多摩川六郷河川敷で若い個体が観察され、都内初記録である。ミヤマシトド:4/19〜27、東京港野鳥公園で夏羽個体が記録された。都内では1964年以来の稀な鳥である。マミジロキビタキ:2012/10/13、葛西臨海公園で♂の第1回冬羽と思われる個体が撮影された。関東地方では比較的珍しい記録である。
(東京「ユリカモメ」NO.695,P16〜17)
●2013/9 徳島県
・コウノトリ飛来
 8/16、小松島市で川の傍の畦にコウノトリが降りているのが見られた。8/22にも見られている。両足の足輪から、兵庫県立コウノトリの郷公園で人工繁殖され、放鳥された内の1羽である可能性が高い。徳島県へのコウノトリの記録は5例目で、前回は2004/1の吉野川である。
(徳島県「野鳥徳島」NO.420,P2)
・残留したジョウビタキ
 5/14、21、23、31、6/4、剣山で囀るジョウビタキ♂が見られた。♀や餌運びは見られず。6/4以降剣山頂上から姿を消す。全国的にジョウビタキ♂の夏の残留記録が少数ある。
(徳島県「野鳥徳島」NO.420,P3)
・秋のタカ渡り (研究部)
 鳴門での例年の様子を記す。9月上旬:サシバ、ハチクマの渡り始り、順次増加。9/20〜10/初:サシバ、ハチクマの渡りがピーク、ノスリの渡り始る。県南でのサシバ、ハチクマのピークは鳴門の後になる。10/中〜下:ノスリの渡りがピーク、ハイタカ(西行き、東行きとも)の渡りが増加。11月:ノスリ、ハイタカの渡りは続くが減少する。
(徳島県「野鳥徳島」NO.420,P6)
●2013/8 山口県
・安岡沖洋上風力発電事業
 4/15、同事業(3000KwX20基)の環境影響評価方法書の縦覧が終わった。今後、経済産業大臣の意見書が出て、10月から現地調査が予定される。その前に、会員独自の調査で、事業区域付近にコアジサシのコロニー(200羽前後)を確認、夜間にカンムリウミスズメ、オオミズナギドリの採餌を確認した。本部自然保護室で事業者との協議にこの件を追加検討する。
(山口県「やまぐち野鳥だより」NO.228,P1)
・シギ・チドリ類県内一斉調査
 4/29前後、県内20箇所で調査した。2,599羽を確認、内訳はチュウシャクシギ1,568(内、下関市木屋川河口で872)、ハマシギ(内、山口市土路石川河口で382)、ダイゼン94(内、厚狭川河口で82)、タカブシギ77、イソシギ39、キアシシギ33、ムナグロ30、アオアシシギ29等。
(山口県「やまぐち野鳥だより」NO.228,P10)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.676

●2013/8-9 札幌
・オシドリの巣立ち (真駒内芸術の森緑の回廊基金)
・ケモノは獣道を
・「いない」を見る
●2013/9 千葉県
・千葉の海や里山で起こっていること (幹事会)
・野鳥大量死 (7/14 読売新聞)
●2013/9 埼玉
・コシジロアジサシ、ムラサキサギ(野鳥記録委員会)
・コサギ
●2013/9-10 諏訪
・クマタカの解剖から意外な事実
・中西悟堂賞を頂く
・キジバトの観察から
●2013/9 筑豊
・野鳥録音のすすめ
・日本の野鳥の種数 

●2013/8-9 札幌
・オシドリの巣立ち (真駒内芸術の森緑の回廊基金)
 札幌市内の緑地でオシドリの巣立ちを数例見ている。2011年、中学校の校庭にあるハルニレの地上7mの樹洞から雛が草地に飛び降りると、約3秒後起き上がり、鳴いて親鳥の元へ走った。親鳥は安全な水辺まで雛を誘導した。同年、国道の並木(ポプラ)の地上8mにある樹洞からも雛がコンクリート面へバウンドせず、ベタッと着地した。約6秒後起き上がり、ヨタヨタと走り去った。オシドリは本来、森林性のカモで、山間部で繁殖していたが、樹洞のある巨木が少なくなり、都市へ進出している。今年も円山公園の池に、13羽及び8羽の雛を連れたオシドリを見ている。
(札幌「カッコウ」No.356,P13)
・ケモノは獣道を
 藪こぎでついつい獣道を通ると、ダニが身体に付く。別に藪に新たに調査の踏査ルートを作ると、そこは藪に戻らず、シカが使い、またダニだらけ。ケモノは獣道を歩けよ!
(札幌「カッコウ」No.356,P19)
・「いない」を見る
 色々観察できた時も、できなかった時も同じように意味がある。観察できなくても、無駄ではない。言うなれば「いない」を観る。少しは「いる」を観たいが。
(札幌「カッコウ」No.356,P19)
●2013/9 千葉県
・千葉の海や里山で起こっていること (幹事会)
 2012/9、東京湾奥部は真っ青で、青は硫黄酸化物の色で海水は無酸素状態になる。青潮は1週間続き、生物が大量に窒息死した。このためスズガモ飛来数が激減した。支部と協力関係にあるNPO法人野鳥千葉では冬季の東京湾のスズガモの動向を見ている。今年は8月中旬までは大規模な青潮は発生していない。毎年7月、水田にネオニコチノイド系の農薬が散布され、それは動物の脳内情報伝達系を阻害する。支部はバタフライウォッチング協会と共催で5/18、同農薬に関するシンポジウムを開催した。この系統の除草剤散布場所では昆虫、蜘蛛が全く少ない。
(千葉県「ほおじろ」NO.389,P2)
・野鳥大量死 (7/14 読売新聞)
 7/13、市民から通報があり、7/14、埼玉県は同県加須市の路上で野鳥142羽の死骸を見つけたと発表した。ムクドリ46、スズメ29、不明67で、10検体では鳥インフルエンザは陰性、7検体で化学物質検出されなかった。死因はわからないとされた。
(千葉県「ほおじろ」NO.389,P12)
●2013/9 埼玉
・コシジロアジサシ、ムラサキサギ(野鳥記録委員会)
 5/13、本庄市の利根川でコアジサシの群に混じる1羽のコシジロアジサシを撮影した。繁殖地はサハリン、カムチャッカ半島、アリューシャン列島、アラスカ沿岸で、越冬地は不明で日本では迷鳥である。埼玉県では1995/5以来の2例目となる。(私信では同地坂東大橋付近に毎年来る)。
5/23、朝霞市の荒川でムラサキサギが撮影された。県内では写真による確認は1990/4戸田市の彩湖以来の2例目となる。(アオサギの若鳥が茶色に汚れ、本種と混同されることがあり、注意が必要)
(埼玉「しらこばと」NO.353,P4)
・コサギ
 坂戸市の高麗川の探鳥会でコサギは1986〜2002年、毎回確認されていたが、2003年以降出現が減り、2007年以来記録が無い。一方ダイサギは1999年以降毎回、確認されている。普通種の記録蓄積は大切である。
(埼玉「しらこばと」NO.353,P8)
●2013/9-10 諏訪
・クマタカの解剖から意外な事実
 諏訪市の山中で高圧線鉄塔で感電死したクマタカを剥製にするため、解剖した。体内から不消化のペリット、37X44oのシカの毛が出てきた。諏訪地方でもシカが増え、2012年には4,011頭が捕獲されている。クマタカが生きたシカを狩る事はなく、死んだシカ肉を食べたと思われる。シカの毛玉で思うのは、北海道でエゾシカの死体を食べたオオワシ、オジロワシが鉛中毒死した例である。H9〜10年、道内で59羽が落鳥、内44羽死亡。狩りで放置された死体内にある鉛散弾は傷口近くにあり、そこからワシ類は食べ始める。
(諏訪「いわすずめ」NO.152,P2)
・中西悟堂賞を頂く
 7/7、大津市の比叡山で開催された「第20回中西悟堂事跡の旅in比叡山、野鳥の会京都創立77周年記念」に出席し、中西悟堂賞を受賞した。理由は60年間にわたる(諏訪地区での)塩嶺小鳥バスの文化的事業の継続、諏訪湖の全面禁猟である。今回の受賞は2009年の佐渡島のトキの保護(佐藤春雄氏)以来2人目になる。前者は前支部長の努力から始まり、後者は1970年当時、中西悟堂先生が琵琶湖の全面禁猟を提唱したことに重なり、私的な運動に会員の支援を受けた。
(諏訪「いわすずめ」NO.152,P3)
・キジバトの観察から
 キジバトは巣の場所は♂が見定める。♂は巣を作りたい場所に座り「グッググーグッググー」と繰り返して鳴く。3〜5箇所から最終的に♀が決める。巣材運びは♂だけが行い、♀が巣内で小枝を受け取る。小枝を地上で拾ったり、枯れ枝を直接木から折ったりする。抱卵は昼間の約8時間は♂が行い、残りは♀が行う。交代は朝7〜9時頃と午後3〜5時頃行う。親は抱雛したまま、吐き出して口移しに給餌し、雛が大きくなると、一日4、5回、親が巣に来て給餌する。
(諏訪「いわすずめ」NO.152,P12)
●2013/9 筑豊
・野鳥録音のすすめ
 松田道生氏は「都内の公園での野鳥の発見は7割がその声による。鳥の姿ではなく、声で見つけていることが多いのが分かる。その野鳥の声を覚える早道は野鳥録音をすることである」と書いている。鳥の声は500〜9000Hzくらいであるので、市販のICレコーダーの80〜17000Hz録音可能周波帯で充分対応できる。一番高い声はヤブサメの9000Hz、低いのはキジバト、ミゾゴイの500〜1000Hz。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.427,P22〜24)
・日本の野鳥の種数
 日本鳥類目録改訂第7版では外来種の除き、日本の野鳥は633種で全世界の約7%。内訳は漂鳥36%、冬鳥22%、迷鳥16%、旅鳥15%、夏鳥10%。環境別では山野の鳥52%、水辺の鳥48%となる。全世界では種数約9000、亜種を含めると約25000種、内、陸鳥が9割を占める。日本で繁殖するのは約200種で、ほぼ日本だけで繁殖するのは18種(ヤマドリ* クロウミツバメ、ミゾゴイ、ヤンバルクイナ*アマミヤマシギ* オオジシギ カンムリウミスズメ アオゲラ* ノグチゲラ* ルリカケス* イイジマムシクイ メグロ* アカコッコ* コマドリ アカヒゲ* カヤクグリ*セグロセキレイ* ノジコ)*は日本固有種。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.427,P25)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.677

●2013/9 苫小牧
・傷病鳥獣救護講座
●2013/9-10 群馬
・消滅した野鳥の楽園
●2013/9 神奈川
・日本野鳥の会創設者「中西悟堂」
・宝石を名前に持つ鳥
・自然の豊かさの指標、種多様性のはかり方
●2013/9-10 広島県
・野鳥観察・写真撮影のマナー
・「普通の鳥」って・・・
・ダニによるヒト感染症について
●2013/9-10 愛媛
・キアシシギの渡り
●2013/9 福岡
・亜種チュウダイサギ (編集部)
・チョウセンウグイス
●2013/9 熊本県
・ヒヨドリ 

●2013/9 苫小牧
・傷病鳥獣救護講座
 7/20、ウトナイ湖野生鳥獣保護センターで、主催:苫小牧市、後援:野生動物救護研究会、協力:苫小牧支部で座学と実習があった。18名の参加があり、海鳥の体の仕組み、症例、油汚染救護を学んだ。
(苫小牧「あおさぎ」NO.190,P4)
●2013/9-10 群馬
・消滅した野鳥の楽園
 高崎市岩鼻町の火薬所跡地に5千羽を超えるサギ山があり、当時、埼玉県の野田のサギ山が特別天然記念物に指定されていたが、それを凌駕する本邦最大級であった。1968年、明治100年記念事業で同跡地は3分割され、26haが群馬の森として開放され、サギは減少し始め、公園への人の立入りで、ごみを求めて来たカラスがサギを全て排除してしまった。
(群馬「野の鳥」NO.319,P10〜11)
●2013/9 神奈川
・日本野鳥の会創設者「中西悟堂」
 日本野鳥の会は1939年、同氏により創設され、鳥類学者の内田清之助、黒田長礼、山階芳麿、文化人の柳田国男、竹友藻風、荒木十畝等の推薦を受けた。放飼の記録を執筆した「野鳥と共に」はベストセラーになり、「野の鳥は野に」を提唱し、その他文人、歌人としての著書は「定本野鳥記」に収録されている。S38年、狩猟を取り締まる法律の「狩猟法」を「鳥獣保護法」に改訂した活動の中心になった。私たちの活動も多くの人に受け入れられるようになり、悟堂さんの精神を受け継いで活動したいものである。
(神奈川「はばたき」No.496,P2)
・宝石を名前に持つ鳥
 日本の鳥で標準和名に含まれる宝石は、瑠璃(オオルリ、コルリ、ルリビタキ、ルリカケス、ルリガラ)と金(キンクロハジロ、キンバト)だけであるが、英名ではキクイタダキ(Goldcrest)、ムナグロ(Pacific Golden Plover)、イヌワシ(GoldenEagle)、ノゴマ(Siberian Rubythroat)、これにはルビーが入っている。漢字では「翡翠」が付くカワセミ類がいる。
(神奈川「はばたき」No.496,P5)
・自然の豊かさの指標、種多様性のはかり方
 種多様性は種数から捉えるが、環境の違いを考慮しなけばならない。α多様性で1つの環境や生息地における種数の多少で評価する。β多様性は環境や生息地の違いを評価する。二つの地で確認された種の違い、同じ場所での今昔の比較が評価される。γ多様性は種数が少ないが、他にいない種をカバーしている場所を評価する。先例と比較するため指標を揃える必要があるとして紹介したが、現地のデータを取り続ける事が重要である。
(神奈川「はばたき」No.496,P6〜8)
●2013/9-10 広島県
・野鳥観察・写真撮影のマナー
 日本野鳥の会では以前から「自然にあるがままの野鳥を楽しむ」という理念のもと、「野鳥の繁殖活動の妨げになる恐れのあ観察(写真撮影)はしない」ことを啓発している。この中には、撮影の邪魔になる枝を樹木を伐らないこと、鳥の声を流し鳥を呼び寄せないこと、珍しい種や貴重種の観察情報を不用意にネットへ発信しないことも含まれる。
(広島県「森の新聞」NO.188,P1〜3)
・「普通の鳥」って・・・
 「ひろしま野鳥図鑑」によると、広島県で記録が多い種は、上からツバメ(705例)、キジバト、トビ、ジョウビタキ、ヒヨドリ、ハシボソガラス、ツグミ、ハチクマ、ハシブトガラス、コサギ、ウグイス、サシバ、シジュウカラ、アオサギ、コシアカツバメ、スズメ、ムクドリ、マガモ、モズ、ホオジロ(358例)となっている。ツバメ、ジョウビタキが多いのは「初認」の記録が多い?ハチクマ、サシバはタカ渡りファンの思い入れが大きい?情報カードだけでは珍鳥情報が増え、いわゆる普通種の記録が少なくなるので、同図鑑では探鳥会や各種調査の記録が考慮されている。最近はコサギは激減している?オオバン、カワウは急増している?
(広島県「森の新聞」NO.188,P5〜6)
・ダニによるヒト感染症について
 ダニによる感染症、特に重症熱性血小板症候群(SFTS)が話題になっている。マダニ(家庭内のダニとは異なる)に咬まれて6日〜2週間で発熱、吐気、腹痛等があり、血液の血小板や白血球が減少し、稀な疾患であるが、全国で16人が発症し9人が死亡している。他にダニに因るものに「つつが虫病」、「日本紅斑熱」がある。前者は毎年、400人前後発病、ダニの1種のつつが虫に因り、ダニの刺し口、発疹、発熱がある。刺し口は10o前後のカサブサになる。後者はマダニに因り、西日本で多く毎年150例程ある。野外活動後、帰宅後入浴してマダニが吸着していないことを確認するのを勧める。
(広島県「森の新聞」NO.188,P17〜18)
●2013/9-10 愛媛
・キアシシギの渡り
 5/9、松山市の栗井川河口で標識が付いたキアシシギが撮影された。県内で足環付きのキアシシギの観察は数例あるが、今回は豪州のクィーンズランド州で標識された個体である。参考:山階鳥研 渡り鳥と足環
 http://www.yamashina.or.jp/hp/ashiwa/ashiwa_index.html
(愛媛「コマドリ」NO.216,P2)
●2013/9 福岡
・亜種チュウダイサギ (編集部)
 亜種チュウダイサギは脚が黒く、アオサギより小さい。亜種ダイサギは脚は白っぽくアオサギと同じか大きい。前者は関東から九州で繁殖し、一部は越冬する。福岡県では留鳥である。後者は南シベリア以西で繁殖し、日本では本州以南で越冬する。日本で繁殖している可能性がある。
(福岡「野鳥だよりふくおか」No.407,P7〜8)
・チョウセンウグイス
 5/25、26、福津市内でチョウセンウグイスを見た。口に餌をくわえ、ヤマガラの様にニーニーと鳴く。同種は西表島、与那国島等に少数が越冬し、渡りの時期に日本海側の島嶼で観察記録がある。ウグイスより一回り大きく、頭部から背中、尾羽まで赤味が強い。九州での観察例は非常に珍しく、繁殖確認できれば、鳥類図鑑の記載内容が変わる。
(福岡「野鳥だよりふくおか」No.407,P8)
●2013/9 熊本県
・ヒヨドリ
 7/4、ヒヨドリの抱卵確認、7/15、雛が孵化。7/24、巣立ち確認。抱卵初期は親が巣を離れる時間が結構多い。抱卵は♀が主体のためか。孵化して翌日頃までは親は餌を吐き出して給餌。雛は孵化後5日頃までは大きな虫は飲み込めない。1週間後頃から飲み込みが速くなり、親はピストン状況で巣を行き来する。この頃、雛に羽軸が見え始める。7/24、いきなり巣立ち。よくあれで飛べるものだ。
(熊本県「野鳥くまもと」NO.311,P6)

○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.678

●2013/秋の巻 弘前
・編集後記2件
●2013/9 宮古
・オオタカ種の保存法から指定解除への意見
●2013/8 佐渡
・放鳥野生トキの二世誕生と巣立ち
・石名県有林の夏期鳥類相
・稀鳥、珍鳥、迷鳥
●2013/9 茨城県
・水戸市森林公園の秋のタカ渡り10年間の記録
●2013/9 岡山県
・2013年のブッポウソウ
・マミチャジナイ
●2013/6 佐賀県
・カチガラス佐賀市内の生息数減 (5/13 佐賀新聞)
・国内最大級の鷹匠大会で最年少優勝(4/18 読売新聞)
・ツバメの巣壊さないで (5/10 佐賀新聞)
●2013/8 長崎県
・ことわざ事典より 

●2013/秋の巻 弘前
・編集後記2件
 弘前公園のウソの食害に、弘前市は「鷹匠招き撃退作戦」等に197万円の補正予算案?岩木山獄温泉で地熱発電の可能性を探るボーリング調査事業等に6億4,500万円の追加補正予算案?地熱発電のデメリットを学ぶと、恐ろしい。
(弘前「初列風切」NO.176,P6)
●2013/9 宮古
・オオタカ種の保存法から指定解除への意見
 支部は7/1、環境省がオオタカを種の保存法から指定解除することに対するパブリックコメントを提出した。指定解除に反対である。現在の鳥獣保護法では密猟に対する罰則が1年以下の懲役または100万円以下の罰金で抑止効果として不十分であり、違法捕獲が証明されない限り、鳥の剥製の譲渡は禁止されていない。また、輸出証明を発行する制度を有しない国からの輸入は不法とされない抜けがある。種の保存法では生息地の所有者、占有者はその種の保存に留意する責務が課され、オオタカは食物連鎖の頂点に位置する種で、環境影響評価の中で評価されるべき。オオタカを種の保存法から解除せず、鳥獣保護法の改正こそ必要である。
(宮古「ミサゴの海」NO.231,P3)
●2013/8 佐渡
・放鳥野生トキの二世誕生と巣立ち
 S56年、野生のトキ5羽を一斉捕獲後、27年ぶりにH20年、佐渡の大空にトキが初放鳥された。H24年末までに計108羽が放鳥され、自然界ではS51年に孵化が確認されて以来、36年ぶりに昨年、8羽が孵化した。昨年末、日本文学振興会は佐渡トキ保護センターに菊池寛賞を贈った。H25/1/15現在、昨年生まれの8羽を含め、佐渡の野生のトキは77羽になる。環境省のトキ雛発育ライブ動画は37日間でアクセス数100万を超えたことは、国民の関心が高かったことを物語る。
(佐渡「いそひよ」NO.23,P2〜3)
・石名県有林の夏期鳥類相
 標高900mの同地は佐渡地域振興局により整備されている。その北東にある新潟大学演習林(標高700m)は環境省のモニタリングサイト1000で、陸生鳥類が調査されている。同サイトでは記録がないが、石名県有林では夏期にマミジロとホシガラスが確認されている。標高1000mに達しないこの地区に、本州の亜高山帯に分布するこの2種が生息するのは特記すべきである。
(佐渡「いそひよ」NO.23,P3〜4)
・稀鳥、珍鳥、迷鳥
 2012/5/29〜8/26、佐渡市でインドガン、佐渡新記録。4/28〜5/20、佐渡市でナベコウ、佐渡新記録。3/8、佐渡市でマナヅル成1。4〜5月、佐渡市でヒメコウテンシ1。4/19〜22、佐渡市でカラアカハラ夏羽1。佐渡新記録。
(佐渡「いそひよ」NO.23,P5〜6)
●2013/9 茨城県
・水戸市森林公園の秋のタカ渡り10年間の記録
 2003年から毎年8/15〜9/30、午前中、水戸市森林公園タカ渡り調査グループとして調査をしている。2012年の結果はサシバ総計537羽(内渡り422)、ハチクマ18羽(同14)、ピークは9/24のサシバ61羽であった。
(茨城県「」)
●2013/9 岡山県
・2013年のブッポウソウ
 吉備中央町は2012/10に、「希少野生動植物を保護する条例」を施行し、希少種にブッポウソウとニホンメダカが指定されている。町は理解を深めるため、パンフレット「私たちの町にやってくるブッポウソウ」を全戸に配布し、ブッポウソウのバッチを販売している。ブッポウソウ研究者Kさんを中心に小学校で観察会を行い、児童だけではなく町内外の方が来ている。7/23、「巣箱を目指して来るカメラマンのマナーが悪い」との苦情があり、農作業に影響する該当巣箱を撤去した。同町で撮影したブッポウソウの写真をネットで公開している例が67件あり、遠く関東地方のカメラマンもいた。
(岡山県「野鳥おかやま」No.198,P2)
・マミチャジナイ
 漢字では「眉茶hリ」、眉のある茶色のシナイ(古語でツグミやシロハラ)を指す。マミチャジナイの白い眉斑は雌や幼鳥では不明瞭なものもおり、アカハラの幼鳥には小さな眉斑がある時があり、識別に注意が必要。岡山県では旅鳥として秋はツグミより早く渡来し、渡来期間が短く、茂みの中でひっそり餌を採って、殆ど鳴かないため、気付きにくい。
(岡山県「野鳥おかやま」No.198,P3)
●2013/6 佐賀県
・カチガラス佐賀市内の生息数減 (5/13 佐賀新聞)
 県鳥のカササギの生態を知ってもらうため、支部が所有する巣の実物が銀行内に展示されている。木の枝や針金ハンガーが無数に絡み、縦横90cm、高さ60cm程の球形。カササギは毎年巣を変え、古巣は使わないとされる。電柱に作られた巣で電線がショートする恐れがあるため、電力会社は子育て終了を見計らって巣を撤去している。
(佐賀県「野鳥さが」NI.188,P4)
・国内最大級の鷹匠大会で最年少優勝(4/18 読売新聞)
 3月に千葉県で開かれた猛禽類を操る大会「フライトフェスタ」で18歳の女性が最年少で優勝した。小学2年でハヤブサを飼い始め、父親と調教を研究し、小学5年で鷹匠団体から鷹匠に認定された。佐賀の自宅で7羽を育て、農家からの害鳥駆除の依頼は引きも切らない。
(佐賀県「野鳥さが」NI.188,P5)
・ツバメの巣壊さないで (5/10 佐賀新聞)
 野鳥の会は5/10から始まる愛鳥週間を前に、環境省で記者会見し、「ツバメの巣を落とさず、見守って欲しい」と呼び掛けた。同会によると、ネットでの回答では、ツバメの減少原因として、「カラスの影響」に次いで、「人による巣の撤去」とある。同会の葉山政治自然保護室長は「ツバメは人と自然の共存を象徴する野鳥で、心にゆとりを持って見守って欲しい」と話す。
(佐賀県「野鳥さが」NI.188,P5)
●2013/8 長崎県
・ことわざ事典より
 「雉の隠」:頭隠して尻隠さず、「雉も鳴かずば撃たれまい」、「客と白鷺は立ったが見事」:客はあまり長居をしないこと、「鶏群の一鶴」、「鴻漸の翼」:大事を成し遂げる素質、「蝙蝠も鳥の内」、「権兵衛が種蒔きゃ烏がほじくる」、「鷺は洗わねどもその色白し」、「鷺を烏と言いくるめる」:白を黒と言いくるめる、「雀の涙」、「雀百まで踊り忘れぬ」、「鷹の目にも見落とし」、「鷹は飢えても穂をつまず」、「立つ鳥跡を濁さず」、「誰か烏の雌雄を知らん」:カラスの雌雄は分かりずらい、「(雀の千声)鶴の一声」
(長崎県「つばさ」NO.308,P2〜3)

(自然保護室支援・野鳥の会 神奈川/森 要)

愛知県支部バードウォッチング案内人研修会受講者募集

 県支部主催の探鳥会の案内人や弥富野鳥園での指導員を請けて戴くきっかけづくりとして案内人育成研修会を開催します。この機会に是非、ご参加ください。
【日時】
11月3日(日祝)〜4日(振休)
【場所】
豊田自然観察の森
【定員】
30名(費用は支部負担)
【応募資格】
愛知県支部会員である事。
探鳥会案内人、弥富野鳥園の指導員を目指す人。また、現在案内人、指導員をしていただいている方も参加可能です。 なお、主旨をご理解いただけるなら支部会員でなくても参加可能です。ただし、この研修会にかかる費用は愛知県支部で負担しますので愛知県支部以外の方には、支部会員になっていただくか、実費負担(4,000円程度)をお願いしたいと考えています。
【講師】
安西英明 (公財)日本野鳥の会主席研究員
【研修内容】
・案内人としての心得
・秋冬のバードウォッチングについて
・春夏のバードウォッチングについて ・実地研修等
【申込方法】
申し込みは、はがき、FAXのいずれかの方法で住所、連絡先、できればメールアドレス、懇親会の出欠を愛知県支部事務所までお送りください。
【問い合わせ先(愛知県支部事務局)】
日本野鳥の会・愛知県支部  〒462-0844  名古屋市北区清水5丁目10-8グリーンフェロー3A
(月・水)10:00〜15:00 (土)10:00〜17:00 TEL&FAX 052-912-9531

(日本野鳥の会愛知県支部/新實豊)

ブロックからのお知らせなど

2013年度中部ブロック協議会報告 中部ブロック協議会議報告(2013年9月6〜7日)

 日本野鳥の会三重(以下「三重」といいます。)の皆さんが主管団体として、2013年9月6日午後から同7日昼にかけ、三重県津市を会場に、第21回中部ブロック会議(9県21支部等で構成。)が開催されました。
 今回は21支部のうち、15支部等から31名の代表者の皆さんが、また、財団からの2名と地元「三重」の役員・スタッフの皆さんも含めると、参加者は総勢63名と、大変盛会でした。
 会議は、「三重県における鳥類保護問題」「猛禽類等の感電事故対応について」「あわら風力発電の現状」「富士五湖のカナダガン捕獲作戦」「撮影マナーについて」「サギコロニーと河川改修」「探鳥会保険・探鳥会スタッフ通信について」など、6支部等と財団からの報告等を受けて、会場からの質疑応答も交えて活発な議論がなされました。
 また、協議事項として愛知県支部から提案のあった「支部会員が減少する中で、どのようにして会員増を図るか」についても、財団から全国各地の取り組み等を紹介しながら議論が進みました。  その後、講演会(1)として、「鈴鹿山脈のイヌワシ・クマタカと森林文化」と題して、滋賀県野洲市在住の山崎亨講師から、鈴鹿山系でのイヌワシの現状等、貴重な問題提起をいただきました。 さらには懇親会の途中でしたが、講演会(2)として、「三重」会員の今井光昌さんから「三重のシギ・チドリの紹介」と題して、特に、津市内の汽水池で連日のように観察・記録されたセイタカシギの、繁殖・巣立ちの貴重な様子を、生態写真やアルコールが入っての絶妙?な解説で、参加者を魅了いただきました。
 翌7日(日)は朝から雨が降ったりやんだりと、あいにくの天気でしたが、「三重」の皆さんの誘導のもと、津市の海岸や汽水池で、前夜で紹介されたセイタカシギをはじめ、シギ・チドリ類を中心に多くの鳥種を観察することができました。 平井代表をはじめ、「三重」の皆さんの御尽力で、楽しい思い出を持ち帰ることができたことを感謝申しあげ、報告とします。

(公益財団法人日本野鳥の会常務理事/佐久間 仁)

シリーズ「探鳥会におけるリスクマネージメント」

探鳥会におけるリスクマネージメント

シリーズ第7回:ツキノワグマ

 世界には、クマの仲間が8種知られており、わが国にはツキノワグマ(亜種ニホンツキノワグマ)とヒグマ(亜種エゾヒグマ)の2種が生息している。 ツキノワグマは、本州・四国・九州に生息する中型のクマで、九州では絶滅状態といわれている。また、下北半島、紀伊半島、東中国地域、西中国地域、四国山地の個体群は、保護に留意すべき地域個体群として環境庁のレッドデータブックに掲載されている。 稀少な大型獣類で、出会おうと思ってもめったに出会えるものではないが、一般的には必要以上に恐れられている。ツキノワグマによる人身事故の被害者数は2004年に109人(内2名死亡)、2006年に145名(内3人死亡)、2010年は147名(内2名死亡)と増加傾向にあ るものの、死亡者数においてはハチによる死亡者の比ではない(ハチによる死亡者は年平均約43人、ヒグマについても過去50年間で死亡者は年平均1人)。従って、ツキノワグマの生態や対処法を知っていれば、一般的にイメージされているほど危険な生物ではないのだ。

*ツキノワグマはどんな生物?

 全身が黒色で、胸に白い三日月模様がある。頭からお尻まで120〜145cm、体重70〜120kg、北海道を除けばわが国に棲む最大の陸生哺乳類。 春は、ブナの若芽や草本類、夏はアリやハチなどの昆虫類、秋にはミズナラ、サルナシなどの木の実を多く採食する。ごく稀に牛などの哺乳類を捕食することもあるが、哺乳類を餌とする割合はヒグマに比べると低い。冬季大木の樹洞や岩穴などで冬眠し、冬眠中に1〜2頭の子供を出産する。

*クマに出会わないためには?

 被害を防止するためには、まずクマに出会わないことが肝要だ。その地域における生息状況や、出没情報を把握しておくこと。また、山歩きするときは独りで入らず、おしゃべりしながら歩いたり、鈴をつけたりしながら歩き、こちらの存在をクマに知らせることが重要である。 クマがこちらの存在に気がついたら、ほとんどのクマは立ち去る。また、クマの糞や、クマ棚を見つけたら要注意。そこはクマの行動エリアであるので、深入りしないことだ。なお、子グマを見かけたら絶対に近づいたりせずに速やかに立ち去ること。近くに親グマがおり、母性本能を刺激された親グマは非常に危険だ。

*もしもツキノワグマに近くで出会ってしまったら?

 ふつうの場合、クマに遭遇することはまずない。しかし、ドングリ類が凶作の年などには、人里に頻繁に出没するなど異常な行動をとることがあるため、クマと出くわすことも考えられる。 そのようなときのために、私たちがとるべき対処法を、状況別に紹介しておこう。

【ケース1】 クマが逃げない、または近づいてくる場合(クマとの距離は数10m以上離れている)

【ケース2】 近い位置で遭遇し、後ろ足で立ち上がった場合

【ケース3】 クマが突進行動を開始した場合

【ケース4】 ストレスを感じる行動が見られた場合

【ケース5】 3〜4mまで迫ってきた場合

■その他参考事項

*ザックを置いて逃げるべきか?

*木に登ることの是非?

*クマよけの道具について

【補足】ヒグマの場合

ヒグマの場合の対処法は、基本的にはツキノワグマの場合の対処法と同じだ。ただし、食性は基本的にはアキタブキなどの植物性ではあるが、ツキノワグマに比べると肉食性がちょっと強いことや、体サイズがかなり大きいことなどに留意しておく必要がある。 ツキノワグマの対処法と若干異なるのは、特にケース3〜5の場合だ。 この他、自分の獲物への執着心が異常に強いことから、道ばたにシカなどの動物の食べ残し等があったら、絶対近づかないことが肝要だ。 北海道では、牛などを襲った場合、食べきれない肉を泥団子状にして残しておくことが知られている。 林内で、オジロワシが飛び出した場合なども、エゾジカの死体がある可能性が高いので、安易に近づくことは危険だ。

(公益財団法人日本野鳥の会理事長 佐藤仁志)

事務局からのお知らせなど

自然保護室より

■ナベヅル・マナヅルの飛来状況調査 ご協力のお願い■

 10月に入り、ナベヅル、マナヅルの渡来時期となりました。自然保護室ではツル保護事業の一環として、毎年、出水地域以外の飛来状況を調査しています。皆さまにはいつもご協力いただき、誠にありがとうございます。
 今年度も実施することになりましたので、この冬に出水市以外でナベヅルまたはマナヅルを確認された場合は、情報(ツルの種類、飛来期間、羽数、確認場所、生息環境など)を随時お寄せいただきたく、よろしくお願いいたします。 専用の調査用紙がありますので、下記までご連絡ください。メール添付またはFAXにてお送りします。

≪調査用紙請求先、お問合せ≫
自然保護室 伊藤 Eメール:[email protected]
電話:03-5436-2633 FAX :03-5436-2635

(自然保護室/伊藤 加奈)

■モニタリングサイト1000(森林・草原) 鳥類調査研修会を開催します■

 当会では、環境省のモニタリングサイト1000(正式名称:重要生態系監視地域モニタリング推進事業)の森林・草原一般サイトを担当しています。
 本事業では、全国の森林や草原に約400か所の調査地点を設け、100年間観測することによって生態系の変化を早期に把握し、生物多様性保全のための施策に活かすことを目指しています。 このような、大規模かつ長期的な調査には、調査員のみなさまの継続的なご協力が欠かせません。また、次世代の調査員の確保も必要です。 そこで、今年も研修会を全国4か所で開催します。これまでの研修会では、主に調査方法の説明を主に行なってきましたが、今年度からは、各地域で様々な調査活動をされている方の成果発表や情報交換を通して、参加者同士の交流を深めることを主な目的として実施します。
調査経験に関わらず、興味があればどなたでも参加できます。  参加希望の方は、当会ホームページか、FAX、郵便にてお申し込みください。皆様のご参加お待ちしております。

<案内詳細>

日時と会場
① 2013年12月14日(土)〜15日(日)仙台市民活動サポートセンター&台原森林公園
② 2014年1月11日(土)〜12日(日)九州大学伊都キャンパス&同生物多様性保全ゾーン
③ 2014年1月25日(土)〜26日(日)グリーンビレッジ交野&大阪市立大学理学部附属植物園
④ 2014年2月8日(土)〜9日(日)野鳥の会事務所&国立科学博物館附属自然教育園
内容
  • 1日目午後から
    室内講義:モニタリング1000の事業概要とこれまでの成果の紹介。
    調査方法の説明。参加者による事例発表※と情報交換。講義終了後、懇親会。
    ※支部活動、個人の活動に関わらず、話題を提供いただける方を募集します。
  • 2日目午前のみ
    野外実習:鳥類のスポットセンサス法と簡易植生調査の実習。
参加対象
鳥類の調査に興味のある方(経験不問)
(会場の定員を超えた場合は参加できないことがあります)
参加費
無料(ただし懇親会は実費を徴収)
参加申し込み先
  • インターネット
    https://www.wbsj.org/activity/conservation/research-study/monitoring1000/moni1000-training/
  • 郵送またはFAX
    「日本野鳥の会 モニタリングサイト1000事務局」まで
    〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
    FAX:03-5436-2635
    氏名、お電話番号、メールアドレス(あるいはFAX番号か住所)、参加会場、参加日程、事例発表の有無、懇親会参加の有無をお知らせください。

(自然保護室/荒 哲平)

普及室より

■80周年記念写真展「未来に残したい鳥風景」写真募集■

 日本野鳥の会は、2014年に創立80周年を迎えます。普及室では創立80周年を記念して、キヤノンマーケティングジャパン様にご協力いただき、写真展「未来に残したい鳥風景」を開催することになりました。 この写真展では、未来に残していきたい野鳥と野鳥のいる風景を全国の野鳥写真愛好家の方々からご応募いただき、写真展として多くの方々に見ていただこうというものです。これまでの80年を振り返りながら、今後の野鳥保護への決意を新たにしていく機会としたいと考えております。

●テーマ:未来に残したい鳥風景
●応募受付期間:2014年4月5日〜4月30日
●応募要項は当会ホームページで公開します。要項の郵送をご希望の方は、下記までお問い合わせください。
●お問い合わせ:普及室 普及教育グループ
電話:03-5436-2620 FAX:03-5436-2635 メール[email protected]

くわしくは、会誌「野鳥」11月号、および当会ホームページ(10月下旬掲載予定)に掲載します。たくさんのご応募をいただきたく、ぜひ会員のみなさまへご周知をお願いいたします。

(普及室/江面 康子)

総務室より

■支部名称等変更のお知らせ■

名称変更などがあった支部についてお知らせいたします。
今月は支部名称等の変更はありません。


会員室より

■野鳥誌のリニューアルについてのお知らせ■

 来春、4月号(3月20日発行)をもちまして、野鳥誌のリニューアルを行ないます。以前より、読者のみなさんから「文字を大きくして、読みやすくしてほしい」「もっと野鳥写真を大きくしてほしい」といった要望が多かったことから、来年に控えている創立80周年を機に、現行のB5判からA4判へと大判化し、オールカラーにします。 予算と発行号数については、現状を維持します。
 内容については、毎号、巻頭特集を企画ものにし、野鳥をとりまく環境問題や、日本の自然、野鳥文化などを伝える内容にしていこうと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

(会員室/柵 さち子)

■会員数■

10月1日会員数37,585人(対前月-69)会員数は先月に比べ-69人減少しました。 9月の入会・退会者数の表をみますと、入会者数は退会者数より50人少なくなっています。会員の増減は入会者数と退会者数のほかに、会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活した人数によって決まります。9月の入会者数は97人で、前年同月の入会者105人に比べ8人減少しました。また、9月の退会者は147人で、前年同月の退会者181人に比べ34人減少しました。

 表1.9月の入会・退会者数

※会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活する方がいらっしゃるため、退会者数の年度累計は、実際の退会者数とずれた数字となります。このため、退会者数合計については年度末の集計後にお知らせいたします。

●都道府県および支部別会員数
 野鳥誌贈呈者数を除いた数を掲載します。

 表2.都道府県別の会員数(10月1日時点)

備考:その他は海外在住の会員を示します。

 表3.支部別の会員数(10月1日現在)

備考:支部別の会員数の合計は、都道府県別の会員数の合計と異なります。これは、本部型(青い鳥)会員や支部に所属されていない個人特別会員が支部別の会員数に含まれないためです。

(会員室/沖山展子)

■支部ネット担当より

 秋の味覚が美味しい季節となりました、。皆様いかがお過ごしでしょうか。いつも支部ネット通信をご愛読いただき有難うございます。
 さて、今回の探鳥会におけるリスクマネージメントのテーマはツキノワグマです。今年はツキノワグマの餌となるブナの実が凶作であることから集落へ出没する可能性が高いと言われています。ツキノワグマに出会ってしまった時の対策などをご参考にしていただき、探鳥会などで屋外へお出かけの際は十分に気をつけてください。

■支部ネット通信は支部の代表の方に電子メールでも配信をしています。電子メールでの配信を希望される支部の代表の方は下記メールアドレスまでお気軽にお申し込みください。



支部ネット通信 第115号
◆発行
日本野鳥の会 2013年10月22日
◆担当
総務室 総務グループ 奥田秋穂/植月智子
〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23
丸和ビル
TEL:03-5436-2620
FAX:03-5436-2635
E-mail:[email protected]