■イヌワシ保護のため鉱山計画の見直し要請■
発表した内容は、下記のとおりです。一部内容は省略しています。このプレスリリースの全文は、当会ホームページからご覧いただけます。
http://www.wbsj.org/press/110118.html
日本野鳥の会三重と(財)日本野鳥の会は太平洋セメント株式会社に対し
絶滅危惧種イヌワシの保全のため
三重県いなべ市の藤原鉱山新鉱区の計画を見直すことを要請しました
2011年1月18日
日本野鳥の会三重(事務局:三重、代表:平井正志)、と財団法人日本野鳥の会(事務局:東京、会長:柳生博、会員・サポーター数約5万1千人)は、1月18日、太平洋セメント株式会社に対して、三重県いなべ市における藤原鉱山およびその周辺の新鉱区の採掘計画について、絶滅の恐れがあり国の天然記念物に指定されているイヌワシの保全のため、計画の見直しを求める要請書を提出しました。また環境省、文化庁、経済産業省、いなべ市、三重県に対し、本件に関する太平洋セメントへの助言と指導を求めました。
藤原鉱山およびその周辺の新鉱区の採掘については、同社により現在、環境影響評価のため各種調査などが進められています。日本野鳥の会三重の調査によれば、この採掘計画の事業地周辺でイヌワシ1つがいの生息が確認されており、その営巣や採食に影響が予測されることが判明しました。
<以下、略>
日野鳥発第52号
2011年1月18日
太平洋セメント株式会社
代表取締役社長 徳植桂治 様
日本野鳥の会 三重 代表 平井正志
財団法人日本野鳥の会 会長 柳生 博
藤原鉱山およびその周辺の新規開発についての要請
厳寒の候、貴職におかれましては益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。
さて、貴社が現在、三重県いなべ市藤原町において計画されている藤原鉱山およびその周辺の新鉱区の採掘については、これまでも日本野鳥の会三重からご意見申し上げてきているところです。
貴社が新たに採掘を計画されている2鉱区のうち1カ所、治田鉱区は絶滅のおそれのある鳥類であるイヌワシの営巣地に極めて近く、ここで採掘が開始されると、近接して繁殖するイヌワシのひとつがいは確実に営巣を放棄すると想定されます。また、もう一方の藤原岳山頂に近い山頂鉱区もイヌワシの採餌場所と想定されるので、基本的には開発すべきでありません。
<以下、略>
■支部報保護・調査記事関連トピックス■
本記事は日本野鳥の会本部に送付されてきている各地の支部報から抽出して作成し、調査・保護に関心がある野鳥の会内部の方へ配信しております。
本記事の一部又は全部を不特定多数が見る可能性があるところへ公開される場合は、各支部の了承を事前に得て下さい。記事は筆者の意向に反しないように、取り扱いをお願いします。
○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.545
●2010/12 オホーツク
・野鳥が衝突してからでは遅い
・一斉海岸調査2010結果
●2010/12 東京
・コアジサシ繁殖調査と保護活動
・新しい東京都産の鳥の記録
・キジ
・チュウヒ
●2010/12 ひょうご
・アオゲラ、アカゲラ、オオアカゲラの地鳴き
●2010/12 香川県
・紫雲出山秋のワシタカ渡り調査
●2010/12 高知
・カワウ調査
●2010/12 山口県
・2010年秋期第75回シギ、チドリ類県内一斉調査結果
●2010/12 筑豊
・2010年秋ハチクマの渡り調査
●2010/冬 鹿児島
・悪石島のアカハラダカ
・電線で休むツバメ
・大隅半島ワシ・タカ探鳥会
●2010/12 オホーツク
・野鳥が衝突してからでは遅い
函館市汐首岬での支部、調査会社の調査結果は「渡り鳥のルートが存在する」であるが、影響評価検討委員会は2回目以降の会合は当面見送りとなり、事業可否の判断の社会的責任を果たしていない。せたな町ではオオワシが風車で衝突死、結局「総合的判断」「費用対効果」の言葉で仕方がないになっている。事前の環境調査を法的に義務付ける必要がある。事後のモニタリングも法的に位置づけが必用である。
(オホーツク「ばあどこおる」NO.283,P2〜3)
・一斉海岸調査2010結果
2006年、知床ウトロ海岸が油汚染で5,600羽の海鳥の死体が漂着した事を受けて、毎年4月道内一斉海岸調査を続けている。今回は25地点、計55qの海岸線を調査した。網走市、小清水町、北斗市等で油付着した海鳥の羽根を確認している。
(オホーツク「ばあどこおる」NO.283,P6)
●2010/12 東京
・コアジサシ繁殖調査と保護活動
東京世田谷区多摩川ではコアジサシの主な営巣地は4個所あるが、2、3年毎に場所を変えており、今期は集団繁殖は無かった。中洲の草地化、捕食者等が影響してと推測。大田区との区境で03年:29巣、04:41、08:49、09:60。第三京浜上流で02年:90巣、04:37、05:75、07:67。新二子橋上流で07年:2巣、2010:1等であった。繁殖の推移を見ると、06年に成鳥120羽、雛19羽、幼鳥14羽、07年に成鳥123、雛31、幼鳥0で、2010年は成鳥50、雛2、巣立ち無しであった。
(東京「ユリカモメ」NO.662,P14)
・新しい東京都産の鳥の記録
08/5:江戸川区の親水公園でシロエリオオハムが撮影された。短時間留まっていた。2010/5:葛西海浜公園でアカアシカツオドリが確認された。亜成鳥でユリカモメ、ウミネコのモビングを受け、夕方三番瀬方面へ飛び去る。
(東京「ユリカモメ」NO.662,P15)
・キジ
キジは現在、環境省の管轄下、日本猟友会の手で飼育、放鳥されている。その数、04年には10万羽と言われ、殆どが狩猟よりは他の動物の餌食になっていると推測される。キジは古名はきぎし、きぎすで「鳥名の由来辞典」では「きぎ」は鳴声、「す」は鳥を表す接尾語とある。
(東京「ユリカモメ」NO.662,P18)
・チュウヒ
国内のチュウヒ繁殖番は約60番で、イヌワシの約650羽、クマタカの約1,800羽に比べ、桁違いに少ない。冬期に大陸から渡来する個体を見る事もある。英国では19世紀にヨーロッパチュウヒが絶滅したが、「英国鳥類保護協会」の保護活動で現在350番まで回復している。今度は我々が動く番である。
(東京「ユリカモメ」NO.662,P23)
●2010/12 ひょうご
・アオゲラ、アカゲラ、オオアカゲラの地鳴き
アオゲラ、アカゲラの地鳴きは共に「キョッ、キョッ」で野外では区別は難しい。声紋を見ると、共に音の高さの範囲は同じであるが、アオゲラは1〜3、5kHzの間に3つの倍音が出ており、アカゲラは2つしか出ない。アオゲラは「ケケケケ」と連続する高い音の地鳴きがあり、聞き分けの手掛かりになる。オオアカゲラはアカゲラとほぼ同じ声紋で、声紋からでは区別ができない。
(ひょうご「コウノトリ」NO.179,P28〜29)
●2010/12 香川県
・紫雲出山秋のワシタカ渡り調査
9/18〜10/7の内7日間、調査した。岡山方面から瀬戸内海を渡って紫雲出山で上昇し、南下するのが見られる。今年は7日間でサシバ249、ハチクマ70、計319で、約10年間の調査では7日間で瀬戸内海を300〜500羽のタカが渡って来る。
(香川県「かいつぶり」NO.323,P3〜4)
●2010/12 高知
・カワウ調査
支部は県からの委託でカワウを調査している。アユ遡上期(5〜6月)の高知県下のカワウの数は、H15年に124羽、繁殖地1個所が、H22年には、764羽、繁殖地3個所に増えている。
(高知「しろぺん」NO.288,P3〜4)
●2010/12 山口県
・2010年秋期第75回シギ、チドリ類県内一斉調査結果
9/12、県下21個所で実施した。計27種、769羽を確認した。内訳はソリハシシギ195、シロチドリ135、トウネン77、キアシシギ58、メダイチドリ41、イソシギ35、オグロシギ34、タカブシギ33、アオアシシギ32、コチドリ18、ホウロクシギ13、ムナグロ13、チュウシャクシギ12、タシギ12等。
(山口県「「やまぐち野鳥だより」NO.212,P14)
●2010/12 筑豊
・2010年秋ハチクマの渡り調査
9/14〜10/21のロング調査、六ケ岳を総計1,583羽のハチクマが通過した。ピークは9/28の858。その他の観察場所では剣岳で9/28、ハチクマ794が最大、尺岳登山口で9/28、539が最大であった。9/28〜29、ハチクマは一気に渡ったようで、北九州、福岡でも同じ傾向であった。
(筑豊「野鳥だより・筑豊」NO.394,P16〜18)
●2010/冬 鹿児島
・悪石島のアカハラダカ
9/23〜29、トカラ列島の悪石島へ行った。9/24:朝6時〜20分間に約1千羽のアカハラダカが南へ向かい、その後東へ向きを変える。9/25:アカハラダカ70。9/29:朝7時前後にアカハラダカ計197羽が南を向かう。その他印象深い鳥はキマユツメナガセキレイ15羽の群、キガシラセキレイ、シマアカモズ、オオモズ、コホオアカ等。
(鹿児島「るりかけす」NO.128,P9〜10)
・電線で休むツバメ
ツバメは養鶏場の鶏の糞に発生するアメリカミズアブを求めて集まり、満腹になると、電線で多数が休む。朝9時から夕方4時頃までその様子が見られ、その後塒へ向かう。今年のこの電線でのツバメの数は知覧町では9/3に最大1,860羽、永吉町では9/3に最大6,200羽に達し、共に10月中旬には見られなくなる。
(鹿児島「るりかけす」NO.128,P12)
・大隅半島ワシ・タカ探鳥会
10/11、稲尾岳(照葉樹の森)で観察した結果、9:00〜10:30、サシバ195羽、11:00〜13:00、サシバ538羽であった。その他、ハイタカ1、ノスリ3、チゴハヤブサ7、チョウゲンボウ1、ハヤブサ類3が通過した。
(鹿児島「るりかけす」NO.128,P13)
○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.546
●2010/12 神奈川
・保護と駆除の関係は
・秋の多摩川河口シギ、チドリ調査結果
●2010/12 伊那谷
・チョウゲンボウ
・ブッポウソウ
●2011/1 愛知県
・愛知県学生科学賞
●2010/12-1 京都
・地味で律儀なコムクドリ
・2010年タカの渡り一斉調査報告
・鴨川のカモたち
・ウズラクイナ
●2010/12 熊本県
・2010年、秋タカの渡り調査報告
・ツバメの塒入りと塒発ち観察
・2010年三池島調査
●2010/12 神奈川
・保護と駆除の関係は
保護再生と駆除は生態系の保全という意味で同じ作業かもしれない。ソウシチョウはウグイスと同じような生息環境の笹藪に巣を作り、巣の密度が濃くなると、イタチやテンが入り込み、ウグイスも被害を受ける事になる。カワウは鮎を捕食するとして、猟銃で追い払いや駆除は、渡来するカモ類へ少なからず悪影響を与えている。外来種や増えすぎた在来種を駆除するだけでなく、その原因を取り除く事が重要である。計画的な環境管理が望まれる。
(神奈川「はばたき」NO.463.P2)
・秋の多摩川河口シギ、チドリ調査結果
8/28、9/11、干潮時刻を挟んで各3時間実施した。結果は8/28:キアシシギ19、シロチドリ15、メダイチドリ14、トウネン10、ソリハシシギ9等、総計71。9/11:トウネン9、メダイチドリ7、ソリハシシギ6、シロチドリ5等、総計38。当地の秋のシギ、チドリの個体数はかなり減っており(多摩川河口野鳥クラブ)、隣接する東京港野鳥公園でもソリハシシギ、コチドリは増加傾向にあるが、メダイチドリ、アオアシシギ、キアシシギ、オグロシギ等多くの種で減少傾向にある。
(神奈川「はばたき」NO.463.P9)
●2010/12 伊那谷
・チョウゲンボウ
チョウゲンボウは古く奈良時代から、ノスリと共に鷹狩りに使えない鷹の蔑称、マグソダカ、クソッタカと呼ばれた。チョウゲンボウが我国で初めて繁殖確認されたのは1942年、伊那谷である。地元では小さなタカの意味でスズメタカと呼んでいた。自然の崖での繁殖が、70年代後半より全国各地で人工の崖で繁殖するようになった。
(伊那「かわせみ」NO.31,P2)
・ブッポウソウ
今年、伊那谷では11個所でブッポウソウの繁殖が確認された。飯島町でも6年前から飛来しているが、営巣に適した場所はムクドリ、スズメ、チョウゲンボウに使われ、なかなか繁殖に至らなかったが、今回、巣箱を設置し、4羽の巣立ちが確認できた。同巣に運んだ餌は、多い順にコガネムシ類、トンボ、カミキリムシ、タマムシ、アブ、セミ、カワゲラ、蛾類となっている。
(伊那「かわせみ」NO.31,P6)
●2011/1 愛知県
・愛知県学生科学賞
10月、第54回愛知県学生科学賞で募った中高生の理科研究作品で、「コアジサシのデゴイに対する反応性」(阿久比高校理科部)が優秀賞を取った。多くのデゴイを作り、その反応を撮影し、解析した。同校理科部担任と当支部は、その成果を県へ説明し、同地への防災訓練での立入時期変更を申し入れた。支部はこの研究活動を支援していきたい。
(愛知県「愛知の野鳥」NO.287,P10)
●2010/12-1 京都
・地味で律儀なコムクドリ
コムクドリは京都では旅鳥で、会報で京都府内の記録を見ると、4/21〜5/5の間に3/4が記録されている。夏鳥でこれ程の短期間に集中する種も少ない。秋は見る数は少なく、9月いっぱい残りの記録1/4がほぼ均等に通過する。
(京都「そんぐぽすと」NO.167,P7)
・2010年タカの渡り一斉調査報告
9/26、京都府宇治市岩間山、滋賀県近江市猪子山、滋賀県近江市太郎坊、他6個所で、一斉調査した。岩間山でサシバ2,577、ハチクマ200、ノスリ21等、総計2,821。太郎坊でサシバ1,065、ハチクマ146等、総計1,228。猪子山でサシバ1,072、ハチクマ、ノスリ11等、総計1,176。岩間山では前日の9/25にも800羽近くが通過し、この2日間で、シーズン中の6割が集中し、いつもは連動する猪子山の2倍以上に達した。
(京都「そんぐぽすと」NO.167,P10)
・鴨川のカモたち
京都市内の鴨川(出町橋〜丸太町橋)を1978年から毎日見ている。1984年頃より、カモが群で飛来するになった。コガモは1981年に1羽がその後は数が増え、安定している。オナガガモは1984年に14羽が徐々に増え、1991年〜1996年はピークであったが、その後徐々に減り、最近はかなり少ない。ヒドリガモは1985年の9羽がオナガガモと入れ代わって数が多くなっている。
(京都「そんぐぽすと」NO.167,P12〜13)
・ウズラクイナ
10/16〜17、巨椋干拓田にウズラクイナが出現し、撮影された。本邦初確認?(2度目らしい)。ユーラシアからアフリカへ渡るのが迷行したのだろう。
(京都「そんぐぽすと」NO.167,P23)
●2010/12 熊本県
・2010年、秋タカの渡り調査報告
9/10〜10/18、県内22個所と他県との境の4個所で調査した。アカハラダカは今年は渡りが遅れ、9/10頃から観察され出した。対馬で総数4万、熊本では4千しか捕捉できなかった。共に例年の1割程度と少なく、前線を避けて、朝鮮半島から黄海を渡り、山東半島方面へ向かったのか。ハチクマは五島の大瀬崎の数と長野県の数が比例しない事もあり、朝鮮半島からの南下個体も混じるようである。県北では成鳥の比率が高く、県南では幼鳥に比率が高いと予想されるが、確認されていない。サシバは県内では本格的な渡りは10/6〜10/18にあった。薩摩半島から南下するサシバの実態を支援するための調査では、その方向へ向かうサシバ計278羽が確認された。
(熊本県「野鳥くまもと」NO.281,P2〜11)
・ツバメの塒入りと塒発ち観察
熊本市平成でツバメの塒を観察した。塒入りは日の入り時刻頃から始まり、20分程で終わるが、日の入り時刻が早くなるにつれて、塒入りも早まる。塒発ちは日の出30分程前から始まり、15分ほどで完了する。数十羽〜2千羽の集団が次々に飛び立つ。塒発ち総羽数は8/26頃最大で、9月に入ると急速に減った。
(熊本県「野鳥くまもと」NO.281,P28〜30)
・2010年三池島調査
樋口広芳氏(東大大学院農学生命科学研究科 生物多様性科学研究室)の協力参加申し出で、7/10、三池島でべニアジサシ20羽にジオロケーター(超小型位置計測機)を装着した。来季の再捕獲を目指す。今季確認べニアジサシ最大数は6/12に592羽、その数は02年、05年、08年は極めて少なく、その間の年は500〜700羽が確認される。
○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.547
●2011/1 道南桧山
・第1回津軽海峡野鳥センサス報告
・島根県での鳥インフルエンザ
・ムクドリ大量死 (2010/9/28 北海道新聞)
●2011/新春の巻 弘前
・真夏のキンクロハジロ
●2011/1 東京
・マリーンIBAと海鳥たちの状況
・東京の鳥シンポジウムから得られたこと
・東京港鳥獣保護区の区域の縮小について
●2011/1 甲府
・自然林と里山の鳥類
●2011/1-2 ひろしま
・野鳥密猟問題シンポジウムin愛媛
●2011/1 長崎県
・サンショウクイの生息地拡大について
●2011/1 宮崎県
・日南市にオオワシ (宮崎日日新聞)
・2010・金御岳のサシバ
・スズメも都市部で少子化 (11/18 毎日新聞)
●2011/1 道南桧山
・第1回津軽海峡野鳥センサス報告
9/17深夜(22:50〜02:00)、津軽海峡恵山岬沖〜竜飛岬沖をフェリー後部デッキから観察した。目視と地鳴きによる野鳥確認で、恵山岬-汐首岬、函館山、白神岬の3個所から深夜に本州へ渡る小鳥のグループがあった。記録された頻度から白神岬から竜飛岬へ渡る個体が最も多い。函館山から海峡へ出る個体も予想外に多く記録された。鳴かずに通過する個体、高い高度を移動する個体もいるであろうから、このセンサス調査に自ずと限界があるが、繰り返して、調査をしていく。
(道南桧山「はちゃむ」NO.93,P7〜9)
・島根県での鳥インフルエンザ
新聞報道によると、11/30、島根県で鳥インフルの疑いが出て、12/2には高病原性を確認、防鳥ネットに問題がある事が指摘され、12/6までに21,500羽の養鶏焼却防疫処置が完了した。行政の対応の素早さが病変拡大を防止した。
(今回の他県の事例では? 森)
(道南桧山「はちゃむ」NO.93,P9)
・ムクドリ大量死 (2010/9/28 北海道新聞)
岩見沢市内の空き地でムクドリが大量に死んでいるのが見つかり、空知総合振興局が9/27日までに計114羽の死骸を回収した。(死因は不明の由)
(道南桧山「はちゃむ」NO.93,P12)
●2011/新春の巻 弘前
・真夏のキンクロハジロ
この夏、横浜市の菊名池公園でキンクロハジロが、本州では初めての繁殖記録として注目を集めた。羽根を傷めて越夏した番から生まれたようで、雛は当初の3羽が1羽になっていた。雛は母親を倣って人からパンを貰う事を覚えてしまい、本州初の繁殖も、餌付けがあったからできた可能性も否定できなくなる。弘前公園のオシドリも人から餌を貰うのを覚えて、何年も経つ。
(弘前「初列風切」NO.162,P5)
●2011/1 東京
・マリーンIBAと海鳥たちの状況
本部とバードライフが進めている「マリーンIBA」で、減少する海鳥の実情、その原因が映し出された。世界の海鳥約330種の1/3に絶滅の恐れがあり、日本で繁殖する海鳥38種でも23種が絶滅の危機にある。伊豆諸島では9種の海鳥が繁殖しているが、その実態解明はされていない。小笠原諸島では66個所の調査で、20種の海鳥の生息、内15種の繁殖を確認している。
(東京「ユリカモメ」NO.663,P15)
・東京の鳥シンポジウムから得られたこと
11/4のシンポジウムで確認できた事がある。目的を持ったNPO、NGOが次々に立ち上げられ、当会のような「任意団体」は単なる趣味人の集まりと見做されがちであるが、当会は調査や保護に関わる真っただ中にある「ひとつ」の自覚を持つ必要がある。当会はこのようは事では先駆け的存在であったが、少なくとも地元(東京)の自然環境保護、保全について、それなりの見識と発言が求められている。
(東京「ユリカモメ」NO.663,P15)
・東京港鳥獣保護区の区域の縮小について
10月、羽田空港D滑走路併用に伴い、東京港鳥獣保護区が除外された事に当会は当初異議を表していたが、野鳥衝突での航空機事故は絶対回避しなければならず、当地の生物多様性がより実効的に保全される事の意見書を付けて賛意を出した。他の地区には特別保護区指定を求めている(葛西海浜公園東なぎさ、西なぎさ、葛西臨海公園一帯、森ヶ崎の鼻干潟一帯、多摩川河口干潟一帯)。
(東京「ユリカモメ」NO.663,P20)
●2011/1 甲府
・自然林と里山の鳥類
富士山5合目の亜高山帯上部、2合目のブナ林、富士山の里山、都留市の里山で5〜7月、出現野鳥種類数を調査した。種数が最も多かったのは、富士山の里山、少ないのは5合目であった。自然環境評価には野鳥種数のみでなく、野鳥の個体数、その環境の利用状況、植生、他の動物相の調査も必要になる。
(甲府「カワセミ」NO.113,P5)
●2011/1-2 ひろしま
・野鳥密猟問題シンポジウムin愛媛
11/27、28、松山市で全国野鳥密猟対策連絡会(密対連)主催で開催された。全国から約60名の参加、当会も4名参加した。全国の現状、四国四県の取り組みが報告された。2012年から始まる第11次鳥獣保護事業計画策定に向けて、既に24都道府県で実現されているが、野鳥の愛玩飼養制度廃止への取り組みが大きなテーマである。山階鳥研の茂田研究員によるメジロ識別研修もあった。密対連は「かんたんにわかる鳥獣保護法」を発行している。
http://gwbsj.neovenezia.ddo.jp/law.pdf
(ひろしま「森の新聞」NO.172,P7)
●2011/1 長崎県
・サンショウクイの生息地拡大について
バードリサーチによると、西日本ではサンショウクイは増加に転じており、その多くは亜種リュウキュウサンショウクイである。沖縄本島の山岳地帯では通年見られ、鳴声も少し短く、濁った感がある。春に宮崎県で亜種リュウキュウサンショウクイがよく見られた。
(長崎県「つばさ」NO.280,P8)
●2011/1 宮崎県
・日南市にオオワシ (宮崎日日新聞)
2010年県支部10大ニュースより。2009/12、日南海岸でオオワシが撮影された。冬季に南下するが、宮崎県での確認は初めてである。
(宮崎県「野鳥だよりみやざき」NO.223,P6)
・2010・金御岳のサシバ
今期、金御岳でのカウントでは歴史的な酷暑に関係なく、例年とほぼ同じく累計19,266羽のサシバが通過した。ピークは10/11の3,435羽であった。福岡県を通過したサシバは殆どが薩摩半島を通る、枕崎をかなりのサシバが通過するとの情報で、新たな知見を知る。11/28のNHKハイビジョンで金御岳を通過するサシバの光景が全国に放映された。サシバ観察地として金御岳をPRしていきたい。
(宮崎県「野鳥だよりみやざき」NO.223,P14〜16)
・スズメも都市部で少子化 (11/18 毎日新聞)
岩手医科大学三上修助教授の調査によると、スズメはこの20年程で1/2に減った可能性があるという。熊本県で親鳥が連れている巣立ち雛を調べると、市街地では1羽、農村部では2〜3羽が多かった。バードリサーチの「子雀ウオッチ」では、全国346件のデータからその数の平均値は商業地1.41羽、住宅地1.79羽、農村部2.03羽であった。立教大学松井晋博士研究員は「都市部では瓦が少なく、営巣場所不足、餌不足がある可能性がある」としている。
(宮崎県「野鳥だよりみやざき」NO.223,P21〜22)
○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.548
●2011/1 オホーツク
・白化・白変個体続出!
●2011/1 東京
・ヒレンジャクの羽根
●2011/1 奥多摩
・鳥声録音事始め
・世界一受けたい「バードウォッチング」
・ハイイロチュウヒ
●2011/1 岡山
・増えすぎたカワウをどうしたらよいのか?
・冬の身近な猛禽チョウゲンボウ
●2011/1-2 島根
・シギ・チドリ渡来数
・島根県のソウシチョウ情報
●2011/1-2 愛媛
・第18回野鳥密猟問題シンポジウム四国大会in愛媛
・高茂岬サシバの渡り観察
●2011/1 北九州
・オナガガモ、日本から米国東部まで渡る (山階鳥研 NEWS)
●2011/1 オホーツク
・白化・白変個体続出!
会の2010年5大ニュースより。オホーツク管内で多くの白化・白変化個体が見られた。10/25、濤沸湖でトビ、少しバフ色掛かるが、全身白変。11/8、紋別港でカモメ、全身白い。9/29、コムケ湖沖でアジサシ、全身白い。6/1、網走市でスズメ、幼鳥(全身白い)が親鳥(普通の個体)より餌をもらう。
(オホーツク「ばあどこおる」NO.284,P4)
●2011/1 東京
・ヒレンジャクの羽根
英名Waxwingの由来である次列風切等の先端にあるロウ質の突起は、キレンジャクにあって、ヒレンジャクには無いと、多くの図鑑に記載されているが、ヒレンジャクの一部に赤いロウ質突起を持つのがあるようで、老成鳥なのか、そもそもこの突起に何の意味があるのか。
(東京「ユリカモメ」NO.664,P23)
●2011/1 奥多摩
・鳥声録音事始め
1936年の野鳥誌に「野鳥の聲を寫す話」が掲載され、米国で大型自動車に映画の録音機材を積んで、野鳥の声を録音したとある。戦後、蒲谷兄弟はテープレコダーが出る数年前、手作りし、1951年、御嶽神社でコノハズクの鳴声の録音に成功した。コノハズクは1935年、声の仏法僧として、その正体が判明したもので、1951年、コノハズクを最初の録音対象にした。御嶽神社の杉は台風で被害を受け、コノハズクの声が途絶えたが、2000年、鳴声が復活し、御岳山で再度録音しているが、自作録音機で録った昔の声の方がテンポが緩やかで余韻がある。
(奥多摩「多摩の鳥」NO.198,P2〜4)
・世界一受けたい「バードウォッチング」
11/7、本部と奥多摩、東京、神奈川の4団体が共同で多摩川の3個所を分担して支援者、会員拡大を目指して探鳥会を実施した。3個所で129名の参加があり、生物多様性保全のための活動である事を知らせた。
(奥多摩「多摩の鳥」NO.198,P5)
・ハイイロチュウヒ
10/22、多摩川秋川合流点でハイイロチュウヒが撮影された。雌や幼鳥の特徴が出ており、ハイイロチュウヒと同定され、奥多摩支部内初記録となる。
(奥多摩「多摩の鳥」NO.198,P9)
●2011/1 岡山
・増えすぎたカワウをどうしたらよいのか?
中海では擬卵との交換や石鹸水を卵に塗るオイリングにより、カワウの個体数の抑制を試みている。09年は前者は75%、後者は31%で効果があった。川面にカワウ着水防止用にテグス張り、花火、案山子では防除は十分でない。主体は銃器使用となる。香川県では溜池では銃器使用できないため、さし網設置で、カワウの集中的な食害防止に効果があった。繁殖コロニーや塒の数を抑え込むため、餌場までの飛行距離を最大にして、捕食効率を低下させる。コロニーではビニール紐張り、擬卵取り変え、ドライアイスでの卵冷却があり、巣落しは問題が多い。
(岡山「野鳥おかやま」NO.182,P2〜3)
・冬の身近な猛禽チョウゲンボウ
チョウゲンボウは関東甲信越地方では都市部でも繁殖しており、首都圏では70年代以降、デパートや工場の屋上、鉄橋、陸橋の柱等の人工物を利用して営巣している。山梨県や長野県では嘗て、断崖等で集団繁殖していたが、減少の一途で、原因は農薬や天敵カラスの増加とも指摘されている。都市部では餌はネズミ類よりスズメ、ドバト、ハクセキレイが多く、都市鳥増加がチョウゲンボウの都市進出の一因と考えられる。都市部では高次の捕食者の猛禽類が少なく、人の無関心、寛容さがある。岡山では都市部での繁殖例は聞かない。
(岡山「野鳥おかやま」NO.182,P4)
●2011/1-2 島根
・シギ・チドリ渡来数
春の最大渡来数で多い順に、ハマシギ(127羽)、チュウシャクシギ(99)、ムナグロ(77)、タシギ(14)、コチドリ、アオアシシギ、オオソリハシシギ、イソシギ、トウネン、セイタカシギ(8)であった。秋はウズラシギ(52)、トウネン(46)、タシギ(20)、タカブシギ、イソシギ、メダイチドリ、アオアシシギ、オバシギ、キアシシギ、ホウロクシギ(9)の順であった。
(島根「スペキュラム」NO.139,P3)
・島根県のソウシチョウ情報
この秋、島根県でソウシチョウを初めて確認した情報が急増した。移動個体かそのまま定着するのか、情報を集めてみた。今まで情報が無かった出雲市、大田市、雲南市で多く、最大確認個体数は出雲市で10/27、40〜50羽、集団で竹藪を塒にし、林縁部で活動があった。
(島根「スペキュラム」NO.139,P5〜6)
●2011/1-2 愛媛
・第18回野鳥密猟問題シンポジウム四国大会in愛媛
11/27、28、密対連主催、本部共催、当会主管で開催された。愛媛県庁、愛媛県警からの参加も頂いた。密対連から密猟対策の流れ、密猟摘発事例、摘発後のリハビリ事例の紹介がされた。島根県支部からの「かんたんにわかる鳥獣保護法」の冊子が関係団体へ配布された。当会は県や県警と連携を取りながら、密猟対策を活動を進めていく。
(愛媛「コマドリ」NO.200,P6〜7)
・高茂岬サシバの渡り観察
今年は全国的に秋のタカの渡りが不調な出だしで、四国でもサシバが内陸部に滞留し、四国西部まで来ない状態が続いた。10/5から急に数が増えだし、10/5、愛南町由良で1,145羽、10/6、愛南町高茂で1,826、10/11、高茂で1,322羽が記録された。10/11は6:05から飛び始め、早朝6時代に853羽が低空を通過した。
http://www.gix.or.jp/~norik/hawknet/hawknet0.html
(愛媛「コマドリ」NO.200,P11)
●2011/1 北九州
・オナガガモ、日本から米国東部まで渡る (山階鳥研 NEWS)
08/1、米国ミシシッピ州で日本からのオナガガモが銃猟された。これは、山階鳥研の標識研究室に足輪照会で判明したもの。この個体は2000/2、新潟県の瓢湖で♂の幼鳥に標識されたものであった。従来、日本のオナガガモが、ロッキー山脈以西のアラスカ州、カルフォルニア州等で見つかった例はあるが、今回の記録は、その以東で最遠距離となる。今回の♂は異なるフライウェイ(渡りルート)の♀と番になり、遠くへ移動したものと推測される。
(北九州「北九州野鳥」NO.295,P7)
○支部報/会報 保護・調査記事関連トピックスNO.549
●2011/1 十勝
・十勝の湿地ラムサール登録に期待 (11/15 十勝毎日新聞)
・十勝川ワシフェスタ
・何を食べている?海ガモ類
・野鳥への春から夏の給餌について
●2011/1-2 宮城
・イナダヨシキリ
●2011/1 千葉県
・館山市サギ類コロニー有害鳥獣駆除問題
・クロサギの漁
●2011/2 南富士
・ガンカモ調査報告
・戻ってきた?ユリカモメ
●2011/1-2 鳥取県
・ヒヨドリ、ソウシチョウの渡り調査結果
●2011/1 筑豊
・英彦山ソウシチョウ調査
・都市計画道路に関する環境影響評価を読んで
●2011/1 十勝
・十勝の湿地ラムサール登録に期待 (11/15 十勝毎日新聞)
11/12、十勝川温泉での「東十勝とラムサール条約」と題する講演会で、バードライフインターナショナルの市田則孝副会長は豊頃、浦幌町の湖沼群や十勝川下流についてラムサール条約登録への期待を示した。「ラムサール条約では法的な拘束力は特別には無いが、地元のためにどう上手に利用し、保護するかが目的」と説明した。
(十勝「十勝野鳥だより」NO.173,P8)
・十勝川ワシフェスタ
12/19、十勝川温泉で、同温泉観光協会と当会の共催で第2回同フェスタが開催された。午前中、オオワシ、オジロワシの雄姿を楽しんだ。午後から、本部の安西主席研究員と北海道大学大学院小野教授の講演があり、「北海道の生物多様性はサケが支えており、サケが多く遡上すれば、ワシもシマフクロウも棲める、オオワシが生息するのは極東アジアだけでその数、500羽と貴重な種である、ボートでのワシ観察でワシに故意に近づかないルールも必要」とあった。
(十勝「十勝野鳥だより」NO.173,P10〜11)
・何を食べている?海ガモ類
スズガモ:貝類をはじめ、浮遊甲殻類、蟹類、ヒトデ類を中心に植物質(アマモの種子等)の餌を食べる。動物質は45〜97%と地域差がある。漁期(10〜11月)、岸壁から落ち水没したシシャモを食べた。クロガモ:貝類を中心にエビ等、時には魚類。ビロードキンクロ:貝類を主食に、水生無脊椎動物、魚類で植物質も食べる。シノリガモ:繁殖期は渓流でトビゲラやその幼虫、冬は貝類や甲殻類。コオリガモ:貝類、小型甲殻類、軟体動物。ホオジロガモ:昆虫、甲殻類、軟体動物、水生植物。ウミアイサ:魚食性が強く、幼鳥はエビや水生昆虫。
(十勝「十勝野鳥だより」NO.173,P18〜20)
・野鳥への春から夏の給餌について
「夏は野鳥に給餌をしてはいけない」の意見もあり、本部のHPには「子育ての期間、野鳥は動物質を主食にするので、不適切な栄養成分の餌を与えると、雛は健康に育たない、春〜夏、餌台は控えて下さい」とある。帯広市でヒマワリの種で実験してみた。スズメは常に餌台に来たが、冬の常連のシジュウカラ、ハシブトガラは春になると余り来ず、春先に子育前のシメ、夏はカワラヒワの親子が来るが、この事からスズメ以外は常時餌台を設けても、野鳥の健康は気にならない。(地元新聞に会の名前で掲載したが、個人としての勝手な意見のコメントあり)
(十勝「十勝野鳥だより」NO.173,P21)
●2011/1-2 宮城
・イナダヨシキリ
10/24、東松島市の鳴瀬川河口での鳥類標識調査で捕獲し、山階鳥研の茂田良光氏が同定した。イナダヨシキリは宮城県内初記録になる。コヨシキリと同じ大きさであるが、眉斑の上の黒眉毛はコヨシキリは明瞭で、本種は明瞭でない。
(宮城「雁」NO.245,P19)
●2011/1 千葉県
・館山市サギ類コロニー有害鳥獣駆除問題
1980/8、館山市城山地区サギのコロニーで1000羽のサギ類が駆除された事件がある。支部創設以前で、当時の地元の野鳥保護のリーダーは中央の団体と共同歩調は採らないとした。日本鳥類保護連盟、野鳥の会からは当時の事務局長の市田則孝氏に現場に来て頂き、駆除作業始まる前に地元から私が抗議文を読み上げた。マスコミが現場の映像を流したが、5日間で1000羽を超すサギ類を射殺する凄まじい事件であった。
(千葉県「ほおじろ」NO.357,P3)
・クロサギの漁
クロサギは身を低くし、翼を半開き、抜き足差し足、獲物が射程内に入ると、猛スピードで水面に突進し、水飛沫をあげ、翼を広げてバランスを取る独特の餌の獲り方をする。大きな獲物は地上に持って来て食べるのも他のサギと異なる。
(千葉県「ほおじろ」NO.357,P11)
●2011/2 南富士
・ガンカモ調査報告
1/9、12個所で調査した。結果は17種、2,646羽で内訳はマガン1(田貫湖)、コガモ798、カルガモ544、マガモ384、ヒドリガモ351、キンクロハジロ276、オカヨシガモ137、ヨシガモ38、ハシビロガモ30、カナダガン大型30等。コガモは今回初めて千羽を切った。これとは別にオオバン308で、前年の倍増である。
(南富士「さえずり」NO.339,P5)
・戻ってきた?ユリカモメ
昨冬、西日本ではユリカモメの渡来数が激減した。富士宮市内の潤井川でも毎年飛来していたユリカモメが全く姿が無かった。今年は数十羽が来ていた。ユリカモメは温暖化のため、それ程南へ渡らなくなったとの説があるが、今年の冬は寒いためか。アトリは前年の繁殖状況により、飛来数が大きく変化するが、ユリカモメもこれと同じか?
(南富士「さえずり」NO.339,P8)
●2011/1-2 鳥取県
・ヒヨドリ、ソウシチョウの渡り調査結果
10月上旬〜11月上旬の間、延べ21日間、朝7時〜8時、米子市の自宅の窓から観察した。今年のヒヨドリの渡りは過去5年間で、群の羽数、出現頻度、渡り総数とも最大であった。ヒヨドリの渡り数と環境省の全国熊の捕獲数と対比すると、ヒヨドリの渡り数が顕著な年は熊の目撃、捕獲も多かった。06年:ヒヨドリ8,201(熊捕獲5,157)、07年:1,954(1,392)、08年:2,754(1,493)、09年:3,584(1,678)、10年:13,570(3,408)。ソウシチョウの渡りも11/4、西に向かう30〜50羽の群、美保関灯台でもソウシチョウの群を見ており、ソウシチョウが急増しているようである。
(鳥取県「銀杏羽」No.113,P13〜14)
●2011/1 筑豊
・英彦山ソウシチョウ調査
11月、英彦山でソウシチョウの調査をした。今回で6年目であるが、今回は確認されたソウシチョウは5羽で前年の12月の3羽に次いで少ない。気温5〜7℃、単に寒くなったため、里へ降りた?
(筑豊「野鳥だより・ちくほう」NO.395,P12〜16)
・都市計画道路に関する環境影響評価を読んで
北九州市が曽根海岸で建設を計画している都市計画道路6号線の環境影響評価に対し、意見を出した。ハヤブサが採石場の重機の音に影響されず繁殖した事例で「鳥は音に慣れる」「騒音の影響は(車の連続騒音でなく)、工事中の騒音で調査する」、車の動く光に対し、「場所の高さで配慮している」とあるが、余りにずさんな見解である。繁殖した種やレッドリストの種の記載はあるが、その干潟を利用する旅鳥についての記載が全くない。
(筑豊「野鳥だより・ちくほう」NO.395,P33)
(自然保護室ボランティア・神奈川支部/森 要)
■鳥インフルエンザ情報■
●鳥インフルエンザの状況その後
報道ですでにご存じのことと思いますが、1月7日臨時号でお知らせした以降も、強毒の高病原性鳥インフルエンザの発生は残念ながら拡大しています。2月13日現在、家禽や飼育鳥も含めて12道県で発生が確認されています。 野鳥では10道県における16件が強毒の高病原性と確認されています。ウイルスが確認されている種類は下記のとおりで、種名まではっきりしているのは10種です。(?)としたのは詳細検査中の疑い事例です。
カイツブリ |
|
兵庫県、(宮崎県?) |
オオハクチョウ |
|
北海道 |
コハクチョウ |
|
北海道、鳥取県 |
オシドリ |
|
高知県、長崎県、宮崎県、
(大分県?)
|
オナガガモ |
|
北海道 |
ホシハジロ |
|
兵庫県 |
キンクロハジロ |
|
福島県、鳥取県、島根県、(山口県?)
|
ハヤブサ |
|
宮崎県、(長崎県?) |
ナベヅル |
|
鹿児島県 |
ユリカモメ |
|
鳥取県 |
種不明のスズガモ属 |
|
北海道 |
種不明のカモ類(糞) |
|
北海道 |
(フクロウ 徳島県?)
(ハシブトガラス 大分県?)
<野外で観察されることもある飼育鳥>
*コブハクチョウ 富山県、(兵庫県?)
*(コクチョウ 山口県?)
最新の情報につきましては、随時、当会のホームページでお知らせしていきますので、ご覧ください。また農林水産省、環境省のページでも、家禽・野鳥に関する情報が公開されています。
http://www.wbsj.org/nature/infection/influenza/index.html
(参考)農水省のホームページ
http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/tori/index.html
(国内の確認状況)
(参考)環境省のホームページ
http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/bird_flu/
●出水におけるツル類の現状
出水では、ナベヅルにおける強毒の高病原性鳥インフルエンザ発生が確認された直後の12月19日以来毎日、出水市、鹿児島県、環境省合同による監視が続けられており、当会も環境省の委託により自然保護室の職員・スタッフを派遣しています。
今のところ、高病原性鳥インフルエンザウイルスが確認されたのは 12月15日〜12月24日に収容された個体のみで、確認された個体数は6羽にとどまっています。ウイルスの確認はナベヅルのみで、マナヅルからは見つかっていません。まだ気を緩めるわけには行きませんが、1万数千羽のツルたちの間に次々とウイルスが蔓延して死亡していくという事態には、幸運なことに陥っていないと考えられます。
当会は12月31日〜1月1日の視察でこの監視活動の強化の必要性を環境省に提案したところ、環境省からの依頼を受けて2月末まで、人員を派遣することになりました。地元で出水市を支えている会員の皆さんのサポートを行う他、今後の提言に役立てる狙いです。
2月2日にはマナヅルの北帰行が始まっており、高密度の集中によるリスクは徐々に軽減してゆきます。この経過をよく観察し、ツルたちの無事を見届けたいと考えています。
東アジア地域の広い範囲で感染が発生し、野鳥からの確認が多いのがこのシーズンの特徴です。強毒のウイルスが広い範囲に拡散していることが推測されます。強毒性の鳥インフルエンザウイルスの感染ルートはまだ解明されていませんが、ロシアや中国、モンゴル、アラスカなどの大陸でウイルス密度が高い地域があり、そこが渡り鳥の飛来ルートと重なった可能性も考えられます。特にカモ類は強毒性ウイルスに感染しても症状が現れにくく、ウイルスを持ったまま移動できると考えられます。感染し、体内でウイルスを保持したカモ類の糞に含まれたウイルスに水辺で触れたコブハクチョウやツル類などが感染したという推測ができます。
国内のどこで次の鳥インフルエンザが見つかっても、不思議ではない状況と言えます。
●鳥インフルエンザと探鳥会について
各地で野鳥での強毒の高病原性鳥インフルエンザの発症が見られている中で、いくつかの支部からガンカモのいる場所で、探鳥会を開くのをためらっているとのご相談を受けております。また、鳥インフルエンザが発生している地域の方からも、探鳥会を開いてよいのかとのご相談をいただいております。
今年の各地での野鳥の鳥インフルエンザの発生を見ると、水鳥がウイルスを伝播している可能性を否定できません。その上で現時点での考え方を整理してみました。
1.適切な距離を保って接する
鳥インフルエンザへの対応で、まず第一に気をつけなければならないことは、人間がウイルスの運搬者にならないことです。養鶏場など家禽が飼われている場所への持込みを避けることはもちろんですが、水鳥の生息地と生息地の間での伝播にも人が関わらないように気を配る必要があります。
それは、野鳥との適切な距離を保つことによって未然に防ぐことが出来ます。そしてその距離は野鳥を脅かすことなく観察できる距離でもあります。野鳥観察施設などで、水鳥と人との距離が確保されている公園などは最も良い観察場所といえます。
もし、水鳥の糞などを踏んだ場合は、靴底から泥をきれいに落として、エチルアルコールなどのウイルスに有効な消毒薬をスプレーなどすることで、安全に対処することが出来ます。
2.野鳥の異常個体の発見に貢献する
今回の鳥インフルエンザの発生を受けて、環境省より当会に野鳥の監視強化に向けて協力を求める文書が出されています。そもそも「野鳥に異常があるかどうか」が一番良く分かるのは、その場所で常日頃から野鳥を観察している会員の皆様だと思います。いち早く、その場所の感染を把握することで、近隣の養鶏場などに警鐘を鳴らすことができれば、被害を未然に防ぐことにもつながります。
3.観察場所で、ウイルスが検出された場合
もし、探鳥会が予定されている場所で強毒の高病原性鳥インフルエンザが見つかった場合は、残念かもしれませんが、探鳥会は中止されることをお勧めします。その際には、参加者への鳥インフルエンザの感染の恐れがあるからではなく、地域の養鶏業等の家禽や飼育鳥への配慮のため、そして出来るだけ他の野鳥の生息地に広がるのを防ぐためであることを、会員の皆様にお伝えください。そのことが、鳥インフルエンザによる風評被害を防ぐことにもつながります。
野鳥は、長い歴史の中で鳥インフルエンザと共存してきました。しかし今回のウイルスは別物です。1990年代後半に、それまでのH5N1亜型が、東南アジアなどで家禽の間で感染を繰り返すことによって変異したものです。発生に人間が関与しているとも言えるものです。将来、野鳥はこのウイルスを克服するでしょう。しかしそれまでの間、新たに出現したこのウイルスに対し適応していない個体群が大量死し、絶滅のおそれが加速する危険性もあります(現に中央アジアでは2005年と2006年に数千羽規模の大量死が、ヨーロッパでも数百羽規模の大量死が起きています)。そのため、状況を的確に把握し対処していくことが必要です。
現在、出水で地元の方々とツルへの対応を行っていますが、行政の取り組みに不十分な点も見えてきました。来シーズン以降の取り組みについて環境省に働きかけていきますので、皆様にも各地で気づかれた問題点などの共有もお願いいたします。
●鳥インフルエンザと野鳥の調査
各地で鳥インフルエンザ対策とのことで野鳥の調査が行われているのはなぜか、家禽のように殺処分をするわけでもないのに、少し騒ぎすぎではないかというご質問もいただきました。
なぜ野鳥における高病原性鳥インフルエンザの状況を調べるのでしょうか。これは、第一に、ウイルスの存在を早期に発見することにより、家禽ヘの感染のリスクを減らす目的です。ニワトリを殺す強毒のウイルスが養鶏場に持ち込まれれば、殺処分が必要になり経済的な被害は大きなものになります。また、仮に養鶏場内で多数のニワトリの間に次々に感染していく間に、突然変異により人に感染しやすいタイプに変化する可能性も指摘されています。こうした事態を防ぐ意味合いもあります。実際に野鳥における感染が確認された地域では、養鶏場等の家禽の防疫が強化され、それなりに機能しているようです。
また、野鳥自身にとっても、集団で暮らしているツル類やサギ類、ガン類について、異常個体を隔離して感染の拡大を防いだり、事前に分散を図るのに役立てる意味があります。
中には人知れず感染して死んでいく野鳥もあるでしょう。しかし可能な限り、国内での感染状況を明らかにして野鳥への対策を講じていくことが大切です。
当会ではこのような観点から、野鳥の調査に協力しています。ご理解をいただければ幸いです。
(自然保護室/古南 幸弘)
■「探鳥会での危険をさけるためのお話」を聞く会が「日本野鳥の会福岡」で実施されました■
日本野鳥の会福岡の事務所にて、会員を対象に行われた「探鳥会におけるリスクマネジメント」の講習会に参加しましたので報告します。
その講習会は、2月5日(土)に予定されていた九州・沖縄ブロック運営協議会の前日の夕方に実施されました。講師は、運営協議会出席の為、来福された佐藤副会長です。今回の講習会は、副会長が以前から「野外における危険な生物」という小冊子を執筆されていた事を「福岡」の田村副代表が知り、今回の来福の際に講師を依頼し実現したものです。
2月4日(金)18:30〜20:00。19名の参加があり、事務所は満杯の大盛況でした。
前半が「探鳥会におけるリスクマネジメント」について、後半が「野外における危険な生物」についてという二部構成でした。
リスクマネジメントについては、特に探鳥会で起こりうるリスクを想定し様々な例を挙げながら、考え方や対処法などについてのお話でした。
後半の「危険な生物」については、よく似た生物で本当に危険なものと、そうでないものとを比較したり、被害にあったときの対応の仕方や、いわゆる迷信のような間違った対処の仕方の例など、様々な角度からのお話を聞きました。
探鳥会や自然観察会などに参加する人たちの年齢層や危険への対応能力の変化など、これからの時代、案内する側は十分にそのリスクを想定し、対応策を考えておく必要性が高まっているということでした。
講習会に参加した皆さんは、いつも自分たちが行っている探鳥会の環境や参加者の様子などを思い浮かべながら、とても現実的な問題として考えるきっかけになったようです。また、探鳥会のリーダーなどが、常に持ち歩き出来るような、リスクマネジメントをテーマとした小冊子を作ったり、全国の各支部などでこのような講習会を開くなどの取り組みを行う必要があるのではとの意見も出ていました。
(サンクチュアリ室福岡担当/永松愛子)
■内閣府における支部の扱い方針変更と当会の対応方針について(ご報告)■
このたび、公益法人制度改革に伴う支部の扱いについて、国の方針に大きな変更がありました。これを受けて、当会でも対応方針を決定し、公文書(第69号、第73号)にて支部代表者様宛てに連絡しております。重要な内容となりますので、本通信上でもお知らせします。
●「支部」の扱いについて、内閣府公益認定等委員会が方針を変更しました。
1月5日発行の「公益認定等委員会だより(その5)」の一記事として、以下の方針変更が発表されました。
○従来の方針
法人格を異にする団体は、支部を名乗ること(「日本野鳥の会 ××支部」)はできない
○変更後の方針
法人格を異にしていても不正目的での名称使用に該当しないことが確認できるのであれば、支部(「日本野鳥の会××支部」)と名乗ることが可能
内閣府公益認定等委員会より、この度の方針変更にいたった理由として、公益活動の拡充に資するためであるとの説明を受けました。わが国の公益活動は、さまざまな分野の団体が「本部−支部」一体となって進めている側面があり、法人格を異にする団体が支部を名乗ることに慎重であった従来の方針を転換することにした、とのことです。この点については、当会は従来から訴えてきたところであり、新制度への移行期間が2年以上も経過したこの時期まで方針転換がなされなかったことは非常に残念であります。
●内閣府の方針変更を受け、当会の対応が決まりました。
1月17日の常務会にて、当会の対応方針以下2点が決まりました。ただちに支部代表者様宛てに文書でお知らせしております。
- 公益財団法人移行後の支部の名称は、従前のとおり冒頭に「日本野鳥の会」を冠し、統一感を持たせる。
- 地域名称については、内閣府公益認定等委員会事務局の「支部」名称取り扱い方針変更に伴い、従前の「日本野鳥の会××」、または「日本野鳥の会××支部」のいずれかとする。
(総務室/五十嵐 真、小川 富由美)
■次回の理事会(定例)と評議員会(定例)の日程■
日程と場所、主な議題等をお知らせします。関係各位へは開催案内を既に郵送しております。
●平成22年度第4回理事会(定例)
日 時:2011年3月6日(日)11:30〜13:00
場 所:大崎第一地域センター区民集会所(平成22年度第1回と同じ会場)
議 題:平成23年度事業計画および予算案承認ほか
●平成22年度第2回評議員会(定例)
日 時:2011年3月6日(日)14:45〜16:15
場 所:大崎第一地域センター区民集会所(平成22年度第1回と同じ会場)
議 題:平成23年度事業計画および予算案の同意ほか
(総務室/五十嵐 真、小川 富由美)
■「支部報とりまとめ発送」次回日程のご案内■
次回の支部報取りまとめ発送は、2011年3月8日(火)となりました。支部報は下記要領でお送りください。(取りまとめ発送の詳細については、支部ネット通信2010年4月号をご覧ください。)
送付〆切:3月7日(月)必着
送付部数:110部
※東京は130部、お願いいたします。
※神奈川、埼玉、奥多摩、千葉県は120部、お願いいたします。
※ご事情により必要部数に満たない場合は、こちらで発送先を調整させて頂きます。
【支部報の受付、お問い合わせはこちらまで】
〒141-0031東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル3F
(財)日本野鳥の会総務室 総務グループ (担当;小川、鈴木)
TEL 03-5436-2620
メール [email protected]
(総務室/五十嵐 真、小川 富由美)
■支部名称等変更のお知らせ■
●日本野鳥の会十勝 (2011年1月29日より)
・新名称:『日本野鳥の会十勝支部』(従来の名称へ戻す)
・会長→支部長
●千葉県支部 (2011年1月30日より)
・新名称:新名称:『日本野鳥の会千葉』
・支部長→会長
(総務室/五十嵐 真、小川 富由美)
■岐阜年会費変更のお知らせ■
日本野鳥の会岐阜の年会費が、2,000円から3,000円へ変更となります。変更は平成23年4月から入会ご希望の方から対象となります。ご継続の方へは順次『会費自動引き落としのお知らせ』と『会員継続のお願い』の年会費額を変更してのお届となります。どうぞよろしくお願いいたします。
(会員室/沖山 展子)
■会員数■
●2月1日会員数40,362人(対前月-87人)
会員数は先月に比べ87人減少しました。
1月の入会・退会者数の表をみますと、入会者数は退会者数より60人少なくなっています。会員の増減は、入会者数と退会者数のほかに、会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活した人数によって決まります。1月の入会者数は167人で、前年同月の入会者133人に比べ31人増加しました。
また、1月の退会者数は227人で、前年同月の退会者数289人に比べ62人減少しました。
表1.1月の入会・退会者数
※会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活する方がいらっしゃるため、退会者数の年度累計は、実際の退会者数とずれた数字となります。このため、退会者数合計については年度末の集計後にお知らせいたします。
●都道府県および支部別会員数
野鳥誌贈呈者数を除いた数を掲載します。
表2.都道府県別の会員数(2月1日時点)
備考:その他は海外在住の会員を示します。
表3.支部別の会員数(2月1日時点)
備考:支部別の会員数の合計は、都道府県別の会員数の合計と異なります。これは、本部型(青い鳥)会員や支部に所属されていない個人特別会員が支部別の会員数に含まれないためです。
(会員室/沖山展子)
支部ネット通信 第83号
◆発行
財団法人日本野鳥の会 2011年2月18日
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