■支部報保護・調査記事関連トピックス■
本記事は日本野鳥の会本部に送付されてきている各地の支部報から抽出して作成し、調査・保護に関心がある野鳥の会内部の方へ配信しております。
本記事の一部又は全部を不特定多数が見る可能性があるところへ公開される場合は、各支部の了承を事前に得て下さい。記事は筆者の意向に反しないように、取り扱いをお願いします。
○支部報保護・調査記事関連トピックス NO.349
●2006/10 根室
・根室半島歯舞湿原に風力建設計画浮上 (渡辺温 高田令子 松下和江)
・根室市温根元〜珸瑶瑁におけるオジロワシの生息調査 (本部 山口桂賜 霧多布湿原自然学校 長岡滋雄)
●2006/11 東京
・本当は、バードウォッチングが苦手です (探鳥会リーダー 小泉伸夫)
・多摩川のカモ・1978年vs2006年 (川内博)
●2006/11 南富士
・冬の食糧事情 (編集部 坂東誠)
・明星山で鷹を観る会より (中根由香里)
●2006/11 徳島県
・吉野川干潟鳥類調査報告 (森本陽子)
・荒海を渡るサシバ達 (栗飯原康弘)
●2006/11 北九州
・ソウシチョウの雛 (支部長 森本嘉人)
・カラーリング付きサギ類 (支部長 森本嘉人)
●2006/11 福岡
・ハチクマの観察について (支部長 小野仁)
●2006/11 大分県
・佐賀関タカの渡り (立川タカ行)
・2006年シギ、チドリ類カウント調査結果 |
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●2006/10 根室
・根室半島歯舞湿原に風力建設計画浮上 (渡辺温 高田令子 松下和江)
現在、根室市内に4箇所の風力発電施設がある。新たにオジロワシ、タンチョウの営巣地である歯舞湿原に、15基の風車建設が計画されている。04/12、市内でオジロワシ若がバードストライクで死に、道内では希少種では何れもオジロワシでバードストライク死亡5件がある。風車建設は鳥類調査結果でゾーニングし、その影響が少ない場所で決めるべきである。
(根室「フレチカップ」NO.97,P1〜5)
・根室市温根元〜珸瑶瑁におけるオジロワシの生息調査 (本部 山口桂賜 霧多布湿原自然学校 長岡滋雄)
7/7、9、根室半島先端部のオジロワシ繁殖地でその休止位置、飛行ルートを記録した。定点調査と早朝約21kmを車による周回調査をした。オジロワシ1番の営巣を確認したが、繁殖は失敗した。
(根室「フレチカップ」NO.97,P6〜7)
●2006/11 東京
・本当は、バードウォッチングが苦手です (探鳥会リーダー 小泉伸夫)
実は私、バードウォッチャーは余り好きでない。見た鳥の種を競ったり、珍鳥が出ると大挙して推しかけたり、探鳥する人達はマニア集団の印象があった。虫を見てると鳥を見ろといわれ、ドングリを見ているとオシドリの好物といわれ、鳥中心に随分と偏った物の見方をする集団との印象がある。しかし、探鳥の素人の視点も役立つ。ドングリを割ると殆どゾウムシの幼虫が見つかり、鳥以外でも探鳥会で伝えるべき事は多くある。野鳥を単に見るのではなく、野鳥を通して自然の仕組を知る、そんな観察案内をしたい。
(東京「ユリカモメ」NO.613,P5)
・多摩川のカモ・1978年vs2006年 (川内博)
多摩川本流の河口までのカモの種数と個体数は、78年:11種、14,538羽、06年:17種、6,570羽になっている。全体的には半減であるが、大田、世田谷区では逆に増えていたり、河口でも湾から移動してきたスズガモで大幅に増加したり、コハクチョウ、ヒシクイの都内での越冬とか06年は異常積雪の影響も窺える。しかし、中央高速〜秋川合流点では壊滅で、一昔前の「人為的な環境破壊」が影響とは決め付けられない状況である。
(東京「ユリカモメ」NO.613,P16)
●2006/11 南富士
・冬の食糧事情 (編集部 坂東誠)
水辺は冬季も比較的に食糧はある。カワガラスが1月に子育てするのは、カワゲラやカゲロウの幼虫が採れるからである。陸上では多くの虫が越冬している。シャクガの仲間は食べずに成虫で越冬する。虫は体液凍結を防ぐため、体温低下防止とともに、体液のグリセリン濃度を上げる。食糧を採らなければ、凍結開始点は下がるので、蛹、卵での越冬は有利であるが、鳥達はそれを必死に探している。
参考:「虫たちの越冬戦略」朝比奈英三 北海道大学図書刊行会
(南富士「さえずり」NO.288,P6)
・明星山で鷹を観る会より (中根由香里)
9/15〜10/15、延150名で明星山でサシバの渡りをカウントした。総計1,632羽で、昨年より増加した。ピークは10/8の785で、その日、13時〜14時に約500が通過した。
(南富士「さえずり」NO.288,P9)
●2006/11 徳島県
・吉野川干潟鳥類調査報告 (森本陽子)
中学校の夏休みの自由研究として吉野川干潟で鳥類をカウントした。04年は11日で33種、1,090羽、99羽/日、05年は34日で31種、3,605羽、106羽/日、06年は40日で27種、3,639羽、91羽/日であった。06/7/21〜9/2の例でのシギ・チドリはダイゼン792(772)、シロチドリ495(706)、ソリハシシギ220(278)、ミユビシギ188(188)、キアシシギ81(83)、トウネン45(46)、オオメダイチドリ34(13)、メダイチドリ20(102)、キュジョシギ12(4)、チュウシャクシギ11(9)、ムナグロ9(57)、アオアシシギ9(10)、イソシギ5(3)、ハマシギ3(6)、オバシギ3(11)等。括弧内は05年。
(徳島県「野鳥徳島」NO.338,P2〜5)
・荒海を渡るサシバ達 (栗飯原康弘)
10/8、台風の余波で強い風が吹く、蒲生田岬で紀伊水道を渡って来るサシバを観察した。海面スレスレに風に向って来る個体、流されながら羽ばたきをする個体、岬へ上陸時は力を振り絞り、より深く強く速く羽ばたき、「ピックィー」と鳴く個体も多かった。絶壁を駆け上がれず、下の岩礁に落ち、波から避けてよじ登り、そこでヘタリ込んで動かない個体もいた。
(徳島県「野鳥徳島」NO.338,P8〜10)
●2006/11 北九州
・ソウシチョウの雛 (支部長 森本嘉人)
北九州でもガビチョウ、ソウシチョウをよく観察するが、8/5、市内の皿倉山で雛4羽が成鳥2羽に給餌を受けるのを確認した。
(北九州「北九州野鳥」NO.245,P11)
・カラーリング付きサギ類 (支部長 森本嘉人)
山階鳥研は今年、アオサギ、アマサギ、ゴイサギ、コサギ、チュウサギ、ダイサギの雛に黄色のカラーリングと金属リングをつけた。放鳥場所は茨城、千葉、石川、福井、岐阜、愛知、山口、福岡、熊本、鹿児島の各県で、発見時は山階鳥研標識研究室 佐藤文男、FAX
0471-82-4342。
(北九州「北九州野鳥」NO.245,P11)
●2006/11 福岡
・ハチクマの観察について (支部長 小野仁)
毎年、支部は福岡市の片江展望台でハチクマの渡り調査をしている。今年は4,713羽のハチクマ(福江島大瀬崎では8,035)をカウントした。現場でにわか解説員が「ハチクマはロイヤルゼリーしか食べない」「家族で飛び、渡りの途中では何も食べない」とか間違った情報を提供している。本会の大きな目的は自然を通して環境を考え、正しい情報を発信する事である。支部の観察要員の中にタカ解説員を配置したい。
(福岡「野鳥だより・ふくおか」NO.325,P5〜6)
●2006/11 大分県
・佐賀関タカの渡り (立川タカ行)
佐賀関の秋のサシバの渡りは総計3〜400羽程度。ハチクマは約1,000羽で、1日に300羽を越える事もある。春の渡りはノスリ、ハイタカ、オオタカに続き、サシバ、ハチクマが渡る。ハイタカ類は1,600羽以上が通過している。春はサシバは秋とほぼ同じコースを通るが、ハチクマは朝鮮半島から対馬経由で九州北部へ入る。ハイタカは四国から西進するものは朝鮮半島や中国で繁殖するもので日本で繁殖するものとは別らしい。
(大分県「たより」NO.201,P2〜5)
・2006年シギ、チドリ類カウント調査結果
9/10、県下一斉調査した。総計は753、内訳はソリハシシギ372、キアシシギ91、トウネン39、メダイチドリ35、シロチドリ29、アオアシシギ24、ハマシギ23等。
(大分県「たより」NO.201,P6)
○支部報保護・調査記事関連トピックス NO.350
●2006/11 オホーツク
・オホーツクの鳥2種増加 (渡辺義昭)
・油汚染から野生動物を守るために (猛禽類医学研究所 齋藤慶輔)
・ワシ類の死因解明 (ワシ類鉛中毒ネットワーク 黒澤信道)
・タンチョウの保護収容 (釧路市動物園 志村良治)
●2006/11 千葉県
・谷津干潟アオサ繁茂の解決策はこれだ (阿久津斎)
・アホウドリ房総沖で餌探し (9/24 朝日新聞)
・ヤンバルクイナ717羽へ激減 (9/12 朝日新聞)
●2006/11 大阪
・U50の集い(仮称)に参加を (室谷勝美)
・池島・福万寺の水辺環境を考える会が発足 (中野勝弥 橋本正弘)
・大阪のチュウヒを守ろう (保護部)
・チュウヒサミット2006 (保護部)
●2006/11 香川県
・紫雲出山ワシタカ渡り調査 (調査研究部 矢本賢) |
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●2006/11 オホーツク ・オホーツクの鳥2種増加 (渡辺義昭)
9/30、濤沸湖丸万川河口にアオアシシギの群に足が黄色い個体を見る。シギ・チドリ類ハンドブックの著者、氏原道昭氏にオオキアシシギと同定頂く。北米で繁殖し、中南米で越冬する。日本では稀な迷鳥として記録があり、北海道では根室に続く2例目となる。10/9、斜里川河口の堤防でミツユビカモメの中にアカアシミツユビカモメ1を見る。前日、爆弾低気圧が通過した。ミツユビカモメより外洋性が強く、根室や銚子等で数少ない記録があるのみ。アリューシャン列島で繁殖し、アラスカ湾で過ごす。
(オホーツク「ばあどこおる」NO.234,P2)
・油汚染から野生動物を守るために (猛禽類医学研究所 齋藤慶輔)
知床油汚染では国後島にも海鳥の死体が漂着した。ロシアは当初死因は伝染病としたが、羽毛の汚れは外側からで、体液分泌であれば内側からであるので、サハリンのNGOを経由してロシア政府に情報提供した結果、サハリン州政府は国後島でも油汚染があったとした。油汚染の早急な連絡は民間では限界があり、行政の仕事ではないか。獣医学に保全医学という分野があり、環境問題では期待したい。
(オホーツク「ばあどこおる」NO.234,P6〜7)
・ワシ類の死因解明 (ワシ類鉛中毒ネットワーク 黒澤信道)
収容されるワシ類の死亡原因の多くが人為的なものである。鉛中毒死は98年がピークで、その後鉛弾使用禁止、エゾシカの狩猟死体を放置しない、ボランティアによる同回収等で徐々に減少しているが無くならない。感電死、交通事故、列車、風車への衝突等もある。アムール川流域の工業地帯での汚染物質の影響の可能性もある。
(オホーツク「ばあどこおる」NO.234,P7)
・タンチョウの保護収容 (釧路市動物園 志村良治)
北海道のタンチョウは1千羽を越え、それに伴い人間の生活圏と近くなり人為的な事故が多発している。過去30年で保護収容されたタンチョウは生体121羽、死体218羽である。電線等への衝突、交通事故、列車衝突、野犬、飼い犬の襲撃、釣の錘や狩猟弾での鉛中毒もある。タンチョウ同士の闘争で死亡もあった。02年、女満別町で2羽の農薬フェンチオン中毒死があった。殺虫剤として道内で毎年40トンが消費され、人や魚に影響は無いが、米国では嘗て鳥の駆除に使われ、鳥に対し強い毒性がある。釧路地方では農業被害の問題も出ている。
(オホーツク「ばあどこおる」NO.234,P7〜8)
●2006/11 千葉県
・谷津干潟アオサ繁茂の解決策はこれだ (阿久津斎)
03年、支部はウルバ・プロジェクト(ウルバはアオさの属名)を立ち上げた。シギ・チドリの採餌環境へのアオサの影響を把握するものである。環境省は谷津干潟で月2回、年24回、シギ・チドリの飛来数を調査している。総計は93年頃は5万、96年頃3.5万、00年頃2万、05年には1.5万と急減している。アオサは5年程前からは冬季も消えず、シギ・チドリの採餌はアオサの繁茂した場所では4羽/ha、底泥が出た場所では41.5羽/haで、アオサの影響は大きい。下水道整備で干潟への淡水流入減少で、全日海水に浸かったアオサは1日4時間淡水に浸かったものより、成長が3倍速いとの実験結果が得られ、汽水域消滅がアオサ増大の原因と思われる。人海戦術の除去は効果が続かず、06/1、谷津干潟アオサ問題等対策検討会が発足した。
(千葉県「ほおじろ」NO.307,P3〜6,9,10)
・アホウドリ房総沖で餌探し (9/24 朝日新聞)
山階鳥研は2月アホウドリ成8羽に送信機をつけて繁殖中の餌場を調査した。1月初め孵化、5月巣立ち、その間8羽は3月末までに66回、餌探しに旅立った。1羽につき5〜13回で、最短3日、最長12日、平均7.3日で、行き先は鳥島から伊豆諸島北部〜金華山沖で、房総半島沖〜鹿島灘は6割を占めた。この地は2、3月は黒潮がぶつかり好漁場と知られる。
(千葉県「ほおじろ」NO.307,P12)
・ヤンバルクイナ717羽へ激減 (9/12 朝日新聞)
沖縄本島北部の山原(やんばる)の森に棲むヤンバルクイナは、01年の推定1,220羽から、05/10の山階鳥研の調査では717羽に激減した。調査は録音した仲間の声に反応する習性を利用した。環境省は85年は1,800羽とし、その間生息南限は15kmも北上している。捕食者はマンブース、野生化した猫、ハシブトガラス等がある。
(千葉県「ほおじろ」NO.307,P12〜13)
●2006/11 大阪
・U50の集い(仮称)に参加を (室谷勝美)
支部では20歳代〜40歳代の会員が少なく、横の繋がりも希薄になっている。価値観の近い同年代の会員が集まり、自主的に探鳥会、室内例会、懇親会等で互いに知り合う場を作る試みを開始した。
(大阪「むくどり通信」NO.186,P3)
・池島・福万寺の水辺環境を考える会が発足 (中野勝弥 橋本正弘)
9/9、地元の保護団体(カワセミ楽会)、大阪自然環境保全協会、当支部の有志で同会を立ち上げた。東大阪市池島〜八尾市福万寺に跨る恩智川治水緑地(40.2ha)にシギチが飛来する空間を整備するよう、行政に政策提言、要望等の活動を目的している。
(大阪「むくどり通信」NO.186,P12)
・大阪のチュウヒを守ろう (保護部)
5〜7月、保護部は堺第7-3区埋立地でチュウヒの繁殖調査をした。同地では10年前から巣材運びが見らており、今回の調査で2番の生息と、内1番から1羽の雛の巣立ちを確認した。大阪府では初めての確実な繁殖記録となる。Strixs Vol.24に投稿予定。
(大阪「むくどり通信」NO.186,P12)
・チュウヒサミット2006 (保護部)
6/24、三重県支部、愛知県支部主催で名古屋で開催された。支部は大阪の状況を報告した。74年本州で初めて石川県河北潟でチュウヒの繁殖が確認され、79年には23番が営巣し、21番で繁殖成功したが、05年は10番が営巣、4番が繁殖成功と減少している。現在チュウヒは全国で30番程度で繁殖が確認されているのみで、「チュウヒサミット宣言2006」を採択し、「木曽岬干拓地について緊急アピール」が行われた。
http://kahoku.soc.or.jp/news/chuuhi.html
(大阪「むくどり通信」NO.186,P12)
●2006/11 香川県
・紫雲出山ワシタカ渡り調査 (調査研究部 矢本賢)
9/22〜10/9の内7日間を調査した。サシバ437、ハチクマ59、ノスリ3、その他6、総計505。雨の次の日の10/3、4に大きな鷹柱が見られた。
(香川県「かいつぶり」NO.274,P4)
○支部報保護・調査記事関連トピックスNO.351
●2006/11-12 宮城県
・鳥類標識調査員(バンダー)のお手伝い (伊藤滋)
・コアジサシ繁殖復活誘致実験 (竹丸勝朗)
●2006/11-12 群馬県
・ガビチョウ類とソウシチョウの県内の分布状況 (太田市 深井宣男)
・社会性のあるカオジロガビチョウ (大澤和子)
●2006/11 大阪
・セグロカモメ複合体 (塩田猛)
・ニュウナイスズメ (北村武幸)
●2006/11-12 鳥取県
・鳥取県自然保護監視員始動
・へそ曲がりの鳥 (なんだ&よみす)
●2006/11 島根県
・隠岐のコゲラ、アオゲラ (井上明)
・風力発電事業に対する環境影響調査の義務化要望書 (支部長 飯塚洋一)
・2006年飯梨川秋のシギ・チドリ (本吉洋子)
●2006/11-12 広島県
・秋のシギ・チドリ渡り調査結果報告 |
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●2006/11-12 宮城県
・鳥類標識調査員(バンダー)のお手伝い (伊藤滋)
鳥類標識調査員は環境省の委託で山階鳥研の認定を受け、全国に420名がいる。今回、蒲生干潟での鳥類標識調査に参加した。15時、12mカスミ網11枚張る。後は夜間も2時間おきに網の見回り、回収した鳥は籠に入れ、朝足環を付ける準備をする。足環は1〜10号があり、材質は昔はモネル(ニッケル銅合金)から現在はインコロイ(ニッケルクロム合金)で刻印の判読がしやすい。鳥の特徴を記入するため、各部の名称、軸斑、羽縁、雌雄、幼成、脂肪の付き具合等の知識が必要である。
(宮城県「雁」NO.220,P8〜9)
・コアジサシ繁殖復活誘致実験 (竹丸勝朗)
今年も蒲生海岸でコアジサシ繁殖地誘致活動を会員延81名で、3月から展開し、5月に少数飛来したが、定着は無かった。餌となるカタクチイワシの幼魚の北上が遅れたのが原因かも(いわき支部)。今年、いわき沖の夏井川河口では飛来150羽、営巣43巣、雛21羽を確認。コアジサシ誘致のため発泡スチロールでデゴイを作ったが、カラスやトビの攻撃で壊されるので、注型用エポキシ樹脂を塗って強化する、または2つに割った型の中にプラスチック、石膏、粘土等を流し込む事を検討する。
(宮城県「雁」NO.220,P16〜17)
●2006/11-12 群馬県
・ガビチョウ類とソウシチョウの県内の分布状況 (太田市 深井宣男)
会員38名から520例の記録提供があった。ガビチョウは99年の藤岡市が最も古い記録で、埼玉県から進入と考えられ、現在、県西部を中心に他県同様、標高1千m以下の積雪が少ない地域に分布している。カオグロガビチョウは02年に前橋市で記録があるのみで、その年は複数の繁殖があったが、その後情報は無い。カオジロガビチョウは90年に大間々町で我国初記録され、現在、県南東部を中心に茨城、栃木に拡がっている。ソウシチョウは県内7箇所で記録が少なく詳細不明。高標高地で繁殖し、秩父山系に定着個体が多くいるため、県内への分布拡大可能性がある。
(群馬県「野の鳥」NO.278,P3〜5)
・社会性のあるカオジロガビチョウ (大澤和子)
02/12〜03/6、5羽のカオジロガビチョウが庭で採餌し、繁殖行動があった。その観察では同鳥は社会性のある鳥の印象がある。。グループで一緒に行動、互いに鳴き交わす、採餌時、仲間同士では譲り合いをする、巣に近付くカラスを仲間が団結して追い払う、子育て時ヘルパーが存在等。
(群馬県「野の鳥」NO.278,P6〜7)
●2006/11 大阪
・セグロカモメ複合体 (塩田猛)
セグロカモメは北極を取巻くように東回りに亜種が出現したとのRing Species(環境種)の考えは、最近のDNA調査では、2個所の氷期逃避地域、北大西洋とアラル・カスピ海の2系統から拡散、分散したに変った。現在、西欧からシベリアを経由し、北米東岸まで分布しているのは、後者からの系統である。この(亜)種には、ニシセグロカモメ、ホイグリンカモメ、セグロカモメ、モウコセグロカモメ、オオセグロカモメ、カナダカモメ、ワシカモメ、シロカモメ等がある。
(大阪「ムクドリ通信」NO.186,P6〜7)
・ニュウナイスズメ (北村武幸)
ニュウナイスズメは江戸時代からそう呼ばれている。大納言にはニュウナイは新嘗(にひなめ)の訛で、新稲を人より先に食べるの意である。ニュウナイスズメは未熟な稲を好んで食べるためと言われる。戦前はスズメより収穫前の稲の食害が大きかったとは想像できない。異説として藤原実方が奥州配所に左遷された後、その恨みで鳥に化身し都の殿上の台所に入り米を食べたとあり、宮中に上がる意味の入内が付いた。
(大阪「ムクドリ通信」NO.186,P15)
●2006/11-12 鳥取県
・鳥取県自然保護監視員始動
9月より同制度がスタートした。従来、県では自然公園法での自然公園監視員、鳥獣保護法での鳥獣保護員を任命していた。個別の法律に基づく業務以外に生物多様性の保護、自然公園の積極的利用等のニーズに対応するため、より
高度な知識を持った県の専属非常勤職員(5名、17日/月勤務)を配置した。
5名の内、4名が支部会員である。
(鳥取県「銀杏羽」NO.88,P8〜13)
・へそ曲がりの鳥 (なんだ&よみす)
逆行するタカと呼ばれるハイタカはサシバやハチクマと全く逆方向に移動するものがいる。このへそ曲がり鳥の渡り観察点が島根半島東端にある。春の渡りでは海岸沿いに山口県へ向うのと、日本海を北西に飛び出すものがいる。約300km先の韓国蔚山あたりに着くのか。5月、隠岐島で、渡り途中のシマノジコ、オジロビタキを見るが、日本海を渡らずに日本海沿いに本州を渡れば楽なのでは。
(鳥取県「銀杏羽」NO.88,P14)
●2006/11 島根県
・隠岐のコゲラ、アオゲラ (井上明)
日本鳥類目録では隠岐にアオゲラの記録があるとされるが、根拠となる記録は無い。樋口・小池(1978)「日本列島およびその周辺諸島におけるキツツキ類の生息状況」では隠岐ではオオアカゲラ、コゲラは留鳥で、アオゲラ、アカゲラの生息は認めてない。また、コゲラは対馬のものと同様に、本土とは別亜種としている。
(島根県「スペキュラム」NO.114,P2)
・風力発電事業に対する環境影響調査の義務化要望書 (支部長 飯塚洋一)
10/19、支部は島根県知事へ、風力発電建設は、事前の環境影響調査を義務化し、その結果を第三者の専門家が客観的に評価できる仕組を整えるべく、早期に条例制定する事を要望した。また、事業者へ環境影響評価の結果に対する問題点、調査方法について公開質問状を出した。猛禽類が棲む自然を破壊すると取り返しがつかず、耐用年数17年とされる風力発電設備は代替地の検討ができる。県下では環境影響評価で、景観の観点でのみ評価がされている。
(島根県「スペキュラム」NO.114,P3〜8)
・2006年飯梨川秋のシギ・チドリ (本吉洋子)
7/22〜10/8の内、17日間のカウント結果。最大値はトウネン44(9/2)、ムナグロ31(10/1)、タカブシギ13(9/2)、タシギ12(9/23)、ソリハシシギ9(8/31)、ハマシギ8(7/22)、シロチドリ8(10/1)、ヒバリシギ7(8/31)、アオアシシギ7(8/19)、キアシシギ7(9/10)等。
(島根県「スペキュラム」NO.114,P10)
●2006/11-12 広島県
・秋のシギ・チドリ渡り調査結果報告
9/10前後で県内13箇所で記録した。20種、302羽であった。内訳はケリ90、ソリハシシギ39、イソシギ35、タシギ33、キアシシギ24、コチドリ16、シロチドリ12、アオアシシギ11、ムナグロ8、クサシギ7等。
(広島県「森の新聞」NO.147,P4) |