No.16
2005年7月号
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有明海水鳥調査報告 (筑後支部投稿)
平成17年度第一回理事会(定例)議事録
平成17年度第一回評議員会(定例)議事録
事務局からのお知らせなど
  大型パネルを製作、イベント等でご活用ください
  IBAパンフレットの送付について
  サンクチュアリ事業に関するアンケート結果報告
  2005年入会時アンケート 中間報告
  会員数
  その他
有明海水鳥調査報告(筑後支部投稿)
鳥は環境のバロメーター 有明海の8年が語るもの
有明海水鳥調査報告書・1997年〜2005年1月
日本野鳥の会筑後支部 松富士将和
有明海水鳥調査報告書の表紙の写真  有明海。5mを越す干満の差が造り出した広大な干潟は、「豊饒の」と形容され、多種多様な生物を育んできた。シギ・チドリ類の水鳥もまた、その種・数ともに傑出し、長崎県諫早干拓、佐賀県大綬搦(東与賀干拓)、福岡県橋本・大和干拓は、シギ・チのメッカであった。「あった」と過去形で言わざるを得ない現状が何とも悲しい。いまは、大綬搦だけが残るだけである。

 諫早は、ご承知のように、締め切り工事が始まり、干潟が干上がると、餌場を失った鳥たちは四散してしまった。今は見る影もない。
 その諫早の影に隠れてあまり知られていないことであるが、有明海北東岸、筑後川・矢部川下流域の福岡県橋本・大和干拓は、1973年から1977年、いまから四半世紀(25年)前の記録・有明の鳥と自然(日本野鳥の会福岡支部)では、ピーク時には数千羽のシギ・チが観察されている。空を覆うハマシギ・オバシギの群舞は、今でも私の記憶に強く焼き付いている。しかし、諫早の締め切り工事が始まる数年前・1985年の筑後大堰完成後数年を経た頃から、鳥の姿が目に見えて減少し、今は、ぱらぱらと鳥影が散見できるだけの、最盛期の二桁近い激減となっている。

 鳥は、環境のバロメーターである。
 有明海の異変。海流が変化し流れが弱くなり、逆に潮位は上がり、ムツゴロウが川の中流域近くにまで来るような異常さ。干潟が活力を無くし、鳥が姿を見せなくなり、赤潮の発生・海苔の黄変・貝が死滅する状態はいまから10数年位前から始まっている。1985年完成の筑後大堰はその主因のひとつとである。流入する雑排水汚染や、三池炭坑(廃坑)の海底陥没、1極集中型の養殖海苔漁(酸処理)に加え、諫早の閉め切りはそれにとどめを刺すものであろう。
 鳥は、その減少・姿を消すと言うことで、その時代ごとの環境の悪化を示してきた。

 その鳥が示した環境異変の警鐘をより具体的な裏付けのあるデーターとして残そうと、有明海水鳥調査を始めた。1997年5月、長崎県支部の鴨川支部長から「諫早の閉め切工事が始まるので、そのデーターを残しておきたい。諫早閉め切り後、シギ・チがどこに行くかを確認したい」との呼びかけを切掛けに、初めは有志の参加・福岡や佐賀は支部活動の一つとして参加し、3年度からは佐賀支部担当で熊本県支部も加わった4支部合同の形で調査を行い、以後、筑後、熊本と担当し、今年で丸8年が経過している。
 
 さて、この有明海調査で分ったことは、
1.諫早干拓の分を受け持ち出来るほどの余力が他の干潟(佐賀県大授搦でも)になく、有明海以外の他所に分散していること。(ツクシガモは曽根干潟、博多湾などに)
2.佐賀県北部の大授搦・東与賀干拓や鹿島新籠海岸は有明海異変の影響が少なく、増減の変化が少ないこと。
3.その中で、比較的に熊本県内の干潟が、種数、羽数共増え、元気であること。
4.特に減少が著しいのは、諫早は別として、筑後川・矢部川下流域の福岡県域の干潟:柳川市昭代・橋本・大和干拓、三池郡高田町の三池干拓などであること。
5.有明海の干潟とひとくくりするには出来ないほど干潟が多様で、一斉調査と言いながら、調査方法、調査時間の統一が難しいこと(満潮時数時間前に水没する干潟もあれば、満潮でも水没しない干潟もある)

 この8年間の調査結果をまとめた報告書を、この全国水郷水都大会、有明海・不知火海フォーラム、筑後川フェスティバルに間に合うようにと作成した。
 この報告書が、有明海保全、有明海の再生に少しでも活用され、役立つことが出来れば・・・・・と願っている。
2005.6月
(日本野鳥の会筑後支部 支部長)

有明海調査報告書の作成を祝って
日本野鳥の会長崎県支部 支部長 鴨川 誠
 会員皆様の努力の結晶として本報告書を刊行するまでに漕ぎ着けたことを祝い、心よりお喜び申し上げる。
 有明海水鳥一斉調査は、1997年4月の諫早干拓埋め立て工事着工を契機として、有明海全域の主な水鳥の飛来地についての水鳥の生息状況を把握し、科学的な裏付けを持つデーターを集積し、今後の有明海の保全に生かそうと始めたもので、春・4〜5月、秋・9月、冬・1月の年3回の調査を実施して来た。
 この有明海調査報告書は、その1997年の諫早干拓埋め立て工事着工の年の5月から2005年1月までの8年間の長崎、佐賀、福岡(筑後)、熊本4県の野鳥の会支部による有明海水鳥調査の調査結果をまとめたものである。
 当初は1997年から2002年までの5年間の報告書の予定であったが編集作業が遅れ、その後2004年9月の九州ブロック大会in筑後・「有明海の再生と保全を考える」に間に合う様に進めたが、編集作業の途中でデーターの見直が必要になり、更に遅れ、最終的に2005年6月に福岡県久留米市・柳川市で全国水郷水都大会、これに併催の有明海・筑後川フォーラム、筑後川フェスティバルが開催されることになり、これに合わせた形でようやく2005年6月に発行の運びとなった。
 本誌が、「失われ行く有明海の生態系」保全と再生のために寄与することを念願するものである。
も  く  じ
  はじめに
I 調査の目的・方法、調査地、調査結果
  1 調査の目的・方法
1
  2 有明海の概要
    1)気候・環境
2
    2)地形と干潟・図1
4
  3 有明海の野鳥
    1)有明海の水鳥たち・種と生態
5
    *写真
7
    2)特徴的な水鳥
7
  4 調査地
    1)調査地の選定および調査地一覧・図2
13
    2)調査地の環境・特徴
14
    3)調査地地図
15
  5 調査結果
    1)考察
52
    2)解析結果1 生息地の変化と種の増減
55
      解析結果2有明海におけるシギ・チドリ類の状況
56
 
II 特筆すべきところ
  1 諫早干拓
62
  2 大授搦(東与賀干拓)・佐賀大学生物研究会データとの比較
65
  3 橋本・大和干拓・有明の鳥と自然1977との比較
67
  4 三池島
69
    ※グラフ1:各県の各調査地における最大と渡来個体数
71
    ※グラフ2:各県・各調査地における最大種数
72
    ※グラフ3:橋本・大和における春期最大個体数
73
    ※グラフ4:橋本・大和における秋期最大個体数
74
    ※写真
75
 
III 資料編
  1 調査データについて
79
  2 調査データ一覧・調査地/調査年(1997,5〜2005,1)
80
 
IV 参考文献および調査参加者・編集協力者
  1 参考文献・写真提供者
104
  2 調査参加者(編集担当者)・各支部連絡先
105
  3 調査参加者の一口コメント
106
 
  あとがき
110

理事会、評議員会議事録
●平成17年度第一回理事会(定例)議事録
■日時:平成17年5月28日(土)11:00〜13:10
■会場:(財)日本野鳥の会 鳥と緑の国際センター リコーホール 東京都日野市南平2-35-2
■現在理事数:20名(うち出席理事数14名)
■出席理事:
 柳生 博、佐藤 仁志、中村 滝男、海老原 美夫、鈴木 君子、吉田 新、滑志田 隆、花田 行博、
 山川 正吾、河地 辰彦、坂本 宗吏朗、阿瀬 誠一郎、三宅 武、松富士 将和
 以下委任状出席:親泊 素子、木村 春夫、小杉 隆、樋口 広芳、松田 輝雄
以上19名
■出席監事:
 伊藤 直人、高松 健比古
以上2名
■来賓:
 名執 芳博(環境省自然環境局野生生物課 課長)
以上1名
■傍聴:
 狩野 清貴(評議員)、福田 和夫(評議員)、中村 桂子(評議員)、
 東 陽一(本会職員労働組合委員長)、岡本 裕子(同組合員)
以上5名

■事務局:
 飯塚利一(事務局長)、原元奈津子(総務室長)、小林豊(会員室長)、古南幸弘(自然保護室長)、
 葉山政治(サンクチュアリ室長)、岩下路子(総務室経理グループチーフ)、
 森下祐子(総務室経理グループ)、白蓋由喜(総務室総務グループ)、勝田ひろみ(総務室総務グループ)、吉家奈保美(総務室総務グループ)
以上10名
出席者合計32名
11:00開会 
●会長挨拶
 柳生博会長より、中国四国ブロック交流会、東北ブロック協議会および東京バードフェスティバルへの出席、文化庁長官と国土交通省技監との対談等の会務報告があり、こうした各地域や各分野の方々とのふれあいと意見交換を通じ、新たなつながり、新たな展開を模索したいと考えていること、また改めて本会は各地で伝統を築いてきた支部に支えられていると認識した旨の挨拶があった。

●来賓挨拶
 環境省自然環境局野生生物課の名執芳博課長より、最近の動きとして、外来生物法が6月1日に施行となること、ラムサール条約締結国会議にむけた湿地登録は順調に調整が進み12箇所について正式に自治体の同意を得たことを挙げ、引き続き本会の協力を得て野生生物保護行政を推進していきたい旨の挨拶があった。

●近況報告
 中村滝男専務理事より、5月の東京バードフェスティバルでは、神奈川の湘南タゲリ米の販売が好評であり支部と地域産業との連携として印象に残ったこと、昨年度6年ぶりに新入会者数が前年比で増加したこと、子供の時期から野鳥に親しんでもらいたいとの考えから、日野市をモデル地域として市内の幼稚園等に出向き野鳥の話をするなどピヨピヨクラブと称した企画を検討していること、昨年創立70周年記念探鳥会を開催した須走では、今年も奥多摩支部等が探鳥会を予定しており、探鳥会の意義を確認する記念の土地となりつつあること、また70周年記念事業の実行委員会から中西悟堂賞の設置を提案され検討していること、昨年度の各ブロック会議からの声を受けバードウォッチャーのマナーについての冊子を作成したい等の報告があった。
 さらに鈴木君子常務理事より、出席した九州沖縄ブロック大会について、参加者100名超の活気ある大会であり、一方で手作りの暖かさもあり、この熱い思いが本会を支える力と感じた旨の報告があった。

 飯塚利一事務局長より、理事現在数20名のうち、委任状3名を含め19名の出席となり、寄附行為第27条に基づき本理事会は成立している旨の報告があり、さらに傍聴希望者の傍聴が承認された。
寄附行為第30条に基づく議事録署名人には滑志田隆理事と三宅武理事が指名された。

●議案審議
第1号議案 平成16年度事業報告案および決算案承認の件
 原元奈津子総務室長より、平成16年度事業報告(案)について、野鳥保護区事業、IBA基準生息地の保全事業、サンクチュアリ施設運営支援事業、野鳥ファンを増やす事業、70周年記念事業の5つの事業に力を入れたこと、新入会者数が6年ぶりの前年比増加となったこと等、資料に基づき説明があった。
 続いて、岩下路子総務室経理グループチーフより、平成16年度決算(案)について、当期収支差額がマイナス約200万円とほぼ収支均衡となり、理由は人員数減やそれに伴う管理費等の減少によること、収入は、財産運用収入と寄付金収入が予算より増加、会費収入や事業収入は予算より減少したこと、個人指定寄付金としては藤田様より5000万円、渡邊様より保護区購入として5600万円があったこと、特定預金取崩収入の減少はこの財源を利用しての保護区買い取りの一部が年度内に実施されなかったことによること、支出は全般に減少し、調査研究受託事業費600万円の増加は職員退職で外部委託となったこと等によること、特定預金の「70周年記念碑」は寄付剰余金を新規に積立てたこと、正味財産が約 8565万円増加したこと等、資料に基づき説明があった。

 以上の説明に続いて、伊藤直人監事より、監査報告として、永島公認会計士の指導のもと高松健比古監事と共に、収入支出ともに厳正に処理されていると確認したこと、2700万円の赤字予算を大幅に減少した事務局の努力を評価していること、事業監査については常務会に出席して日常的に実施しており、特に会長の積極的な活動など変化を感じ評価していること、また、組織運営においてCS(顧客満足)とES(社員満足)が重要であるとして、顧客たる会員や支部の方々が期待する活動を展開し、社員たる職員が誇りと希望と夢を持って働ける環境作りに取り組んでほしいとの報告があった。

 花田行博理事より、ペイオフ対策について質問があり、原元総務室長より、定期預金は分散するなどの対策を進めているとの回答があった。
 坂本宗吏朗理事より、ペイオフに関し、支部の財産管理は支部長個人による場合が多く1000万円を超える預金もあるとして、名寄せの範囲について質問があり、原元総務室長より、金融機関に確認し支部ネット通信等でお知らせするとの回答があった。

 滑志田隆理事より、国際協力事業費について説明を求める意見があり、岩下総務室経理グループチーフより、同事業はバードライフインターナショナルの会費であり、その会費も交渉により減額となったこと、事業内容としては、その会費支払と大会参加などであるとの回答があった。

 審議の結果、柳生会長より第1号議案について賛否を問い異議なく承認された。

第2号議案 滋賀支部の設置承認の件
 小林豊会員室長より、滋賀支部設立委員会から受理した申請は規程に法っており有効であること、168名が入会希望であること、これまで本地域は京都支部の1ブロックとして活動してきたことから京都支部からも承認書を受けていること、予定されている事業は定例探鳥会、調査活動であること等、資料に基づき説明があった。

 山川正吾理事より、滋賀支部設立による本会の会員数の変化について質問があり、小林会員室長より、滋賀支部入会の168名のうち、73名は京都支部を抜けて滋賀支部へ所属、24名が両支部に所属、本部型会員は31名、新たに入会されたのは8名であると回答があった。

 阿瀬誠一郎理事より、支部の名称について質問があり、佐藤仁志副会長より、設立については支部規程に定めてあるとした上で、慣例として、県全体の支部である時に名称に「県」がつくとの回答があった。
 山川理事より、名称に財団法人を冠した支部があるので、この機会に支部は財団法人を冠することができない旨周知してほしいとの意見があった。

 以上の審議の結果、柳生会長より第2号議案について賛否を問い異議なく承認された。

第3号議案 中長期計画策定の件
 中村専務理事より、1992年以降策定していない中長期計画について、10月の臨時理事会で素案を作成し評議員や支部との意見調整を経て来年2月の予算理事会で正式に策定するという方針の承認を得たいこと、創立100周年にむけた構想も含め、活動しやすい目標と方法論を示したい旨、資料に基づき説明があった。

 河地辰彦理事より、具体的な検討の進め方について質問があり、中村専務理事より、理事へのヒアリングを実施しながら、常務会で検討し10月末を目処に素案を作成するとの回答があった。
 飯塚事務局長より、臨時理事会は、未定だが11月上旬の可能性もあるとの補足があった。
 河地理事より、この1年柳生会長が各ブロックを回られていることから、各支部の意見も取り入れ、本会全体として一体感のある計画を期待しているとの意見があった。佐藤副会長より、素案は叩き台であり、今後様々な段階での協力をお願いしたいとの発言があった。

 以上の審議の結果、柳生会長より第3号議案について賛否を問い異議なく承認された。

第4号議案 規程の改定の件
 原元総務室長より、書面表決理事会規程については、寄附行為29条第4項をうけて定めたこと、各規程の条文中の寄附行為条文の読みかえについては、平成15年9月25日の寄附行為改定による規程の不整合を修正するものであること等、資料に基づき説明があった。佐藤副会長より、書面表決理事会規程について、例えば骨子は決まっていた土地購入が決定した場合など、事前に内容や見解を示せる場合もあるとの補足説明があった。

 河地理事より、書面表決理事会についての佐藤副会長の説明に対し、書面表決理事会以前の理事会で宣言等があるのかとの質問があり、佐藤副会長より、書面表決理事会で想定される議題としては、同規程案の第2条にあるとおり、軽易かつ緊急のものもあり事前の説明がない場合もあるとの回答があった。

 海老原美夫常務理事より、規程の読みかえについては本理事会の合意事項とするのか、読みかえに関する規程が必要ではないかとの意見があり、原元総務室長より、本理事会承認で実質的機械的に置きかえることとし、新しく配布するまでの間読みかえていただきたいとの回答があった。

 以上の審議の結果、柳生会長より第4号議案について賛否を問い異議なく承認された。

●審議事項
1.2004年5月16日付東北ブロック協議会からの要望書に関する審議
 中村専務理事より、東北ブロック協議会からの要望に基づき本件を審議事項とした旨の説明があり、古南幸弘自然保護室長より、本審議は、東北ブロック協議会から会長宛の要望である、日本全土すべての狩猟の禁止と、有害駆除の実施を調査研究に基づいた公的機関に限定するという2項目について意見交換するものであること、狩猟制度に関する本会の見解は、1992年に公表したとおり狩猟の全面禁止であること、近況として、1999年〜2004年の環境省自然環境局長設置の野生鳥獣保護管理検討会で、本会は狩猟の場を管理された猟区に限定するよう提案し、報告書でも意見とされ、この報告をもとに2006年に鳥獣保護法の改正が検討される見通しであること等、資料に基づき説明があった。

 山川理事より、東北ブロックではこの問題について第一回協議会から取り組んでおり、東北から狼煙をあげ全国の賛同を得て環境省へ持ち込みたいとの思いから理事会でも取り上げてほしいと要望したこと、何回でも環境省へ提出する覚悟であり、また国に専門の審議会を新たに設けてほしい等の意見があった。

 古南自然保護室長より、東北ブロック協議会から環境省への陳情について財団事務局として対応が遅れるなどの不手際があったと謝罪した上で、3月11日に本要望書を東北ブロック協議会に代わり環境省に提出し、同省自然環境局と地球環境局の担当者と面談したこと、その際環境省より、狩猟鳥獣については専門家による委員会を設け約5年毎に見直すこと、国内産と同種の輸入個体に識別のための足輪を装着するよう検討をすること、愛玩飼養は順次廃止を検討する等の回答を得ていること、財団事務局として今後も機会をとらえ働きかけをしていきたいとの回答があった。

 花田理事より、本審議の具体的な検討内容を確認したいとの質問があり、中村専務理事より、本事項は、毎年東北ブロック協議会で議論しているものであり、全国の場でも議論や意見交換をしてほしいという同協議会からの要望であること、具体的には中長期計画に含めていきたいとの発言があった。

 松富士将和理事より、有明海を禁猟区にしたいが海苔の被害もあり難しいこと、全国の状況を調査把握する機関を本会に設けることはできないかとの意見があった。

 三宅武理事より、徳島県では狩猟の税金で保護が実施され、また駆除もあれば放獣もあるなど混沌としていること、狩猟禁止を求めたいが農林業被害の対策も考慮する必要があるとの意見があった。

 河地理事より、栃木県では鳥獣保護員を務める本会会員が多いこと、乱場制から猟区制へという要望は本会でしかできないものでありこれを推進すべきであり、狩猟制度全体について本会がイニシアチブを取るべきであるとの意見があった。

 以上により、13時10分、全ての議事審議及び報告が終了した。

 上記の議事を明らかにするため議事録を作成し、議長及び出席理事の名において記名、捺印する。

 2005年6月28日
財団法人日本野鳥の会 平成17年度第一回理事会
議 長     柳生 博
議事録署名人  滑志田 隆
議事録署名人  三宅 武

(総務室/吉家奈保美)
●平成17年度第一回評議員会(定例)議事録
■日時:平成17年5月28日(土) 14:30〜17:00
■会場:(財)日本野鳥の会 鳥と緑の国際センター リコーホール 東京都日野市南平2-35-2
■評議員現在数:30名(うち出席評議員数:24名)
■出席評議員:(敬称略)
  ブロック推薦評議員
【北海道ブロック】山田 三夫、盛田 徹
【関東ブロック】池野 進、橋口 長和
【中部ブロック】高木 清和、福井 強志
【中国・四国ブロック】真鍋 啓二、日比野 政彦
【東北ブロック】大河内 重男
【東京支部】川端 一彦
【近畿ブロック】福田 和夫、狩野 清貴
【九州・沖縄ブロック】佐久間 仁、高野橋 豊
  学識経験者評議員
 芦ア 治、安藤 正治、磯崎 博司、伊藤 勝、遠藤 孝一、木内 正敏、
 曽我 千文、中村 桂子、松田 道生、横山 隆一
以上24名
■欠席評議員(委任状提出あり):敬称略
 ブロック推薦評議員
  針生 倖吉
 学識経験者評議員
  川村 研治、国松 俊英、白井 健、蓮尾 純子、日野 迪夫
以上6名

■出席執行役員:敬称略
 柳生 博、佐藤 仁志、中村 滝男、海老原 美夫、鈴木 君子、吉田 新
以上6名

■出席監事:敬称略
 伊藤 直人、高松 健比古
以上2名

■傍聴:敬称略
 滑志田 隆(理事)、阿瀬 誠一郎(理事)、松富士 将和(理事)、藤掛 保司(埼玉県支部)、
  佐久間 博文(埼玉県支部)、東 陽一(本会職員労働組合委員長)、岡本 裕子(同組合員)
以上7名

■事務局:
 飯塚利一(事務局長)、原元奈津子(総務室長)、小林豊(会員室長)、古南幸弘(自然保護室長)、
 葉山政治(サンクチュアリ室長)、岩下路子(総務室経理グループチーフ)、森下祐子(総務室経理グループ)、
 白蓋由喜(総務室総務グループ)、勝田ひろみ(総務室総務グループ)、吉家奈保美(総務室総務グループ)
以上10名
出席者合計49名
14:30開会 
 飯塚利一事務局長より、評議員現在数30名のうち、委任状を含め29名の出席を得て、「寄附行為」第32条第6項および第27条に基づき、本評議員会成立の旨報告があった。成立報告の後、曽我評議員が到着した。

●会長挨拶
 柳生博会長より、同日評議員会に先立ち開催された理事会の報告として、滋賀支部設立の件と6年ぶりに入会者増加の報告があったことが挙げられ、会務報告として、3月24日丸の内さえずり館のリニューアルオープンセレモニーへの出席、中国四国ブロック交流会と東北ブロック協議会への出席、文化庁長官および国土交通省技監との対談、東京バードフェスティバルへの出席等について報告があり、任期中にできれば全支部を訪問して教えを乞い意見交換をしたいと考えている旨の挨拶があった。

●議長団紹介
 飯塚事務局長より、第31回評議員会で決定されたとおり、議長として佐久間仁評議員、副議長として松田道生評議員が紹介され、それぞれ挨拶があった。

●傍聴者承認
 佐久間議長より、傍聴希望者の紹介があり、本評議員会の傍聴が承認された。

●議事日程
 遠藤孝一評議員会幹事会代表幹事より、5月23日に幹事会を開催して本評議員会の議事等について審議したこと、本日の議事日程は、議題審議を約40分、報告を約10分、事前に集約した質問・意見について約40分、その他の意見交換として理事・監事選出の方法等について25分程度議論したい旨の説明があり、異議なく承認された。

●近況報告
 中村滝男専務理事より、5月の東京バードフェスティバルでは神奈川の湘南タゲリ米の販売が好評であり地域の保護に役立つ農業支援も重要と思うこと、各ブロック会議からの声を受けバードウォッチャーのマナーの指針作りが必要と考えていること、柳生会長の知名度を活かし、より親しみ温かみのあるイメージをアピールしたいこと、保護問題などの会議検討の場には積極的に参加するなど対話路線を進めたいこと、三宅島のアカコッコ館は再開に向けて職員が現地へ入り準備を進めているが、体制が整い次第、状況等をお知らせし協力を呼びかけたいこと、また70周年記念事業の実行委員会から中西悟堂 賞の設置を提案され検討している等の報告があった。
 さらに鈴木君子常務理事より、出席した九州沖縄ブロック大会について、大変活気のある大会であり、一方で手作りの暖かさもあり、この熱い思いが本会を支える力と感じた旨の報告があった。

●議事録署名人
 評議員会規程第5条および理事会規程第6条第3項に基づき、盛田徹評議員と安藤正治評議員を議事録署名人として選出した。

●議案審議
第1号議案 平成16年度事業報告および決算案の同意の件
 原元奈津子総務室長より、平成16年度事業報告(案)について、野鳥保護区事業、IBA基準生息地の保全事業、サンクチュアリ施設運営支援事業、野鳥ファンを増やす事業、70周年記念事業の5つの事業に力を入れたこと、新入会者数が6年ぶりの前年比増加となったこと等、資料に基づき説明があった。

 続いて、岩下路子総務室経理グループチーフより、平成16年度決算(案)について、当期収支差額がマイナス約200万円とほぼ収支均衡となり、理由は人員数減と事業費管理費の節減によること、財産運用収入と寄付金収入が予算より増加、会費収入や事業収入は予算より減少したこと、個人指定寄付金としては藤田様より5000万円、渡邊様より保護区購入として5600万円があったこと、特定預金取崩収入の減少はこの財源を利用した保護区買い取りの一部が年度内に未執行であったことによること、支出は全般に減少しているが、渡邊様のご寄付により購入したチャンベツ、フレシマの土地購入費用は予算計上されておらず、そのため自然保護事業費が増額となったこと、また持田野鳥保護区シマフクロウ根 室の購入面積は3月の評議員会の報告時より約3000m2増加したが金額に変更はないこと、調査研究受託事業費600万円の増加は職員退職で外部委託となったことによること、特定預金の「70周年記念碑」は寄付剰余金を新規に積立てたこと、正味財産が約8565万円増加したこと等、資料に基づき説明があった。

 以上の説明に続いて、伊藤直人監事より、監査報告として、永島公認会計士の指導のもと高松健比古監事と共に、収入支出ともに適切に管理されていると確認したこと、2700万円を超える赤字であった予算を大幅に減少した事務局、執行部の努力を評価していること、事業監査については常務会に出席して日常的に実施しており、特に会長の積極的な対話活動など変化を感じ評価していること、また、組織運営においてCS(顧客満足)とES(社員満足)が重要であるとして、顧客たる会員や支部の方々が期待する活動を展開し、社員たる職員が誇りと希望と夢を持って働ける環境作りに取り組んでほしいとの報告があった。

 狩野清貴評議員より、デジタルコンテンツの著作権収入はあるのかとの質問があり、岩下経理グループチーフより、本会シンボルマークのロイヤリティ収入が35万円との回答があり、さらに原元総務室長より、その他各種ロイヤリティ収入があるが、物品販売事業収入に織り込んで計上しており約80万円、シンボルマークとあわせて毎年約100万円であるとの補足説明があった。

 遠藤評議員より、財産目録の負債の預り金「千歳川放水路問題対策資金」と特定預金「野鳥を科学する基金」の内容と目的について質問があった。これに対し原元総務室長より、前者については、千歳川放水路問題の当時、苫小牧市職員労働組合から100万円の資金提供があり、計画地の土地代360万円の購入代金に充て、計画中止後は土地を売却して売却代金を出資割合で按分し返金することとしていたため長期預り金として計上したこと、その後計画が白紙撤回された後も購入した土地はそのまま保有しているため預り金のままとしていること、後者は、バードソン募金によるもので当初から元本を基金として積み立て、運用収入を利用することとしており、平成16年度は185千円を調査研究活動の財源に充てたとの回答があった。
 横山隆一評議員より、収入、支出の各費目について全体に占める割合の目標を設置しているかとの質問があり、これにより努力目標が明確になり、NGOとしての説明がしやすく人事計画も立てやすくなるとの意見があった。
 飯塚事務局長より、明確な数値目標は掲げていないこと、実態としては、年間およそ10億の収入のうち会費寄付2割、物品販売2割、受託4割となっているが、全体に伸びが少ないことからもう1つ収入の柱が必要と考えていること、支出では、10億のうち人件費を3億以内に抑えたいと考えているとの回答があった。さらに中村専務理事より、自主財源が大切であり、収入が会費、事業、寄付金で3等分となるのが理想と考えるが、今後の中長期計画の中で数値目標を定めていきたいとの回答があった。

 以上の審議の結果、第1号議案は原案どおり承認された。


●報告事項
1.滋賀支部の設置について
 小林豊会員室長より、本件について理事会で承認されたこと、6月1日を設立日とし6月19日に設立総会を開催予定であること、支部長は青木氏、事務局は森田氏、5月26日時点で168名が入会希望であること等、資料に基づき説明があった。

2.中長期計画策定について
 中村専務理事より、本件について、平成17年度中に策定するという方針が理事会で承認されたこと、中長期計画策定は1992年の「理念と活動」発表以来の取組みであり、具体的内容については、常務会での審議を重ね、10月末か11月初めの臨時理事会で素案を提出し、評議員会や支部からのヒアリングを実施し反映したうえで、来年2月の定例理事会で承認としたい等、資料に基づき説明があった。

 山田三夫評議員より、報告事項2に関して、第1号議案の質疑とも関連して、会費収入3割というのは現実的にはかなり厳しいと思われるとし、別な収入基盤が必要ではないかとの意見があり、中村専務理事より、本計画で目標と手法を検討したいとの回答があった。

 日比野政彦評議員より、報告事項1に関して、本会の活力を高め、より多くの会員の意見を吸い上げるためには、支部の人数はどの程度が適正なのか、との発言があった。これに対し、佐久間議長より、会員は地元での活発な活動に魅力を感じており、より活動しやすい地域単位が望ましく、県単位などの行政区分にとらわれる必要はないと思うこと、また例えば九州電力野鳥の会との連携など職域支部も考えられる等の意見があった。
 佐藤仁志副会長より、本部支部検討審議会である程度整理されたが執行部では現在議論中であるとし、今後理事会素案として提出することもありうるので意見をいただきたいとの回答があった。
 小林会員室長より、都道府県に1つの支部の場合と複数の支部の場合とを比較して、後者の方が組織率が高くなる傾向がみられるとの補足説明があった。

 高木清和評議員より、愛知県支部では会員が減っており、退会理由のトップが高齢による退会、次が会員のメリットが少ないということであり、後者についてはインターネットの普及や月刊誌「バーダー」の人気等により、野鳥誌や支部報の必要性が低くなったことが背景にあると思われ、この対策として、支部の写真展での非会員の方へのアンケートやアンケート回答者への支部報の6ヶ月無料送付などを実施しているところだが、会員増にむけた良い智恵があったら紹介してほしいとの発言があった。


●質問・意見交換等
1.あらかじめ提出された質問・意見について
 指定管理者制度に関する曽我千文評議員の質問について、葉山政治サンクチュアリ室長より、同制度の概要と本会受託施設の状況について資料に基づき説明があり、今後サンクチュアリ室としては、設置目的、収支、鳥類保護上重要な場所か、等を基準に検討したいとの発言があった。

 曽我評議員より、行政をめぐる環境分野においても民間企業が力をつけてきており危機感をもつ必要があること、また来年度移行となる東京港野鳥公園について、埠頭公社と組む戦略は期待できるとの発言があった。

2.理事選出方法について
 遠藤代表幹事より、現在の役員選出方法は、2月に就任したばかりの評議員が、3月の最初の評議員会に短時間で慌ただしく選挙を実施するため十分な選考ができない等の意見があること、そこで幹事会において議論し、問題点を「審議時間」と「評議員任期」に整理した上で本日提案することにしたこと、前者については、評議員会開催の1週間位前に名前と年齢、現職程度のプライバシーに配慮した最低限の内容のリストを評議員に送付し、当日にさらに詳細な資料を配布し、選挙後資料は回収することを提案したいこと、但しその時点では新しい第10期の評議員会による正式な幹事会は設置前であるため、リストは「第9期評議員会幹事会からの経過報告」という形式としたいこと、また後者については、評議員任期を理事と揃えて4月開始とし、任期の最後に理事を選出するよう改善したいこと、但しこの変更については弁護士や主務官庁との相談等も必要ですぐにはできないと思われるので次期評議員会への申し送りとしたいこと、なお本件の扱いについて、本来議案とすべきであったが議事次第送付後に幹事会が開催され提案がまとまったため、議案にあげることはせずに意見交換の場での提案としたこと、この場で特に異論がなければ次期評議員会に申し送りとしたいとの説明があった。

 安藤正治評議員より、以前の検討では名前を隠して抱負を事前資料として送るとの意見もあったとして、名前を明らかにする理由について質問があり、橋口長和幹事より、日本野鳥の会の役員は公職と考え、名前と現職である程度の検討ができると判断したとの回答があった。

 飯塚事務局長より、評議員制度が設置されたのはおよそ20年前で、全国支部長会議が衣替えして評議員会になったこと、4月から任期が開始する理事を選ぶためにそれに先立って評議員を選ぶ必要があり現在のような任期になったと考えられるとの補足説明があった。

 海老原美夫常務理事より、本件の議事録への記載方法を確認する質問があり、「評議員任期」については、松田副議長より、その開始を4月に変更する方向で検討するよう次期評議員会へ申し送る、としたいとの回答があり、もう一方の「審議時間」については、遠藤代表幹事より、本評議員会で了解が得られれば次回より実施したいとの回答があった。
 これに対し、川端一彦評議員より、2年後どうなるのか不安であること、事前資料として抱負も必要と考えるが、今回は幹事会の提案で進め、さらに改善する方向で検討してほしいとの意見があった。

 最後に佐久間議長より、「審議時間」については、事前資料を送ることを次回より実施すること、「評議員任期」については、その開始を4月に変更する方向で検討することを次期評議員会へ申し送ること、の2点について特段の異論はないことが確認された。

 以上をもって、平成17年度第1回評議員会(定例)(第34回)は終了した。

 上記の審議を明確にするため、この議事録を作成し、議長および議事録署名人の名において署名、捺印する。

 2005年 6月28日
財団法人日本野鳥の会
評議員会議長 評議員 佐久間 仁
議事録署名人 評議員 盛田 徹
議事録署名人 評議員 安藤 正治
(総務室/吉家奈保美)
事務局からのお知らせなど
普及室より

■ 大型パネルを製作、イベント等でご活用ください ■

 普及室では、展示会やイベントでの出展用資材として、会の活動などを紹介する大型パネルを作成しております。このたび、支部のみなさまに活用していただきたく、新作パネルを加えて利用しやすく整理いたしました。新作には、これまでご要望にお応えできなかった柳生会長の写真入り、直筆サイン入りの挨拶パネルもご用意しました。
 これらのパネルは屋内での展示会のほか、テント等を使用する屋外イベントでもご活用いただけます。
ぜひご利用下さい。

パネルの写真 ◆パネルサイズ
内寸(A1サイズ) 外寸
横594ミリ 横603ミリ
縦840ミリ 縦850ミリ

◆パネル内容
bP 会長挨拶
     (会員勧誘、柳生会長直筆サイン入り)
bQ 日本野鳥の会の活動
bR バードウォッチングをはじめよう
bS あると楽しい道具たち
bT フィールドマナー
bU サンクチュアリに行ってみよう
bV 高病原性 鳥インフルエンザ
bW ヒナをひろわないで
     (2004年ポスター拡大版)
パネルの写真 パネルの写真 パネルの写真 パネルの写真
◆使用例
 展示会などの入り口に(会長挨拶):1
 会の活動紹介:2
 会員勧誘、活動紹介、資料配布等:1、2
 パネル展示会(バードウォッチングのすすめ):3、4、5、6
 この他、イベントや展示会の趣旨、設置場所の広さにあわせ、7や8を加えて使うことも可能です。

◆貸し出し方法
 送料実費のみのご負担で貸し出します(支部からお申し込みいただいた場合のみ)。
 希望のパネルナンバーと使用期間、使用目的、使用者、送付先住所を普及室までご連絡下さい。セットでも単品でもご利用いただけます。

◆貸し出し期間
 上限2週間(ご相談に応じます)、お申し込み順とさせていただきます。

◆本件についてのお問い合わせは 普及室 横田(03-5358-3516)へお願いいたします。
(普及室/横田さとる)


自然保護室より

■ IBAパンフレットの送付について ■

 野鳥誌8月号の付録として、日本のIBA(Important Bird Area:重要野鳥生息地)を紹介したパンフレットを送付する予定です。8月号は、赤い鳥会員(支部のみの会員)にも送付されますので、すべての会員の皆様の手に行き渡ることになります。それに先立ち、7月12日に支部事務局宛に、このパンフレットを1部づつ発送させていただきました。このパンフレットは、広げるとB2サイズとなり、裏面はポスターとして活用できます。支部におかれましても、ぜひパンフレットを注目されるところに掲示していただけますようお願いいたします。なお、追加ご希望の支部がございましたらご連絡ください。

 IBAという新しい概念を普及させるには、まだ相当な時間を要するものと思われますが、現在、日本のIBAのホームページの作成に注力しているところです。IBAにおける支部での探鳥会や保護活動なども順次掲載していきたいと考えています。ホームページに掲載する各IBAの地図、写真、イラスト、紹介文などの作成に予想以上の時間を要しています。IBAで活動されている支部の皆様の協力をお願いいたします。
    日本のIBAホームページ(公開にて作成中)
    http://www.wbsj.org/nature/hogo/others/iba/index.html
 情報不足でIBAにリストアップできなかった生息地がありますので、追加登録可能な生息地がありましたら、裏づけとなる論文・報告書等をつけ、ぜひご一報ください。現在、追加を検討している生息地が2〜3ヶ所程度あります。

 また、IBAはIUCNのRDB種(レッドデータブック掲載種)を採用しているため、国内RDB種のみの生息地については対象外となっています。今後、国内基準についても検討を行なっていきたいと考えています。
(自然保護室/高井、山田 [email protected]


サンクチュアリ室より

■ サンクチュアリ事業に関するアンケート結果報告 ■

 支部ネット通信No.15(2005年6月号)で会員室より報告いたしました会員継続時アンケートより、サンクチュアリ事業に関するご回答について整理いたしましたのでご報告いたします。

図1 ●サンクチュアリの所在しない県で認知度が低い
回答をいただいた方のうち13.5%の方が、サンクチュアリで行われている何らかの事業を知っていただいているようです。しかしながら、沖縄県、秋田県、島根県では、半数以上の方が知らないと回答されておりました。知らないとの回答をいただいた方の居住地の上位10位までを図にしましたが、いずれもサンクチュアリの存在しない県にお住まいの方からの回答でした。


図2 ●事業の認知トップは探鳥会・観察会
 サンクチュアリで行っている事業のうち、認知しているかを複数回答で伺ったところ、もっとも多かった事業は、「探鳥会・観察会の実施」(全回答者中70%)で、ついで多かったものが「環境保全・管理」(同56%)でした。自然環境の保全と環境教育の実践という2つの柱となる事業の認知度が高くなっていました。
 一方、市民参加の指標となるボランティアの活動や人材育成は認知度が低い事業となっていました。

●39%のかたがサンクチュアリを利用
では、サンクチュアリを訪れていただいたことがあるかどうかを伺ったところ39%の方が、実際にサンクチュアリに足を運んでいただいておりました。また、第1号のウトナイ湖サンクチュアリを訪れた経験を持つ方が最も多くなっておりました。

図3
ウトナイ湖サンクチュアリ 220
東京港野鳥公園 123
谷津干潟自然観察センター 79
鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ 69
福島市小鳥の森 56
横浜自然観察の森 39
鴨池観察館 37
春国岱原生野鳥公園 33
姫路市自然観察の森 29
三宅島アカコッコ館 22
油山自然観察の森 14
豊田市自然観察の森 9


 行ったことのあるサンクチュアリをお聞きした回答に、当会サンクチュアリ以外の施設の名前をあげた方もいらっしゃいました。複数の方から名前のあがった施設としては、米子水鳥公園(6名)、きらら浜自然観察公園、都立光が丘公園(5名)などがありました。これらの施設のうち、きらら浜と光が丘公園は、当会がかつて係わっていた施設です。

 なお、いただいたご意見の中で、「行きたいが遠い」「行けないので四季の写真などを紹介して欲しい」とのご意見をいただきました。この春にサンクチュアリ各現場のホームパージも一新しましたので、ぜひホームページ上でも訪れてみてください。 http://www.wbsj.org/sanctuary/index.html
(サンクチュアリ室長/葉山政治)


総務室より

■ ブロックの動き ■

 現在までに財団事務局にご連絡いただいているブロック行事は下記のとおりです。
●関東ブロック
  ブロック協議会 9月17日〜18日 吾妻支部主管
(総務室長/原元奈津子)

■ 当会推薦の自然公園指導員の針生氏が環境大臣表彰に ■

 当会評議員、青森県支部事務局長で、当会推薦の自然公園指導員の針生倖吉氏が、このたび自然公園関係功労者として環境大臣表彰を受けることになりました。8月3日に西海国立公園(長崎県)で開催される第47回自然公園大会にて受賞式が行われます。
 針生氏は、自然公園指導員として27年以上にわたり、地元の十和田八幡平国立公園で、登山道整備や安全指導、動植物保護のための啓発活動、トイレなど施設改善の提言等をされており、このたびの受賞はその功績が評価されたものです。
 財団事務局一同より、心よりお祝い申し上げますとともに、今後益々のご活躍を祈念いたします。

  ※自然公園指導員制度とは
国立公園における自然保護思想普及と利用マナーや安全指導のため、国立公園近在で公園の実情に精通している方々を指導員として環境省が委嘱しているものです。
当会は自然公園指導員を推薦する団体の1つとされており、会員や支部関係者から推薦をしています。     参考:環境省HP http://www.env.go.jp/nature/park/coacher.html

    
(総務室/吉家奈保美)

■ 「支部報とりまとめ発送」次回の日程のご案内 ■

  次回の支部報取りまとめ発送日は9月12日(月)ですので、支部報は下記の要領でお送りくださるようお願いします。(支部報取りまとめ発送についての詳細は、支部ネット通信2005年6月号をご覧下さい。)
 送付期日:平成17年9月9日(金)必着
 送付先:〒151-0061 東京都渋谷区初台1-47-1 小田急西新宿ビル1階
    (財)日本野鳥の会 総務室 支部報担当宛
 本件に関するお問合せ先:03-5358-3513 総務室 吉家(きっか)

■ テプラの配布は終了いたしました ■

  2月号と4月号の支部ネット通信でお知らせしたラベル作成用文房具「テプラTR07」の無料配布のご案内に対し、締切の6月末までに9支部からお問合せがありました。それぞれの支部にご希望個数を、お送りいたしました。(合計13個)。
(総務室/白蓋由喜)


会員室より

■ 2005年入会時アンケート 中間報告 ■

●回収率19.1%、新入会者の層は既会員と変化なし
 会員の皆さまが入会される際の動機や背景などを把握し、事業に反映させるために、2005年1月から、新入会された方に会員証と同時にアンケート用紙をお送りしています。開始から半年が経ちましたので、ここで中間報告をいたします。
 2005年1月から6月の間に新入会の会員証をお送りした方(アンケート対象者)は1,107名で、回答をいただいた方は211名、回収率は19.1%でした。回答者の内訳は、平均年令56.4歳(最多60歳代)、男性70%・女性30%となっており、全会員を対象としたデータに近いものでした。新入会者の層は、既に会員になってくださっている方の層と変わらないことが推定されます。

●団体の掛け持ちは少数派、当会ご指名の方が多い
 「他にどちらの自然保護団体の会員になっていますか?」の質問に回答された方は30名で、複数の団体に所属している方もいらっしゃいましたが、1団体ずつカウントしていくと、最多は日本自然保護協会(NACS-J)6名、次いでWWFジャパン4名でした。回答者全体からすると、掛け持ちをしている方の割合は少ないようです。
 「当会に入会する際に、他の団体と比較しましたか?」への回答では、比較した方3%に対し比較しなかった方は97%と圧倒的で、はじめから当会へ入会するつもりで検討されている方が多いことがわかります。

グラフ1 ●当会を漠然と認知はされているが、自然保護団体としての具体的認識は入会時
「当会のことをいつ頃からご存知でしたか?」への回答では、10年以上前からという方が64%と最多で、一般層への認知度は高いことがうかがえます(グラフ1)。しかし「その時の当会のイメージはどのようなものでしたか?」の質問に対しては、「鳥好き・自然好きの集団」という回答が最多で(グラフ2)、活動の内容までは把握しておらず漠然としたイメージが強いようです。
 なお、「今回、入会するにあたって当会のイメージは変わりました?」への回答は、「変わらない」56%、「変わった」44%でした。このうち「変わった」と回答した方にはそのきっかけや変化後のイメージをお伺いしたところ、きっかけの最多は「入会パンフレット」で、変化後のイメージの最多は「自然全般を保護する団体」でした。入会時に読んだ資料によって、当会が自然保護団体であるという認識を新たにされる方が多いと考えられます。

グラフ2 ●入会して得たいことは探鳥会情報や鳥の知識
入会の動機について複数回答可として質問し、回答者数とは関係なく回答1件単位でカウントしたところ、「入会することで何を得たいですか?」への回答では、総回答件数566件のうち、「探鳥会や自然観察会に参加するための情報がほしい」が122件、次いで「鳥の名前や生活に関する知識を得たい」が118件でした(グラフ3)。また、「入会することで支援したいものは何ですか?」への回答では、総回答件数311件のうち、「会費を払うことで会の行う自然保護活動に役立ちたい」が149件と最多でした (グラフ4)。

グラフ3グラフ4
●おわりに
ご協力いただいた方、ありがとうございました。上期の回収率は19.1%と、昨年実施した会員継続時アンケート(支部ネット通信2005年6月号参照)の4.37%よりも高く、新入会されるにあたって会への期待度の高さがうかがえる結果となりました。これらの方々の期待に応えられるよう鋭意努力していきたいと思います。
(会員室/齋藤英一郎)


■ 会員数 ■

7月1日会員数 46,920人(対前月 +163人)
  先月に比べ163人会員数が増加となりました。会員の増減は、入会者数と退会者数のほかに、会費切れ退会となった後に会費が支払われ会員として復活した人数によって決まります。6月の入会・退会者数の表をみますと、入会者数は退会者数よりも158人多くなっています。この158人に6月に会員へ復活した人数を加えた結果、163人の会員数増加となりました。
 2005年4月からの会費切れ会員の会員猶予期間延長により、6月の会費切れ退会の対象は個人特別会員のみで、会費切れ退会は1人でした。05年退会者数114人は、前年同月の退会者数428人に比べると314人も減少しました。退会者数が大きく減少したことも、会員数をより増加へとつなげたものと考えられます。
 2005年4月から3ヶ月連続して会員数は増加となりましたが、05年4〜6月の入会者数は前年同月の入会者数より連続して減少しています。05年4〜6月の退会者数も前年同月の退会者数より3ヶ月連続して減少していますが、10月からおおぞら(総合)会員、青い鳥(本部型)会員、赤い鳥(支部型)会員が会費切れ退会の対象となってくるので、退会者数は現状より多くなると考えられます。

表1.6月の入会・退会者数
入会者数 退会者数
個人特別会員 0 人 6人
総合会員(おおぞら会員) 48人 50人
本部型会員(青い鳥会員) 75人 6人
支部型会員(赤い鳥会員) 91人 31人
家族会員 58人 21人
合計 272人 114人
年度累計 678人 559人
6月の入会案内発送件数 2,094件(年度累計6,285件)
6月のホームページアクセス件数 30,176件(年度累計85,103件)


■ 都道府県および支部別会員数 ■

 都道府県別の会員数の合計47,141人には野鳥誌の贈呈数も含まれており、野鳥誌贈呈数221を引いた数が公称会員数となります。都道府県別の会員数合計の対前月差は+171人となっており、7月1日会員数の対前月+163より多くなっていますが、これは野鳥誌贈呈先+8人が含まれているためです。
表2 都道府県別の会員数 (7月1日時点)
都道府県 会員数 対前月差 都道府県 会員数 対前月差 都道府県 会員数 対前月差 都道府県 会員数 対前月差
北海道 2113人 23人 神奈川県 4,962人 -7人 大阪府 2,491人 2人 福岡県 1,604人 5人
青森県 364人 0人 新潟県 498人 0人 兵庫県 1,781人 3人 佐賀県 236人 1人
岩手県 500人 4人 富山県 254人 0人 奈良県 696人 2人 長崎県 288人 2人
宮城県 596人 3人 石川県 348人 1人 和歌山県 234人 0人 熊本県 480人 2人
秋田県 270人 0人 福井県 281人 2人 鳥取県 245人 1人 大分県 285人 0人
山形県 230人 0人 山梨県 375人 4人 島根県 168人 0人 宮崎県 298人 -1人
福島県 879人 -1人 長野県 1,042人 -1人 岡山県 644人 6人 鹿児島県 407人 5人
茨城県 1,223人 -4人 岐阜県 670人 5人 広島県 773人 3人 沖縄県 154人 0人
栃木県 556人 -2人 静岡県 1,805人 6人 山口県 542人 3人 その他 178人 3人
群馬県 1,006人 13人 愛知県 1,917人 28人 徳島県 419人 2人 全国 47,141人 171人
埼玉県 2,840人 9人 三重県 535人 0人 香川県 267人 1人      
千葉県 2,471人 10人 滋賀県 339人 17人 愛媛県 423人 0人      
東京都 7,263人 26人 京都府 995人 -4人 高知県 196人 -1人      
備考:その他は海外在住の会員を示します。
表3 支部別の会員数 (7月1日現在)
支部 会員数 対前月差 支部 会員数 対前月差 支部 会員数 対前月差 支部 会員数 対前月差
小清水 4人 0人 福島 215人 1人 長野 551人 -3人 島根県 177人 -1人
オホーツク 180人 6人 郡山 235人 0人 軽井沢 287人 2人 岡山県 639人 6人
根室 91人 5人 二本松 61人 1人 諏訪 274人 2人 広島県 747人 4人
釧路 182人 -1人 白河 76人 0人 木曽 52人 1人 山口県 548人 2人
十勝 156人 -1人 会津 77人 0人 伊那 85人 0人 香川県 236人 1人
旭川 95人 -1人 南会津 22人 0人 甲府 270人 0人 徳島県 459人 2人
滝川 56人 0人 いわき 159人 -2人 富士山麓 100人 0人 高知 199人 -1人
道北 37人 0人 福島県相双 12人 -1人 東富士 68人 2人 愛媛県 412人 -1人
江別 28人 0人 福島県原町 17人 0人 沼津 249人 0人 北九州 439人 0人
札幌 440人 1人 茨城 1,187人 0人 南富士 296人 1人 福岡 785人 3人
小樽 167人 0人 栃木県 537人 0人 南伊豆 63人 -1人 筑豊 232人 1人
苫小牧 249人 3人 群馬県 895人 11人 静岡 620人 3人 筑後 193人 -5人
室蘭 177人 0人 吾妻 99人 0人 遠江 502人 -1人 佐賀県 285人 1人
函館 109人 2人 埼玉県 2,357人 11人 愛知県 1,557人 13人 長崎県 310人 -5人
道南檜山 73人 0人 千葉県 1,909人 4人 岐阜県 702人 2人 熊本県 475人 3人
青森県 226人 1人 東京 5,285人 -6人 三重県 468人 0人 大分県 296人 1人
弘前 152人 0人 奥多摩 1,086人 5人 奈良 664人 2人 宮崎県 302人 0人
秋田県 273人 1人 神奈川 4,002人 -14人 和歌山県 232人 1人 鹿児島県 375人 4人
山形県 235人 0人 新潟県 418人 1人 滋賀 240人 36人 八重山 76人 0人
宮古 124人 0人 佐渡 20人 0人 京都 1,086人 -13人 やんばる 118人 0人
盛岡 236人 1人 富山県 231人 0人 大阪 2,436人 -1人 合計 43,464人 102人
北上 136人 1人 石川 336人 1人 兵庫県 1,547人 -3人      
宮城県 603人 5人 福井県 278人 2人 鳥取県 269人 1人      
備考:支部別の会員数の合計は、都道府県別の会員数の合計と異なります。これは、本部型(青い鳥)会員や支部に所属されていない個人特別会員が支部別の会員数に含まれないためです。
支部ネット通信担当より
本通信は電子メールでもお送りしております。1支部あたり2アドレスまで登録いただけます。まだご登録されてない支部もありますので、どうぞご利用ください。また、本通信のバックナンバーは、ホームページから閲覧できます。URLは以下のとおりです。
http://www.wbsj.org/info/shibu/net/
(会員室長/小林豊)

支部ネット通信 第16号
発行:財団法人日本野鳥の会 2005年7月29日
担当:会員室
〒151-0061 東京都渋谷区初台1-47-1
小田急西新宿ビル1F
TEL.03-5358-3510・3511 FAX.03-5358-3608
E-mail:[email protected]