プレスリリース 2010.10.16

2010年10月16日

三宅島のサンゴ一部食害が見られるも、今年も良好な状態を確認

主催:三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館
共催:コーラル・ネットワーク
共催:スナッパー・ダイビングセンター

2010年10月16日、三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館とコーラル・ネットワークは共同で、世界共通のサンゴ調査である「リーフチェック」を実施した。実施した場所は三宅島の西側に位置する富賀浜のテーブル状サンゴ群集と、伊ヶ谷沖のカタン崎のサンゴ群集である。
調査を実施した結果、富賀浜ではここ数年の結果と同様に、調査範囲の約60%以上がサンゴに覆われていた。しかしサンゴ食の巻貝による食害が例年より多く見られた。カタン崎においては、調査範囲の約30%以上がサンゴに覆われ、また多様な種類のサンゴが点在することが確認された。
富賀浜で一部食害が見られたものの、どちらのサンゴ群集とも良い状態が保たれていることが確認された。

※リーフチェックとは
サンゴ礁の健康度を測るために世界同一基準で用いられているモニタリング調査で1997年に始まった。アメリカ・カリフォルニアに本部を置く民間団体が推進している。調査は科学者とボランティアダイバーでチームを編成し、サンゴ、魚類、海底の生物など国際基準の調査項目を潜水して調査し、調査結果をインターネットを通じて本部に送る。各地の結果は毎年本部で取りまとめられ、ホームページなどを通じて公表される。

1.三宅島でのリーフチェックの経緯と調査方法


調査風景(富賀浜)
三宅島では1998年より調査を開始し、以後99年、05年、06年、08年、09年と6回調査が行われ、今回の調査は7回目となる。
今回はコーラル・ネットワークのリーフチェックコーディネーター1名、コーラルネットワークの会員2名、地元のダイビングサービス1名、日本野鳥の会の職員でアカコッコ館のスタッフ3名、また今回は全島帰等後では初めて一般のダイバーも募り、4名のボランティアダイバー(島外1名、島内3名)で、地元の漁船の協力を得て、富賀浜と伊ヶ谷沖のカタン崎を調査した。
世界共通の調査方法に準じ、サンゴ群集上にメジャーで100mのラインを設置し、ライン上のサンゴの状態を観察した。あわせて、周辺の魚やエビ、ウニなどの決められた生き物の数を記録した。

2.調査結果

(1)富賀浜

富賀浜のテーブル状サンゴ群集と
調査ライン
テーブル状のサンゴを中心に、ここ数年の調査結果同様60%以上が造礁サンゴに覆われ、非常に良好な状態にあった。
ただしサンゴ食の巻貝による食害が例年よりも若干多く見られた。一方オニヒトデについては今年の調査では確認されず、被害も見られなかった。


(2)カタン崎

カタン崎の造礁サンゴ群集と調査ライン
テーブル状のサンゴを中心に、ここ数年の調査結果同様30%以上が造礁サンゴに覆われ、良好な状態にあった。カタン崎は三宅島の中でもサンゴの種類は多いと考えられ、サンゴの生育環境としては良好に保たれていた。サンゴ食の巻貝の仲間やオニヒトデ、サンゴの病気等は全く見られなかった。
今年三宅島の水温が高かったためか、チョウチョウウオ類が例年に比べて多く確認できた。



3.総評(コーラル・ネットワーク リーフチェックコーディネーター 土川 仁氏コメント)

富賀浜、カタン崎の造礁サンゴ群集とも良い状態で保たれていた。特に富賀浜のサンゴ群集は依然として伊豆諸島最大のテーブル状サンゴ群集であり、非常に良い状態で保たれていると考えられる。
今年は三宅島の水温が高く、オニヒトデの影響も懸念されていたが、調査の範囲では確認されず一安心ではあったが、富賀浜ではサンゴ食の巻貝の食害が例年に比べて多く見られた。今後の推移を見ていきたい。

4.三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館

アカコッコ館は、東京都伊豆諸島の三宅島の自然を多くの人に知ってもらうために1993年に設置された、三宅村営の自然観察施設。93年のオープン時から日本野鳥の会のレンジャーが常駐し、自然情報の提供、自然観察会の開催、調査・研究などの活動を行っている。

5.参考リンク