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野鳥保護資料集第33集 《記録集・国際シンポジウム》野鳥と風力発電のセンシティビティマップ-その作成と活用方法
風力発電事業の環境影響を回避・低減するには、適切な立地選定、つまり大きな環境対立が予想される場所への立地を事前に回避することが最も重要です。風力発電施設が鳥類に与える影響を左右する最大要因は風車の立地場所であり、欧州諸国ではこれまでに風車が鳥類に影響を及ぼした繁殖妨害や生息地放棄等の事例を蓄積し、鳥類が風力発電の建設による影響を受けやすい場所を示すような、センシティビティマップ作りが行われています。
風力発電の先進国と言われる国々では、地域の環境保護のみならず、風力発電の導入促進の観点からもセンシティビティマップ作りの必要性が指摘されています。一方、日本ではセンシティビティマップ作成の体系的な方法論が確立していないため、我々が欧州諸国からマップ作成の取組みについて学ぶ意義は大きいという状況です。
そこで当会は、欧州諸国での野鳥と風力発電のセンシティビティマップ作成の先進事例と、一部地域で取り組みが始まった国内でのマップ作りの事例を紹介し、今後、日本でどのようにセンシティビティマップ作りを進めていくべきかを議論するため、2018年2月17日(土)に横浜市内で「国際シンポジウム・野鳥と風力発電のセンシティビティマップ~その作成と活用方法」を開催しました。本資料集は、その内容を報告するものです。本書により政府、風力発電事業者、自然保護団体、その他関係機関が野鳥と風力発電のセンシティビティマップについてさらに注目し、日本全国でマップが作られるようになることを願っています。
本書の内容
第一部 講演
- 環境省における全国向け野鳥と風力発電のセンシティビティマップ
有山義昭(環境省自然環境局野生生物課 計画係長) - 衝突履歴を利用した全国スケールのセンシティビティマップ作成の試み
北村亘(東京都市大学 環境学部 講師) - 鳴門市でのゾーニングにおけるセンシティビティの評価検討について
市川大悟(世界自然保護基金ジャパン 気候変動エネルギーグループ) - 北海道北部における繁殖海鳥の洋上風力発電センシティビティマップ作成事例
風間健太郎(北海道大学 水産科学院 博士研究員) - 北海道宗谷地域における野鳥と風力発電のセンシティビティマップ作成事例
浦達也(日本野鳥の会 自然保護室 主任研究員) - 国内外のゾーニングの取り組みと今後の課題
分山達也(自然エネルギー財団 上級研究員) - 野鳥と風力発電の調和‐センシティビティマップの重要性
トリストラム・アリンソン(バードライフ・インターナショナル) - アイルランドにおける風力発電のための鳥類センシティビティマップ作成ツール
ウーナ・ダガン(バードウォッチ・アイルランド) - ブルガリアにおける野鳥のセンシティビティマップと風力発電開発
イリーナ・マテーバ(ブルガリア鳥類保護協会)
第二部 パネルディスカッション
パネリスト:トリストラム・アリンソン、ウーナ・ダガン、イリーナ・マテーバ、有山義昭、市川大悟、風間健太郎、浦達也、分山達也
コーディネーター:北村亘