カナダガンの特定飼養施設等の基準についてのパブリックコメントに 意見を提出しました
平成26年6月にカナダガン(Branta canadensis)が特定外来生物に指定されました。当会では、その飼育施設の基準についてのパブリックコメントに意見を提出いたしました。
カナダガンは北米産の大型水鳥ですが、ニュージーランドやヨーロッパに導入されて爆発的に増え、日本国内でも一部が野外で定着しており、シジュウカラガン(Branta hutchinsii)などのガン類との交雑や、農業・生態系への被害が懸念されることから、特定外来生物に指定されました。
また、当会の支部や日本ガンを保護する会などの市民団体や専門家グループが協力して調査、捕獲などの取り組みも行われています。
国内におけるカナダガン防除の取組事例(PDF 93.1KB)
今回の基準案は、すでに特定外来生物に指定されているガビチョウと同じように「おり型」の施設として、現在飼育している動物園などでは、5年間に限り断翼した上で「擁壁型」(周囲を囲んだ施設)で飼えるという案です。
特定外来生物に係る特定飼養等施設の基準の細目(告示事項)の改正の概要(案)(PDF 13.4KB)
しかし、今後、コブハクチョウやコクチョウなど同様に野生化している外来種の水鳥類の規制を進めることを考えると、現在使用している施設に過度の負担をかけることは、規制のハードルを引き上げることにつながり望ましくないとの見地から、当会では、以下の意見を環境省に提出しました。
パブリックコメントの内容
[件名]特定外来生物に係る特定飼養等施設の基準の細目等の改正案に関する意見
[宛先]環境省自然環境局野生生物課外来生物対策室
[氏名]公益財団法人日本野鳥の会 自然保護室 葉山政治
[郵便番号・住所]141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23
[電話番号]03-5436-2633
[FAX番号]03-5436-2635
[意見]
1 告示案のどの部分に関する御意見か
ブランタ・カナデンスィス(カナダガン)に係る特定飼養等施設の基準の細目等を、当該生物の特徴等の実態を踏まえ、既指定のガビチョウ等と同等のものとする。
ただし、特定飼養等施設については、おり型施設等又は移動用施設とするが、指定時において現にブランタ・カナデンスィス(カナダガン)を展示目的で飼養等している施設(動物園など)であって、以下の要件を満たす場合にあっては、指定から5年間に限り、擁壁式施設等を認めることとする。
2 意見の要約(100字以内で記載)
カナダガンは断翼すれば飛ぶことができないので、擁壁式施設で飼育することが可能である。擁壁式施設は5年間限定ではなく、恒久的に認められるべきと考えます。
3 意見及び理由
全体を網で覆った飼育施設の利用しか認めないことにすると、動物園等ではコストがかかりすぎて飼育が不可能になりかねず、違法な放逐を助長する可能性があり現実的ではない。
飼育下のガン・ハクチョウ類が野生化するのは飛翔可能な状態で放し飼いされているためで、断翼と適切な管理により擁壁式施設で飼育することは十分に可能である。また、現時点で特定外来種の指定を受けていないが野生化が確認されているコブハクチョウ、コクチョウ等の飼養に関しても、同様の管理が行われるように指導を行うべきである。