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韓国での鳥インフルエンザの状況について
2014年3月26日更新
2014年1月31日発表
2014年(平成26年)1月17日、韓国農林畜産食品部は、全羅北道高敞(コチャン)郡のアヒル農場において高病原性鳥インフルエンザの発生を確認したと発表しました。検査の結果、1月19日にウイルスは高病原性鳥インフルエンザ(H5N8亜型)であることが判明しました。まだ国外の発生ですが、韓国は隣国で渡り鳥の往来もあることから注意が必要です。
ただし、日常生活においては、死亡した野鳥や鳥のフンなどを素手で触らず、もし触れた場合は手洗いとうがいをしていただければ、過度に心配する必要はありません。
今回の発生は、低病原性のウイルスがアヒル農場で感染を繰り返す間に高病原性を持つ株に変異した可能性が高く、野鳥は被害にあったと考えられます。渡り鳥たちを温かい目で見守ってください。
●3月24日までの状況(概要)
- 韓国西部で3月24日現在アヒル農場17戸、ニワトリ農場11戸の計28戸で高病原性鳥インフルエンザ(H5N8亜型)の発生が確認されている。
(3月17日以降、新たな発生農場なし) - 野鳥では16地点(クムガン河口地域の両岸2地点を含む)において10種(カイツブリ1件、トモエガモ10件、ヒシクイ4件、オオバン1件、マガモ5件、マガン2件、オオハクチョウ1件、コガモ2件、カルガモ1件、ダイサギ1件)および種不明の糞便、飼7件の35件で高病原性のH5N8亜型のウイルスが検出されている。
- 韓国発表の要約部分では、カルガモが2件となっているが、検体ごとの表では、カルガモ1件となっており不明。
- アヒル、及び野鳥への感染源、感染経路は特定されていない。(アヒルが元か、野鳥が元かは今のところ分からない。)
- 1月24日、東アジア・オーストラリア地域フライアウェイパートナーシップ事務局では、渡り鳥は鳥インフルエンザの原因ではなく被害者であるとの緊急メッセージ(仮訳版)を発表。
(要旨 家禽飼育施設からの排水で野外に広がった可能性が考えられる。3ヶ月も前から越冬しているトモエガモが高病原性鳥インフルエンザにかかっていたとは考えられない。家禽飼育施設の防疫を行うことはトモエガモを守ることにもなる。) - 1月30日、「鳥インフルエンザと野鳥に対する科学的タスクフォース*」は、現在、このウイルスの源が野鳥であるという証拠はないとの声明を発表。
http://www.birdlife-asia.org/archives/news-and-world/news/2371.html
(バードライフアジア仮訳)
* ボン条約(移動性動物の種の保全に関する条約)とFAO(国連食糧農業機関)が共同で設立している、専門機関が参加する組織。
野鳥における高病原性鳥インフルエンザH5N8の検出検体
地域 | 地名 | オオハクチョウ | オオバン | カイツブリ | カルガモ | コガモ | ダイサギ | トモエガモ | ヒシクイ | マガモ | マガン | 糞便 | 糞便、飼料等 | 野生鳥類の糞便 | 総計 |
忠清北道 | 清原 | 1 | 1 | ||||||||||||
忠清南道 | 瑞山 | 1 | 2 | 3 | |||||||||||
天安 | 1 | 1 | 1 | 2 | 5 | ||||||||||
唐津 | 1 | 1 | |||||||||||||
舒川 | 3 | 1 | 4 | ||||||||||||
全羅北道 | 益山 | 1 | 1 | 2 | |||||||||||
群山 | 1 | 1 | |||||||||||||
高敞 | 1 | 5 | 1 | 2 | 9 | ||||||||||
全州 | 1 | 1 | |||||||||||||
全羅南道 | 新安 | 1 | 1 | ||||||||||||
霊岩 | 1 | 1 | |||||||||||||
仁川広域市 | 甕津 | 1 | 1 | ||||||||||||
江原道 | 原州 | 1 | 1 | ||||||||||||
京畿道 | 果川 | 1 | 1 | ||||||||||||
華城 | 1 | 1 | |||||||||||||
水原 | 1 | 1 | 2 | ||||||||||||
総計 | 1 | 1 | 1 | 1 | 2 | 1 | 10 | 4 | 5 | 2 | 1 | 1 | 5 | 35 |
3月17日 韓国農林畜産食品部プレスリリースより作成
●国内の行政機関の対応
1月20日 環境省は、全国での対応レベルをレベル1からレベル2に引き上げる事務連絡を発信。(レベル2は、国内で単発の発生時の対応のレベル。)
1月21日 環境省は、トモエガモ(リスク種3)を暫定的にリスク種2に引き上げる事務連絡を発信。(これにより、トモエガモは1羽から死亡個体(衰弱個体を含む)検査対象となる。)
** この措置について、環境省からの事務連絡文書では、トモエガモ自身が多数死亡していることから、本種がウイルスを運搬しているのではなく、感染しても発症せずにウイルスを運搬する他の種がいることも考えられます。トモエガモは鳥インフルエンザに対する感受性が高い(死亡しやすい)種と考えられるので、異常個体の発見は、早期のウイルス侵入の発見につながることになります。
農林水産省のホームページでは、韓国・農林畜産食品部、環境部からの報道発表を機械翻訳してウェブサイトに掲載中ですのでそちらをご覧ください。
野鳥の関わる情報
野鳥の検査状況(3/24 韓国農林畜産食品部公表)
野鳥の検査状況(3/17 韓国農林畜産食品部公表)
野鳥の検査状況(3/10 韓国農林畜産食品部公表)
より大きな地図で 2014韓国 H5N8の野鳥からの検出地点 を表示
参考
環境省 野鳥における高病原性鳥インフルエンザに係わる技術対応マニュアル