野鳥と高病原性鳥インフルエンザ
世界各地で被害が出ている鳥インフルエンザはニワトリに対して「強毒」タイプの高病原性鳥インフルエンザで、野生の水鳥などが普通に持っている「低病原性」タイプとは違うものです。
環境省によれば、鳥インフルエンザウイルスは、感染した鳥との濃密な接触等の特殊な場合を除いて、通常では人には感染しないと考えられています。身近にいる野鳥から、あるいは鶏卵、鶏肉を食べることにより、鳥インフルエンザウイルスが人に感染することは世界的にも報告されていません。
最近、国内でキツネとタヌキへの感染例や北米で乳牛への感染例が報告されていますが、いずれも人に感染しやすい変異は確認されていないそうです。むやみに野鳥を恐れる必要はありませんが、予防は必要です。「バードウォッチングに出かける際の鳥インフルエンザへの配慮のお願い」で紹介していますので参考にしてください。
最新情報
- 2024年12月27日掲載
バードウォッチングに出かける際の鳥インフルエンザへの配慮のお願い - 2023年4月13日掲載
鳥インフルエンザの最近の動向 - 2022年11月21日掲載
2022~2023年 越冬期における高病原性鳥インフルエンザの発生について - 2021年12月10日掲載
高病原性鳥インフルエンザの発生状況(2021年12月09日現在) - 2021年3月23日掲載
高病原性鳥インフルエンザの発生状況(2021年3月18日現在)
野鳥の死体を発見したら
直接、素手で触れるのは避け、都道府県の自然保護関係部署に相談してください。実際に鳥インフルエンザの検査が行われるかは、対応レベルや野鳥の種、死体の数によって変わりますが、その地域へのウイルスの侵入の早期発見につながることがあります。
※死体等の検査基準については、環境省の「野鳥における高病原性鳥インフルエンザに係る対応技術マニュアル簡易版(PDF)」をご覧ください。
バードウォッチングでの注意点
野鳥から家禽への感染については、最大の注意を払う必要があります。知らず知らずのうちにウイルスの運搬役にならないように以下の配慮をお願いします。
- カモ類が多くいる探鳥地を訪れた場合、野鳥の糞の落ちているような水辺には近づかないように配慮する。
- バードウォッチング終了後には、靴底や三脚の石突、車のタイヤ等アルコールスプレー等で消毒する。
- 探鳥後にその足で養鶏場や飼育鳥に近づかない。
詳細情報は、下記よりご確認ください。
えさ台について
管理が不十分な餌台に鳥を集めることは、野鳥への感染のリスクを高めることにつながります。餌台は清潔に保ち、定期的に消毒をしましょう。近くで感染が見つかった際には、給餌を自粛しましょう。詳細情報は、下記よりご確認ください。
参考サイト
- 環境省 高病原性鳥インフルエンザに関する情報
- 農林水産省 鳥インフルエンザに関する情報
- 厚生労働省 鳥インフルエンザについて
- 国立感染症研究所 高病原性鳥インフルエンザ
- 動物検疫所 輸出入停止措置情報(生きた家きん、家きん肉等の輸入停止及び停止解除措置について)
推薦図書 「鳥インフルエンザ」-農と環境と医療の視点から-【当会主席研究員分担執筆】
「鳥インフルエンザ」-農と環境と医療の視点から- 陽捷行 編著 (北里大学農医連携学術叢書, 2007)
本書は、11名の専門家による執筆で、7章、202ページから構成されている。鳥インフルエンザの概観をつかみ、正確な知識や情報を整理するには最適の書である。
扱っているテーマは、動物に由来する感染症の一般的な話題から、感染の歴史、高病原性鳥インフルエンザの詳細な解説、診断方法、これまでの世界的な発生状況、感染拡大と渡り鳥との関係、そして、予防対策などと多岐にわたっている。
死んだ鳥を見つけた鳥の対処方法や人への感染性の誤解を減らすための普及的な活動の必要性、また、万一発生した際の初動体制や被害を最小限に抑えるために日頃から取り組むべき課題など、未解決な点、不十分な点についても考えさせてくれる。
なお、本書の第4章では、当会主席研究員の金井裕が「野鳥の渡りや生態と感染拡大の関係」を執筆し、感染の広がりを安易に野鳥によるものと決めつけることは、感染拡大を防ぐうえで妨げとなること、また、これまでの知見にもとづいて、今後必要な施策についてもふれている。鳥インフルエンザと聞いただけで尻込みをしてしまう人や一般の誤解も多いなか、鳥インフルエンザの正しい理解を深めるために、ぜひ読んでいただきたい。
価格:3,990円(税込み)
単行本: 202ページ
出版社: 養賢堂
ISBN-10: 4842504307
ISBN-13: 978-4842504308