風力発電導入マニュアル見直し等についてのお願い
2001年11月30日
環境省 環境大臣
川口 順子 様
日本野鳥の会東北ブロック協議会
第24回総会会長 白岩 康夫
要望書
風力発電導入マニュアル見直し等についてのお願い
「風力発電導入マニュアル(環境省)」の風力発電システム設置の事前調査及び環境影響評価は、鳥類への影響は渡りの経路をさけるとの記述のみで不十分です。世界各地の鳥類の衝突例も設置場所の観光地化による稀少猛禽類への影響も、昼夜回転による騒音の鳥類への影響も明らかにされていません。また、鳥類の環境影響評価の調査を施工者に義務づける記述もありません。
風力発電システムの導入促進が地球温暖化対策等の環境保全対策への貢献に結びつくとして、現在国内の主用風力発電施設は2001年3月現在34都道県、265基(東北は6県51基)に拡大しています。
また、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「地域新エネルギービジョン策定等事業」実施自治体は220自治体にもおよび、導入目標値も大幅に引き上げられて、北海道や東北地方で大規模な導入が進められています。東北の大型風力発電の建設可能台数は4868基とみなされており、東北各地で導入が急増することは明らかです。
オランダでは2万羽の野鳥が巻き添えになったと推測され、鳥の生息地域や密集するような地形をもつ地域、視界の悪い地域、天候が常に悪い地域への建設は避けるような警告がされるべきとの報告があります。
2001年9月1日、福島県の北塩原村で開催された第24回「日本野鳥の会東北ブロック協議会総会」で、風力発電と野鳥について討議、決議した下記のことを強く要望いたします。
記
- 現行の「風力発電導入マニュアル」では、鳥類の保護対策が不十分なので「風力発電導入マニュアル」の見直しを急ぐよう要望いたします。
- 稀少猛禽類および水鳥の重要な生息地とその周辺への設置は、衝突回避の対策技術が開発されるまで認めないよう要望いたします。
以上
※NEDOの数値等は「風力発電システム導入促進検討の手引き」(財)新エネルギー財団(2001.8発行)から引用。