(仮称)DREAM Wind 和歌山有田川・日高川風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に対する意見書

令和2年8月7日

大和エネルギー株式会社
代表取締役社長 濱 隆 様

日本野鳥の会和歌山県支部
支部長 中川 守
〒644-0022
和歌山県御坊市名田町上野1465

公益財団法人日本野鳥の会
理事長 遠藤孝一
〒141-0031東京都品川区
西五反田3-9-23丸和ビル

(仮称)DREAM Wind 和歌山有田川・日高川風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に対する意見書

貴社が計画する(仮称)DREAM Wind 和歌山有田川・日高川風力発電事業に係る事業実施想定区域(以下、計画地という)には、計画地にある尾根を挟んで両側の谷部および斜面を行動圏とする複数つがいのクマタカが繁殖しており、それらの行動圏は計画地内にほぼすき間なく並んでいる状況であることを当会らによるこれまでの観察から確認している。また、計画地にある尾根筋には県内でも特に貴重な自然林が残されており、絶滅危惧種を含む多くの鳥類の生息地となっている。貴社が計画地に風力発電施設を建設すると、クマタカを中心とする希少鳥類の繁殖に対しバードストライクや生息地放棄など多大な影響を与える可能性が高いため、希少鳥類保全の見地から計画の中止を求める。
なお、本計画が方法書作成の段階に進むことを容認するものでは一切ないが、もし環境影響評価のための現地鳥類調査を行う場合、下記の点に留意すべきである。

  • クマタカの繁殖状況について、県内の多くの地域でクマタカは隔年で繁殖する傾向が確認されているため、猛禽類の保護の進め方に従って2営巣期の調査を行うとしても、3~4年間の調査を実施し、繁殖した実績のある2年分のデータを取得して影響評価に臨むこと。
  • 計画地は、多くの猛禽類の種の渡りルートとなっている可能性が高いが、この地域ではこれまでに継続して渡り鳥調査が行われてはおらず、環境省が公開しているデータでは、計画地は猛禽類の渡りコースに含まれていない。しかし、これはこれまでに渡り鳥の調査がされていないためであって、渡りコースではない、ということを意味するものではない。そのため貴社は、計画地およびその周辺に猛禽類等の渡りルートがあるものとして、現地鳥類調査の内容を考える必要がある。
    なお、計画地にある山脈の延長線上である日の岬では多くの猛禽類の渡りが確認されていることから、計画地においても継続して調査を行えば、相当数の猛禽類の渡りが確認されると考える。
  • 隣接する既存の風力発電施設における事前、設置工事中、事後の鳥類のモニタリング調査の結果を当該事業者と共有および加味したうえで、貴社による計画により鳥類への影響をどれだけ与える可能性があるかを評価する累積的影響評価を実施すべきである。

以上