(仮称)苫東厚真風力発電事業に対する要請書

日野鳥発第2020-013号
令和2年6月30日

Daigasガスアンドパワーソリューション株式会社
代表取締役社長 後藤 暢茂 様

公益財団法人 日本野鳥の会
理事長 遠藤 孝一

(仮称)苫東厚真風力発電事業に対する要請書

 日頃より、当会の活動に関しまして、ご理解をいただきありがとうございます。
 貴社が本年6月に計画段階環境配慮書を公告・縦覧した(仮称)苫東厚真風力発電事業に対し、鳥類保全の見地から下記の通り要請します。

 当会らが令和2年6月25日付で提出した 「(仮称)苫東厚真風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に対する意見書」にもあるように、貴社が北海道・苫小牧市から厚真町にかけて計画している(仮称)苫東厚真風力発電事業に係る事業実施想定区域(以下、計画地という)とその周辺は、ラムサール条約湿地や二つのIBAsおよびKBAに囲まれ、これまでに277種の鳥類が観察されるなど国内でも有数の鳥類相の豊かさを有しており、マガン、タンチョウ、シマクイナ、ヘラシギ、オジロワシ、オオワシ、チュウヒ、ハヤブサといった国内希少野生動植物種および天然記念物に指定される鳥類が近年においても生息していることが確認されています。

 上記の希少鳥類には、風力発電施設(以下、風車という)の建設による影響を受けやすい種が多く含まれ、当該事業の実施が計画地およびその周辺に生息するこれらの希少鳥類に及ぼす影響は大きく、事業を中止しない限りは、影響を回避できないと予測します。また、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の第三十四条にある「土地の所有者又は占有者は、その土地の利用に当たっては、国内希少野生動植物種の保存に留意しなければならない。」という土地所有者の義務や文化財保護法における天然記念物の保存への配慮義務に鑑みても、計画地での風車の建設が上記の希少鳥類の生息に影響を与えるべきではありません。

 そのため、当会は希少鳥類の保全の見地から、貴社に対しては、環境影響評価方法書の作成に進まず、現段階で事業を中止することを要請します。

以上

添付資料:「 (仮称)苫東厚真風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に対する意見書」(公益財団法人 日本野鳥の会ほか)