(仮称)銚子沖洋上風力発電事業 計画段階配慮書に対する意見書を提出しました

令和元年9月30日

「(仮称)銚子沖洋上風力発電事業 計画段階配慮書」ご意見記入用紙

「(仮称)銚子沖洋上風力発電事業 計画段階配慮書」について、環境保全の見地からのご意見をお持ちの方は、意見書に必要事項を記入の上、縦覧場所に備え付けております意見箱にご投函いただくか、柿の問い合わせ先へ令和元年9月30日までにご郵送ください(当日消印有効)。

<問い合わせ先>
東京電力ホールディング株式会社 風力事業推進室 調査グループ
〒100-8560 東京都千代田区内幸町1丁目1番3号
電話 03(6373)1111 午前9時から午後5時まで
(土曜日、日曜日、祝日を除く)

項 目 記入欄
お 名 前 ➀ 日本野鳥の会千葉県 会長 志村英雄
②公益財団法人日本野鳥の会 理事長 遠藤孝一
ご 住 所 ①千葉県船橋市海神2-2-11 シャンブルレポ105号室
②東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
配慮書についての環境の保全の見地からのご意見(意見の理由を含む)

貴社が計画されている「(仮称)銚子沖洋上風力発電事業 配慮書」(以下、配慮書)について、以下の通り意見を提出いたします。

1)オンラインの閲覧方法の問題
数百ページもある配慮書及び要約書をPC上のみで閲覧しながら、精査・検討し、意見書を作成することは、PC複数台が必要なる等、かなり困難な作業であり、閲覧者、意見書作成者の対象範囲を狭めることになり縦覧の公平性、公益性を損なうものであり、ダウンロード、印刷を可能とすべきである。

2)事業実施想定区域は、多くの海洋性鳥類にとって重要な海域であり、計画段階配慮書に記載されている、調査、予測及び評価の結果で、動物、特に海洋性鳥類への評価は不十分なものと考える。当海域の重要性に鑑み、評価及び事業の見直しを検討すべきである。

以下に理由を述べる。

  • 銚子沖は、暖流、寒流、利根川から流下する淡水の合流する海域で、海洋鳥類の世界規模の生息海域である。
    1年を通して、カモ科、カイツブリ科、アビ科、アホウドリ科、ミズナギドリ科、ウミツバメ科、トウゾクカモメ科、ウミスズメ科、グンカンドリ科、カツオドリ科、ウ科、シギ科、カモメ科、トウゾクカモメ科、ウミスズメ科の多種・多数の鳥類がこの海域を利用している。
  • とりわけ、秋から春にかけては、北太平洋で繁殖する海洋鳥類の多くが越冬し、この海域に大規模な洋上風力発電事業を展開することは、グローバルな視点から見て、好ましくないと言わざるを得ない。
    想定区域での洋上風力発電の建設は、海洋鳥類の生息に大きな影響を及ぼす可能性がある。
  • 空域における影響を「着床式洋上風力発電の環境影響評価手法に関する基礎資料(最終版)」(以下、基礎資料最終版2018年)をもとに、カモメ類やオオミズナギドリ等の飛翔高度はほんどが海面から30m高までの範囲であり影響は小さいと評価されているが、調査事実に反する。
    オオミズナギドリは、海が荒れた時は30m高以上を飛行する。とくにアビ科、カモメ科の鳥は、採餌海域を替える時は、数十mから100mを越える高度を常時飛行し、ローターへのバードストライクの確率がきわめて高いと考えられる。
  • 北太平洋の海洋鳥の最も多く集まる秋・冬期、特に2月、3月に船舶トランセクト調査は行われていない。レーダー調査も通年で行われていない。さらに1~3月のデータは一季のみと少なく影響を的確に判断できているとは考えられない。船舶トランセクト調査、レーダー調査は年間を通して更に密に行うべきである。
  • オオミズナギドリやカモメ類は、洋上実証風車設置後の調査では2013年度から20カ月の鳥類衝突監視システムでバードストライクの調査が行われているが、さらに継続した調査を行うべきである。また、この鳥類衝突監視システムにより2013年に4例が感知されたと報告されているものの、バードストライクは無いと判定されている。この判定の結論には論理的に無理があると判断される。
  • 基礎資料最終版2018年をもとに、風車1機の結果から主要な鳥類の生息状況に大きな変化は現れていないと評価しているが、31基から72基の風車が設置された場合、海洋鳥が風車の間を飛翔する時にはバードストライクの危険が増し、風車設置区域を大きく迂回する時にはエネルギー消費量増大の影響が出てくる。従って、多くの風車が稼働した時の影響は小さいとは考えられず、風車設置区域内外の海鳥の全個体数分布をさらに調査し、生息密度の高い領域での風車設置を避けるべきである。
  • 基礎資料最終版2018年のもととなった現地調査は、波高2.5m以下の昼間にのみ行われたものであり、荒天時および夜間のデータは取られていない。荒天時および夜間の調査が必要であると考える。