(仮称)唐津洋上風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に対する意見書を提出しました

平成31年 4月12日

再エネ主力発電化推進機構洋上唐津発電合同会社
代表取締役社長
星野 敦 様

日本野鳥の会佐賀県支部
支部長 宮原 明幸
佐賀県佐賀市巨勢町牛島298-18
(公印省略)

公益財団法人 日本野鳥の会
理事長 遠藤 孝一
東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
(公印省略)

(仮称)唐津洋上風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に対する意見書

 貴社が計画されている「(仮称)唐津洋上風力発電事業」における計画段階環境配慮書(以下、配慮書)に述べられている事業実施想定区域(以下、想定区域)の位置を全面的に見直すよう、下記の理由から求めます。

  • 想定区域は海の重要野鳥生息地のうち烏帽子島(JP-M019)として指定されている海域と一部重複している。指定海域には絶滅危惧種Ⅱ類で国指定天然記念物のカンムリウミスズメが生息していることから、洋上風力発電施設の建設によりカンムリウミスズメに対しバードストライクおよび生息地放棄といった影響を及ぼす可能性がある。
  • 想定区域には、日本とユーラシア大陸とを結ぶハチクマの重要かつ集中的な渡り経路が存在している。洋上に風力発電施設を建設した場合、ハチクマの様な滑翔性鳥類は風車を避けることが難しく、バードストライクが発生する可能性が高い一方、生息地放棄の一つである障壁影響が生じる可能性も高く、洋上風力発電施設の建設により影響が大きいと想定される。
  • 想定区域には、九州と朝鮮半島とを結ぶ絶滅危惧Ⅱ類のナベヅル・マナヅルの重要かつ集中的な渡り経路が存在している。洋上に風力発電施設を建設した場合、ツル類の様な大型鳥類は風車を避けることが難しく、バードストライクが発生する可能性が高い一方、生息地放棄の一つである障壁影響が生じる可能性も高く、洋上風力発電施設の建設により影響が大きいと想定される。
  • 想定区域は、越冬および渡っているシロエリオオハムにとって重要な採餌海域となっている。洋上に風力発電施設を建設した場合、シロエリオオハムを含むアビ類は甚大な生息地放棄を起こすことが世界的に確認されていることから、想定区域での洋上風力発電施設の建設はこれらの鳥類に大きな影響を及ぼすと想定される。
  • 想定区域に近い烏帽子島では絶滅危惧ⅠB類のヒメウ、また、絶滅危惧Ⅱ類で国内希少種のハヤブサが繁殖しており、想定区域はこれらの採餌場所になっている可能性がある。繁殖期に飛翔高度が30~50mとなるヒメウ、高所から急降下して鳥類を捕食するハヤブサの採餌場所の中でも想定区域のように頻繁に利用する海域に風力発電施設を建設すると、バードストライクが発生する可能性が高く、大きな影響が生じると想定される。

以上