英国で野鳥と風力発電のセンシティビティマップ作りに関するワークショップを開催しました
2015年9月28・29日に、英国・ケンブリッジのバードライフ・インターナショナル(BLI)本部で、英国鳥類保護協会(RSPB)などBLIパートナー9団体、環境コンサルタントなど8団体、のべ24名を集め、風力発電施設の建設で野鳥が影響を受ける場所を示すセンシティビティマップ(脆弱性地図)作りの手法を学ぶワークショップを当会が開催しました。
気候変動問題への対策の一つとして注目される風力発電の導入が世界的に進んでいます。しかし、風力発電の建設適地と野鳥の生息地は重なることが多く、立地選定を誤ると風力発電が野鳥の生息に影響を与えてしまいます。
日本では現在、一定規模以上の風力発電を建設する際に、野鳥等の環境に与える影響を予測し、影響の回避・低減策を講ずる環境影響評価の実施が法的に義務付けられていますが、課題も多くあり、野鳥や自然保護上は実効性が乏しい手続きとなっています。
一方、欧州では日本より環境影響の予防原則の考えが強いため、野鳥の生息に影響が出ない立地を選定するための風車の建設可能または不可能な場所を国家または地域の土地利用計画の中で示すゾーニングの策定、または、風車建設で野鳥が影響を受ける場所を示し、そこでの建設を避けてもらうためのセンシティビティマップ作りが進んでいます。
当会では、欧州のように風力発電に対する鳥類のセンシティビティマップが作成され、できれば法的義務としてそれが利用されるのが、野鳥保護と風力発電の導入が両立するもっともな近道と考えます。そこで、英国でワークショップを開催し、実際にマップを作っている団体からその手法や課題などを学びました。
当日は、イングランドやスコットランド、アイルランド、ブルガリア、ギリシャ、スロベニアなどの団体でどのようにマップを作ったか、マップを作る際に利用する野鳥の生態や行動に関するデータの取得方法、マップを政府や事業者に活用してもらうようにするうえでの課題などについての発表がありました。
当会では今回のワークショップで学んだ成果を活かし、今後どうすれば日本でもこのようなマップを作れるのか、また、国内で適用するにあたっての課題やマップを政府や事業者に活用してもらう方策の検討を行っていきたいと考えています。