野鳥と風力発電

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風力発電は、地球温暖化対策のための有力な自然エネルギー源として、日本を含め世界各国で導入が進められており、これまでの陸上風力発電に加え、近年は英国やデンマークなどのヨーロッパ諸国を中心に、中国や台湾、日本などの東アジアでも洋上風力発電の導入が盛んになっています。

しかし、立地条件によっては絶滅危惧種の野鳥の衝突死や生息地放棄、障壁影響(渡りや移動経路の変化)といった環境影響が生じることが報告されていることから、適切な環境影響評価の実施や予防原則の徹底、ゾーニング制度の導入などにより、生物多様性の保全と調和のとれた風力発電の導入を図ることが世界的な課題となっています。

当会は、できるだけ早急に地球温暖化対策を施さなければ、将来的に多くの生物の生命を危険に晒し、広範に生物多様性が失われてしまうことになると考えています。世界気象機関(WMO)が2019年9月22日に発表したように、温室効果ガスの影響で、世界の平均気温が過去5年間で観測史上もっとも暑くなるなど、地球温暖化の兆候やその影響が加速していると考えられるため、代替エネルギーとして実用的な技術レベルに達している風力発電をはじめとした自然エネルギーを積極的に導入していくことに賛成しています。

ただし、風力発電の導入にあたり、野鳥など野生生物の生息に悪影響を及ぼすといった、現在の生物多様性に大きな影響を与えるのは本末転倒、生物多様性の危機のうち第4の危機(地球温暖化による地球環境の変化による危機)への対応が、第1の危機(開発や乱獲による種の減少・絶滅、生息・生育地の減少)を招くべきではないと考えています。

そのため当会は、2001年以来、自然環境や鳥類への環境影響を評価し、影響を回避、最小化するための制度と方法論を確立するための政策提言活動や国内外の情報収集、調査研究を行なってきており、科学的視点からみて野鳥やその生息地に影響があると考えられる風力発電の導入については、設置反対の姿勢をとっています。

風力発電事業に対する環境影響評価は、以前は環境影響評価法(アセス法)による環境アセスメントの対象事業外でしたが、当会などの働きかけが実り、2012年に法令が改正、アセス法の対象となりました。また、太陽光発電事業もアセス法の対象事業外でしたが、2020年4月からアセス法の対象になることが決まりました。

当会は今後も引き続き、日本における風力発電や太陽光発電の自然環境や鳥類への影響を回避、提言するための政策や方法論を提言して行きます。今後は特に洋上風力発電による影響の把握や累積的影響評価の実施、センシティビティマップ作り、政策提言について、力を入れてゆきます。

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