大規模太陽光発電施設のあり方について発表しました

大規模太陽光発電施設のあり方について

公益財団法人 日本野鳥の会

 地球温暖化は、地球規模の気候変動をもたらし、人間活動や生物多様性に大きな影響を及ぼしている。それを抑制するには、化石燃料由来のエネルギーの使用を抑え、再生可能エネルギーの利用を拡大していく必要があり、太陽光発電等の再生可能エネルギーについては、積極的に導入すべきと考える。
 しかしながら、近年、森林や草原、湿地、水面などにおける大規模太陽光発電施設(メガソーラー)の建設計画が多数みられるようになり、野鳥をはじめとする自然環境保全上の問題が、各地で発生してきている。
 そこで、大規模太陽光発電と野鳥保護に関する日本野鳥の会の基本的な考え方を次のとおり示し、全国の会員や支部等の連携団体と協働して、野鳥と共存できる太陽光発電の推進に努めるものとする。

  1. 設置場所の限定
     大規模太陽光発電施設の設置場所は、整備済工業用地等の未利用地や、大規模な建物の屋根・屋上・壁面・駐車場等、自然環境や生物多様性の保全に悪影響を及ぼさない場所に限るべきである。特に、IBA(重要野鳥生息地)や鳥獣保護区などの野鳥の保護対象地、希少種の生息地、大規模越冬地、渡りの中継・渡来地、主要な採餌地及びその近傍地には、設置すべきでない。
  2. ゾーニングに基づく場所の選定と立地規制
     国等の行政機関は、風力発電施設の場合と同様に、各種の条件を勘案したうえで、大規模発電施設の設置可能場所のゾーニングを行い、自然保護や景観保全の観点から、設置規制等を行うべきである。その場合、人口が減少していくわが国の社会情勢を前提とした国土及び地域デザインやエネルギー受給量の予測、必要な法制度の整備等を行っていくことが肝要である。
  3. 地域住民等との十分な合意形成
     事業者は、大規模太陽光発電施設の設置に当たって、地域住民や地元有識者、自然環境保全を含む各分野の専門家等と、十分な合意形成を果たしたうえで事業を進めるべきである。また、国等の行政機関は、事業者に十分な合意形成を果たすよう行政指導すべきである。
  4. 環境影響評価法等の法制度の整備
     国等の行政機関は、一定規模以上の発電量や開発面積の太陽光発電施設計画については、環境影響評価法や環境影響評価条例等の法規制の対象とすべきである。また、それを下回る計画についても、事前届出制度や公表の義務付けなど、必要な制度を早急に整備し、トラブルに繋がりそうな計画を早期に把握するとともに、必要な行政指導を行うべきである。


課題整理:太陽光発電と自然環境に与える影響 はこちら