有明海
環境構成
有明海には、日本の干潟の総面積の40%にもなる干潟がある。干満の差が日本最大で、約6mにもなる。この有明海を流れる潮流によって、河川から入る栄養分が攪拌され、多くのプランクトンとゴカイ類などの底生生物、そして、地域を特徴づけるムツゴロウやトビハゼ、ワラスボなどの多様な魚種が見られる。有明海奥部の「大授搦」や「昭代干拓」、「荒尾干潟」、「新籠」は、オオソリハシシギやメダイチドリなどシギ・チドリ類の貴重な中継地となっており、クロツラヘラサギやズグロカモメ、ツクシガモの越冬地ともなっている。また、絶滅危惧種のベニアジサシの国内最大の繁殖地(三池島)を有する。
有明海では、ノリ養殖とアサリ漁が盛んで、また、伝統的な漁法として、四つ手網漁(棚じぶ漁)やムツゴロウ漁(ムツカケ)、ワラスボ漁(スポカキ)などが今も行われている。
当地域の保全とワイズユースを目的に、「東よか干潟」、「肥前鹿島干潟」、「荒尾干潟」は、ラムサール条約湿地に登録され、国指定鳥獣保護区(特別保護地区)にも制定されている。
海鳥の繁殖地の保護指定
なし
繁殖している海鳥
ベニアジサシ、コアジサシ
海鳥・海洋保全への脅威
- ベニアジサシの繁殖地である三池島(人工島)の老朽化
- ハシブトガラスによる雛や卵の捕食
- トビイロシワアリによる雛の死亡
- 釣り人の上陸による繁殖攪乱、ゴミの放置
保全活動
- 日本野鳥の会筑後支部・熊本県支部(調査・普及活動)