天売島
環境構成
天売島(面積5.5㎢)は、羽幌町から28㎞沖の日本海上に位置し、対馬暖流の影響で、北海道の中では比較的温暖だが、冬季は季節風が強い。約240種類の野鳥が確認されており、島北西部の断崖は海鳥の集団繁殖地となっている。ウミガラスやウトウ、ケイマフリ、ウミスズメなどが繁殖し、なかでもウトウの世界最大の繁殖地として知られる。
周辺海域では、カジカ、カレイ、ホッケなどの刺し網、甘エビのエビ籠漁や、ヤリイカの定置網などの漁業の他、観光産業(遊覧船)も行われている。
海鳥の繁殖地の保護指定
- 国指定天売島鳥獣保護区(特別保護地区)
- 暑寒別天売焼尻国定公園
- 国指定天然記念物 天売島海鳥繁殖地
繁殖している海鳥
ウトウ、ウミガラス、ケイマフリ、オオセグロカモメ、ウミネコ、ウミスズメ、ヒメウ
海鳥・海洋保全への脅威
- 刺し網漁などによる海鳥の混獲
- 餌資源の減少に伴う海鳥の繁殖個体数の減少
- 移入種(ノネコやドブネズミ)による海鳥の雛や卵の捕食
- 観光客の増加に伴う繁殖海鳥に与える人的影響
- 船舶の繁殖地への接近による攪乱
- 生活ゴミ、漁業ゴミによるハシブトガラス、オオセグロカモメの増加
- 船舶上でのウミネコ、オオセグロカモメへの餌付け
- 洋上風力発電施設の設置計画
保全活動
- 環境省・北海道海鳥センター(ウミガラス保護増殖事業、ケイマフリの個体数・営巣調査、羽幌天売航路での航路センサス、飼い猫の去勢手術、ノネコの捕獲と里親探し)
- 環境省(モニタリングサイト1000調査 小島嶼・海鳥)
- 北海道海鳥センター友の会(海鳥啓発活動、地元の自然に関する調査・啓発、ウミスズメのモニタリング調査)
- 天売島海鳥保護対策委員会(地元住民によるノネコ対策)
- 北海道大学・名城大学・大阪市立大学(天売海鳥研究室を構成、海鳥調査・モニタリング)