JP163 沖縄島沿岸離島(おきなわじまえんがんりとう)
沖縄県:名護市、今帰仁村、本部町、恩納村、うるま市、渡嘉敷村、国頭村
位置 | N 26°39′ E 128°02′ |
面積 | 100ha |
環境構成【島嶼/岩礁/浅海域】
写真:山城正邦
ベニアジサシ、エリグロアジサシが集団で繁殖する沖縄本島周辺の大小さまざまな小島や岩礁。繁殖地は年による変化が大きい。
ベニアジサシは、大きなコロニーをつくることが多く、慶伊瀬島、平安座島、浜比嘉島、屋我地島、水納島、勝連半島、備瀬崎などで安定的に観察されている。エリグロアジサシは、ベニアジサシに比べて、営巣数、生息数とも少ないが生息を確認した地域は多い。
選定理由
A4i | ベニアジサシ・エリグロアジサシ |
保護指定
サイトの大部分(50~90%)に法的な担保がある。
<保護指定の内容>
国指定鳥獣保護区(屋我地)、県指定鳥獣保護区(チービシ)、国立公園(慶良間諸島)、都道府県立自然公園(沖縄海岸国定公園)、自然環境保全地域
保全への脅威
- ベニアジサシの繁殖コロニーがあり、釣り人やマリンレジャーによる繁殖島や岩礁への上陸は最大の脅威となっている。(特に、繁殖初期の段階では人為的撹乱によりコロニーが解消されやすい。繁殖活動の遅延は台風の被害をより受ける可能性がある。)
- ハシブトガラスによる捕食(以前は生息していなかったハシブトガラスが、沖縄島中南部にも定着しており、コロニーに入り込む事例も散見される。カラスの個体数は増加傾向にあり、アジサシ類の繁殖地が今以上に狙われる可能性が高い。)
- 観光地化の影響(アジサシ類の繁殖小島が観光地化している所が多い。過去には大きな影響が出ていたが、場所によっては共存を選択したところもある。現在報告は少ないが、今後はカメラマンのエコツアー(単独を含む)による上陸被害が増える懸念がある。)
- チービシ鳥獣保護区(慶伊瀬島)においては、特別保護区のあるナガンヌ島は人の利用エリアのコントロールができているが、神山島やクエフ島は立ち入りが制限されているものの、沖縄島からの観光業者が繁殖期に無断で観光客を入島させている。管理ができていないため繁殖への影響が出ていると思われる。観光客の入島は鳥獣保護区指定を機に見られなくなっていたが近年徐々に増え始めている。
保全活動
- 環境管理:実施者(環境省やんばる野生生物保護センター)
内容:屋我地鳥獣保護区においては2014年度に保護区指定以降初めてベニアジサシが繁殖しなかった事態を踏まえ保全活動が実施されている。
2012年に沖縄県鳥獣保護区に指定されたチービシ(慶伊瀬島)は、チービシアジサシ類保全連絡会議を立ち上げ毎年保全策の検討会議、観光業者への勉強会、現地調査を行っている。
2015年度からはNPO法人どうぶつたちの病院沖縄が参加し調査を行った。 - 外来種のコントロール:実施者(環境省やんばる野生生物保護センター)
内容:屋我地鳥獣保護区アジサシ類繁殖地の岩礁でドバトが営巣しており、繁殖エリアの競合やハヤブサの定着などの問題が報告されている。今後ドバト等のコントロールが行われると思われる。 - モニタリング調査:実施者(環境省やんばる野生生物保護センター、環境省那覇事務所、沖縄県自然保護・緑化推進課、山階鳥類研究所、NPO法人どうぶつたちの病院沖縄、沖縄野鳥の会)
内容:- モニタリングサイト1000海鳥調査
- 屋我地鳥獣保護区鳥獣調査
- チービシ鳥獣保護区鳥獣保護員パトロール調査
- チービシ鳥獣保護区アジサシ類繁殖調査
※サイト情報の詳細版はこちら(PDF 606KB)
※沖縄島沿岸離島の周辺海域は、マリーンIBA(Marine Important Bird and Biodiversity Areas:海鳥の重要生息地)に選定されている。 詳しくはこちら