JP160 泡瀬干潟(あわせひがた)
沖縄県:沖縄市、北中城村
位置 | N 26°18′ E 127°50′ |
面積 | 550ha |
環境構成【干潟/浅海域】
写真:高井健慈
泡瀬干潟265ha、比屋根干潟2ha
沖縄本島中部中城湾北部に位置する干潟を含む浅海域で、泥、砂、サンゴ礫の底質からなる干潟・浅瀬から、海草藻場、ガラモ場、サンゴ礁へと連なる多様な環境があり、それぞれの環境に適応して、シギ・チドリなどの渡り鳥、貝類やカニなどの底生生物や魚類など多様な生物が生息している。112haの藻場には、リュウキュウアマモなどレッドデータブックに記載されている8種の海草を含む海草藻場、絶滅危惧種のクビレミドロ(藻類)およびトカゲハゼ(魚類)、新種の貝類が生息するなど貴重な自然環境が残されている。
現在、国(沖縄総合事務局)および沖縄県により、中城湾港(泡瀬地区)公有水面埋立事業が進められており、多くの生物と貴重な生態系が失われる危機にある。
選定理由
A4i | ムナグロ・キョウジョシギ |
保護指定
法的な担保がない、もしくはわずか(10パーセント未満)である
保全への脅威
危機的状況にある。
- 中城湾港(泡瀬地区)公有水面埋立事業(国の事業)
- 埋立による干潟浅海域の直接的な消失および周辺海域の環境劣化
- 仮設橋工事開始(04年月5日)、浚渫工事開始(06年1月)
- 航路浚渫土砂の投入を開始(09年1月)
- 沖縄担当相、一期工事中断二期工事中止を表明(09年9月)
- 福岡高裁にて、工事差し止め判決(09年10月)
- 沖縄担当相省、一期工事再開を承認。
- 干潟の埋立工事が進んでおり、浚渫土砂がどんどん流し込まれている。すでに鳥類の飛来に影響がでているが、造成が終わり人の利用が始まればさらなる影響が懸念される。
- シギ・チドリ類が多く集結していた干潟エリアに埋立地への侵入道路が予定されており、その調査などで足場がくまれ、シギ・チドリ類が集まらなくなった。
- 干潟上空を毎日オスプレイが飛行している。(ミサゴがいやがっている可能性がある。パラグライダーが近づいて鳥が驚かされることもある。)
- 干潟の埋立で、生き物が多いことが認知されたことは良かったが、タコ捕りや潮干狩りのレジャーの人が増えた。犬を干潟に放す者もおり、鳥が何度も飛ばされることもある。特にウデナガカクレダコ捕りは乱獲が行き過ぎている。生態系バランスに影響がでるかもしれない。
- 泡瀬干潟はアーサ(ヒトエグサ)の産地でも知られているが、養殖も盛んに行われている。海苔ひびのように棒を何列もさしてロープを張る。養殖面積も次第に拡大しており干潟のオープンスペースが減ってきている。また、砂の堆積にも影響がでている可能性がある。公有の海が私有化され市民が利用しづらくなっている。
保全活動
- 環境管理:実施者(桑江直哉講演会事務所)
内容:ビーチクリーン - 環境教育活動:実施者(泡瀬干潟を守る連絡会、ウミエラ館、沖縄野鳥の会)
内容:干潟の生物観察会、講演活動、探鳥会 - モニタリング調査:実施者(泡瀬干潟を守る連絡会、沖縄野鳥の会、日本自然保護協会、内閣府沖縄総合事務局)
内容:サンゴ生息調査、海草生息調査、貝類生息調査(泡瀬干潟を守る連絡会)
鳥類調査(沖縄野鳥の会)
サンゴ生息調査、海草生息調査(日本自然保護協会)
埋立事業に伴う環境監視調査(内閣府沖縄総合事務局) - 経済活動を通じた保全(エコツーリズム等):実施者(ウミエラ館)
内容:各種イベント、干潟の生き物観察会、講演会 - その他:
保全要請、反対声明(日本野鳥の会、日本自然保護協会、WWFジャパン、ラムサールネットワークジャパンほか)
調査要請書・公開質問状などの提出、抗議集会などの開催、署名活動、自然の権利訴訟、自住民監査請求(泡瀬干潟を守る連絡会)
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