JP150 霧島山系・御池(きりしまさんけい・みいけ)
宮崎県:えびの市、小林市、都城市、高原町
鹿児島県:霧島市、湧水町
位置 | N 31°55′ E 130°53′ |
面積 | 8,500ha |
環境構成【樹林】
写真:中原聡
縄文時代も中期から後期へ移った頃の今から約4,600年前、霧島山の歴史で最大の噴火があった。このたった1回の激しい噴火と爆発で大きな凹地ができ、そこに水がたまり火口湖となったのが御池。この御池の一部と周辺の森と小池を含む約115haが、1973年に指定された日本初の「国設・御池野鳥の森」。イチイガシを主とする野鳥の森の木は植林が多く、江戸時代の終わり頃の植林地もかなりの広さで残っている。ほとんど人の手が入っていないので自然林に近い森である。その後、野鳥の森は「鳥獣保護区・特別保護地区」に、更に一部が「生物遺伝資源保存林」に指定された。行政的には都城市と高原町にまたがる。野鳥の森は大部分が都城市側にあるが、便宜上、管理は高原町がしている。ここでは今までに少なくとも18種類の魚類、少なくとも18種類の哺乳類、151種類の鳥類が確認されている。この森は樹冠でほぼ閉鎖されていて、下草が少なく、地表近くに空間が広がり、ここがヤイロチョウの生活の場となっている。しかし、1990年頃から増えはじめたシカが、この森を変えつつある。
選定理由
A1 | ヤイロチョウ |
A3 | – |
保護指定
サイトの全域(90%以上)に法的な担保がある
<保護指定の内容>
国指定鳥獣保護区(霧島)、国立公園(霧島錦江湾)、自然環境保全地域、保護林
保全への脅威
- シカの食害から来る林床部の変化、乾燥化。それが原因でヤイロチョウの餌となるミミズ減少のおそれ。
- 老木の倒壊やマント群落、ソデ群落の消滅による林床部の変化、乾燥化。
- 新燃岳噴火の影響(火山灰は雨に流され、時と共に深刻度は減っているが、一部セメント化している所もある。ヤイロチョウの餌であるミミズの棲息に影響が考えられる)
- バードウォッチャーやカメラマンの林床部へ入ってのヤイロチョウ追っかけ。(2010年からヤイロチョウの繁殖期に立ち入り規制をするようになり、2014年頃から環境の改善の兆しがあり、深刻度は減っている。)
保全活動
- 環境管理:実施者(環境省、宮崎県、高原町、高原町観光協会)
内容:国設御池野鳥の森と御池の普段の管理や整備 - 環境教育活動:
内容:探鳥会・夏、冬(日本野鳥の会宮崎県支部、高原町)
*夏の探鳥会はヒルが多く出るということで休止中。冬の探鳥会も鳥インフルエンザ関係で休止中。
ハイキング・年に1回(御池青少年自然の家)
探鳥会・冬鳥と巨木巡り(環境省、自然公園財団えびの高原ボランティアレンジャーの会) - 法律制定、政策、規制:実施者(環境省、森林管理署、宮崎県、高原町、高原町観光協会、日本野鳥の会宮崎県支部)
内容:ヤイロチョウ繁殖時期の一部立ち入り規制 - モニタリング調査:
内容:通常の調査(御池野鳥の森、御池・えびの高原他)
カモ調査(日本野鳥の会宮崎県支部) - その他:
ヤイロチョウ保護活動(日本野鳥の会宮崎県支部)
御池・小池周辺の登山道整備(自然公園財団えびの支部)
※サイト情報の詳細版はこちら(PDF 838KB)