JP148 枇榔島(びろうじま)
宮崎県:門川町
位置 | N 32°28′ E 131°44′ |
面積 | 8ha |
環境構成【島嶼/森林】
写真:上村育男
枇榔島は、門川町尾末漁港から約7㎞東の沖合に浮かぶ周囲約1.5kmの無人島。小枇榔はその北側に位置する属島であり周囲は約200mである。最も近い陸地まで約3kmの距離があり両島とも北上する黒潮に洗われ、島の周囲は海食崖が発達し、柱状節理の絶壁が多く海上から切り立っている。枇榔島の標高は約75mで島の上部はモクタチバナ、タブノキ、ヤブニッケイ、ヤブツバキ、アコウ等からなる常緑広葉樹に覆われている。しかし2003~2005年の相次ぐ台風のため倒木や樹幹部の塩害で落葉し、樹林内は日当たりがよくなり低木類や下草が繁茂し、薮の状態を呈している。また、林縁部に生えるヒゲスゲやハチジョウススキ、メダケの薮も塩害で立ち枯れが多く貧弱になっていた。その後、大きな台風の直撃は無く、島内の林内はほぼ10年前と同じ状態に回復したが、林縁部のハチジョウススキやメダケの藪は未だに回復せず、立ち枯れ状態のままである。
選定理由
A1 | カンムリウミスズメ・ウチヤマセンニュウ |
A4ii | カンムリウミスズメ |
保護指定
サイトの全域(90%以上)に法的な担保がある
<保護指定の内容>
国指定鳥獣保護区(枇榔島)、国定公園(日豊海岸国定公園)、自然環境保全地域
保全への脅威
- 漁業による混獲のおそれ
(夜間操業の漁火に誘引:ヒナは正の走光性・成鳥は漁火に集まる餌動物に誘引) - 台風による塩害で島内が乾燥化している。大木の倒木被害がある。
- マナーの悪い釣り人による撒き餌、残飯の放置によるカラス類の誘引。
- カラス類による卵やヒナの補食
(毎年50羽以上のカンムリウミスズメの成鳥死体や大量の卵殻を回収)
保全活動
- 外来種のコントロール:実施者(個人)
内容:ネズミ侵入のモニタリング;かご罠やカメラを設置して侵入を監視 - 環境教育活動:実施者(門川町社会教育課)
内容:カンムリウミスズメを中心とした講演や船を使った周辺海域での観察会 - 保全のための人材育成活動:実施者(門川町社会教育課、個人)
内容:カンムリウミスズメ倶楽部を結成、講演、観察会を実施。地元大学生を調査に同行させている。 - モニタリング調査:実施者(個人)
内容:天敵動物を把握するための定期的な調査。環境省の標識調査、繁殖孵化調査など全て自己資金で行っている。
カンムリウミスズメの標識調査(枇榔島調査研究会・NPO法人宮崎野生動物研究会)
※サイト情報の詳細版はこちら(PDF 540KB)
※枇榔島の周辺海域は、マリーンIBA(Marine Important Bird and Biodiversity Areas:海鳥の重要生息地)に選定されている。 詳しくはこちら