JP104 九頭竜川下流域(くずりゅうがわかりゅういき)

福井県:坂井市、福井市、あわら市

福井県:坂井市、福井市、あわら市

位置 N 36°11′ E 136°11′
面積 7,500ha

環境構成【河川/水田】

柳町邦光
写真:柳町邦光

九頭竜川は福井県内最大の河川で、2番目に大きい日野川が合流する地点から下流域では中州が無く、開放水面のまま日本海に流れている。河口部にはヨットハーバーも建設されている。両岸にはヨシが茂り疎らな樹木林もあるが、河川敷の水田や畑が約50%を占める。この農耕地は海抜1m程度のため、冬期間は湿田になりガン、ハクチョウ類の採餌、休息場にもなっている。また、冬期には猛禽類も渡来する。しかし、流域の水田地帯も用水路のパイプライン化、圃場整備による乾田化により秋期~冬期の湿地環境が激減している。
湿田になっている河口部に近い河川敷の水田の大部分が耕作禁止となり、残された水田は秋期のシギ・チドリ類の中継地となっており、周辺では貴重な場所となっている。
流域の水田地帯では、道路や住宅、工場等の進出により、10年前に比してガン類の採餌場が狭められて、特に近年は採餌・休息個体数が一極集中化している。乾田化や麦・大豆・ソバ等の二毛作、また秋耕による二番穂の減少等がガン類の採餌環境をも狭めている。採餌物は晩秋から初冬期は落穂や蕎麦の実、二番穂等が主であるが、厳冬から早春期は麦葉が主となっているようだ。

選定理由

A4i マガン

保護指定

法的な担保がない、もしくはわずか(10パーセント未満)である
<保護指定の内容>
県指定鳥獣保護区(加戸)

保全への脅威

  • 水田の乾田化および大麦や大豆・ソバ等への転作により、餌の二番穂が少なくなっている。また大麦のロゼット葉が食い荒らされないように防鳥用の糸を張っている麦畑もある。
  • 農耕地が工場や住宅地化しており、採餌する場所が狭められている。
  • 道路の敷設で農耕地が分断され、マガン等が利用する場所が減少している。

*マガンとヒシクイは加賀市片野の鴨池をねぐらにしているため、毎朝日の出時刻ごろに採餌のためこのエリアに飛来する。

  1. このエリアは道路の敷設や建物の増設により採餌場所が狭められている。
  2. 餌となる二番穂が秋耕や刈り入れ期が遅くなっているため二番穂の育ちが遅く、餌が少なくなっている。
  3. 圃場整備により乾田化が進み、冬季の雪が消えにくくなった。また大麦の栽培が増え、ガンにより食害を防ぐため防鳥糸を張るところも出て来るようになった。結果として、ガン類が飛来する場所も狭くなり、飛来数も減少している。また、パイプライン化により冬季の水田の湛水ができず、休耕田も激減して、シギ・チドリはほとんど飛来できず、8月下旬の秋の渡り時期での確認は皆無に近くなった。
  4. 九頭竜川の堤防補強工事により、2015年より堤防の拡幅工事が進められたため、堤内地での水田耕作が禁止されて、耕作放棄地となり、ヨシおよび低木の繁茂により、マガンやコハクチョウ等の飛来が無くなった。チュウヒ等の猛禽類は増えたように思われる。

保全活動

  • 環境管理:実施者(土地所有者 および 農業者)
  • モニタリング調査:実施者(日本野鳥の会福井県)
    飛来数の定期的なカウント
    ガンカモ類の個体数一斉調査(年一回)
    ガン類の飛来コースの調査
    ガン・ハクチョウ類の採餌、休息場の場所と個体数の調査
  • 環境教育活動:探鳥会の実施
    ガン類の探鳥会(地元中学校の環境学習、日本野鳥の会福井県)

※サイト情報の詳細版はこちら(PDF 839KB)

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