JP119 大阪南港(大阪南港野鳥園)(おおさかなんこう)
大阪府:大阪市
位置 | N 34°38′ E 135°24′ |
面積 | 19ha |
環境構成【湿地エリア:12.8ha 植栽エリア:6.5ha】
写真:石井正春
大阪南港野鳥園は大阪湾奥部の大阪南港埋立地の一角に位置し、周辺には漁場、航路、港湾施設、ビジネスエリア、住宅地が存在する。かつてここは海であり、ここから直線距離で9km内陸側に海岸線があり、その前に住吉浦と呼ばれる自然干潟がひろがっていた。
住吉浦は、シギ・チドリ類などの渡り鳥の重要生息地となっていたが、埋め立ての進行とともに、渡り鳥の生息地は埋立地へと移らざるを得なくなった。現在は、野鳥園の人工干潟と塩性湿地からなる湿地エリアが、大阪湾岸でのシギ・チドリ類の渡りの中継地として重要な役割を果たしている。環境保全上の問題としては、湿地エリアの地盤沈下、アオサの繁茂、海水滞留による底質劣化、釣り人の侵入、ゴミの流入などを抱えている。
コチドリ及びシロチドリは、園内にある干満のある三つの池で、干潮時の干潟では春も秋もよく見られるが、秋の方が個体数が多くなる。これは、航路を隔てた対岸の埋立地(北港南地区埋立地:390ha)において、コアジサシとともにシロチドリやコチドリが繁殖しており、繁殖後の秋から幼鳥を含めた個体群が南港野鳥園の干潟に多く飛来するためである。
選定理由
A4i | コチドリ・シロチドリ |
保護指定
法的な担保がない、もしくはわずか(10パーセント未満)である
<その他>
東アジア・オーストラリア地域フライウェイパートナーシップ参加地
保全への脅威
- 地盤沈下
- 海水滞留エリアの底質劣化
- ゴミの散在(導水管からのゴミの流入、釣り人の捨てるテグスなど)
- 釣り人の侵入(今年から大阪市港湾施設条例の改正により、南港野鳥園周辺の護岸が立ち入り禁止区域となり、釣り人の侵入は少し減少したが、皆無にはならない)
- 後背地の環境変化の影響(大阪市内で大阪湾岸に位置するが、周辺の埋立地や空き地などの後背地(休息地や餌場として利用)の開発や太陽光パネルの設置が進んでシギ・チドリ類の渡来数は安定せず、この後背地と野鳥園を行き来するシギ・チドリ類の個体数も影響を受けて変動ないし減少してきた。)
保全活動
- 環境管理:実施者(NPO法人南港ウェットランドグループ)
内容:水鳥の休み場づくり、ヨシ刈り、シギチの餌場つくりなど。 - 環境教育活動:実施者(NPO法人南港ウェットランドグループ)
内容:野鳥(シギ・チドリ類、渡りの小鳥類)の観察会、干潟の生きもの観察会、ヨコエビ類のサンプリングと定量調査(ソーティング)体験、広報・啓発活動(園内掲示、ホームーページ作成など)、地元中学校との環境保全活動と環境学習定例探鳥会(日本野鳥の会大阪支部) - 保全のための人材育成活動:実施者(NPO法人南港ウェットランドグループ)
内容:野鳥ガイドの養成(養成講座卒業ガイド17名が2015年6月から活動開始している) - モニタリング調査:実施者(NPO法人南港ウェットランドグループ)
内容:シギ・チドリ類の個体数などのモニタリングを継続。
湿地の鳥類調査、干潟の生きもの調査、干潟の現況調査など。
モニタリングサイト1000調査(北港南地区と大阪南港野鳥園) - その他
リフレッシュ瀬戸内、クリーンアップキャンペーン(湿地部の清掃)(大阪市港湾局経営管理部海務担当)、企業の清掃活動(年2回、100名以上の規模で実施)
*鳥獣保護区にはなっておらず、市民利用・環境教育施設として、湿地エリア(干潟を含む)と施設は大阪市議会の付帯決議によって、当面は保全されることにはなっているが、将来はわからない。以前と違って無人施設となり、NPOが大阪市との協働型事業委託契約により2019年3月末まで、環境保全、環境学習、環境調査、広報啓発事業を大阪市と協働で行うこととなっている。
※サイト情報の詳細版はこちら(PDF 813KB)