JP084 聟島列島(むこじまれっとう)

東京都:小笠原村

東京都:小笠原村

位置 N 27°40′ E 142°08′
面積 586ha

環境構成【火山地形(島嶼)/残存樹林(照葉樹林、二次林)/海底山脈】

小笠原自然文化研究所
写真:小笠原自然文化研究所

聟島列島は、東京から南へ約900~1,100kmの太平洋上に連なる小笠原群島の北部に位置し、北之島、聟島、媒島、嫁島などからなる。最大の聟島で約2.57k㎡、最大標高の媒島で約155mであり、小さく平坦な地形の島々からなっている。
主要3島では戦前に人が居住した歴史があるが、第二次世界大戦後すべての島が無人島化した。これにともない、野生化したノヤギによる植生破壊により森林のほとんどは失われ、土壌の浸食が進んでいる。1990年代後半からヤギの駆除が進み、聟島列島から完全に排除されたと考えられ,残存する林をもとにした植生回復事業が行われている。
聟島列島の主要な島々及びその属島が国設小笠原諸島鳥獣保護区特別保護地区に指定されている。

選定理由

A1 クロアシアホウドリ
A2 カラスバト

保護指定

サイトの全域(90%以上)に法的な担保がある
<保護指定の内容>
国指定鳥獣保護区(小笠原群島)、国立公園(小笠原)、都道府県立自然公園、自然環境保全地域、保護林

保全への脅威

  • 東南海地震時の津波、西之島の山体崩壊時の津波、小笠原近海地震の津波、硫黄島における大規模火山噴火時の津波等が想定されている。
  • 外来種の影響(近年、主要3島で、ノヤギが排除された。聟島でネズミ類が駆除されたが、媒島、嫁島には残存し、海鳥類への影響が確認されている。外来植物の対策も継続されている。)
  • 放射性物質の影響(過去の追跡調査から、聟島列島のクロアシアホウドリは、育雛期後半には東日本沿岸域で採餌することが明らかになっている。卵やヒナへの放射性物質の長期的なモニターが必要と考える。)
  • 中国船によるサンゴの濫獲(海洋資源の破壊として問題となっている。付随して、海洋へのゴミ投棄、無人島(海鳥コロニー含む)への上陸の懸念がある。)
  • 漁業による混獲(周辺海域で漁業が行われている。ただし、現在の小笠原漁業は、地域開発された、たて延縄(カジキマグロ)であり、大型海鳥等の混獲の危険性が非常に低い。今後、アホウドリが増加した場合に、他県船の横延縄漁の影響が懸念される。)

保全活動

  • 環境管理:実施者(東京都小笠原支庁、小笠原野生生物研究会)
    内容:小笠原支庁による媒島における土壌流失防止
    小笠原野生生物研究会による嫁島における在来種植栽等
  • 外来種のコントロール:実施者(東京都小笠原支庁)
    内容:外来植物の駆除 聟島及び媒島でのギンネム等の外来植物対策
    ノヤギの排除及び植生回復事業(自然環境研究センター、小笠原野生生物研究会、東京都)
  • モニタリング調査:実施者(東京都小笠原支庁、小笠原自然文化研究所)
    アホウドリ類標識調査、繁殖状況調査(支庁と小笠原自然文化研究所の協働調査)
    アホウドリ人工繁殖地形成事業(東京都小笠原支庁、山階鳥類研究所)
  • クロアシアホウドリの採食海域調査、小笠原諸島における海鳥の分布調査、外来哺乳類が海鳥類に与える影響評価研究、小笠原諸島におけるアカガシラカラスバトの生態調査(小笠原自然文化研究所)
  • 希少鳥類の生態調査、クロアシアホウドリの採食海域調査、外来鳥類の影響調査(森林総合研究所)
  • その他:自然再生推進計画調査(環境省)
    アホウドリ類ウォッチングの自主ルール啓発パンフレット「小笠原をアホウドリの島へ」発行(小笠原アホウドリ連絡会)

※サイト情報の詳細版はこちら(PDF 443KB)

※聟島列島の周辺海域は、マリーンIBA(Marine Important Bird and Biodiversity Areas:海鳥の重要生息地)に選定されている。 詳しくはこちら

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