JP018 釧路湿原(くしろしつげん)
北海道:釧路市、釧路町、標茶町、鶴居町
位置 | N 43°07′ E 144°25′ |
面積 | 約33,000ha |
環境構成【開放水面/湿生草原/樹林/農耕地】
写真:西岡秀観
釧路湿原は、面積約18,000haの日本最大の湿原で、主にヨシ・スゲ類の低層湿原とその周囲のハンノキ林で形成されている。集水域となる湿原周辺の丘陵地には、ミズナラ、シラカンバなどの二次林が広がっている。タンチョウにとって、湿原そのものは営巣地として、また周辺域の牧草地帯は越冬地として、いずれも最大規模となっている。近年、湿原そのものや集水域に対する開発行為により、面積の減少および植生の急速な変化が問題になっている。
選定理由
A4i | タンチョウ |
A3 | タンチョウ |
保護指定
サイトの全域(90%以上)に法的な担保がある
<保護指定の内容>
国指定鳥獣保護区(釧路湿原)、国立公園(釧路湿原)、自然環境保全地域
<その他>
ラムサール条約登録湿地、東アジア・オーストラリア地域フライウェイパートナーシップ参加地、国指定天然記念物釧路湿原
保全への脅威
- 太陽光発電所の建設が、湿原を含む周辺の原野で急速に拡大している。
- アメリカミンクが定住しており、河川沿いおよび湿原域で鳥類への脅威となっている可能性がある
- シカの生息数増加により、湿原周辺山林の裸地化した斜面からの土砂流入、および湿原内への侵入による植生踏付けと特定の植物の摂食により、鳥類が間接的に影響を受ける可能性がある
- 集水域の開発行為による環境悪化
保全活動
- 環境管理:実施者(北海道開発局)
内容:釧路湿原自然再生事業の一環として、釧路湿原北部の茅沼地区で釧路川の
直線化部分1.6kmを蛇行した旧河川2.4kmに復元し、湿原植生や魚類の生息環境を復元した(2007~2011年)。現在は効果のモニタリング中。
タンチョウ営巣地の買取・管理、自然採食地の管理((公財)日本野鳥の会)
周辺民有地の購入、購入したトラスト地の植林(トラストサルン釧路)
ハンノキの伐採(環境省、国交省、市民団体)
給餌場の管理、ねぐらの整備巡回監視(鶴居村) - 外来種のコントロール:実施者(釧路湿原ボランティアレンジャーの会)
内容:特定外来種のウチダザリガニの駆除調査として温根内地区周辺でカゴや網に
よる捕獲を5回実施し1,100匹以上を駆除した(2013年度) - 環境教育活動:実施者(タンチョウコミュニティ 他)
内容:地域の子供や女性団体と協力農家の畑を借りてタンチョウの餌となるデント
コーンを栽培・収穫、実ほぐしまで行い給餌人に寄贈する。この他釧路湿原自然再
生普及活動として53組の団体・企業・個人により77件の活動が行われ、延べ8
千人以上が釧路湿原に親しむ、知る活動に参加した(2013年度) - モニタリング調査:実施者(開発局)
内容:釧路湿原北部の茅沼地区で行われた釧路川の蛇行復元事業地でヨシ・スゲ
群落の回復やハンノキ林の推移を把握する調査を継続中(2012年度~)。
タンチョウの営巣状況モニタリング調査((公財)日本野鳥の会) - 経済活動を通じた保全(エコツーリズム等):実施者(鶴居村振興公社 他)
内容:どさんこ(北海道産和種馬)による国立公園内でのホーストレッキングが
行われている。この他、各種団体・個人ガイドによりカヌーやバードウォッチング、植物観察等の様々な有料ツアーが行われている。
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