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チュウヒサミット2008の報告
チュウヒ(環境省レッドリスト:絶滅危惧ⅠB類)は、国内における繁殖地が少なく局地的で、繁殖つがい数が少ないにもかかわらず、これまであまり保護活動が進んでいません。そのため、2年前にチュウヒに関する日本ではじめてのシンポジウムとなるチュウヒサミット2006を開催しました。このシンポジウムの開催により、全国各地からチュウヒの生息や繁殖活動についての情報や報告が寄せられるようになり、日本国内での生息状況が少しずつ明らかになってきました。そして、私たちが懸念していたとおり、政府レベルで保護指針が打ち出されているイヌワシ、クマタカ、オオタカなどよりも、国内での絶滅の危険が迫っている希少な猛禽類の一種であることが判明してきました。
2008年6月21日(土)、2006年以降の状況をまとめ、チュウヒとその生息地の保護活動を推進するため、名古屋市にて「チュウヒサミット2008」を開催し(三重県支部・愛知県支部・名古屋鳥類調査会主催、当会共催)、当会自然保護室より浦 達也が出席しました。
当日は、全国から約60人の研究者・一般市民が参加し、渡良瀬遊水池、佐潟、河北潟、木曽岬干拓地、勇払原野におけるチュウヒの生息状況や生態について報告されました。また、ラムサール条約湿地となった仏沼以外では生息環境であるヨシ原の環境が悪化する懸念があること、ヨシ原でも水路や開水面が必要なこと等が確認されました。
サミットでは最後に、
- 「チュウヒの生息・繁殖する自然環境を特別保護区とし、すべての開発行為を規制すること」
- 「外来動植物の増殖や人間の水環境操作による湿地の陸地化など、ヨシ原環境の減少を押しとどめること」
- 「ヨシ原環境内やその周辺におけるレジャー行為によるヨシ原破壊やチュウヒの繁殖活動への妨害行為を規制すること」
という提言がなされました。
全国のチュウヒが危機にさらされている状況について発表する自然保護室の浦達也