伊万里市・長浜干拓地のナベヅル・マナヅル飛来状況 2010-2011 年越冬期

10月28日マナヅル4羽(成鳥2羽、幼鳥2羽)が飛来しました。
10月28日14時15分、長浜干拓地内で成鳥2羽と幼鳥2羽のマナヅルの家族が飛来しているのを伊万里ツルの会の方が確認されました。長浜干拓地内で慣れた様子でエサを食べている様子などから、昨年度11月18日から2月21日まで滞在した2羽とその子供ではないかと考えられています。昨年より20日早い飛来となり、このまま滞在してくれることを地元の方をはじめ皆さんが期待しています。


(写真:伊万里市提供)


【ツル滞在数4羽】
(写真:伊万里鶴の会 一ノ瀬秀春さん提供)

11月7日ナベヅル4羽(成鳥3羽、幼鳥1羽)が飛来しました。
11月7日8時頃、成鳥3羽と幼鳥1羽が飛来しました。10月28日に飛来した4羽に追われるといったことはありませんでしたが、残念ながら10時30分頃に南方向に飛去しました。また、11月6日12時頃には地元の鳥獣保護員の石丸英輔さんが長浜干拓地上空を飛行するナベヅル23羽を観察されています。まだまだツルの移動の季節は続きますので、さらなるツルの飛来に皆さん期待しています。


【ツル滞在数4羽】
(写真:伊万里鶴の会 一ノ瀬秀春さん提供)

11月26日 ナベヅル4羽が長浜干拓地上空を通過しました。
11月26日16時15分、長浜干拓地の上空を4羽のナベヅルが通過しました。これらの個体は鹿児島県出水市へ越冬のために向かう個体が上空を通過したものと思われます。


【ツル滞在数4羽】
(写真:伊万里鶴の会 一ノ瀬秀春さん提供)

12月16日 マナヅル4羽が飛来しました。
12月16日11時頃、寒波とともに長浜干拓地に4羽のマナヅルが飛来しました。しかし、10月28日から滞在している4羽に追われ、10分ほどで飛去しました。


鳴き合う2家族の8羽のマナヅルたち


残念!
(写真:伊万里市提供)

12月28日 現在11羽!ツルたちは元気にしています。
長浜干拓地に、新たなマナヅル2群が到着しました。
12月27日13時30分過ぎ、マナヅル4羽が長浜干拓に飛来しました。今回は成鳥4羽です。朝鮮半島で過ごしていたものが寒波のために南下してきたのでしょうか。先に越冬していた4羽(現地では「伊万里太郎」親子と呼ばれています)は、この4羽に相変わらず追い出し行動をやっていますが、28日14時現在、干拓地にとどまっている、とのことです。
また12月28日10時ごろにも、新たにマナヅル3羽が飛来しました。これで、長浜干拓地に滞在しているツルは、合計11羽(すべてマナヅル)となっています。
長浜干拓地のツルたちの健康状態は、伊万里ツルの会や伊万里市役所のボランティアの皆さんにより毎日観察してチェックしていただいています。幸いなことに、今のところ高病原性鳥インフルエンザ等の病気の兆候は見られていません。11月に環境省により行われた「野鳥の高病原性鳥インフルエンザウイルス保有状況調査」でも、伊万里市内で採取されたカモ類のフンからは鳥インフルエンザのウイルスは確認されませんでした。
なお、伊万里市役所により干拓地内で行われていたツル類への給餌は、カモ類との接触の機会を増やしてしまう可能性もあるので、念のため停止されています。


(写真:伊万里鶴の会 一ノ瀬秀春さん提供)

1月2日 マナヅル7羽が飛去し、新たにマナヅル1羽が飛来しました。
長浜干拓地に12月27日に飛来した4羽と12月28日に飛来した3羽は、10月28日に飛来していた4羽に追われ残念ながら飛去しました。
その後、14時頃に新たにマナヅル1羽が飛来し、1月2日時点で長浜干拓地には5羽のマナヅルが滞在しています。
【ツル滞在数5羽】


(写真:伊万里鶴の会 一ノ瀬秀春さん提供)

1月6日 マナヅル2羽が飛来しました。現在合計7羽、健在です。
1月6日15時頃、長浜干拓地に新たなマナヅル2羽が飛来しました。1月6日現在、長浜干拓地では、10月28日に飛来した4羽、1月2日に飛来した1羽、1月6日に飛来した2羽の3グループに分かれて、合計7羽のマナヅルが滞在しています。
【ツル滞在数7羽】


(写真:伊万里鶴の会 一ノ瀬秀春さん提供)

1月10日 マナヅル14羽が飛来しました。
1月10日15時30分頃にマナヅル9羽(成鳥7羽、幼鳥2羽)が、17時30分頃にマナヅル5羽(成鳥5羽)が長浜干拓地に飛来しました。先住している4羽(10月28日飛来)に追われ、干拓地内にグループごとに点在していましたが、翌11日の朝に有田川対岸の休耕田で確認されたのを最後に姿が見えなくなってしまいました。
1月12日現在、長浜干拓地では10月28日に飛来した4羽、1月2日に飛来した1羽、1月6日に飛来した2羽の合計7羽のマナヅルが滞在しています。
【ツル滞在数7羽】

1月20日 マナヅル3羽が飛去しました。
1月20日12時頃、1月2日に飛来した1羽と1月6日に飛来した2羽が飛去しました。1月20現在、長浜干拓地で滞在しているのは10月28日に飛来した4羽のマナヅルのみになりました。
【ツル滞在数4羽】
1月26日 マナヅル4羽が飛去しました。
10月28日に飛来したマナヅル4羽の家族が、1月26日の朝に有田川対岸の木須町方向に向かったのを最後に確認されていません。ここ数年の伊万里における北帰行には1ヶ月ほど早いことから、餌不足等の理由で他の地域に移動した可能性が考えられます。現在、長浜干拓地に滞在しているツルはいません。
【ツル滞在数0羽】

2月1日 マナヅル4羽、再飛来
1月26日以来行方不明となっていたマナヅル4羽が、2月1日15時30分頃再飛来しているのが見つかりました。成鳥2羽、幼鳥2羽という構成が同じで、採食場所やネグラを使用している行動の様子から、以前と同じ家族だろうと考えられます。2月8日現在、長浜干拓地付近にとどまっています。
【ツル滞在数4羽】

2月16日 長浜干拓地にマナヅルが次々に飛来しています。
マナヅルの越冬シーズンが終わりに近づき、渡りのルートの途中にもあたる長浜干拓地には、他越冬地から北帰行の群が次々と立ち寄っています。

2月13日 マナヅル3羽(成鳥2羽、幼鳥1羽) が飛来
2月15日午前 マナヅル3羽(成鳥2羽、幼鳥1羽)が飛去

2月15日 15:30ごろ、マナヅル13羽が飛来 → この13羽のマナヅルの越冬地が判明しました!
2月16日 マナヅル13羽飛去

現在、長浜干拓地には、10月28日に飛来した4羽が残っています。
【ツル滞在数4羽】


2月15日に飛来した13羽のマナヅル
(写真:伊万里市提供)

2月21日 マナヅル4羽が飛去しました。
長浜干拓地に残っていたマナヅル4羽の家族(10月28日に今季初飛来)が2月21日に飛去しました。この家族の滞在日数は通算で112日間(途中、所在不明期間5日間あり)でした。
現在、長浜干拓地に滞在しているツルはいません。越冬していたマナヅルが去った日付は、これで2008年から4年連続で、2月21日に飛去したことになります。
【ツル滞在数0羽】

2月27日 マナヅル75羽が飛来しました。
2月27日14時30分に4羽、15時30分に71羽のマナヅルが飛来しました。これらのマナヅルは日本で最大のツルの越冬地である鹿児島県出水市で越冬していた個体の北帰行の一部が立ち寄ったものと考えられています。その後3月1日15時に57羽が飛去し、3月2日9時10分に18羽が飛去しました。現在、長浜干拓地に滞在しているツル類はいません。
【ツル滞在数0羽】


(写真:伊万里市提供)

2月15日に飛来したマナヅル13羽の越冬地が判明しました!

2月15日に長浜干拓地に現れたマナヅルは、13羽のうち1羽の左脚に赤い色の脚環がついていました。近隣の越冬マナヅルの情報と照らし合わせたところ、ちょうど同じ2月15日の朝、大分県宇佐市と豊後高田市にまたがる周防灘に面した水田地帯で越冬していたマナヅル13羽の群が飛び立っており、しかもこの中に赤い色の脚環をつけた1羽が入っていたことが、宇佐の自然と親しむ会会長の大塚雅雄さんからのご連絡で判明しました。
大塚さんのお話では、この群は2010年12月30日に宇佐市の海岸沿いの水田に現れた10羽に、1月1日に近くの塩田跡地に現れた3羽が合流したもので、3羽の中の1羽の左足に赤い脚環が着いていたそうです。同会の林譲治さんと田中弘さんが写真された結果、刻印された番号が読み取られたとのことです(赤地に白い文字で縦に「242」)。このマナヅルがどこで放されたかを山階鳥類研究所に問い合わせたところ、2010年5月20日になんと中国の内モンゴル自治区の自然保護区内で装着され、放鳥された成鳥であることが分かったとのことでした。
このことから、長浜干拓地が出水地方以外で越冬するツルにとっても、渡りの途中で休憩する場所になっていること、またその中に中国から飛来したマナヅルが少なくとも1羽はいたことが判明したのです。


右端の「赤242」は、中国内モンゴル自治区から飛来し大分県で越冬した後、伊万里に立ち寄ったことが分かりました(写真提供 田中弘さん。2011年1月10日大分県宇佐市乙女新田にて撮影)

2010年-2011年越冬期まとめ

  • 2010年10月から2011年3月までの期間に、長浜干拓地にはマナヅル123羽とナベヅル4羽が飛来しました。
  • 10月28日に飛来したマナヅル4羽の滞在日数は通算112日間で、過去最長記録となる2007年度の滞在日数と同じになります。

今年度もツルを見守ってくださった東山代土地改良区のみなさんをはじめとする農家の皆さん、伊万里市民の皆さん、ツルたちの観察記録をとってくださった伊万里鶴の会の皆さん、日本野鳥の会佐賀の皆さん、そして伊万里市役所の皆さんに心から感謝申し上げます。