今年も玉名市横島小学校3年生のツル学習に協力しました(熊本県玉名市)

2025年1月15日

玉名市が用意したバスに乗り、横島干拓へ移動玉名市が用意したバスに乗り、横島干拓へ移動

重要文化財に指定されている旧玉名干拓施設(六枚戸)重要文化財に指定されている
旧玉名干拓施設(六枚戸)

熊本県玉名市の横島小学校では、3年生の皆さんが年間を通して野鳥観察を行っています。玉名横島地区の干拓(横島干拓)へ出かけて行うツルと地域に関する授業は、日本野鳥の会熊本県支部、横島校区まちづくり委員会、横島町文化財保存顕彰会が協力して実施しています。2025年1月15日、「横島干拓でマナヅルを見よう!」というテーマで授業があり、当会とWWFジャパンのスタッフが講師として参加しました。

バスに乗り、はじめに国の重要文化財に指定されている干拓施設を見学しました。戦国時代の武将加藤清正による干拓を手始めに、江戸、明治、大正、昭和と約400年にわたり干拓事業が行われ、かつて海であった場所は広大な農地になりました。明治時代中頃に完成した干拓地の潮受け堤防は、高さ3~6m、長さ5.2kmに及び「海の万里の長城」と称され、貴重な歴史遺産であることから「旧玉名干拓施設」として平成27年度に国の重要文化財に指定されました。この史蹟の外側に、国営事業として横島干拓(623ヘクタール)がつくられ、昭和47年度に入植が始まりました。マナヅルは販売用米が栽培される平成17年頃から飛来数が多くなり、稲刈り後の落穂や二番穂を食べて越冬するようになりました。

横島干拓の歴史や成り立ちについて学んだ後、ツルの飛来地に移動しました。6羽のマナヅルを望遠鏡や双眼鏡で観察していたところ、別の群れが飛んできて合流し、21羽のマナヅルを観察することができました。マナヅルのほか、さまざまな野鳥やハヤブサの狩りのようすを目撃できた子どもたちもいて、地域の自然の豊かさを感じることができたのではないかと思います。

教室での授業では、当会スタッフがナベヅル・マナヅルの生態や国内越冬地の現状、農業との関係についてクイズを行い、WWFジャパンスタッフが繁殖地モンゴルでのマナヅルのようすを紹介しました。初めて見るヒナの姿に、教室のあちこちから「かわいい!」と声が上がっていました。

モンゴルで生まれたマナヅルが、半年後には家族とともに遠く離れたこの地に渡ってくること、横島干拓にはツルたちを受け入れられる素晴らしい環境があることを、いまは気づけなくてもいつの日か、これは貴重で尊いことだとこの体験を思い起こしてくれるといいなと思いました。

マナヅル
マナヅル
飛翔するマナヅル
飛翔するマナヅル
観察中の子どもたちとマナヅルのデコイ
観察中の子どもたちとマナヅルのデコイ
教室での授業の様子
教室での授業の様子

写真:日本野鳥の会熊本県支部 東トミ子、(公財)日本野鳥の会 田尻浩伸、横田智

関連リンク