水田の生物多様性を保全する取り組み -生きもの調べ-(徳島県)

2019/11/09

現代の田んぼは、乾田化や水路のコンクリート化など圃場整備されたことで、効率よくお米を収穫できるようになったのですが、一方で、生きものにとってはすみづらい環境になっています。

徳島県の河口付近の水田地帯は、絶滅危惧種のナベヅルやコウノトリが飛来することで知られています。当会では、近隣の小松島市と阿南市の農家の方々に相談して、これら大型の鳥をシンボルにした、生きもの“も”すみやすい田んぼづくりに取り組んでいただくことになりました。

まずは、今の田んぼにどんな生きものがすんでいるのかを知るために、夏と秋にそれぞれ「生きもの調べ」をしました。虫取り網やタモ網を手に持つと、子どもの頃が思い出されます。

トノサマガエルとメダカ(夏の調査時)
トノサマガエルとメダカ(夏の調査時)。

生きもの調べの様子
農家の方々や日本野鳥の会徳島県支部会員など20~30名が参加。講師は日本有機農業普及協会の中村氏。

付き合いで参加したと思われる方々も、いざ調査が始まると、童心に帰り、生きもの探しに夢中になっているようでした。1時間ほどで、イトミミズからトビまで、およそ90種ほどの生物が確認できました。予想以上の種数です。

生きもの調べの様子
秋の生きもの調査。ナベヅルの餌になる二番穂(刈り取った後にもう一度出てくる稲穂)の量も調べました。

田んぼを熟知している農家の方々も、普段は生きものの視点で田んぼを見ることはないようで、今回の「生きもの調べ」では、いろいろ新しい気づきがあったようです。