- 日本野鳥の会
- 当会の活動
- 自然保護
- 絶滅危惧種の保護
- クロツラヘラサギ調査研究プロジェクト
- 世界一斉個体数調査(2015年)
世界一斉個体数調査(2015年)
2015年12月8日
2015年クロツラヘラサギ世界一斉個体数調査の結果
日本クロツラヘラサギネットワーク・日本野鳥の会
東南アジアの各国が協力して毎年1月に実施されている「クロツラヘラサギの世界一斉センサス」(主催:香港バードウォッチング協会)の2015年の結果がこのほどまとまりましたのでお知らせ致します。
この調査は、世界的な絶滅危惧種であるクロツラヘラサギの最新の越冬個体数と分布を知るために日本、韓国、中国、香港、台湾、ベトナム、タイ、カンボジア、フィリピンなど東南アジア一円の自然保護団体が参加し、実施しているものです。
日本でも九州や沖縄などの越冬地で、「日本クロツラヘラサギネットワーク」や日本野鳥の会の支部が調査を行っています。2015年の国内での調査は1月16日~18日に8県44か所、62名を超える協力者を得て行われました。
1.2015年クロツラヘラサギ世界一斉個体数調査結果の概要
香港バードウォッチング協会
2015年1月16日~18日に、クロツラヘラサギ世界一斉個体数調査を行いました。
2015年の調査では前年を大幅に上回る3,259羽が確認されました。前年の2,726羽と比べると、19.3%(+533羽)の増加となり、初めて3,000羽を越えました。
最大の越冬地は台南で、世界の61%にあたる1997羽が確認されています。台湾全体では、62%にあたる2,034羽が確認されています。
今回の結果では、台湾、后海湾、日本で個体数が増加し、韓国、マカオ、中国ではやや減少しました。大幅な増加は、台南(台湾)、后海湾(香港、深セン)、熊本(日本)の3か所の主要サイトでの増加によるもので、その他の地域ではほぼ前年と同じでした。生息環境の状況は変わらず、大きな環境破壊や環境の悪化はみられませんでした。
表1. 地域別のクロツラヘラサギの記録数
場所 | 2014年調査 | 2015年調査 | 前年比 |
台湾 | 1,659 | 2,034 | +22.6% |
后海湾(香港、深セン) | 252 | 411 | +63.1% |
日本 | 350 | 371 | +6% |
中国本土 | 339 | 330 | -2.7% |
マカオ | 60 | 55 | -8.3% |
ベトナム | 40 | 40 | - |
韓国 | 26 | 18 | -30.8% |
フィリピン | 0 | 0 | - |
タイ | 0 | 0 | - |
カンボジア | 0 | 0 | - |
合計 | 2,726 | 3,259 | +19.6% |
原文のリリース元
2015 Black-faced Spoonbill
Results of International Census : Press Release of The Hong Kong Bird Watching Society
2.日本におけるクロツラヘラサギ一斉調査の結果
日本クロツラヘラサギネットワーク・日本野鳥の会
2015年の調査では、日本では前年よりも21羽多い(6%増)、計371羽が確認された。県別では、熊本県の130羽が最も多く、福岡県82羽、鹿児島県60羽と続き、佐賀県40羽、沖縄県28羽、宮崎県16羽、山口県15羽であった。
図1. 日本におけるクロツラヘラサギの記録数の推移
図2. クロツラヘラサギの記録個体数の県別の推移
表2. 県別に見たクロツラヘラサギの記録数の推移