世界一斉個体数調査(2014年)

2014年6月26日

2014年クロツラヘラサギ世界一斉個体数調査の結果

日本クロツラヘラサギネットワーク・日本野鳥の会

東南アジアの各国が協力して毎年1月に実施されている「クロツラヘラサギの世界一斉センサス」(主催:香港バードウォッチング協会)の2014年の結果がこのほどまとまりましたのでお知らせ致します。
この調査は、世界的な絶滅危惧種であるクロツラヘラサギの最新の越冬個体数と分布を知るために日本、韓国、中国、香港、台湾、ベトナム、タイ、カンボジア、フィリピンなど東南アジア一円の自然保護団体が参加し、実施しているものです。
日本でも九州や沖縄などの越冬地で、「日本クロツラヘラサギネットワーク」や日本野鳥の会の支部が調査を行っています。2014年の国内での調査は1月17日~19日に11県46か所、130名を超える協力者を得て行われました。

1.2014年クロツラヘラサギ世界一斉個体数調査結果の概要

香港バードウォッチング協会

  • 2014年のクロツラヘラサギ世界一斉個体数調査は1月17日~19日に行われた。
  • 2014年の調査では前年(2,725羽)より0.04%(1羽)増加の2,726羽を確認した。
  • 台湾では1,659羽(すべての観察数の約61%)記録されており、特に台南エリアは1,621羽が観察され、クロツラヘラサギの主要な越冬地となっている。
  • 香港、深センでは99羽、中国での個体数は24羽減少し、それぞれ252羽、339羽が観察された。

表1. 地域別のクロツラヘラサギの記録数

場所 2013年調査 2014年調査 前年比
台湾 1,624 1,659 +35
后海湾(香港、深セン) 351 252 -99
中国本土 363 339 -24
日本 277 350 +73
ベトナム 39 40 +1 
マカオ 48 60 +12 
韓国 23 26 +3 
タイ 0 0
カンボジア 0 0
合計 2,725 2,726 +1

(日本語訳 公益財団法人日本野鳥の会)

原文のリリース元
2014 Black-faced Spoonbill
Results of International Census : Press Release of The Hong Kong Bird Watching Society

2.日本におけるクロツラヘラサギ一斉調査の結果

日本クロツラヘラサギネットワーク・日本野鳥の会

  • 2014年、日本では昨年よりも73羽増え(約26%増)、計350羽が観察された。
  • 県別では、熊本県の107羽が最も多く、福岡県73羽、鹿児島県62羽と続き、沖縄県36羽、佐賀県35羽、宮崎県25羽であった。また、東日本の宮城県、茨城県、東京都でも観察された。
  • 国外では、台湾が最も多く1,659羽、次いで、日本350羽、中国339羽の順であった。日本での増加に対して、中国や香港では減少しており、世界全体では昨年よりも1羽多い2,726羽がセンサス期間中に観察された。
  • 日本の越冬地では、内陸の農業用ため池を夜間にしばしば利用していることが明らかになっており、また、福岡市の多々良川河口において、ねぐらを整備したことにより越冬数が増加、安定化したことが今年のトピックとして挙げられる。


図1 日本におけるクロツラヘラサギの記録数の推移


図2 クロツラヘラサギの記録個体数の県別の推移

表2. 県別に見たクロツラヘラサギの記録数の推移