カラスフォーラム2003「首都圏の自治体はカラス問題とどう取り組んでいるのか」

2003年11月8日に、東京支部と(財)日本野鳥の会の共催で、カラス問題解決のために「カラスフォーラム2003」を開催しました(参加者 約100名)。フォーラムは、首都圏自治体関係者5名と大磯町前町会議員からの現状報告を頂き、カラスや廃棄物の専門家からのコメントを伺う形式で、興味深い事例や苦労話を聞くことが出来ました。カラス対策がゴミ対策であること、カラス対策が順調に進行しているところでは、住民の理解と協力が得られていることなど、共通認識が浮かび上がってきました。

まず板橋区からは、平成12年からはじまった東京都のカラス捕獲事業以降、苦情が数十件から200件に増え、カラスは有害だから駆除するのは当然という考えが子供たちにも広まっているというショッキングな報告がありました。カラス問題は、ゴミ問題をはじめとするルールづくりが大事であると共に、カラス対策は教育の問題であることを指摘されていました。

市川市は、カラス研究者の松田道生氏や本会の協力を得ながら、市内に生息しているカラスの個体数や営巣密度、被害を調べ、独自のマニュアルも作成し、対策を講じています。ネットがけなど正しい防除対策を講じることによって、カラス被害が十分の一に減ることを示していました。

日野市は、かつて多摩地区のゴミのリサイクル率がワースト1であったため、市長を先頭に全職員と住民が協力しあって、600回もの説明会を開き、ゴミ量の半減と戸別回収を実現させました。この他、年間700件もの苦情が殺到し防鳥ネットを無償配布した世田谷区、一軒一軒飲食店をまわってゴミ出しの管理を説得した新宿区の報告があり、いずれも涙ぐましい努力を感じさせました。

行政ではありませんが、10年ほど前から家庭のゴミを計りながら、一人一日あたり1000グラムあったゴミを100グラムにまで減らしてしまった大磯町の前町議の取り組みは、私たち住民がやるべき方向性を示していました。環境カウンセラーの崎田裕子氏からは、カラス問題からゴミ問題を考えることによって、ゴミ問題に新たな展開が期待できるというコメントがあり、ゴミ関係者からの大きな期待が寄せられました。

ごみを狙うカラス(写真/松田道夫)
ごみを狙うカラス
(写真/松田道夫)

リポーター
板橋区・水環境係長 坂本 郁子氏
市川市・自然環境課長 清水 敏男氏
大磯町・前町議会議員 田端 裕氏
世田谷区・環境調整係 布施 喜章氏
日野市・環境共生部長 笹木 延吉氏
新宿区・新宿西清掃事務所技能長 小倉 幸雄氏
コメンテーター
ジャーナリスト 崎田 裕子氏
東京大学大学院生物多様性科学研究室 森下 英美子氏
野鳥研究家 松田 道生氏
本会主任研究員 金井 裕氏

財団法人国際花と緑の博覧会記念協会から助成を受け、カラスフォーラム2003実施報告集(野鳥保護資料集第17集)を発行しました。