米子水鳥公園(鳥取県米子市)

推薦:NPO法人日本野鳥の会 鳥取県支部

米子水鳥公園

「米子水鳥公園」は、「中海(なかうみ))の西岸にある28.6haの野鳥の保護区です。「つばさ池」を中心に、池の周りにはヨシ原が広がっています。かつて中海にたくさんあった浅瀬は、中海干拓・淡水化事業により1980年代頃から次々と失われました。やがて工事中の干拓地内にできた池にコハクチョウをはじめとするガンカモ類が多く飛来し、最後の安息の場となりました。それを見た米子市民が、一部を埋めずに残そうと保護運動を起こしたのがこの公園の始まりです。公園は1995年に開園し、2005年には中海の一部としてラムサール条約の登録湿地になりました。現在は東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップの重要生息地ネットワークに参加し、国内外の研究、観光、市民活動や環境教育の拠点となっています。

公園の活動には、日本野鳥の会鳥取県支部、地元の連合自治会、環境問題を考える企業懇話会等から多くのボランティアが参加しています。公園では市民とともに「こども自由研究発表会」、「彦名水鳥ウォーク」や「絵画コンクール」等のイベントの運営や、ヨシ刈り等園内の自然環境の維持・管理を行なっています。
また「子どもラムサールクラブ」等の環境学習プログラムに参加した子どもたちの中には、専門分野を持って研究をしたり、中高生のボランティア団体である「Jr.レンジャークラブ」を結成して活動したりする人材も出てきました。

この公園は大部分が野鳥保護区として立入禁止ですが、ネイチャーセンター館内の観察ホールや、屋外の桟橋・観察広場からはゆっくり野鳥を観察できます。10月~3月には多くのガンカモ類が越冬し、大山(だいせん)と朝日を背景にコハクチョウたちが次々と餌場に飛び立ちます。マガンの群れのねぐら入りや獲物を狙う猛禽類も見ることができます。

所在地

鳥取県米子市彦名新田665

環境

池、草地、ヨシ原

ベストシーズン

1月、2月、3月、10月、11月、12月

見られる鳥

コハクチョウ
コハクチョウ
ヘラサギ
ヘラサギ
春から初夏

カイツブリ、カルガモ、クロハラアジサシ、コチドリ、カワセミ、オオヨシキリ、ツバメ類など。

トウネン、ハマシギ、ソリハシシギ、アオアシシギ、ツルシギなどのシギ類。ヨシ原や草地では、シマセンニュウ、コヨシキリ、ノゴマ、オオジュリンが順に渡っていきます。

コハクチョウ、マガン、ヒシクイのねぐらになっているほか、数千羽の多様なカモ類がつばさ池で過ごします。チュウヒ、ハイイロチュウヒ、オオタカ、ノスリ、ハヤブサ、ミサゴ、クロツラヘラサギなども見られます。またツクシガモやヘラサギ、セイタカシギなどがネイチャーセンターのすぐ近くまでやってきます。

近隣情報

米子水鳥公園の桟橋から眺める大山
米子水鳥公園の桟橋から眺める大山
大山で繁殖しているジョウビタキ
大山で繁殖しているジョウビタキ

米子水鳥公園から、つばさ池の遠方に見える山が大山です。日本海に面する独立峰という特徴を持ち「伯耆富士(ほうきふじ)」と呼ばれます。山麓にはブナやミズナラなどの落葉広葉樹林が広がり、春はオオルリ、キビタキ、クロツグミ、ゴジュウカラたちがにぎやかです。大山寺周辺では、繁殖しているジョウビタキや、ミソサザイ、アオバト、クロジ、トラツグミ、アカショウビンのさえずりも聞こえます。秋はアトリの大群に出会うこともあり、落葉すれば採餌に大忙しの可愛らしいカラ類や、大空を飛ぶタカが見えやすくなります。真冬に散策すればウソやベニマシコ、マヒワ、アオゲラ等の鮮やかさが雪景色に映えます。

注意事項

  • 米子水鳥公園周辺の農地は私有地ですので、無断での立入はご遠慮ください。周辺での撮影や観察の際は地元車両を優先し、通行の支障となる場所はもちろん、長時間の駐停車は避けましょう。
  • 鳥インフルエンザの警戒期間中は、バードウォッチング終了後には靴底や三脚の石突等、ネイチャーセンター前に設置してある消毒薬を利用してください。

NPO法人日本野鳥の会 鳥取県支部については、以下をご覧ください。