御岳山(東京都青梅市)

推薦:日本野鳥の会 奥多摩支部

御岳山(みたけさん)は、神話に登場する第十代崇神(すじん)天皇の時代が起源と言い伝えられており、文献では奈良時代に金剛蔵王権現(こんごうざおうごんげん)像が安置されたことが初めて記録されており、その頃から蔵王信仰・修験道・山岳信仰の地として知られるようになりました。鎌倉時代から安土桃山時代にかけて金峰山(きんぷさん)御嶽蔵王権現として武士たちの信仰を集め、江戸時代に入ると江戸を護るために社殿の向きが改められました。江戸中期になると庶民の社寺詣でが盛んになり、御嶽信仰と共に御師(おんし)集落が広がっていきました。今に残る宿坊もこの流れを受け継いでおり、茅葺屋根の東馬場家、日本野鳥の会の創設者・中西悟道が定宿とした駒鳥山荘も、数ある宿坊の一つです。

なお、鳥声録音の先駆者・蒲谷鶴彦が、戦後AC電源駆動の自作録音機を用いてコノハズクの鳴き声を録音したのも、御嶽神社の境内です。

現在の御師集落には「東京都御岳ビジターセンター」があり、鳥、植物、昆虫、登山道など、いろいろな情報が得られるほか、歴史や文化の展示があり、各種観察会・講座も開催しています。

日本野鳥の会奥多摩支部では、前身の秋川支部結成記念として1948(昭和23)年7月に探鳥会を開催し、1953(昭和28)年の奥多摩支部結成後からは支部探鳥会を、四季を通じて実施しています。探鳥コースは大きく二つに分けられ、春から夏は沢沿いのロックガーデン。冬は木漏れ日の大塚山。9月はタカの渡り観察で日の出山へ。11月はハイキングを兼ねて紅葉の奥の院と上高岩山に交互に登っています。

なお、集落内にはムササビ用の巣箱が数か所に設置され、運がよければムササビが顔を出していることがあります。またカモシカに出会うこともあります。

ムササビ
ムササビ

カモシカ
カモシカ

所在地

東京都青梅市御岳山

環境

山地

ベストシーズン

1月、2月、3月、4月、5月、6月、7月、8月、9月、10月、11月、12月

見られる鳥

オオルリ
オオルリ
ミソサザイ
ミソサザイ

4月にはミソサザイがさえずり、5月にはオオルリ、キビタキ、クロツグミなどが飛来し、にぎやかになります。6月にはロックガーデンのイワタバコやタマガワホトトギスの花も楽しめます。

夏から秋

初夏は巣立ちヒナに会えるチャンスがあり、8月は富士峰園地のレンゲショウマが咲き、9月中旬から10月上旬は日の出山でタカの渡り観察。11月は紅葉がきれいです。

12月から3月は、富士峰から大塚山を周遊するのがおすすめです。カラ類の混群やマヒワ、アトリなどの冬鳥が楽しめます。

通年

早朝はケーブル終点の御岳平での定点観測をおすすめします。小鳥たちが飛来し、楽しめます。表参道も急ぐことなく斜面に目と耳を向けると、多くの鳥がエサを啄んでいます。また、御師集落の裏道にも多くの鳥がいるので、観光客、登山者と分かれて裏道を歩くことをおすすめします。

なお、キバシリやオオアカゲラなども通年生息しているので、足しげく通うと出会えるでしょう。

近隣情報

御岳渓谷
御岳渓谷
カワガラス
カワガラス

御岳山での探鳥の後、時間があれば御岳渓谷を散策することをおすすめします。瀬音の響く渓谷にはカワガラス、セキレイ3種、アオサギ、カワウなど山の上とは異なる鳥たちを身近に見ることができ、カラ類を中心とした小鳥たちも観察できます。

また、御嶽駅近くには、お蕎麦が美味しい「玉川屋」が、御岳渓谷沿いには「玉堂美術館」、「御岳美術館」、甘味処の「いもうとや」があり、沢井駅まで渓谷沿いに足を伸ばすと「寒山寺」、「小澤酒造」、「櫛かんざし美術館」、食事処の「ままごと屋」、「豆らく」があります。

注意事項

交通の便のよい観光地ですが、ロックガーデンや大塚山はハイキングコースとなりますので、軽登山靴などしっかりした靴で行くことをおすすめします。また山地のため天候が急変することがあります。晴れていても、雨具はお守りとしてお持ちください。

日本野鳥の会 奥多摩支部については、以下をご覧ください。