津軽石川河口(岩手県宮古市)

推薦:日本野鳥の会 宮古支部

津軽石川河口津軽石川河口

津軽石川(つがるいしがわ)は、岩手県で唯一の干潟があり、かつては本州一サケが遡上する川でしたが、最近は温暖化でその数が激減しました。宮古支部では1970年代から、ここで探鳥会を開催してきました。かつて(公財)日本野鳥の会主導による春と秋の「シギ・チドリ類全国一斉調査」や冬季の「ガン・カモ・ハクチョウ類全国一斉調査」が実施された場所でもあります。渡り鳥の補給地やねぐらであった河口のヨシ原は、水門工事や2011年の東日本大震災の被害を受け、現在、回復の途上です。干潟は、大震災の地盤沈下により少し狭くなり、砂質と一部泥質の干潟から、小石の多い礫質干潟に変わりました。

春から夏は、頻度は少ないですがシギ・チドリ類やミサゴの豪快な狩りが楽しめます。秋から冬は、カモやカイツブリ類などの水鳥やワシタカ類が渡来し、一番楽しみな季節です。天候の荒れた時には、外洋性のヒレアシシギやミズナギドリ類、トウゾクカモメ類とウミスズメ類が飛来することがあります。河口全体では、年間に約120種の野鳥が観察できます。

川の両岸は高い防潮堤に囲まれているので、そこから干潟や河口域、遠方のカキ、ホタテなどの養殖筏周辺に集まる水鳥を観察するとよいでしょう。砂浜や川沿いを歩いて小鳥や水鳥を見ることもできます。最近、増えてきた海洋レジャーへの対策は、今後の課題です。

この河口は四季を通して野鳥を楽しめる場所なので、今後も環境を維持していきたいと考えています。

所在地

岩手県宮古市津軽石

環境

海、干潟、草地

ベストシーズン

1月、2月、3月、4月、5月、6月、9月、10月、11月、12月

見られる鳥

セイタカシギ
セイタカシギ
カラシラサギ
カラシラサギ

少ないですが、シギ・チドリ類やヒバリ、イカルチドリ、コチドリ、イソシギの子育てが見られます。ミサゴは河口周辺をいつでも飛んでいます。

夏~秋

シギ・チドリ類、アオバトが岸辺に降りていることがあります。カモの渡り、時にはハチクマの渡りも観察できます。10月にアオジ、カシラダカ、オオジュリンなど小鳥類の渡りの中継地となっています。

オオハクチョウ、カモ類、カイツブリ類が見られます。カモをねらうハヤブサ、産卵を終えて死んだサケ(ホッチャレ)を採食しに来たオオワシ、オジロワシがいることもあります。

近隣情報

姉ケ崎(休暇村陸中宮古周辺)

姉ケ崎の岬
姉ケ崎の岬

所在地:岩手県宮古市崎鍬ケ崎(くわがさき)

姉ケ崎は、三陸復興国立公園に指定されています。1974年休暇村の開業後、支部で探鳥会を開始しました。林内には、1983年に宮古支部で開発したミヤコ式巣箱(コンクリート製で支柱は鋼管)や、木製のリス・ムササビ用巣箱、最近は竹製のキビタキ用巣箱を試すなど、野鳥の保護活動を行なってきました。

春から夏は、海岸でアマツバメ、イソヒヨドリ、ミサゴ、ハヤブサが見られます。

1970年代から繁殖していたウミネコは、数年前に忽然と消え、移動し、現在はオオセグロカモメ、ウミウと少数のカワウの子育てのようすを展望台から観察できます。最近はアオバトも飛来します。クロコシジロウミツバメの繁殖地の日出島を一望できます。

沖を北上するヒレアシシギ類、ミズナギドリ類が見られることもあります。冬期は休暇村で給餌をしていますので、ロビーから訪れる小鳥を間近で楽しめます。ここは、海と山の鳥が楽しめる貴重な探鳥地です。

注意事項

  • 採集禁止です。防潮堤は高いので歩行に注意。