プレスリリース 2014.01.31

2014年1月31日

報道機関各位

日本野鳥の会東京
公益財団法人日本野鳥の会

東京都知事選立候補者に対する2020年東京オリンピック・パラリンピック大会、カヌースラローム会場予定地に関する公開質問状回答結果

 私達は、2020年東京オリンピック・パラリンピック大会のカヌースラローム競技施設が、葛西臨海公園に計画されていることに対して、豊かな自然環境を損ない、都民が自然と触れ合う場所を奪うものとして、計画の変更を求めてまいりました。
 この度の東京都知事選挙に際し、各立候補者に公開質問状を送付し、この問題に対する候補者の見解を求めてまいりました。29日を回答期限としておりましたので、回答を取りまとめ報告いたします。

 回答を頂いた各候補者からは、慎重な意見も含めて一定の前向きの回答を頂いたので、都知事が決定後、東京都やオリンピック組織委員会と協議を継続し、計画を実現し環境と調和した開催の実現を目指します。

2014年1月31日 日本野鳥の会東京・(公財)日本野鳥の会

葛西臨海公園2020 年オリンピックカヌー競技場整備計画
に関する公開質問状の回答報告

日本野鳥の会東京と公益財団法人日本野鳥の会は、葛西臨海公園における2020 年オリンピックカヌー競技場整備計画に関して、東京都知事選立候補者に対して公開質問状を提出しました。
その結果を報告いたします。(立候補者名は全て届け出順)

回答あり 回答なし
宇都宮けんじ 田母神としお
ドクター・中松
ますぞえ要一
細川護熙

※下記の立候補者は、連絡先不明により未送付
ひめじけんじ、鈴木たつお、中川智晴、マック赤坂、家入かずま、ないとうひさお、金子博、
五十嵐政一、酒向英一、松山親憲、根上隆

【質問事項】

(1)あなたは葛西臨海公園に2020 年オリンピックカヌーカヌー競技場整備計画されていることについて、どのような見解をお持ちですか。

宇都宮けんじ 再検討が必要 私は前回の都知事選の際と今回と、2度にわたって葛西臨海公園を視察し、再生された緑地と豊かな生態系、そしてそれを心から楽しむ市民の方々の姿を目の当たりにした。環境に調和したオリンピックという理念からいっても、現行計画は抜本的に再検討することが必要であろうと思う。
ドクター・中松 再検討が必要 現状の計画が、IOCの精神「環境と調和した開催」に反しているため、再検討が必要。
ますぞえ要一 その他 競技会場の計画は、オリンピックのルール・基準に基づき、競技団体の承認等を経てまとめられ、IOCへ提出されたものと聞いている。知事に就任した暁には、まずは、都の関係部局から良く説明を聞きたい。
細川護熙 「派手な施設を誇示するオリンピックではなく、水と緑に囲まれ、日本らしい簡素で優美なオリンピックを目指す」との政策を公表している。

(2)当会は、現状の整備計画では同公園内の貴重な自然の多くが失われるとして、中央防波堤や東京湾内への計画地移転を求めております。
 なかでも現計画地の隣の葛西水再生センター用地は、これまで検討されていた新火力発電所整備が今回断念されたことにより、新たな「適地の一つ」と考えられますが、あなたはどう思われますか。貴職が知事に当選された際には、関係部局等に対して柔軟な検討・対応をご指示いただけますか。

(2)の回答

宇都宮けんじ 最大限、柔軟に対応するよう、各都局に指示する これからのオリンピックのあり方として、私はコンパクトで環境と調和していることを提唱している。私が都知事となった時には、この理念に基づき、ご提案の葛西水再生センター用地を含め、既存施設や都有地の活用など、柔軟な検討と調整を関係各部局に指示する。
ドクター・中松 最大限、柔軟に対応するよう、各都局に指示する 火力発電所という環境と調和しない最たるものが整備断念した地に、環境と調和したカヌー競技場を整備することは大変意義がある。
ますぞえ要一 その他 まずは、都の関係部局から良く説明を聞きたい。
細川護熙 知事就任後に、当会の意見を参考にしながら、さらによく検討し、判断していく。

(3)カヌー競技場の現計画地では現在、実施段階の環境影響評価が進行しておりますが、並行して代替地での影響評価を進め、影響がより少ないと判断される場所を選定する手法が、より多くの方の理解を得られると思います。あなたは代替地の環境影響評価を並行して進めることについて、どう思われますか。

宇都宮けんじ 大きな影響があるとの懸念がある計画地については、代わりの候補地についても並行して調査すべき オリンピック立候補ファイルには、「都市の緑化を促進させる契機」にすると、招致委員会は記載している。ならば、自然公園を壊すことは避け、代替用地を用いることが検討されてしかるべき。特に、招致ファイルには、当競技会場の工事開始予定日は2017年12月と、新規工事の中ではかなり遅く、時期的に余裕があることからも、代替地の検討に現実味があると考えている。
ドクター・中松 大きな影響があるとの懸念がある計画地については、代わりの候補地についても並行して調査すべき
ますぞえ要一 その他 現計画について、自然環境の調査を行い、環境影響評価を行うべき。具体的内容等については、まずは都の関係部局から良く話を聞いてから検討したい。
細川護熙

(4)首都東京での葛西臨海公園の自然の価値や、葛西臨海公園でのカヌー競技場整備計画について、どのような内容でも結構ですのでご意見をお聞かせください。

宇都宮けんじ 「江戸前」の豊かな海洋環境を取り戻し、葛西臨海公園を一つのモデルとして、臨海部を都民の憩いの場として再生させて将来の世代に手渡していきたいと考えている。オリンピックはそのための契機とすべきであり、大型開発のチャンスと捉えるべきではない。オリンピック終了後の施設のあり方を含め、環境面でも、維持費用の面でも、市民が納得できる計画が必要である。当公園のように、長年市民の手が加わることで育まれ、守られてきた生態系が都心の近くにあることは、これからの時代の自然と人間の調和においてシンボリックな意味を持つと思っている。
ドクター・中松 東京都の貴重な緑と動植物を守り、環境と調和したカヌー競技場を整備することが必要。
ますぞえ要一 各競技場の整備については、今後、しっかりと準備を進め、史上最高の五輪を実現したい。
細川護熙 日本野鳥の会が計画について懸念していることは、よく承知している。

【参考資料】